日本共産党の田村智子議員は9日の参院内閣委員会で、新型コロナウイルス感染拡大対策として、濃厚接触者に加えて感染の可能性が高い人もPCR検査の対象とするよう求めました。
東京都は、濃厚接触者以外にも、接待を伴う飲食店の従業員などに対してPCR検査を行っています。田村氏は、感染を疑う正当な理由がある者に都道府県知事の判断でPCR検査を行うことは可能で、費用は国庫負担の対象になるのかと質問。厚労省の吉永和生審議官は「行政検査の対象は、一義的には都道府県等が判断するもの。行政検査と位置づけられたものは、国はその費用の2分の1を負担する」と答えました。
田村氏は、新型コロナウイルス対策の分科会の初会合で尾身茂会長が積極的にPCR検査を行うべきだとの考えを示していることをあげ、「政府としても対象を拡大していくということか」とただしました。
西村康稔経済再生担当相は「実態を踏まえて今後の戦略を考えていく」というだけ。田村氏は、東京都では濃厚接触者以外の人でも感染が確認される事例が相次いでいることを具体的に指摘し、「濃厚接触者だけでなく、感染者と同じ部屋で勤務していたなど、感染の可能性の高い人を早急に検査対象に加える必要がある」と述べました。
2020年7月10日(金)しんぶん赤旗より
【2020年7月10日 参議院内閣委員会議事録】
○田村智子君 では、質問続けます。
東京都での感染拡大への対策として、私、PCR検査についてお聞きします。
現在の政府の方針では、感染者が確認されると積極的疫学調査が行われ、濃厚接触者は例外なくPCR検査が行われることとなりました。東京ではこれに加えて自治体の判断で、濃厚接触の疑いがある者、ホストクラブの従業員など感染確率が高いと行政が判断した者に対してPCR検査が行われています。これ大切だと思います。
都道府県知事が蔓延の防止に必要と判断をして、感染の可能性が高く、感染を疑う正当な理由がある者については感染症予防法に基づいてPCR検査を行うことができるというふうに考えますが、厚労省、いかがでしょう。
○政府参考人(吉永和生君) お答え申し上げます。
新型コロナウイルス感染症につきましては、今後も新たな流行が起こり得るものでございますけれども、それを大きな波としないためには、引き続きクラスター対策を徹底するとともに、流行の小さな波も検出するPCR検査等の監視体制を強化していく必要があるものと考えてございます。
感染症法におきましては、都道府県知事等は、積極的疫学調査といたしまして、疑似症患者や感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者につきまして行政検査を行うことができることとされてございます。
新型コロナウイルス感染症に係る行政検査につきましては、医師が必要と判断した方や、症状にかかわらず濃厚接触者等が当該検査の対象となることをお示ししているところでございますが、いずれにいたしましても、行政検査の対象につきましては一義的には都道府県等において判断されるものでございます。仮に都道府県等において行政検査の対象に疑義が生じた場合につきましては個別に相談に応じるなど、地方自治体と密接に連携しながら新型コロナウイルス感染症に対応してまいりたいと考えてございます。
厚生労働省といたしましては、今後、仮に再び感染が拡大する局面になったとしても、引き続き積極的に感染者等を追うことができるよう、更なる検査体制の強化に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
○田村智子君 法律で、感染の可能性が高く、感染を疑う正当な理由がある者についてはPCR検査を行うことができると、法に基づくものだという今答弁だというふうに確認をいたします。
そうしますと、蔓延の防止に必要との判断の下、無症状であっても感染を疑う正当な理由がある者に対するこの検査の費用は感染症法に基づいて国庫負担の対象と考えますが、いかがですか。
○政府参考人(吉永和生君) お答え申し上げます。
感染症法に基づきます行政検査の対象につきましては、先ほども御答弁いたしましたとおり、一義的には都道府県等において判断されるものでございます。行政検査と位置付けられたものにつきましては、国はその費用の二分の一を負担するということとされているものでございます。
○田村智子君 確認いたしました。
今、専門家会議を発展させたというその分科会、第一回の会合の終了後、尾身会長が、感染リスク及び事前確率が高い場所、人については積極的にPCR検査を行うべきという考えを示されました。
西村大臣、ピンポイントで簡潔に答弁いただきたいんですけれども、分科会の提案にある夜の町、クラスターに関係する人などは、従来の政府の考え方では検査の対象とされていないんですよね、自治体の判断なんですよ。そうすると、政府も、自治体の検査実態を踏まえて、こうした夜の町、クラスターに関係する人など、確率の高い人、場所を検査の対象として拡大するということですか。
○国務大臣(西村康稔君) まさに、リスクの高い場所、人について戦略的に拡大していくべきではないかという御提言をいただきました。その中に、まさにバーやクラブ等接待を伴う飲食店など入っている、など含まれているんだろうというふうに、含まれているものというふうに思います。そして、この分科会において様々議論今後深めていきたいということで尾身座長、尾身会長もおっしゃっておられます。
ですので、今の時点で現場の判断で、例えば新宿区はもう既に濃厚接触者はもう幅広く、当然そうですね、それからバー、クラブなどの接待を伴う飲食店の方々にも幅広く呼びかけて検査を行っているところでありますので、こうした実態も踏まえながら、今後の大きな戦略を考えていきたいというふうに思います。
○田村智子君 さっきの維新の方の質問では、あたかも政府も認めているのかと思いましたけれども、まだこれから慎重に検討なんでしょうか。
感染の確率が低い方のところは、確かに、尾身会長も指摘されているんですけれども、偽陽性や偽陰性が陽性判断を上回って出てしまうので、これは私も慎重な検討が必要だと思います。しかし、感染確率が高い場合は自治体が既にやっているんですよ。これはPCR検査の対象は政府としても拡充すべきですよ、拡大すべきですよ。
東京では、ある都立特別支援学校で教職員一人の感染が判明。児童生徒五十人、教職員百人が登校していたが、濃厚接触とされPCR検査が行われたのは三人だけ。ところが、教職員がですね、対象になっていなかった教職員が一人目の陽性確認の翌日に発熱をし、その後PCR検査をしたら感染が確認をされたと。
また、ある区立小学校、教員二人の感染を確認した。濃厚接触者十二人にPCR検査を行ったが、全て陰性だった。区は濃厚接触の疑いのある者まで広げて検査をしたところ、二人、教職員の感染を確認。結局、児童生徒も希望者全員のPCR検査を実施することとしています。
都営地下鉄の一之江駅、六月二十五日、職員一人の感染が判明。濃厚接触者二名にPCR検査を実施、陰性だが自宅待機とした。ところが、二十八日に検査対象外の職員が発熱。検査の結果、七月二日に感染確認。江戸川保健所の指示で、一之江駅に勤務実績のある職員十五名と駅を巡回したことのある職員七人のPCR検査を実施することとなったわけです。
東京ではこのような事例が既に相次いでいます。濃厚接触者にとどめず、感染者と同じ部屋で勤務していたなど感染の可能性が高い者は早急に政府としても検査対象に加える必要があると思いますが、いかがですか。
○国務大臣(西村康稔君) 御指摘の点は非常に大事な点だと思っております。検査、PCR検査については、様々な事例、エビデンス、こうしたものに基づきながら、もう既に範囲を順次拡大をしてきているところでありますし、何より国立感染研においてエビデンスをしっかりと取りながら適切に設定してきているものというふうに承知をしております。この基準については、新しい知見、技術なども出てきておりますので、専門家の方々の評価、分析をいただき、厚労省において適切に判断しながら改定がなされていくものと思っております。
御指摘のように、現場では医師の判断に基づいてかなり広く行ってきておりますし、私も、基本的にはできるだけ前広に、二次感染防止の観点からも前広に検査を進めていくべきだというふうに考えておりますが、これには、一つには、エビデンスに基づいて対応していかなきゃいけない、もう一つは、現場の事情がそれぞれ異なりますから、状況分かりませんから、そこはやはり現場の判断で、医師の判断でその範囲を判断してもらいながら広げていくということが大事だと思います。
ただ、基本的には、やはり二次感染を防ぐという観点から前広にPCR検査、これを戦略的に広げていくべきだという基本的な考え方は持っております。
○田村智子君 私の前の質問者との答弁と私すごくダブルスタンダードを感じるんですよ。夜の町、積極的に検査をしている結果ですという答弁でしたよね、あたかも政府がそういう方針持っているかのような。
国立感染研のホームページでも、濃厚接触者の定義の変更についてのQアンドAでこういうのがあるんですよ。一メートル以上の距離での会話や、十五分以内の会話では感染しないということでしょうかという問いに対して、感染しやすい状況については、徐々に分かってきましたが、感染しないことを保証する条件についてはよく分かっていませんと書かれているんですよね。
今状況違うのは、皆さん、経済回そうとされているんですよ。経済回すというときには、やっぱりこれ濃厚接触者だけに限っていたら駄目ですよ、政府として。この拡大、早急に行うべきだということを強く申し上げておきます。