国会会議録

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銀行支店の維持主張 田村氏 経営統合・合併に反対

(写真)質問する田村智子議員=19日、参院内閣委

 地域で取引銀行が1行となる経営統合・合併などを独占禁止法の特例として容認する独禁法特例法案が19日の参院内閣委員会で自民、公明等の賛成で可決されました。日本共産党は反対しました。

 日本共産党の田村智子議員は質疑で、取引銀行が一つとなることで、中小業者や住民の選択肢が事実上奪われ、サービス水準の低下や不利益を被る懸念を指摘。基盤的サービスとして支店の維持を求めるよう主張しました。

 田村氏は、異常な低金利政策という根本原因を放置したまま、地域の銀行の経営統合・合併を進めても構造的な課題の解決にはならないとして「地域の経済をどう支えていくかの議論こそ必要だ」と強調しました。

2020年5月21日(木)しんぶん赤旗より

 

【2020年5月19日 参議院内閣委員会議事録】

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 法案の質問の前に、検察庁法改正を含む国家公務員法一部改正の法案の採決が見送られるということになったことに、本当に市民の皆さんの世論の力というのを実感をしています。ただ、一旦引っ込めて、世論が鎮静化するのを待って、またそのまま出してくるというんじゃ何の問題の解決にもならないわけですね。
 検察官の役職の定年特例延長、これはやっぱり削除するしかないと思いますし、大体、検察庁法はちゃんと法務委員会で、自衛隊に関わる定年の問題も丸め込まれちゃっているんですけれども、これだって全然別の定年制度ですから、それは外交防衛委員会でと、そして、国家公務員全般の定年の問題についてちゃんと内閣委員会で質疑ができるようにしなければならないわけで、束ねを解くことも含めて、これ抜本的なやり方を変えていただかなければ駄目だということを政府と与党に強く求めておきたいというふうに思います。
 法案の質問に入ります。
 本法案は、人口減少等の下でも地域銀行と乗り合いバス事業の基盤的サービスを維持するためとして、その地域で競争他社がなくなる合併や共同経営を独占禁止法の特例として認めるというものです。
 乗り合いバス事業については、公共交通を維持する上でやむを得ないところがあるというふうに理解をしていますけれども、これ、法案の附則では特例措置は十年以内に廃止、一方で、共同経営は例えば二十年という長期間の設定も可能となります。事業者にとってはやはり長期的な展望が必要ですから、十年を超える計画を持つということは大いに想定されると思うんですね。
 では、十年後に特例が廃止されると、この共同経営は独禁法違反ということになってしまうんでしょうか。

○副大臣(宮下一郎君) この法案は、独占禁止法という公正な競争を担保する重要な法律に例外を設けるということから、他の立法例を踏まえまして、附則に十年以内に本法を廃止するものとする旨を規定することとしております。
 この法案は十年経過後に自動的に廃案となるものではありませんで、別途、本法案を廃止するための法律を制定する必要がございます。本法案を廃止する際には、共同経営の取扱いも含めて、その際の基盤的サービスの維持の状況等を踏まえて国会において再度御審議いただくことを想定しております。
 このため、将来において国会で御審議いただくという状況である以上、現時点でその廃止時の具体的な取扱いについて申し上げることは難しいわけですが、この特例法の廃止後も認可を受けた計画の実施期間内は有効に共同経営を行うことができることとする経過措置を設けるなど、地域における公共交通の維持に支障を来さないように配慮する必要があると考えているところでございます。

○田村智子君 これ、事業者にとって、十年後のことはその頃に検討しますとか、じゃ経過措置が終わったらどうなるのかとか、そういうことが不透明なままですと、これ、はしごを外されることがあるんじゃないのかという不安が残ってしまうわけですよね。
 そう考えると、私は今回の法案というのは何か非常に対症療法的な法案に思えてならないんですね。やっぱり、バス事業を地域に不可欠の公共交通としてどう位置付けて、どうやって構築していくのかという何か大きなところが見えてこないわけなんですよ。私、やっぱりこれまでの政策の見直しも含めて、ちゃんと土台からいろんな議論していくこと必要だと思うんですね。
 その一つとして、二〇〇二年、運送事業を免許制から許可制に変更し、かつ需給調整の規定も削除をした。この規制緩和ありきの道路運送法改定が、バスも黒字路線の運賃競争を生じさせて地域のバス事業者の収益を悪化させているのではないのかと、こういうところの検証や反省、是正、必要ではないのかと思いますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(福田守雄君) 二〇〇二年の道路運送法改正におきまして、乗り合いバスに係る需給調整規制の廃止が行われ、免許制から許可制とされております。免許制から許可制とすることにより、新たな事業者による運送サービスが期待され、利用者の選択肢が増えるとともに、事業者の創意工夫が図られる可能性があるなど、利用者利便の向上が図られるという点において成果を上げていると認識しております。
 バス事業につきましては、人口減少や高齢化が進む中で、特に地方におきまして競争と路線の維持を両立することが困難となる地域が増えてきておりまして、そのような地域においては今般の特例法案等によりまして路線の維持を図ることとしております。
 新規参入を制限しないという許可制のメリットを生かしつつ、競争ではなく共同経営によりまして、競争のみでは収益が悪化してしまう状態を是正することが利用者の利便に最もかなう方法であると考えております。

○田村智子君 これ、二〇一八年二月に、岡山市のバス路線をめぐって、八晃運輸による黒字路線への新規参入が国によって認可されました、あっ、許可されましたね。この基盤路線の収益によって他の赤字路線を維持していた両備グループ、ここは、これでは経営が成り立たないんだとして、赤字路線の廃止計画を提出するという衝撃的な抗議を行ったんですね。その後、廃止計画は撤回されましたが、この両備グループの小嶋代表は次のように意見を表明しているんです。
 一部の黒字路線だけを狙った低運賃の路線が認可されるならば、全国各地で多くの交通網の維持が困難になる過当競争が始まる懸念があります。規制緩和後の法律は、一言で言って、競争自由で潰れる会社は潰れなさい、もうからない路線はやめなさいというアメリカ的な激しい競争を前提にしています。こういう指摘です。さらに、小嶋代表は、このバスの業界の八割が赤字であること、黒字会社も路線ごとに見ればほとんどは赤字路線であるということも指摘をして、規制緩和について、地域公共交通を滅亡させるような法律だと厳しく批判をしているわけです。
 黒字路線があるから赤字路線を支えていられるんだということなんですよね。その黒字路線への新規参入を許して競争を起こしちゃったら、赤字路線丸ごと潰れていくしかないじゃないかという、非常に私、理のある抗議だというふうに思いますね。
 現行の道路運送法は、現行でも、いわゆる生活路線の保持を目的とするものについては共同経営を独占禁止法の適用除外としています。だから、赤字路線どう維持していくかというのは、現行路線でも共同経営でできるんですよ。今回の法律というのは、法案というのは、黒字路線があることが前提なんです。そこで共同経営は行ってもいいよと。そうすると、一方で、黒字路線に需給調整も行わず競争してください、新規参入認めますよと、これを勧める、一方で、路線維持のためには共同経営ですよという特例を設ける。余りに矛盾した政策だと思うんですが、いかがですか。

○大臣政務官(佐々木紀君) お答え申し上げたいと思います。
 乗り合いバスについては、今ほど政府参考人から答弁があったように、二〇〇二年、平成十四年に、いわゆる需給調整規制が廃止されて、サービス内容については原則として交通事業者の経営判断により決められているということでございまして、このおかげで、運賃の低下や運行便数の増加など、様々な面で利用者にとっての利便性の向上が図られてきたということでございまして、競争によって利便性の向上を図っていくという、そういう基本的な考えについては変更はございません。
 一方で、その後の人口減少の本格化に伴う需要の縮小や運転者の不足の深刻化により、特に地方部では採算性の安定的な確保が難しくなってきております。
 そこで、このようなことに対応するために、今回の独占法、独禁法の特例法案について、地方都市における乗り合いバス事業については、競争を基本としつつ、連携を認めることで利用者の利便性向上とサービスの維持を図ることとしておりますので、これまでの政策を維持していくものということでございます。

○田村智子君 私が指摘した矛盾に対する答えになっていないと思いますよ。赤字路線だけで運営しているんじゃないんですよ、地方だって、地方都市だって。黒字の基幹道路のところの運営をやっているから赤字路線ができるんですよ。その黒字のところはどうぞ新規参入してくださいと競争させて、低運賃となったら共倒れだって起きかねないという問題の解決に何にもならないんですよね、今のままじゃ。これ、需給調整の問題というのは、やっぱりいま一度現状を見て、私は見直しを是非強く求めるものです。
 次に、銀行の合併等の認可についてお聞きします。
 合併等を行う場合、事業者は基盤的サービス維持計画を主務大臣に提出し、主務大臣はこの計画に対して、利用者に対して不当な不利益を生ずるおそれがあると認めるときは、防止のための方策を求めることができるとされています。つまりは、その地域の市民や事業者はもう銀行を選ぶことができないので、銀行がサービスを低下させたり不利益を押し付けることがないように、言わば不利益防止策の提出が義務付けられて、この計画に違反すると大臣が適合命令を出せるということです。また、事業者の側は、計画の実施状況を定期的に報告する義務も生じることになります。しかし、その期間は五年を超えないものとされています。特例法の廃止までの期間は最長十年。なぜサービス維持計画の実施期間は最長五年なんでしょうか。

○政府参考人(堀本善雄君) お答えいたします。
 今回の法律案は、地方銀行についてなんですけれども、一方で、合併等に、競争が減っても合併等による事業の改善に応じて基盤的サービスを維持すると、そういったような基盤的サービス維持計画を前提に特例的に合併を認めるものでございます。
 このサービスの維持に関してでございますが、合併後五年経過した後ということになりますと、まず、競争環境が新たな金融技術等の進歩によって大きく変化する可能性があるということ、あるいは、事業の改善についても、金融市場等も含めて経営を取り巻く環境が大きく変化する可能性があるということでございまして、特に金融等について、五年を超えてサービス維持に関する信頼に足る計画を策定することが困難であると考えられます。このため、本特例法では、基盤的サービス維持計画に五年を超えない実施期間を設けることとしております。
 他方、特例法自体の十年の期限については、これは、地方銀行が人口減少の下、持続的なビジネスモデルを確立する中で、一つの選択肢として合併等を行う際に本特例法を活用することができる期間でございまして、それについては独占禁止法という公正な競争を担保する重要な法律に例外を設けるというものであることから規定されているものでございます。

○田村智子君 そうすると、最長五年ということですから、もっと短いという場合もあり得るわけで、果たしてこれで銀行の利用者に不利益が生じないと言えるのかは極めて疑問だと言わざるを得ません。
 銀行利用者にとって直接的に不利益となるのが、自分に身近な支店がなくなるということですね。合併による経理合理化の方法として、窓口業務の人材を他の部署に回せると金融庁も説明をしています。支店の維持ということは、基盤的サービス維持計画の中に入るのでしょうか。また、金融庁がこれまで支店の閉鎖について是正措置を講じた事例があるでしょうか。併せてお答えください。

○政府参考人(堀本善雄君) お答え申し上げます。
 基盤的サービス維持計画における事業の改善に応じたサービスの維持についてでございますけれども、合併等により生じる事業の改善の状況、あるいは地域の実情やニーズに応じて異なりますので一概に申し上げることは困難でありますけれども、一定の店舗網の維持ということが含まれ得ると考えております。

○政府参考人(石田晋也君) お答え申し上げます。
 過去十年間における銀行法第二十六条に基づく行政処分について申し上げますと、営業店舗の閉鎖について処分の対象とした事例はないものと承知しております。
 一般論といたしまして、民間金融機関の店舗の設置、廃止等につきまして、各地域金融機関におきまして、地域経済への貢献を含む自らの経営理念に照らした店舗の位置付け等のほか、利用者利便の観点にも十分配慮しつつ検討することが重要であると考えているところでございます。
 金融庁といたしましても、監督を通じまして金融機関における金融仲介機能の発揮を引き続き促していきたいと思っております。
 以上です。

○田村智子君 二〇一八年、鳥取県日南町では、鳥取銀行がATMだけを残して二〇一九年一月に町内唯一の支店を閉鎖することが発表されました。町長が抗議し、町議会も、窓口は振り込め詐欺防止の役割もあり、高齢者が安心して預金するには対面での対応が必要、身近な地方銀行として社会的責任を果たしてほしいと、移転の見直しと窓口業務の継続を求める決議を全会一致で可決するなど、大きな問題となりました。
 これ、振り込め詐欺の被害を銀行の窓口の職員の声掛けで未然に防ぐこと、これ重要視されています。それだけでなく、例えば認知症の始まった高齢者が、これはうちの親もそうだったんですけれども、暗証番号を忘れてしまってATMはもう使えなくなって、窓口でしか生活のお金を下ろせないという状況になったりするわけですよ。そうすると、窓口で相談できるというこの支店、大変重要な役割を果たすというふうに思いますが、大臣、いかがですか。

○国務大臣(西村康稔君) まず、技術の進展でいろいろオンライン決済など、こういうのが進んできておりますし、また、感染症対策で、まさに対面でやるよりかはオンラインでやった方がいいと、この重要性も認識はされているところであります。
 しかしながら、御指摘のようにですね、委員御指摘のように、高齢者を含めて、やはり窓口で取引を行いたい、あるいは窓口でしかできないという方もおられると思います。そういったニーズも十分理解をできます。経営統合事案で、この支店の統廃合に関する不安の声も多く聞かれるところであります。
 本特例法は、御指摘の店舗網も含めて将来にわたって顧客へのサービスを維持していくために、効率化を含めたビジネスモデルの転換を図っていくための選択肢としても必要なものというふうに今回考えております。
 その上で、地方銀行においては、金融庁による銀行法に基づく日常的な監督の対象となっておりますので、基盤的サービス維持計画の実施期間の終了後も、合併をする両事業者が提供するサービスの実態を把握し、必要に応じて両事業者との対話を実施すること等を通じて、地域において地域銀行が、いわゆる地域の金融機関、住民の基本的なサービスを提供する、そうした機能を発揮するようにしっかりと監督をしていきたいというふうに考えております。

○田村智子君 これ、人口減少に対する特例と言われているんですから、人口減少の地域で問題になっているのは高齢化ですから、併せて。そのときにオンライン云々を言うのはちょっと筋違いですよ、大臣ね。一般的な話じゃないんですから。これ、是非支店の維持というのを強く求めるものです。
 そもそも地方銀行の収益が悪化しているのはなぜなのかと。金融庁が昨年八月に公表した利用者を中心とした新時代の金融サービスでは、「地域金融機関を取り巻く環境は、低金利環境の継続や人口減少、高齢化の進展等により年々厳しさを増している。」とあるわけですね。まず低金利を挙げているんですよ。
 アベノミクスによる異次元の金融緩和、マイナス金利政策まで進めた、これが長期にわたって地方銀行の経営悪化をもたらしているんじゃないかというふうに思いますが、どうでしょうか。

○国務大臣(西村康稔君) 日本経済を長い間、長期にわたったデフレから脱却させるために、この安倍政権においても、経済再生そして地方創生について様々な施策を講じてきたところであります。もう多くは繰り返しませんけれども、それぞれの県において有効求人倍率が一を超えたり、雇用環境は非常に良くなってきております。人手不足の面も出てきているわけでありますが。それから、国、地方合わせて税収が約二十四兆円、これ実績ベース、決算ベースで増える中で、地方も七兆円の税収が増えております。こういった面で地域経済の活性化にも寄与してきているものというふうに思います。
 その上で、地域銀行は、御指摘のように、人口減少等の構造的な変化に直面をして、顧客向けサービス利益で約半数が赤字になるなど、厳しい経営環境にありました。こうした構造問題に対応して、従来のビジネスから持続可能な新しいビジネスモデルへ転換を模索している中にあるというふうに認識をしておりますけれども、このことをいわゆるマイナス金利が背中を押している面もあるというふうに理解をしております。
 いずれにしても、この構造変化に対応して新しいビジネスモデルをつくっていかなきゃいけない状況にあるわけでありまして、地域銀行においては、この法案を、活用も選択肢として考えていただいて、まさに持続可能な、地域において住民に基盤的なサービスをしっかり提供していただく、その新しいビジネスモデルの確立に向けた取組を進めていただいて、将来にわたって是非そうしたサービスを提供していただきたいというふうに考えております。

○田村智子君 これもやっぱり対症療法的だというふうに私には思えてならないんですよ。そのマイナス金利の問題もそのままにすると。内需が冷え込んでいて、そもそも地域経済が冷え込んでいる。これどうするかという問題についても、ないんですよ。これまでは、インバウンドだ、輸出で地域も稼げ。これ、今、新型コロナの問題で頓挫しちゃっている状態ですからね。
 やっぱり、地域の経済どう支えているか、いくかという議論がいよいよ求められているわけで、西村大臣には是非、法案審議では委員会に出席するけれども、このコロナの下でそういうのどうするのかという一般質疑には何か出席しないと前回の理事会で整理したんですけどね、与党さんにもお願いしたいんですけど、そうじゃなくて、コロナに余り直接関係のない法案はおいておいて、もっとこの危機のときに経済どうするのかという議論ができるような委員会運営、是非やっていただきたいというふうに思います。
 その点で、緊急の経済問題として雇用調整助成金について改善を求めたいんですね。我が党は、イギリスの給与のその補償、所得の補償の制度も示して、イギリスは月三十三万、こういうことも予算委員会などで示して、雇用調整助成金の上限の引上げというのを求めてきました。ようやく一万五千円への引上げということが示されましたので、これ一日も早く実施してほしいんです。
 で、助成率の方です。中小企業十分の九、うち休業などの要請を受けた業種は十分の十までに引き上げられて、ここに飲食業なども含まれています。ところが、宿泊や観光施設、貸切りバスなどの旅行業、観光業はこの対象外となっているんですね。
 国交省の調査でも、中小の旅行会社は、三月、四月とも予約件数は前年度比で七割以上減少です。宿泊業の九割が五割以上の減少です。帝国データバンクの調査では、新型コロナの影響があったと答えた割合の一番高かったのが旅館、ホテル業、八九・三%。なぜここが十分の十の対象外なんですか。

○政府参考人(達谷窟庸野君) お答え申し上げます。
 雇用調整助成金につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、助成率を最大十分の九に引き上げるなど特例措置を講じてまいりましたが、これに加えまして、都道府県知事による休業等の要請を受けた中小企業が、解雇等を行わず雇用を維持した場合であって、一〇〇%の休業手当を支払っているなど一定の要件を満たす場合につきましては、休業手当全体の助成率を特例的に十分の十としたところでございます。
 こうした特例を講じることといたしましたのは、都道府県知事による休業等の要請を受けて事業を休止した中小企業について、休業手当の支払義務の有無にかかわらず当該企業が休業手当を支払い、雇用を維持しようとすることを特別に支援するためのものでございます。
 なお、休業等要請の対象となる施設につきましては、各都道府県知事、あっ、各都道府県の指定によるものとされてございますが、ホテルまた旅館につきましては、集会の用に供する部分については休業要請を行っている例があると承知してございます。これに協力して当該部分の休業を行っているホテル等につきましては助成率が十分の十の対象になるところでございます。

○田村智子君 ごめんなさい、ホテルでも十分の十になっているところがあるということなんですか。

○政府参考人(達谷窟庸野君) お答え申し上げます。
 各都道府県の休業要請、ホテルの集会の用に供する部分について休業要請を行われている場合は、そのホテル、例えばそれに応じたホテルについてはそのホテル自体が十分の十の対象になるということでございます。

○田村智子君 多くは、もう旅行は、直接の休業要請じゃないんですよね、ホテルも。そうじゃないんですよ。だけど、自粛を呼びかけて、例えば赤羽国交大臣は、ゴールデンウイークの前には、旅行を控えてくださいと、国土交通省としてモニタリングをしていくと、予約が増えないようにと、こういうことまで発表して、使わないでねとやったわけですよ。これ、事実上のもう休業要請に等しいものだと思いますね。
 特に、地域の産業にとって柱ともなっているやっぱりこういう観光バスとか、それから旅行、ホテル、こういうところは十分の十の対象にすべきだと思いますが、西村大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(西村康稔君) 観光、宿泊事業者の関係の皆さんには、この間、大変厳しい思いをしておられます。何としても事業を継続していけるように全力で応援をしていきたいという思いでございます。
 そうした中で、今もお話がございましたけれども、一定の場合には宿泊施設も十分の十まで支援をすると、雇用調整助成金でですね。さらには、休業要請の対象でない場合であっても、解雇を行わず雇用を維持する中小企業については、労基法の六割を超えて休業手当をお支払いいただく場合、その超過部分については助成率を一〇〇%としているところであります。
 その上で、雇調金につきましては、与野党を超えて様々な御提案いただく中で、上限を一万五千円程度まで引き上げるということで具体な検討を今急いでいるところであります。
 また、宿泊業に対する地方独自の取組として、例えば三重県では、宿泊予約延期協力金という形で、ゴールデンウイーク中のキャンセルに対して一泊一人当たり六千円、こうした交付をすることとしております。この協力金には地方創生の臨時交付金を充てることを検討しているというふうに承知をしております。
 このように、国の目が行き届かないところ、国がカバーできていないところを、それぞれの地域の事情に応じて、地方創生臨時交付金なども活用していただきながら、是非事業の継続に向けて全力で応援をしていきたいというふうにも考えております。
○田村智子君 その地方臨時交付金も既に足りないということですし、同じような状況が全国で起きているんですから、それを地方任せにするというのはちょっと違うというように思いますので、十分の十、すぐに観光業についてもやっていただきたいというように思います。
 最後、学生について一問だけお聞きしたいんですけれども、これ、授業料を本当に減額をしなければ、一つは、新入生に何の手だても行かなくなっちゃうんですね。与党案で、政府案として示されたものは、アルバイトなどの収入が減った、そういう学生については給付金を出しますよというんですけど、そうすると、一番お金の持ち出しをしている新入生はそのことの証明のしようがありません。だから、授業料についての減額ということがどうしても求められるんだ、ここは強調しておきます。
 それで、今、与党がやると、与党と政府でやると言っているこの給付金も、説明の資料を見せていただくと、物すごく要件が細かいんですね。そうすると、要件が幾つも幾つも細かく示されるとどうなるかというと、対象が狭くなるというだけじゃなくて、その要件に合わせた手続の煩雑さというのが生まれるんですよ。
 これもう、雇調金でもその他の給付金の問題でもさんざん、申請が問題だとか、それから審査が問題だとかということが起きてきたわけですから、これ、シンプルに、生活に困窮している学生には給付金を出しますよと、窓口は大学ですよと、実情をお話しいただいて、何か示すもの一つ二つあればそれで申請できますよという簡易なものにしなければ、使うときにまた同じ批判が起こるというふうに思うんですけど、いかがでしょうか。

○政府参考人(森晃憲君) 今般創設をいたしました学生支援緊急給付金につきましては、これは現在の大学生等の現状に鑑みれば、一日も早く支援が行き届くようにすることが大切だと考えております。このため、スピード重視の観点から、対象となる学生等については、各大学等において学生等の申請を受け付け、学生等の実情に沿って総合的に判断していただいた上で、学生支援機構を活用した個人給付の仕組みとすることとしてございます。
 文部科学省といたしましては、国として対象となる学生等の一定の要件は示すものの、最終的には一番身近で学生等を見ていた大学等において学生の実情に沿って総合的に判断していただく、そういうようなことで考えております。

○田村智子君 これ、同じこと繰り返さないでほしいんです、本当に。一度制度をスタートさせると、その申請の問題点とか審査の問題点とか、で、それを改善すると、もうその改善の中身がまた決定されるのに時間が掛かったりとか、こんなことを繰り返しているわけですから、シンプルな制度ですぐに必要なところに給付金が届くよう、学生の制度も是非検討をお願いして、質問を終わります。


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