自民、公明などの与党は8日、衆院内閣委員会で、検察人事に内閣が露骨に介入する仕組みが盛り込まれた検察庁法改定案を含む国家公務員法等改定案の審議入りを強行しました。野党議員は、与野党の合意がないままの委員会開催と検察庁法改定案の審議入り強行に抗議し委員会を欠席しました。
(写真)記者会見する(左から)大島敦、塩川鉄也、今井雅人の各衆院議員=8日、国会内
野党側はこれまで、検察庁法の改定は憲法の要請に基づく三権分立にかかわる問題だとして、国家公務員法改定案と検察庁法改定案の切り離しを要求。検察庁法を所管する森雅子法相の出席を求めてきました。
ところが、与党側はこれらを拒否。与野党の合意がないままに委員長職権で委員会を開催し、改定案の審議入りを強行しました。
野党の内閣委員は同日、そろって記者会見し、日本共産党の塩川鉄也議員と、立憲民主党、国民民主党などの共同会派の大島敦(国民民主党)、今井雅人(無所属)両議員が抗議を表明しました。
塩川氏は、同改定案が昨年段階ではなかった検察官の勤務延長を突如盛り込んだ点について、この改定の出発点は、官邸に近いとされる黒川弘務東京高検検事長の勤務延長の閣議決定にあると指摘。「憲法の基本原則である三権分立と司法権の独立を脅かし、官邸の意のままになる検察人事を行い、その勤務延長にあわせようとするのが今回の法改定だ」と批判しました。
その上で、「審議を強行するのは、道理のない法改定についてまともに説明することができないことを認めたのと同然だ」と強調。「新型コロナ感染症対策に全力を挙げるべきときに、火事場泥棒的に悪法を強行する安倍政権の姿勢が厳しく問われる」と抗議しました。
大島氏は、森法相の出席が不可欠な法務委員会との連合審査を与党が拒否していることについて「そういう姿勢では審議できない」と批判。今井氏は「協議が調わないなかで理事懇を開き、委員会を職権でやるのは非常に問題だ」と強調しました。
国民の声切り捨て 国会運営を批判
田村政策委員長
日本共産党の田村智子政策委員長は8日の記者会見で、検察庁法の審議入り強行について「強く抗議したい」と表明しました。
田村氏は、「日弁連の会長を経験された方や弁護士の皆さんが連名で検察庁法の改定に反対し、徹底審議と廃案を求める弁護士の声を広げようと声明を発表され、1500人超が賛同しています」と紹介。「この声を切り捨てる国会運営を許すことができません」と批判しました。
2020年5月9日(土)しんぶん赤旗より