日本共産党の田村智子議員は14日の参院内閣委員会で、コロナ禍で生活に困窮した人への生活福祉資金の特例貸付について、償還開始時に生活が好転していなければ一括免除するとの考え方を早急に示すよう求めました。
政府は生活福祉資金の貸し付けについて、これまで「所得の減少が続く住民税非課税世帯の場合には、その返済を免除し、生活の立て直しを強力支援する」と国会答弁してきました。しかし、厚労省が一括免除ではなく、返済免除に該当するかを毎年判断する方向で検討していることが明らかになり、1月中に示されるとされてきた返済免除の考え方がいまだ示されていないとして、「遅れているのはなぜか」とただしました。
厚労省の岩井勝弘審議官は、全国社会福祉協議会が一括免除の要望を出していることを明らかにし、「さらに検討を深める必要がある」と答弁。厚労省の山本博司副大臣は「生活困窮者にきめ細かな配慮を行うものとしたい」と答えました。
田村氏は「貸し付けであっても、低所得・無収入が確認できれば、即給付に転換することも検討すべきだ」と主張しました。
2021年1月15日(金)しんぶん赤旗
【第203回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第2号 令和3年1月14日】
○田村智子君 それから次に、生活困窮への対応、これもいよいよ求められます。
私も年末に新宿や池袋の公園で取り組まれた相談会に参加をいたしましたが、若い方々や小さな子供さん、赤ちゃんまで連れた夫婦が寒さに震えながら食料を受け取っていくと。これ、本当に深刻な事態のまさに氷山の一角だというふうに思います。
昨年四月から、一時的な生活困窮への対策として、生活福祉資金の貸付けがコロナ特例として行われています。これ、六月の一か月だけでリーマン・ショック直後の二〇〇九年から三年間分の貸出実績を上回ったんです。それほどに生活資金がなく困っている人が多いということです。この貸付けの返済について当時の安倍総理は、所得の減少が続く住民税非課税世帯の場合にはその返済を免除をし、生活の立て直しを強力に支援すると国会で繰り返し答弁されました。これ、返済時に低所得の状態であれば返さなくていい制度だというふうに周知をされて、これも広く利用することになった要因なんですね。
ところが、昨年十月末、ある与党の厚労部会の衆議院議員がインターネットを通じて、政府は、一括免除ではなくて、返済期間である十年間毎年免除するかどうかの判断をする方向で検討しているということを情報発信したことで、関係者は大騒ぎになりました。我が党議員団も昨年のうちに厚労省に説明求めましたが、今様々な意見をお聞きしているところだと、一月中に返済免除の考え方を示すということでした。しかし、今もって示されていないんですよ。
これ、なぜ遅れているのか、また、全国社会福祉協議会など制度の運用を担ってきた当事者からはどのような意見が寄せられているのか、お答えください。
○政府参考人(岩井勝弘君) 緊急小口資金等の特例貸付けにつきましては、償還時においてなお所得の減少が続く住民税非課税世帯の償還を免除することができることとしております。
その詳細については、貸付けを受けている方の実態等も踏まえながら、生活に困窮された方の生活にきめ細かな配慮を行うべく検討を進めておりますが、昨年末に全国社会福祉協議会から具体的な取扱いについて要望をいただいていること、令和四年三月末以前に償還時期が到来する予定の貸付けについて償還の開始時期を令和四年三月末まで延長したこと等を踏まえて更に検討を深める必要があり、現時点で具体的な取扱いは決まっておりません。
償還免除の具体的な取扱いについては、全国社会福祉協議会からは、償還免除の要件に該当する場合は償還開始時に一括で全額免除とすること等の要望をいただいております。
○田村智子君 制度を担ってきた全国社会福祉協議会は一括で免除してくれという要望を出していると。これ非常に重要だというふうに思うんですね。
今御説明あったとおり、今回の特例貸付けは、厚労省は、償還能力の乏しい者に貸付けを行ってもよいのかという自治体の質問に対して、新型コロナウイルス感染症の状況等を踏まえ、生活費用が必要な方に対して必要な額を迅速に貸し付けることが最優先課題と、償還の可能性を重く求めることは必要な貸付けを阻害してしまうおそれがあると、こういうふうに自治体に回答しているわけですよね。だから、やっぱり生活資金に困った者に対してお金をまず届けるんだと、償還能力は重視しないということを示してきたわけです。これ是非、やっぱり一括で全額免除というような貸付けにしていかなきゃいけない。そうでなければ、今の事態に対しての貸付けをためらう人が出てきてしまうかもしれません。
また、それで、私たち、これ貸付けだけでいいのかということも思っているんですね。やはり厳しい状況が続いていく中で、貸付額が既に多額に上っている方もいらっしゃるでしょう。これ以上借りて大丈夫かという不安が出てくるんだというのが支援団体からも私たち聞いているお声でもあるんです。
そうすると、まずは貸し付けるということがあってもいいと思います。だけれども、その時点で低所得であるとか無収入が後日確認をできれば、今後そうやって渡した分は即給付に転換する、こういうことも併せて検討することが求められてくるというふうに思いますけれども、これ、いかがでしょうか。
○副大臣(山本博司君) 先ほど審議官からお答えしたとおり、緊急小口資金の特例貸付けにつきましては、償還時においてなお所得の減少が続く住民税非課税世帯の償還を免除することができると、こうしているわけでございます。
全国社会福祉協議会からは、償還免除の要件に該当する場合は償還開始時に一括で全額免除すること等の要望をいただいているところでございますけれども、引き続き検討を進め、生活に困窮された方の生活にきめ細やかな配慮を行うものとしてまいりたいと思います。
○田村智子君 早く一括免除だという方針をまず示していただきたい。そうでなければ安心して貸し付ける制度にならないということを重ねて要望しておきます。
あわせて、住居確保給付金の拡充を求めたいんです。
住居喪失を防ぐ制度としてこれも大変活用されていますけれども、申請は生涯で一回限りとされていて、一旦自力で家賃が支払えるようになった方が今回の緊急事態宣言でまた生活困窮になった場合、二度目の申請ができないんです、このままでは。また、家賃滞納分には支給できないというふうにもされているんです。これ、住まいを失うということは、その後の自立を大変難しくします。また、今の感染症対策を考えても、健康に生活できる住環境を保障するということは極めて重要だと思います。
これ、二度目の申請、滞納分への支給、このことについても検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○副大臣(山本博司君) 住居確保給付金に関しましては、生活困窮者自立支援法に基づきまして、離職等により経済的に困窮し、住居を失うおそれがある生活困窮者に対しまして求職活動を要件として家賃相当額を支給するものでございまして、新型コロナ感染症の影響に対応するため、支給対象の拡大を実施したところでございます。
具体的には、今お話ございました、一部の自治体等から、一定の場合に住居確保給付金の再支給、これを求める要望があることは承知をしておりますけれども、今後の対応につきましては、利用者の実態等も踏まえて、その必要性を含め、慎重に検討する必要があると考えております。
また、住居確保給付金につきましては、申請日より前に発生した家賃に対して充当することはできませんけれども、滞納等でお困りになっている方々に関しましては、社会福祉協議会において実施する総合支援資金、一時生活再建費ということで六十万円等を活用することが可能になっている次第でございます。
○田村智子君 これ、相談会行っても、本当に、鍵付け替えられちゃった、それでもう住まいを失っちゃうという人、何人も来るわけです。
ですから、今言ったような制度、いろんな拡充とともに、やっぱり本当に広く広報してほしいんです。電光掲示板で渋谷に流すとか、そういう方々がおられるだろうと思うところでアウトリーチするとか、とにかく命を守るために何でもやるという姿勢を本当に政府の側から示していただきたい。このことを申し上げて、質問を終わります。