国会会議録

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DV相談体制拡充を 田村智子氏 回線や支援員増


(写真)質問する田村智子議員=28日、参院内閣委

 日本共産党の田村智子議員は28日の参院内閣委員会で、新型コロナウイルス感染拡大の影響で増加するDV被害者支援の相談体制や予算の拡充を求めました。

 田村氏は、第1次補正予算に盛り込まれた「DV相談プラス」について、24時間体制で電話に加えSNSやメールでの相談も行う大切な取り組みだと指摘。相談が相次いでおり「2次補正では、回線数や支援員を増やしてほしい。同行支援につなげる際の感染防止対策の経費も積み重なる。質的・量的な拡充を」と求めました。

 橋本聖子男女共同参画担当相は、4月20日からの1カ月で電話2487件、SNS864回、メール1048件の相談があり「2次補正予算で相談体制拡充に約2・2兆円を盛り込んだ。人員や回線の増加を含めた体制強化と実施期間の延長を行う」と答えました。

 田村氏は、今年度本予算に盛り込まれた民間シェルターと連携して取り組む都道府県などへの財政支援について「予算の拡充も視野にいれ、手をあげた自治体は全て採択してほしい。1年ごとの助成では専門職の人材確保が困難だとの指摘もあり、恒常的な支援を」と要求。橋本担当相は「連携と持続性を持って寄り添う形でなければ根本解決はできない」と述べました。

 また田村氏は、女性が7割を占める非正規雇用の雇い止めが相次いでおり、女性の失業・困窮対策に切迫感を持って取り組むよう求めました。

2020年5月31日(日)しんぶん赤旗より

 

【2020年5月31日 参議院内閣委員会議事録より】

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 今日は、新型コロナ対策にジェンダーの視点をという立場から質問いたします。
 休業、外出自粛、また不安の増大によって、これは女性に対する暴力が増加してしまうということを国連の女性機関が早くから警鐘を鳴らし、国内でも様々な支援団体が危機感を持って対応をしています。橋本大臣も二十二日の記者会見で、全国の配偶者暴力相談支援センターに寄せられたDVに関する相談が前年同時期比で約三割増えたと公表されました。家族がみんな家にいるということで電話相談ができないという自粛の下での特有の困難もあって、私は実際にはもっとDV被害は増えているんじゃないのかと、支援団体からもそういう指摘があるわけです。
 一次補正予算では、DV相談プラスとして、二十四時間体制の電話相談に加えて、SNS相談、メール相談も実施をされました。若年層ではLINEなどでの会話が当たり前になっていて、電話相談はハードルが高いということも指摘されていましたので、私はこのネットで相談ができるという取組を大切な取組だと評価をしています。
 この相談体制、これまでの活用の状況について簡潔に御説明ください。

○政府参考人(池永肇恵君) ただいま御指摘いただきましたDV相談プラスの活用状況ということでございます。
 四月二十日から開始いたしまして、開始から一か月間で電話相談が二千四百八十七件、SNS相談が八百六十四件、メール相談が千四十八件寄せられており、DV相談支援へのニーズが高いものと認識しているところでございます。

○田村智子君 済みません。今、相談の体制についても御説明いただけますか、回線の数とか。

○政府参考人(池永肇恵君) スタート時に回線は二本でございました。あっ、回線ですか。DV相談プラスの回線、スタート時は二本でございましたが、はい、当初はそうです。その後、拡充という方向を考えておりますが、スタート時は二本でございます。

○田村智子君 大変つながらないという声も聞こえてくるわけですね。そうすると、やっぱり、これは国として初めて直接に相談内容をつかめるという事業でもあって、私、今後の施策に生かせることがたくさんあるというふうに思うんですね。
 二次補正では、元々の予算が八月まででしたでしょうか、それを年度内というふうに期間の延長のための予算は付いているというふうにお聞きしているんですけれども、回線数、支援員は是非これ増やすということで頑張っていただきたいと思いますし、ここから面談や同行支援につながるということが大切で、実際に同行支援も行われているというふうに聞いています。
 その際に、やっぱり感染防止のためのマスクであるとか、あるいは施設の消毒であるとか、こういった小さな経費も積み重なると、元々の予算が少ないと重くなっていきますので、そうした質的、量的な拡充が必要だと思いますが、これ、大臣の答弁をお願いいたします。

○国務大臣(橋本聖子君) 事務方からも今少しお話ありましたけれども、内閣府では四月の二十日から開始をしまして、この新たな相談窓口であるDV相談プラス、ちょっと数を言わせていただくんですけれども、開始から一か月間で電話相談が二千四百八十七件、そしてSNS相談が八百六十四件、メール相談が千四十八件寄せられておりまして、DV相談支援へのニーズの高いものというふうに認識をしております。
 新型コロナウイルスの問題については長期的な視点に立った対応が必要であることから、昨日閣議決定された第二次補正予算案において、DV等の深刻化に対応するための相談体制の強化、充実として約二・二億円を盛り込んでおります。DV相談プラスの人員や回線の増加も含めた対応体制の強化と拡充を、実施期間の延長を行う予定であります。
 先ほど委員が御指摘のように、電話ではなかなか家族が周りにいるということでできない、それをメールあるいはSNSで発信をしていただけるということでいたんですけれども、ただ、その背景に、それさえももう諦めてしまっているという方がどれほどいるんだろうかというふうに考えたときには、電話をしてくださる、あるいはSNS相談をしてくださるときに、そういう背景になるときにどういうようなお気持ちでいらっしゃったかですとか、そういうところからしっかりと状況を聞き取って、そして周りの方にも周知徹底をして、そういう困っている方に気付いたときには連絡をしていただきたいというようなことも含めて、今後、本当に困っている方、そして救える命、そういったものに寄り添う形で対応をすることができないのかということを今全力でやっていきたいというふうに考えているところです。

○田村智子君 ありがとうございます。
 それで、この間、今大臣が御指摘されたような、なかなか相談につながらない、実際の相談につながらない、こういうところで民間シェルターの取組というのが非常に注目もされていて、本予算の方でパイロット事業としてのお金で財政支援を行うというふうに今年度から初めてなったというふうに理解をしております。
 これ、だから、DV被害を受けていて自治体の婦人保護事業につながらない人いっぱいいて、民間シェルターのところでは、まずはその居場所がない女性にどうやって安心できる居場所を提供するのか、孤独や生きづらさを抱えている女性、公的支援につながりにくい女性、こういうところに目配りした取組が柔軟に行われていると思うんですね。その中で、居場所ということで来た子がいろいろ話をする中で、暴力や性的搾取の被害を未然に防ぐとか、あるいはそこから救済するとか、そういう活動にもつながっていると。幾つかの取組を私も見ながら、とても大切な取組で、まして今の非常時のときに一層その役割が求められているというふうに思うんですね。
 このパイロット事業、国の財政措置というのはどんなふうに行われているのか、また現在、これから始まるというふうに聞いていますので、どこまで手挙げがあるのか、御説明いただけますか。

○政府参考人(池永肇恵君) 委員御指摘のとおり、民間シェルターは、DVを始めとする多様な困難に直面している女性に対して、より柔軟でニーズに沿った支援を提供していただいているところでございますが、公的な支援が乏しい中で存続が困難な状況にある場合があるというふうに認識しております。
 こうしたことを踏まえまして、内閣府では、今年度予算において、民間シェルター等における被害者支援の取組の促進を図るため、二・五億円を計上いたしまして、新規にパイロット事業を実施することとしています。
 具体的には、民間シェルター等と連携して先進的な取組を進める都道府県等に対して、そういう民間シェルターと自治体がしっかり連携する形で、そういう都道府県等に対しまして十分の十の交付割合で交付金を交付することとしております。
 それで、先進的な取組と申し上げたときに、例えばどういったことが想定されるかというと、心理専門職によるメンタル面のケア、やはり非常にそのメンタル面でのケアというのが重要だということからメンタル面のケアですとか、退所後の自立に向けたプログラムの実施といったことも想定しております。
 このように被害者のニーズに応じた支援を実施していただくとともに、その事例調査を通じて、ノウハウの蓄積や効果検証、課題の把握等も行っているところでございます。
 現在、どのくらいということなんでございますが、これは今まだいろいろ調整しているところでございますけれども、国の半分以上の自治体ぐらいから大分手を挙げていただいているところでございます。

○田村智子君 私も事前に聞きましたら、二十五ぐらいの都道府県と政令市が手を挙げているということで、是非、ここから選ぶというよりも、もう二十五全部やってほしいなというふうに思うんですね。積極的に取り組もうという、それだけニーズが高いということですから。ただ、全部採択したら一か所当たりが薄まるのもよくないので、これはまたそういうことのないような予算の拡充ももはや視野に入れて是非取組をしてほしいというふうに思います。
 同時に、パイロット事業でどうしても単年度でお金を付けなきゃいけないという事情があるのは分かることは分かるんですけれども、やっぱりこのパイロット事業につながったDV等の被害者のための民間シェルター等に対する支援の在り方に関する検討会による報告書、ここではやっぱり一年ごとの助成金では専門職の人材確保が困難だということが指摘をされているわけですから、パイロット事業であっても少し先を見越してお金が付くという見込み、それからやっぱりこれが恒常的な支援につながるような方向性、これは早くに示していくことが私は必要だというふうに思っています。
 是非、手を挙げたところ全部採択も含めて、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(橋本聖子君) このパイロット事業に関する交付金についてですけれども、先ほど二十五の地方自治体というふうなお話いただきました。こういったことをしっかりと支援していくことは重要でありますし、この交付金については地域の実情に応じて多くの自治体で創意工夫が行われていくことも重要だというふうに考えておりますので、そういったことも留意しながら、客観的な審査に基づいて交付を決定していきたいというふうに思っております。
 そして、やはり連携と、そして持続性を持ってしっかりと寄り添う形でやっていかなければこういった問題は根本的に解決をすることができないというふうに認識をしておりますので、御指摘いただいたとおりしっかりとやっていきたいというふうに考えております。

○田村智子君 もう一点、女性の問題では、失業、困窮への対応、これが切迫して求められていると思います。
 五月二十六日の毎日新聞夕刊で、非正規雇用の女性労働者が二〇二〇年三月は前年同月よりも二十九万人減少、特に子育て世代でもある三十五から四十四歳で二十五万人減少していると報じられました。
 新型コロナの影響、休校の影響などで雇い止め、派遣切りが大規模に始まっているということを痛感します。非正規雇用は約七割が女性で、三か月単位の契約が多いので、この五月末、また大量の雇い止めが出てくるんじゃないのかと私は危惧をしています。シングルマザーの支援団体などからは、仕事がなくなる、あるいは減らされると、たちまち水光熱費や家賃の支払にも窮するという深刻な実態もこの間相次いで報告がされています。
 是非、男女共同参画局が省庁横断で女性の困窮や失業の問題に取り組むこと求められていると思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(橋本聖子君) 新型コロナウイルス感染拡大の影響によりまして、平時の固定的な性別役割分担意識、これが反映をしまして、増大する家事、そして子育て、介護などの負担が女性に集中することや、生活不安、ストレスからのDV等の増加、深刻化などが懸念されております。
 御指摘の非正規雇用労働者に占める女性の割合が相対的に高いことや、特に大きな打撃を受けている飲食、そして観光やサービス分野では、雇用者に占める女性の割合が高いこと等により、女性がより深刻な雇用の危機にさらされていることも大変懸念をされております。
 新型コロナウイルス感染対策を講じるに当たりましては、女性に与える影響を十分に配慮することが重要ですので、新型コロナウイルス感染症対策の基本的処方方針にもしっかりと明記をさせていただきました。
 先月、あっ、三月ですね、二十八日、三月の二十八日ですけれども、この二十四回の対策本部におきまして、各種対策の実施に当たっては、負担が女性に偏って生じたり女性が更に困難な状況に置かれたりすることのないように、施策が女性に与える影響を十分に配慮していくよう実施していただくようにということで、私からも各省庁に対してお願いをしました。
 引き続きしっかりと連携を取って必要な対応をしていきたいというふうに思います。

○田村智子君 西村大臣にもちょっと一問、この問題でお聞きしたいんです。
 五月十五日の経済財政諮問会議で、民間議員が経済危機への提言として提出した資料には、失業への万全の対応を進めるため、公的部門による臨時、別枠での雇用等を推進とありまして、私は、この提案は珍しく私の思いと一致をいたしました。経済財政諮問会議の資料がなかなか思いに一致することはめったにないんですけれども、国民の要求ともストレートにかみ合っているというふうに思うんですよ。ある意味、失業対策事業が必要だと思います。いかがですか。

○国務大臣(西村康稔君) 経済を、感染防止拡大のために経済を抑制してきた中で、非常に厳しい状況に中小企業の方が置かれ、また、その中で様々な形で雇い止めがなされていることを本当に残念に思いますし、何とか雇用を守っていきたいという思いであります。
 その上で申し上げれば、様々な対策講じてきているところでありますけれども、御指摘の諮問会議においてそのような御指摘、民間議員から文書がなされた、提言がなされております。
 実は、このコロナ対策のために、コールセンターや相談窓口など大変逼迫しておりますので、そうした関係で、そうした支援事務の中で、民間を通じてではありますけれども、一定の雇用を募集をして一定の雇用を行ってきているところであります。
 国として、公的部門として、自治体は様々取組が行われておりますけれども、国として何ができるかはまた考えていきたいと思いますが、実は民間企業の中でも、休業中の居酒屋の従業員の方がスーパーに出向する形で行かれたり、様々な工夫が行われております。
 こういったときに、雇用調整助成金で一定の研修を受けて、そういう支援をしておりますので、そして出向という形で雇用を維持していく枠組みも行われておりますので、特に今、スーパーとか、あるいはIT関係、あるいは物流関係、大変人が逼迫している状況のところもありますので、まずは雇用を維持してもらう、それから、維持できないときに民間企業でのそういうマッチングを我々として支援をしていく、そしてまた最終的に、自治体が取り組んでいる、政府としても更に何ができるか、こういったことは考えていきたいというふうに思っています。

○田村智子君 公的部門、相談窓口も、様々な給付金の手続も遅れに遅れまくっていますので、人手不足は明らかだと思います。もう公的部門でどうやるかということが国の姿勢として問われていると思いますので、是非積極的な取組をお願いしたいと思います。
 

 

 


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