日本共産党の田村智子政策委員長は21日夜、「Choose Life Project」のインターネット番組で、通常国会の焦点について新型コロナウイルスの感染拡大抑止の積極策こそ最重要課題だとして、第3次補正予算案の組み替えや新型コロナ特措法改定案での罰則規定の見直しを訴えました。
病院の減収補填
番組で日本共産党や立憲民主党など野党が補正予算案の組み替え動議を提出予定だと紹介されました。田村氏は「緊急事態宣言と感染急拡大に対する新型コロナ対応の予算に集中すべきだ」と強調。病院の減収補填(ほてん)に3兆円規模が必要だとして、「さらに発熱外来などの各病院のコロナ対応に上乗せすれば、医療従事者への励ましになる」と主張しました。また、医療、介護施設への社会的検査の予算は、「1兆円規模で行い、診療報酬や介護報酬の、国に公費負担を直接請求できる仕組みを利用すべきだ」と指摘しました。
日本維新の会の足立康史衆院議員の「野党の議論は茶番だ」との暴言に対し、田村氏は「野党の動議提出は国民の苦難軽減を一つでも二つでも実らせないといけないという危機感によるものだ」と反論。野党の要求による雇用調整助成金のコロナ特例の実現などの成果をあげ、政府の「Go To」事業への固執の転換と、事業規模に応じた給付制度を「何度でも求めていく」と述べました。
罰則は対策逆行
政府の新型コロナに対応する特措法や感染症法などの改定案での罰則規定をめぐり、園田寿・甲南大学法科大学院教授(刑法)は、ハンセン病など患者への差別の反省を踏まえ、感染症法で患者の排除から保護へと目的が変わったと述べ、「コロナに対する刑罰のシステムが出来上がれば、伝染病に対する刑罰のシステムが固定化してしまう」と警鐘を鳴らしました。
田村氏は、感染症法への刑罰導入についての政府説明はバイオテロなどに対する罰則との「横並び」だと述べ、「入院勧告の拒否に懲役刑など、何を考えているのか」と厳しく批判しました。また、特措法の病院名公表は社会的制裁となる危険があると指摘し、「実効性は補償しかない。罰則と制裁は感染症対策に逆行する」と強調しました。
他の野党の出演者からも「病院で十分な治療が受けられない状況こそ問題だ」(社民党の福島瑞穂党首)、「今必要なのは検査の拡充だ」(立憲民主党の原口一博副代表)など、罰則導入見直しの意見が相次ぎました。
2021年1月24日(日)しんぶん赤旗