国会会議録

国会会議録
医療機関や高齢者施設 集中的検査実施を
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(写真)質問する田村智子議員=14日、参院内閣委

 日本共産党の田村智子議員は14日の参院内閣委員会で、医療機関や高齢者施設などでの新型コロナウイルス感染症の拡大やクラスター発生を防止するため、医療機関や高齢者施設で集中的なPCR検査を行い、その費用を国が負担する制度・仕組みをつくるよう提案しました。

 医療機関でのクラスターが新規患者の受け入れ停止を招き、高齢者施設などでのクラスターは重症者増の要因となっています。田村氏は、厚労省が医療機関や高齢者施設等への一斉・定期的なPCR検査の実施を要請しているものの、現場では費用負担の懸念からちゅうちょが生じていると指摘。感染者が発生した老人保健施設では、全職員と入所者の検査費用が約1000万円かかったものの、全額公費負担となるか不安の声が上がっていることなどを示して、「厚労省の通知に沿った検査が医療機関や施設の判断で実施でき、費用負担は発生しないという方針を明確に示すことが必要だ」と提案。診療報酬や介護報酬の仕組みにのせて、費用を請求できる国の事業にするなど具体化するよう求めました。

 厚労省の山本博司副大臣は「都道府県を介さない検査を行政検査とすることには慎重な検討が必要だ」と答弁。田村氏が感染まん延地域では、自治体・保健所の業務が逼迫(ひっぱく)して対応できない事態が生じていることをあげ、さらなる検討を要求すると、西村康稔経済再生相は「行政検査が円滑に行われるよう厚労省と連携して取り組む」と述べました。

 田村氏は、老健施設などでコロナ患者が発生しても、転院できずに老健施設で治療を継続せざるをえない事例も生まれているとして、「報酬の特例なり補助なりの検討が必要だ」と主張。「現行の支援の枠組みでは、介護の崩壊も起きかねない」と述べ、臨機応変な支援策を求めました。


2021年1月15日(金)しんぶん赤旗

【第203回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第2号 令和3年1月14日】

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 一月七日、四都県に緊急事態宣言の発令、一週間もたたない昨日、十一都府県に拡大。しかし、その前日には茨城県知事からも宣言の検討が必要と会見がなされました。都道府県知事から突き上げられるようにして緊急事態宣言が発令される、政府としての判断はどうなっているのかと疑問を持たざるを得ないような状況なんですが、まずお聞きをしたいのは、なぜ菅総理が国会で報告をしないのかということです。
 特措法三十二条は、緊急事態宣言をし、政府の対策の方針について国会に報告をするのは政府対策本部長と定めています。ところが、七日も昨日も議院運営委員会で報告したのは西村大臣です。なぜ対策本部長である菅総理が法の定めにのっとり国会に報告を行わないのですか。
○国務大臣(西村康稔君) まず冒頭、茨城県の大井川知事とも、緊急事態宣言を発出した、拡大した昨日の、その前の日ですね、発出する、拡大する前日の夜、大井川知事とも意見交換をしまして、知事からは、今の時点で必要がないと、頑張るということで言われましたので、私は問題提起をしまして、かなり感染拡大しているし、病床も厳しいんではないかという問題提起をしましたけれども、知事のそういう判断があったことを申し上げておきたいと思います。
 その上で、国会への説明、出席の在り方については、これは国会でお決めいただく話でありますので、私からはコメントを差し控えたいと思いますけれども、その上で申し上げれば、緊急事態宣言の発出、変更、解除、そういう場合に事前に衆議院、参議院の議運で私が説明をさせていただいてまいりました。菅総理もこれまで節目節目で記者会見を行われておりますし、一月七日、そして昨日、区域拡大をしました十三日ですね、これも自ら会見を行い、説明をされているところであります。
 いずれにしましても、政府一体となって国民の皆さんに分かりやすい説明、そして丁寧な説明、共感をいただけるような説明を心掛けていきたいというふうに考えております。
○田村智子君 それはおかしいですよ。法律で政府対策本部長が報告するとあるんですから、自民党がそれに反対したって、政府の側から菅総理が説明をすべきだというふうに対応するのが当たり前のことじゃないですか。なぜそれをやらないのか。
 もちろん議員会館に文書は配られましたよ。じゃ、この文書の配付をもって国会への報告は政府対策本部長によって行われた、それが菅政権の判断なのかと聞いているんですよ。
○国務大臣(西村康稔君) 国会への説明の在り方につきまして、あるいは出席の在り方につきましては国会でお決めいただくということでありますので、私、議運、衆参の議事運営委員会で御説明申し上げたということであります。
○田村智子君 答弁になってないですよ。
 特措法三十二条で、政府対策本部長が国会に報告すると定めているんですよ。そのことを聞いているんです。
○国務大臣(西村康稔君) これも慣例上、先ほど御指摘ありましたけれども、実務的、実務上ですね、書面で報告を行っているということでありまして、その上で、国会でお決めいただいた議事運営委員会で私が説明を行っているということでございます。
○田村智子君 菅政権も、文書配ればそれでいいと、議員会館のポストに入れればそれでいいと、そういう判断だということですよね。
 菅総理は、一か月で必ず収束させる、まるで精神論ですよ。どうやって感染収束させるのか、緊急事態宣言下で暮らし、事業、雇用をどう守るのか、国会で質疑に応じるのは当然ですよ、政府対策本部長なんだから。異常なまでの国会軽視、つまりは国民軽視だと、これはこの場で強く抗議も込めて指摘しなければなりません。
 緊急事態宣言という新たな局面になりました。昨年示された追加経済対策等、これに基づく第三次補正、これもうポストコロナが柱なんですから、抜本的な作り直しが必要です。
 第三次補正は十九兆円という予算規模を予定しているのですから、医療機関への減収補填、国の事業としての大規模なPCR検査、事業規模を踏まえた持続化給付金の新たな支給、家賃支援給付金の継続と二度目の支給、雇用調整助成金、コロナ特例等休業支援金の全国的な対象拡大、生活困窮への新たな対策など、私たち野党が要求している支援策は十分にできるはずです。
 三次補正、作り直しませんか。
○国務大臣(西村康稔君) これまでの経済対策につきましては、感染症、まさにコロナの様々な事態を想定して対応してきております。御指摘の三次補正におきましても、感染防止策に万全を期すという観点から、緊急包括支援交付金の一・二兆円、約一・二兆円ですね、それから雇調金の特例の延長も見据えて来年度当初予算と合わせて約二・一兆円の財源を確保しているところであります。こういったことを含めて、この感染症対策、そして感染症の影響を、しっかりと、受けるその事業者の方々、そして国民の皆さんの雇用、事業を守ると、こういう観点で予算を計上する予定で、提出する予定でございます。
 その上で、コロナの予備費につきましては四・六兆円、本年度確保しておりまして、来年度は五兆円の予備費を予定をしております。様々な事態があり得ると思いますけれども、そういった事態もこうした予備費の活用を念頭に置きながら対応していきたいと思いますし、ちなみに、これまでの二次補正におきましても、様々な事業を支えるという意味で、出資や劣後ローンなど、中規模企業、大規模企業も含めて約十二兆円規模、用意をいたしております。これはもちろん小さな企業にも出資もできるわけでありますので、そういったことを含めて万全を期していきたいというふうに考えております。
○田村智子君 予備費で対応すると言いますけど、昨年も何度も予備費使えと言っても全然具体化しなかったじゃないですか。大体、デジタル化とか国土強靱化とか、補正ですから、補正の予算で問われているのですか。補正予算で緊急事態宣言に応じた対策組まなくてどうするのかということなんですよ。これもう今からでも真面目に検討していただきたい。
 PCR検査ももっと予算規模必要なんですよ。その具体的な質問に入ります。
 今回、緊急事態宣言に至った最大の要因は深刻な医療の逼迫状況にあります。高齢者や糖尿病などの持病がある方も入院ができないという深刻な事態が既に起きています。新型コロナの患者さんだけでなく、脳疾患、心疾患などの救急搬送も困難を来している。また、医療機関と高齢者施設でのクラスターも続発しているわけですね。これが医療逼迫に拍車を掛けている状況です。
 新規感染者数も重症者数もどちらも抑えるためには、やはり医療機関、高齢者施設などで、職員、新規入院や入所者への定期的なPCR検査によってウイルスを持ち込ませない、このことが極めて重要になっています。その認識は共有していると思いますが、確認をいたします。
○副大臣(山本博司君) 感染症の蔓延防止を図るために医療機関等で積極的な検査を行うということの重要性に関しましては田村委員とも共有できているのではないかと思う次第でございます。
 医療機関や高齢者施設の入院、入所者は重症者リスクが高くて、施設の感染対策の強化、これが重要であることから、感染者数が多数発生している地域等におきまして、その期間、症状がない方も含めて、勤務する方や入院、入所者を対象に積極的な検査を実施することを都道府県等にお願いしたところでございます。
 十一月十九日には、高齢者施設で重点的な検査を徹底するために、入所者等で発熱の症状を呈する方につきましては必ず検査を実施すること、さらには、検査の結果陽性が判明した場合には、施設の入所者全員に対しまして原則として検査を実施すること等を都道府県に要請した次第でございます。
 さらに、十一月二十日には、クラスターが複数発生している地域におきまして、医療機関又は高齢者施設などの重症化リスクの高い方が多数いる場所が検査実施の優先度が最も高いということを明示しまして、症状の有無にかかわらず積極的な検査を実施するということも要請したところでございます。
○田村智子君 そのように厚労省が、昨年九月以降ですよ、医療機関、高齢者施設での行政検査を行うよう自治体に通知を言わば連打している、これは私も承知しています。問題は、それが実施されているかどうか。現在ちゃんとその検査が行われているかどうか、その実施の状況についてどう評価されていますか。十分だという認識ですか。
○副大臣(山本博司君) 今委員御指摘ありましたとおり、十一月十九日、二十日、先ほど言いましたけれども、事務連絡発出した後、十二月三日までの二週間程度の実施状況を把握したところでございます。
 陽性者が発生した高齢者施設等で原則として入所者、従事者全員に検査を実施したのが二百十四施設、クラスターが複数発生している地域において検査を実施した高齢者施設、医療機関等が二百十九施設であることが確認できました。
 高齢者施設等での集団感染も依然として多数発生していることを踏まえまして、改めて十二月二十五日、事務連絡で検査の徹底の要請をしている次第でございます。
 引き続き、こうした感染拡大防止のための必要な検査、これが高齢者施設等で迅速かつスムーズに行われるように努めてまいりたいと思う次第でございます。
○田村智子君 私たちも地方議員などを通じて調べたところ、今回、緊急事態宣言の対象となっている地域であっても、医療機関、高齢者施設での定期的な検査を自治体として行うとしているところは少数です。極めて少ない。昨年十二月の時点ですけれども、東京二十三区でも五区しか確認ができませんし、それも頻回の検査と言えるのかという状況なんですね。
 ある医療団体が、介護事業所を持つ加盟法人について新型コロナウイルスの介護事業所での感染状況を調べています。利用者に陽性者がいたという法人が一六・九%、職員に陽性者がいた法人は八・一%、これは昨年十一月までの取りまとめ、しかも全国ベースです。今、感染蔓延という地域ではいつ介護施設にウイルスが持ち込まれてもおかしくないでしょう。事務連絡で連打しても検査が進んでいないのはなぜなのか、現場が直面している問題を具体的に解決することが求められています。
 確認いたしますが、事務連絡の考え方に沿って医療機関あるいは高齢者施設が自らの判断で職員や利用者に対してPCR検査を行った場合、国や自治体に公費負担の義務はありますか。
○政府参考人(佐原康之君) お答えいたします。
 感染者が多数発生している地域において、各自治体の判断により、現に感染が発生している店舗や施設に限らず地域の関係者を幅広く検査するよう要請しておりまして、この場合の行政検査の費用につきましては、感染症法の規定により、都道府県等が二分の一を支弁し、国においては都道府県等が支弁した費用の二分の一を負担することとされております。
 こうした行政検査として保健所によって行われる検査ではなく、高齢者施設等の判断で一斉、定期的な検査を行った場合には高齢者施設の負担となります。
○田村智子君 そうなんです、自治体が判断しなければお金が出ないんですよ。出す義務がないんですよ。医療機関は今費用を持ち出しで職員の検査をしているとも聞いています。赤字で給料の支払にも窮しているのに検査費用も持ち出し、これでは頻回の一斉検査には踏み出せないでしょう。
 感染者が発生したある老健施設では、これ介護施設ですけれども、全職員と全入所者、約二百二十人に三回の検査を行った。約一千万掛かった。保健所からは行政検査とすることは構わないと言われているけれども、本当に全額公費負担になるのかという不安が今も拭えないというんですね。これ、お金、後からですから。
 院内感染が発生したある医療機関、感染を収束させるために一週間に一回という頻度で検査を行って、現在までに三千万円の費用が掛かっている。ところが、保健所からは行政検査で公費負担となるのは二回までとされているという説明を受けた。交渉の結果、医師が必要と判断した検査については公費負担を認めるということになったということなんですね。
 このように、感染者が出ている施設でさえも現状では医療機関や介護施設に検査費用の自己負担が発生しかねないんです。厚労省の通知に沿った検査が医療機関や施設側の判断で実施ができる、費用負担も発生しない、こういう政府の方針を明確に示すことが必要ではないでしょうか。
 また、保健所を介する仕組みでは、感染蔓延の地域ほど保健所は対応できていないんですから、こうした問題の解決が必要だと考えますけれども、いかがでしょう。
○副大臣(山本博司君) 政府としては、必要な行政検査、これが迅速かつスムーズに行われるためのこの検査体制の強化、これを始めとして様々な努力をしてまいりたいと考えている次第でございます。
 感染症の蔓延防止の観点から行われる行政検査、この費用に関しましては、感染症法の規定により、都道府県等が支弁されるということとされておりまして、国においては都道府県等が支弁した費用の二分の一を負担するということになっております。そして、都道府県の負担の二分の一につきましては、新型コロナウイルス感染症対応の地方創生臨時交付金、この算定対象になっている次第でございます。こうした点を踏まえて、今般、感染拡大地域の高齢者施設の入所者、従事者に対する集中的な検査につきましては実質的に国の負担により早急に実施するように都道府県には要請をしている次第でございます。
 また、厚労省としても、個別の施設からの検査の実施を求めたにもかかわらず速やかに検査が実施されない、こういう場合の相談窓口も設けて丁寧に今対応しているところでございます。
 引き続き、こうした感染拡大防止のための、必要な方が迅速にスムーズに検査を受けられるような検査体制の強化、これを努めてまいりたいと思います。
○田村智子君 ちょっと事態は大変逼迫していまして、医療のクラスター感染が一番多いじゃないですか。
 そこで、ちょっと具体的にもう提案をしたいんですよ、仕組みを。
 医療・高齢者施設等での検査について厚労省が費用の目安とか頻度の目安、例えば感染症が頻発している地域では一週間に一回とか、その他の地域では二週間に一回など、やっぱり一定の要件を示す、そして施設等の判断で検査を行える制度とする。その際、自治体の負担も軽減するために、診療報酬や介護報酬の請求の仕組みも活用して国の直轄事業とする。これ直ちに検討していただきたいんですが、いかがでしょう。
○副大臣(山本博司君) 行政検査に関しましては、今、感染症法に基づく感染蔓延の防止の観点、これから行われることでございますので、実施主体、これは都道府県とされておるところでございます。このため、都道府県等を介さない検査、これを行政検査と、こういうふうにすることにつきましては慎重な検討が必要であると考えておる次第でございます。
 いずれにしても、政府としては、必要なこの行政検査が迅速かつスムーズに行われるための検査体制の強化、これに関してしっかりと努力していきたいと思います。
○田村智子君 何度も指摘しているように、都道府県でというふうになって行政検査となると保健所を介するんですよ。その保健所が今感染者への対応でいっぱいいっぱいじゃないですか、入院調整とかそういうことでね。だから、そういう自治体負担をできるだけ軽減して、厚生労働省が通知で示した検査が現に行えるようにする、その仕組みを具体的に提案しているんですから。これ、西村大臣のところにもといいますか、政府・与野党連絡協議会で今のことは我が党の要望事項として既にお伝えもしています。
 大臣にもお聞きしたいんです。これ本当に、身体介護を必要とする方には、感染をするということは、これ命を守る上でも大変です。そして、医療従事者の負担からもこれ本当に大変なことになっちゃうわけですね。感染防護して身体介護を行うということが物すごい負担になっているわけですよ。また、医療機関でクラスター発生したら医療そのものを止めなきゃいけなくなっちゃうんですよ。まさに緊急事態宣言のときだから、これ、自治体が具体化するのを待ってられないんです、待ってられないんです。通知出しただけでは駄目で、現場がちゅうちょなく検査ができるように、目詰まりを解決する対策、政府として取っていただきたい。大臣、どうでしょう。
○国務大臣(西村康稔君) 御指摘のとおり、この点、何度も田村委員から御指摘もいただいておりますし、党としての要望もいただいているところであります、提案もいただいているところであります。
 まさに北海道旭川の例が一番いい、いいというか悪い、悪い例と言っていいと思うんですけれども、院内感染が広がって医療体制が崩壊をしたような状況になって、自衛隊も派遣するというようなことで対応させていただきました。まさに医療機関や高齢者施設、ここでの感染、施設内感染、院内感染を何としても防がなきゃいけない、その観点から厚労省としても何度も通知を出して対応してきておりますし、私も知事との様々な意見交換の中で何人かの知事には、高齢者施設全部リスクがもう高いんだからやられたらどうですかという、こういった呼びかけも行って、実際取り組まれている知事もおられます。
 御指摘のように、自治体の負担、特に保健所の負担がもう今かなり感染拡大地域では逼迫してきておりますので、重い負担になってきておりますので、そういったことにも配慮しながら、そうした支援も行いながら、高齢者施設、医療機関で行政検査としての検査が円滑に行われていくように厚労省と連携して対応していきたいというふうに考えます。
○田村智子君 これ、公費負担の仕組みが医療も介護もあるんですよ、あるんですよ。これ生かさずしてどうするかということなので、真面目に検討いただきたい。
 高齢者施設からは本当に悲鳴とも言えるSOSが次々と寄せられています。近畿圏のある老健施設で年末から年始にかけてクラスターが発生し、数名の入所者の感染が確認されました。ところが、この地域では医療体制が元々脆弱だったということもあって、入院させることができない、そのまま数日間頑張ってほしいと言われてしまった。中には、酸素吸入をせざるを得ない中等症の方まで、翌日、酸素吸入などの治療をしながら入院待機せざるを得なかったというんですね。
 老健施設は元々急性期の患者さんを治療することを想定していません。こうした対応を余儀なくされるというケースはほかの地域でも聞かれるわけですね。もちろん、広域的な入院調整というのが大原則なんですけれども、現に発生している問題に緊急の支援が必要となります。
 現在、入所者に感染が出た場合、防護服や危険手当の支給など掛かり増し経費という形で介護の包括支援交付金出すことができますが、医療的措置については老健施設は若干の報酬加算があるだけなんですね。二百三十九単位という全く微々たるものです。
 転院ができない、臨時的に老健施設で治療を継続せざるを得ない、こういう場合、治療の経費をせめて見ることができるような報酬の特例、補助の検討、これ必要だと思いますが、どうでしょうか。
○副大臣(山本博司君) 今委員御指摘のとおり、老健施設、大変入所者またその家族の生活を継続する上では欠かせないものでございまして、安定的、継続的なサービス提供できるようにしていくことが重要であります。
 老健施設の入所者に係る費用につきましては基本的には介護報酬から支払われることになりますので、そのうち一定程度の医療に係る費用につきましては基本報酬に包括されております。また、肺炎等の治療を行った場合におきましても、一定期間加算が算定可能となっている次第でございます。
 これに加えまして、新型コロナウイルス感染症への対応としては、感染者が発生した場合であってもサービスの継続的な提供につながるように、一時的に人員や運営の基準を満たすことができない場合でも介護報酬等を減額しない等の柔軟な取扱いを可能にすることや、令和二年度一次補正におきまして、今委員御指摘ありました職員の確保に関する費用、さらには消毒の費用などの掛かり増し経費についての助成等を行っているところでございます。
 この老健施設の感染症対応に係る支援につきましては、引き続き、こうした介護報酬、また運営基準、予算などの様々な対応を組み合わせながら、必要なサービスが提供できるように総合的に取組を進めてまいります。

○田村智子君 現行の支援では介護の崩壊も起きかねないんですよ。感染症への対応ができる人の派遣も含めて、何とか対策取らなければならないと、そういう事態が刻一刻と起きているんだと。是非、臨機応変に支援策を講じてほしいと思います。


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