日本共産党の田村智子議員は13日の参院内閣委員会で、新型インフルエンザ特措法改定案について、同法に基づき「政府対策本部」が設置されることで緊急事態宣言前でも首相に強力な権限が与えられ、専門家の意見聴取の規定もないなど法の不備を追及しました。田村氏は同改定案に反対を表明しました。
特措法で緊急事態措置をとるには政府対策本部を設置する必要があります。設置要件は感染まん延の恐れが高いと認める時とされ、基準があいまいです。
田村氏は、政府対策本部が設置されれば指定行政機関、都道府県知事、指定公共機関に対する「総合調整」を政府が行えるようになると指摘。「条文上は緊急事態宣言の前に本部長の総理に相当な権限の集中が可能になり、措置の範囲に歯止めもない」と追及しました。
西村康稔担当相は、対策本部設置に専門家の意見聴取の規定がないと認め、総合調整は「関係機関の間で調整が必要になった場合の規定」と述べました。
田村氏は「緊急事態宣言など法律の肝となる所で専門家の意見をふまえる規定がない。科学的根拠が不可欠な法案で、その担保がないのは法の不備だ」とただしました。さらに、権利制限による不利益の救済制度の検討が全くされていない等の意見が参考人質疑であったと紹介。「法改正というなら不備を改正すべきだ」と訴えました。
西村氏は「(不備の改正は)収束した段階で議論したい」などと釈明。田村氏は「特措法は現場に応える法律じゃない。国がやるべきは、一定期間仕事を休んでも国民が安心できる対応策を示すこと、予算措置をとることだ」と訴えました。
改定案は同日の委員会で採決され、日本共産党以外の賛成多数で可決されました。
2020年3月14日(土)しんぶん赤旗より
【2020年3月13日 参議院内閣委員会議事録】
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
この新型インフルエンザ特措法の改正法案は、十日に国会に提出され、十一日に衆議院内閣委員会で三時間の質疑、そして、参議院でも参考人質疑を含めて四時間二十分の審議で、本日十三日に本会議に緊急上程をして成立をさせようとしているわけですね。このような拙速な審議で国民への権利制限をもたらす法案を成立させるということには我が党は反対であるということをまず申し上げます。
なぜこんなに急ぐんでしょうか。政府は、本法案の成立後速やかに、現在の新型コロナウイルス感染症対策本部を特措法十五条に基づく政府対策本部の設置へと置き換えるということになるんでしょうか。
○国務大臣(西村康稔君) 専門家会議の皆さんの御意見で、現在何とか持ちこたえていると、しかし警戒の手を緩めてはならないと、まさに感染が拡大していくのかあるいは終息していくのかのそのまさに正念場にあるというふうに理解をいたしております。
そのために、我々、もちろん日々全力を挙げてこの感染防止をし、終息していくように努力をしているところでありますけれども、万が一感染拡大していったときに国民の命を、生命を守らなきゃいけない、そういう場面で様々な措置ができるようにということで、今回、法律改正でこのことをお願いしたわけでございますが、もちろん、基本的人権の尊重という規定もございますし、必要最小限のものとしなきゃいけないという規定もよく理解した上で進めているところでございます。
そして、この改正法が成立した後、もし、成立させていただいた後のことですけれども、この規定に基づいて、厚生労働大臣がまさに蔓延のおそれが高いと認めるときに総理に報告を行い、そして政府対策本部が立ち上げられることになります。この蔓延のおそれが高いと認めるときでありますけれども、このことについては、厚生労働大臣において専門家の意見も聴き、適切に判断をされるものというふうに理解をしております。
○田村智子君 これ、法律は確かに、まず第十四条に規定する厚生労働大臣からの報告がなければ、十五条による政府対策本部の設置にはならないんですね。それで、この十四条の報告というのを見てみますと、法案では、新型コロナウイルスの場合には、今答弁あったとおり、蔓延のおそれが高いと認めるときというふうになっているんですよ。
確認ですけれども、じゃ、現在はこの蔓延のおそれが高いと認めるときには当たらない状況であるということでよろしいんですか。
○国務大臣(西村康稔君) まさに御指摘のように、厚生労働大臣が専門家の意見を聴いて適切に判断をされるというふうに考えております。
なお、現状においては、専門家会議におきまして、爆発的な感染拡大は進んでおらず、何とか持ちこたえているが、警戒を緩めることはできないとの判断が示されているところでございます。
いずれにしましても、厚生労働大臣におかれまして専門家の意見を聴いて適切に判断されるものというふうに思います。
○田村智子君 今、そういう状況じゃないと。でも、今答弁聞いていてもよく分からなかったと思うんですよ。
この蔓延のおそれが高いと認めるとき、これ、どういう状況なのか。現行法では、新型インフルエンザについては発生したと認めた旨を公表するときとされていて、これと比べても、新型コロナウイルスの場合は実に規定が曖昧なわけですよ。
そうすると、今、専門家の意見を聴いて聴いてということをおっしゃいましたけれども、じゃ、この十四条の報告、そして十五条に基づく政府対策本部の設置、この言わば特措法の起動スイッチです、起動スイッチ、これがどういう要件で押されることになるのか。数値的に表すの難しいというふうに思うんですけれども、条文上、条項の中に専門家の議論、意見を踏まえると規定されていますか。
○国務大臣(西村康稔君) 確かに、現行法は、第十四条におきまして、まさに新型インフルエンザ等が発生したと認めた旨を公表するときとなっておりまして、これを厚生労働大臣が総理に報告することになっておるんですけれども、発生したと認めたとき、認めた旨というのは、認めたというのは、これはもう既に発生はしておりますので、この新法、新法というか今回の改正法において、同じようにはできないということで、蔓延のおそれが高いという表現に今回させていただいているところであります。
ここも物すごく議論がございまして、蔓延のおそれがあるともしした場合には、これは、まあおそれはいつでもあるからすぐにスイッチが入ってしまうということもあり、法制局で何度も審議を重ねた結果、蔓延のおそれが高いということを厚生労働大臣が判断を、専門家の判断を聴いて、そしてその旨を総理に報告したときということにしているわけでございます。
現状は、国内の一部の地域で小規模クラスターが把握をされているということですけれども、大規模な感染拡大が認められている地域があるわけではなく、今後の国内での流行を抑えるための重要な時期にあると考えており、この点は三月九日に公表された専門家会議の見解でも変わっていないところでございます。
○田村智子君 だから、法制局でももめるぐらいに、どう書くか、つまり、どういう状況か分からないんですよ。だったら、条文上、せめて専門家の意見聴く、これってないじゃないですか、条文上。ないですよね。ないでしょう、十四条の報告。専門家の意見を聴くという条文はないですよね。
○政府参考人(安居徹君) 条文上ございませんけれども、行動計画というのがございまして、行動計画の中に、基本的対処方針作るときには専門家の意見を聴かなければいけないとなっておりますので、これは法律ではございませんけれども、閣議決定した、法律には行動計画を作らなければいけないとなっておりまして、その行動計画は閣議決定によってセットされておりますので、そこに書かれております。
○田村智子君 これは、法律上は結局、対処方針決めるときなんですよ、対策本部をつくった後。このときに諮問会議に諮問してというふうに出てくるんですけれども、一番の起動スイッチのところは条文上ないんですよ。
もう一点聞きます。
政府対策本部が設置をされると、緊急事態宣言の前にも本部長である総理に相当な権限の集中が可能となります。第二十条、本部長である総理は基本的対処方針に基づき、指定行政機関、都道府県知事、指定公共機関に対する総合調整を行えるというふうになっていますけれども、これは一体何を行うことになるんでしょうか。総合調整とは何ですか。
○国務大臣(西村康稔君) この特措法では、政府対策本部が定めた基本的対処方針に基づいて、国、地方公共団体、指定公共機関等がそれぞれ対策を実施をすることを想定をしております。そして、その関係機関の間において何らかの調整が必要となった場合に、その調整を的確かつ迅速に実施するためにこの政府対策本部長による総合調整機能が規定をされておりまして、その対象には当然、緊急事態措置に係るものも含まれるわけでございます。
これは、例えば都道府県知事が意見を申し出るとか、あるいはこちらから助言をするとか、あるいはこういうことはできないのかという、そういう調整を行っていくわけでありまして、双方向の意思表示を経て、行いながら調整を行っていくということになります。
これによって、関係府省庁、都道府県、そして市町村がより相互に緊密に連携して効果的な有効な対策を進めることができると考えておりますし、その際にも専門家の意見を聴く、聴いて対処方針を作っておりますので、その中にもしっかりと明記をしたいと思いますが、専門家の意見は常に聴きつつ、そして都道府県知事などが適切な判断を行えるように対応していきたいというふうに考えております。
○田村智子君 そうすると、確認しますけれども、二十四条の方では、都道府県知事が都道府県対策本部の長となって、自治体や公的機関だけでなく、公私の団体、個人に対して協力要請をすることができるとしていますけれども、この二十四条に定める権限行使についても政府の本部長が総合調整を行うということも想定をしていますか。
○国務大臣(西村康稔君) これは、二十四条は、もう明らかに都道府県知事の権限として、その県内に責任を持つ知事が判断をしながら様々な調整を行い、また要請を行ったりしていくものというふうに理解をしております。
ただ、全体の基本的対処方針でお示しをしたいと思っておりますけれども、専門家の意見を聴きながら、この法律にあります第五条の基本的人権の尊重という規定、必要最小限にしなけりゃいけないという規定がございます。そうしたものもしっかりと踏まえながら、都道府県において適切にその総合調整、判断が行われるようにしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○田村智子君 これは、自治体権限で行うべきようなところも、総合調整を行えば、これ国からの指示、トップダウンでできるというふうに私には読めるんですよ。条文上は、このように緊急事態宣言を行う前でも総理のトップダウンでの強力な措置の範囲に歯止めがないと。非常に広範囲です、総合調整って。
じゃ、この総合調整、これはもちろん対処方針に基づく、その対処方針作るときには諮問会議への諮問というのは経ますけれども、しかし、具体的に、公私の私あるいは私の団体のところにまで及ぶような要請を行うとき、これ専門家の意見を聴くという、この条文もやっぱりないわけですよね。
そうなってきますと、私は、衆議院の審議では、緊急事態宣言についても専門家の意見を踏まえる規定がないということ、議論になりまして、そのとき、西村大臣は我が党塩川議員の答弁に、この法律を読んだときはそういう印象を持ったと、法制局の資料をもう一度よく吟味しなきゃいけませんということまで述べられたわけですよ。
私、あの十四条の厚労大臣の報告、そして十五条の政府対策本部の設置、そしてまたこの二十条の総合調整ですね、それから緊急事態宣言、言わば法律の肝となるところで専門家の意見を踏まえるという規定がないということを非常に危惧しております。
感染症対策というのは科学的根拠が不可欠であり、政府が強力な権限を持って特別措置をとることとなる重要な条項でその担保がないということは、私は法の不備ではないかと思いますが、大臣、どうでしょう。
○国務大臣(西村康稔君) 塩川議員の御質問に対して、私の率直な第一印象を、この法律を読んだときの印象をお答えを申し上げたものでございますけれども、法律の体系全体としては、やはり第五条の基本的人権の尊重というのがこれ改めて書かれておりまして、まさに、とられる措置、これは国民の生命を守るものであって、自由と権利に制限が加えられるときであっても、これは必要最小限のものではならないという、この非常に重い規定が置かれております。
我々、私たち、これをしっかりと頭に置いてこの法律を運用していかなきゃいけないというふうに認識をしておりますし、既に閣議決定をしております行動計画においても、専門家の意見をしっかり聴いて基本的対処方針を作るということでありますし、そして、もちろん、それは十八条、書かれているんですけれども、まさに、緊急事態宣言を発出するときにも専門家の意見をしっかり聴いてやるということを、この法律に位置付けられた政府行動計画に我々閣議決定をしてしっかりと位置付けをしているところでございますし、当然、総合調整行うときにもそうした専門家の御意見をしっかりと聴いて、そして判断をしていく、そのときに、都道府県知事の様々な判断に際して、適切な判断ができるように我々としてもそういうふうに対応していきたいというふうに考えているところでございます。
○田村智子君 今の答弁は法案に基づかない答弁なんですよ。
午前の参考人質疑で、同志社大学の川本哲郎教授は、二〇一二年のときにも参考人に呼ばれて意見を述べて、指摘した内容が参議院内閣委員会で附帯決議に盛り込まれたことを評価されておられました。しかし、そのほとんどの事項が何も検討されていないということを厳しく批判をされていたわけです。
緊急事態宣言の要件、その範囲、施行令を見ても、もっと具体的な規定ができるんじゃないのかという問題意識を示されました。また、附帯決議の十七項目めには、不服申立て又は訴訟その他国民の権利利益の救済に関する制度については本法施行後三年を目途として検討を加え、必要があると認めるときはその結果に基づいて所要の措置を講ずることとあるけれども、これも何ら検討されていないということも指摘をされました。
これ、緊急事態宣言措置によって土地の収用であるとか施設の閉鎖などについて、不服の申立ての制度、私、必要だと思います。そうした権利制限によってもたらされた不利益の救済制度、これも必要だと思います。三年を目途に見直すということも言われたわけですよ。川本参考人は、今からでもその議論を行うべきだというふうに主張されました。
法改正というならば、法を動かそうとしたときの不備、不十分点、これを改正するのが筋ではないんですか。どうですか。
○国務大臣(西村康稔君) まず最初に、その附帯決議の、前回の附帯決議いただいた十七項目についてでありますけれども、この国民の権利利益の救済に関する制度についてでありますけれども、この点については、法の公布後、平成二十四年に開催されました新型インフルエンザ等対策有識者会議におきまして、行政不服審査法等で対応するという原則を示しているところでございまして、その後もその方針に変更はなかったということでございます。
ちなみに、平成二十四年のこの会議は民主党政権時代に行われて、その後、我々自民党でも引き継いでいる、自民党、自公政権でも引き継いでいるところでございます。
そして、同法、あえて申し上げれば、同法に基づく新型インフルエンザ等への対応がこれまで、今までこの特措法が使われたことはなかったわけでありますので、制度の変更の必要性が検証できないということで対応としては未実施というふうに整理をさせていただいておりますけれども、いずれにしましても、この事態が終息した後には、先ほど来御指摘のある、様々御指摘もいただいております感染症法とインフル特措法、この法律との、全体の、補完し合いながら感染症を防止していこうと、感染拡大を防ごうという体系になっておりますけれども、そうした中で今回のことをしっかりと検証して、より良い制度となるように私は検討をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○田村智子君 いや、今その特措法をすぐに適用する事態じゃないって最初に言われたじゃないですか。十四条に基づく報告をするときでもないし、政府対策本部を設置するときでもないと。
だったら、政治がやるべきは、こういう法律動かそうとしたときに出てくる不備について、今議論しなくてどうするんですか。何でこんな簡単にこの法律上げようとするのか、私、とても問題だというふうに思いますよ。それは、今の事態が全部終わってから、終わってからでなければできないということなんですか。
○国務大臣(西村康稔君) 今まさに、専門家の皆さんから、これから感染拡大をしていくのか終息するのかの正念場、瀬戸際であると、この警戒の手を緩めちゃいけないと、何とか持ちこたえている状況であるということであります。
我々、一生懸命やります。できることは全てやって感染防止拡大にもう全力を挙げてやっていますし、これからもやっていきたいと思います。しかし、いざ国民の生命を守らなきゃいけないというときが来たときに取れる手段となる措置をしっかりと用意しておく、これが私は政治の責任だというふうに思いますし、今回、急なことで本当に、国会の先生方には本当に御理解をいただいて審議をしていただいておりますけれども、是非、いざというときに備えてこの措置を用意をするということは大事なことだというふうに思っております。
ただ、今回はこういう形で緊急的にお願いをしましたけれども、しかし、いろんな御議論、この国会の審議の場でもいただきました。このことについては我々真摯に受け止めて、また、我々自身ももっとより良い制度にできないのかということを考え、終息した段階でしっかりと議論をしていきたいというように考えているところでございます。
○田村智子君 先ほど、参考人質疑の中で、尾身参考人は、何のための法律なのかと、現場に応える法律を作ってくれと言ったんですよ。私、予算委員会で保健所の問題取り上げまして、尾身参考人が、保健所がまさに様々な、様々な窓口の集中点になっていて、まさに疲弊し切っているんだと。予算委員会でそのことを指摘したときに、私は、私のその切迫感をとても厚労大臣や総理大臣と共有できたと思えなかったですよ。
この特措法が現場に応える法律ですか。そういう中身があるのかと。私、違うと思いますよ。だから議論しているんですよ、違うじゃないかと、やることが。
次の問題、質問いたします。
そう私が危機感を持っていないかのようなことを、本当にそういうふうな答弁されると、非常に、あの予算委員会で私が指摘したことを逆にどう受け止めているのかと聞きたくなるような思いなんですよ。保健所の疲弊、地方衛生研の疲弊、国立感染研の疲弊、どうするんだと。医療機関、本当に困っているところに大きな予算措置もやっていないじゃないですか。このことは指摘しておきたいんですね。
今、緊急事態宣言ではないという。ところが、総理からは次から次へと要請が行われました。では、この間総理が行っている要請の法的根拠は何ですか。
○国務大臣(西村康稔君) 例えば、二月の二十七日に全国の一斉休校をお願いを、要請をしたところでありますけれども、これ自体は法に基づくものではございませんが、二月後半から一、二週間のその期間が感染拡大か終息かの瀬戸際であるという、そういう認識の中で、この感染の流行を早期に終息させるためのお願いをしたということでございます。
○田村智子君 この法律、感染を防止するための協力要請、四十五条以下に定められています。四十五条の一は都道府県知事が国民に対して自宅からの外出をしないこと等の要請、二つ目には多数の者が利用する学校、興行場などの利用を制限すること、催物の開催の中止の要請と。
総理が既に行った、多数の方が集まるスポーツ、文化イベント等の中止等の要請、それから学校の臨時休業の要請、鉄道事業者などに感染予防策の徹底の要請など、これらは四十五条の要請と実態としては同様のものだというふうに受け止められますが、いかがですか。
○国務大臣(西村康稔君) 御指摘のイベントの自粛要請あるいは臨時休校の要請、これにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、そのとき時点で一、二週間が非常に大事な時期であるということで行われた要請でございますが、当然、その要請は法的拘束力を有するものではなくて、最終的な判断は、イベントの主催者、あるいは学校を設置する地方自治体、学校法人等において行われるものでございます。
一方、今回は、今後のあらゆる可能性も想定して、新型インフルエンザと同様の措置がとれるように今回の改正法案を提出させていただいたところでありまして、四十五条は、もう御案内のとおり、都道府県知事が要請や指示を出せる権限でございます。しかし、これに対しては罰則措置があるわけではございませんが、公表ということによってそれを有効性を担保していこうという、そういう法体系になっておりますけれども、今回のこのインフル特措法の対象にコロナウイルス感染症、これも対象に認められた場合には、都道府県知事が今度はその中で要請や指示を行っていくということになっていくわけでございます。
○田村智子君 総合調整やるまでもなく、総理が先にやっちゃったということなんですよね。
施行令十一条、十二条、資料としても配りました。対象施設、要請できる内容を定められているんですけれども、もちろん総理がやった以上のことが書かれていますけどね。
しかし、この間、安倍総理による要請とこれはもう同様の措置と言わざるを得ないわけですね。しかも、特措法では、緊急事態宣言後に都道府県知事が行うことのできる要請というのは期限も区域も定めて行うということになっています。これは国民の私の権利を制限する以上当然の最低限の定めだというふうに思うんですけれども、ところが、総理が行った要請というのは区域の条件は全くありません。期限も、先ほど来あるとおり、一、二週間が山場とか、あと十日は継続をとか、いつが起点でいつまでの要請なのかが分からないわけですね。
そうすると、特措法の言う期限というのは、こんなふうに起点や終点が曖昧な期限ということもあるんでしょうか。
○国務大臣(西村康稔君) 先般来の総理からの要請は、これはあくまでも本当の法に基づくものではなく、要請でございまして、イベントの主催者であったり、学校を設置する地方自治体あるいは学校法人等においてその最終的な判断は行われるものというふうに考えております。現に、休校を行っていない地域もございますし、私の地元明石市でも、来週からは、十六日からと聞いておりますが、学校を再開すると聞いておりますので、それぞれの地域の事情に応じて最終判断はなされているものというふうに理解をいたしております。
その上で、ごめんなさい、ちょっと質問を今忘れてしまいまして、ごめんなさい。(発言する者あり)はい、そうですね、期限については、まず、こうした都道府県知事の権限が与えられるのは、こういう措置がとれるのは緊急事態宣言の発出後でありますので、緊急事態宣言には二年以内の、二年を超えない範囲でその期間と区域を定めて発出をいたしますので、それを受けて、都道府県知事におかれては当然、その緊急事態宣言より短い期間で、そしてその区域の中において要請や指示をなされるものというふうに思います。
その際、都道府県知事が適切な判断をできるように、これは知事のお考えをお聴きをしたりしながら、まさに御指摘の総合調整の機能がございますので、専門家の意見をしっかりと聴いて、そして、都道府県知事、それぞれの知事が適切に判断できるように運用していきたいというふうに考えているところでございます。
○田村智子君 これ確認しますが、今の総理みたいに一、二週間とかではなくて、何月何日から何月何日と、こういう定めですよね。確認します。
○国務大臣(西村康稔君) 四十五条の要請、そして指示、そして、それはまた公表される、指示になれば、要請、指示も公表されるものでございますので、当然、一定の期間をしっかりとお示しして、そして、施設についても、政令で定められている一定規模以上の施設、定められておりますので、それについての利用の制限であったり、そうしたことが要請、そして指示の内容になるものというふうに理解しています。
○田村智子君 その期間の定め方や、延期もできるということで、その際にも果たして専門家の意見が求められるかといえば、そういう条文もないということもこれ衆議院の中で議論になっていて問題なんですけれども、ある意味、つまりは、もう特措法以上の私の権利の制限を既に総理は要請という形で行っているわけなんですよ、乗り越えて。
このことについてはどのように議論して、この特措法の提案をされているんでしょうか。
○国務大臣(西村康稔君) 繰り返しになりますけれども、総理の要請はあくまでも要請でございまして、先ほど来申し上げましたとおり、それぞれの地域の事情に応じて、地域の市町村長の判断、都道府県知事の判断で休校等も行っていないものもございますし、イベントについては、卒業式など、本当はもう盛大にやってやりたいなという、私の娘も残念ながら卒業式なくなったんですけれども、その思いはございますけれども、工夫しながら、間を置いてとか、いろんな形でやられていますので、それはそれぞれの主催者の判断でやられているものというふうに思います。
ただ、この法律が施行されました後は、先ほど来の要件が幾つかございますけれども、政府対策本部が立ち上がってきまして総合調整を行い、そして、万が一緊急事態宣言が発出されれば、都道府県知事に明確に要請、指示、それから、例えば検疫のために施設を利用したというときにはその施設に対する補償の規定、こうしたものもございますし、マスクや医薬品などこうしたものをしっかりと保管をするようにとか、そういったものの、あるいはこれをもう使うということで収用するとき、こういった規定もございます。
それに対しての補償の措置であったり、あるいは、それに対して、それを隠蔽したり、マスクをどこかに隠していたり、どこかに横流ししたり搬出をしたりと、指示に従わずにやった場合には罰則もあるということでありますので、いざというときに国民の生命を守るためにそうした措置がとり得るようになるということでございますが、あくまでも、これ私、何度も申し上げているんですけれども、伝家の宝刀であり続けてほしいなと、こういう事態にならないようにまずは全力を挙げて感染防止に取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。
○田村智子君 法律さえも乗り越えているのが今の安倍政権なんですよね、安倍総理なんですよ。
私、大分、その専門家の意見をやっぱり聴くという条文がないじゃないかという問題等々を指摘をしたんですけれども、これはやっぱり、だって、専門家会議への諮問もせずに、対策本部での議論の記録も残さずに、そして法的根拠さえもなく総理の独断専行でやられた要請が私は逆に様々な混乱を生んでいるということもこれまた事実なわけですよ。だから、いろんな問題を、この法律動かすというんだったら、新型コロナで動かすというんだったら、ちゃんと法律による縛りが最低限必要ですよねということを指摘しているわけなんですよ。
感染が広がっている地域などで、科学的な根拠に基づいて学校を休校にするとかイベント中止の措置をとるなど、これは私も否定しません。そういう措置が必要となるということはあるでしょう。しかし、私は、それは政府が命令したからやるということではないと思うんですよ。指示を出したからやると、そういうことじゃないと思うんですよ、根本的には。
もっと科学的な根拠を示して、専門家の知見も丁寧に示して、感染拡大防止の協力を本当に国民に求めていくと。自治体や会社の中でも、それぞれの団体の中でも、あるいは家庭の中でも、じゃ、どういう対応が求められるのかということを本当に国民が話し合う。それで、じゃ、対応策何ができるんだろうか、自主的に判断して取られていくということが一番今求められているし、それを積み重ねていけば、私は、まさに本当に強制的な指示ということをやらずにもできることってあると、そういう事態を引き起こさないことができ得るというふうに思うわけなんですよ。
問題は、じゃ、そうやって休むというふうになるときに、あるいはそのイベント中止というふうになるときに、それでも大丈夫だよと、生活が壊れることはないよと、社会は機能するよと、そういう対応策、安心できる策をどこまで今示すのかということが今一番急がれていることだというふうに思うんですけれども、その認識は共有いただけますか。
○国務大臣(西村康稔君) まず、もちろん、一人一人が感染しないように注意をすると、これはもちろん、それぞれのお立場でみんなが努力をしなきゃいけない。そして、かからないようにしつつ、また人にうつさないようにしつつということで、もう既に、せきエチケットとか、こういったことも公表させていただいて、これはみんなでやっぱり努力していかないといけない話だということだと思います。しかし、その上で、やはり感染が広がっている状況はございますので、それに対しては、いざというときに備えてこの措置をお願いしているところでございます。
ただ、現在、自粛によって様々な影響が生じていること、これは本当に忍びなく思っております。感染防止を、感染拡大を防止するためとはいえ、様々な自粛によって経済活動、特に中小企業の皆さんが大変厳しい状況にあるということは本当に忍びなく思いますし、これはしっかり支えていかなきゃいけないなという決意でございます。
そのために、中小企業の資金繰りはしっかり応援をしようということで、先般、実質無利子無担保で一月二十九日まで遡ってやろうということにしておりますし、さらに、今回、正規、非正規を問わず、事業縮小や休業せざるを得なくなったそうした事業者に対して、その従業員の方々の正規、非正規問わず、雇用調整助成金でしっかり対応していこうということでありますし、また、個人事業主、そしてフリーランスも含めて中小・小規模事業者に対してしっかりと応援をしていこうということであります。
さらには、感染拡大により、生活に困難を生じている方もおられると思います。そうした方々にいわゆる返済免除要件付きの個人向け緊急小口の資金の特例、あるいは総合的な緊急支援と、こういったものも用意をいたしておりますので、是非こうしたものを活用していただきながら、何とかこの状況をしのいでいただいて踏ん張っていただいて、我々、もう全力で事業の活動、あるいは雇用、生活を守っていきたいというふうに考えておりますので、何とか踏ん張っていただいて、そして、乗り越えて、その後にはしっかりとまた観光や消費が喚起できるようにいろんな対策をまた考えていければというふうに思っているところでございます。
○田村智子君 先ほど、この特措法の中で、個人補償の問題、不服審査の問題というものがないということを指摘しましたけれども、やっぱり休んでも大丈夫、何らかのこの措置がとられたときでも大丈夫だという国民の安心を与える中身がやっぱり私は本当は法律に必要だというふうに思うわけですよ。そうでなければ、要請に応えて休む、イベントを中止しても大丈夫というふうにならないですよね。今大臣がお話しされたこと、私はとても十分とは言えない中身だと思うんですけど、それはこの特措法などに基づくことじゃないんですよ。
それじゃ、もう一度その法案の方に戻すと、じゃ、この法案の中で、大丈夫だと、要請に応えてイベント取りやめましたと、仕事も休みましたと、それでも大丈夫だという国民に安心が与えられるような中身や条項というのはどこにあるんでしょうか。
○国務大臣(西村康稔君) この特措法上は、先ほど来申し上げていますけれども、強制力という意味で罰則があるものも限られております。そして、損失補填という面でも全体のバランスを考えた上で規定が書かれておりまして、例えば、都道府県知事が臨時の医療施設のために建物や土地を使用した場合、それから、先ほど来申し上げています医薬品やマスクや食品やこうした物資の収用を行う場合には補填の、損失補填の措置がございます。しかし、法律体系の全体のバランスからいって、全てのことに対してその補償措置、損失補填があるわけではございません。バランスの中でそうした法体系になっているものというふうに理解をしております。
他方、今回の様々な影響を受ける中小企業の方々、あるいはフリーランスや非正規の方も含めてでありますけれども、そうした方々に対しては、しっかりと資金繰り支援や雇用維持のための支援策、これは先般、先日も第二弾として発表させていただいたところでございます。約二兆円の規模の資金でしっかりと応援をしていこうということでございます。
将来、この法律が施行された後に仮に緊急事態宣言など万が一出されて、その後様々な措置がとられた場合においても、今回の対応を踏まえてしっかりと適切に対応していきたいと考えているところでございます。
○田村智子君 私、だから、この特措法ということを今急ぐんじゃなくて、やるべきは予算の修正だと思いますよね。
中小企業に対する資金繰り、五千億から六千億、無利子無担保でという新たなものを出されましたけれども、リーマン・ショックのときには二十兆円ぐらいの枠で準備しているわけですよ。今、それを上回るような事態が起きるんじゃないかということも指摘をされているわけで、こういう検討を急がなければ駄目ですし、この出された第二弾で、とても不安の声が上がっていること、一点だけ、時間の中でお聞きできるのは一点かなと思うんですけど、フリーランスなんですよ、やっぱり。
与野党とも必要だというふうに求めて盛り込まれたけれども、一日四千百円と。これ、何で四千百円なのか、一体どういう働き方を想定しているのか。端的にお願いします。
○政府参考人(本多則惠君) お答え申し上げます。
今般、今回の臨時休校要請によって小学校等に通う子供の世話を行うことが必要となった保護者の方であって、個人で業務委託契約等で仕事をされている場合にも支援を広げることとしております。具体的には、その就業できなかった日について一日当たり四千百円を支援するものでございます。
この金額につきましては、働き方や報酬の定め方が多種多様な中で、迅速に支援する必要性も踏まえて、雇用保険における失業給付の日額上限とのバランスや非正規雇用の方への給付とのバランスも考慮し、最低賃金相当を勘案して定めたものでございます。
○田村智子君 これ、なかなか、部屋に来て説明求めると、東京の最低賃金を考慮して四時間というふうにお答えいただくんですけど、本会議とか委員会の場ではそうやってお答えにならないんですよ。そういうことでいいんでしょう、東京の最低賃金を考慮して四時間程度ということなんですよね。
○政府参考人(本多則惠君) 個人で仕事をされている方につきましては、働き方や報酬の定め方が多種多様であることから実態がつかみづらい、今回は迅速に支援する必要があったため、一日八時間の法定労働時間の半分の時間である四時間とすることとした上で、全国で最も金額の高い東京都の最低賃金千十三円をベースにして四時間分を基に算出したものでございます。
○田村智子君 だから不安なんですよ。それは駄目だって、これは本当に今広がっていますよね。
大臣、お答えいただきたいんですけど、しかも、これは子供がいてですからね、子供がいて休校の措置で仕事を休まざるを得なかったときということは、本当にその子供の分のお金も必要な方が四千百円でいいというのは、ちょっと何なんだよそれはというふうになるわけですよ。
中止となっているイベントなどは、様々な技術や資格を持つフリーランスが多数関わっていますよ。フリーランス全体を対象とする、それから、その金額についても損失補填と言えるような額にするということは早急に求められているというふうに思うんです。こういうことが先でしょうということも含めてなんですけど、大臣、どうですか。
○国務大臣(西村康稔君) フリーランスの方も大変厳しい中で本当に影響を受けておられる、そのことは十分理解をいたしております。
何とかお支えをしたいということで、今般、そのフリーランスの方に対しても一定の支援を行うということで先ほど答弁をさせていただいた、厚労省の方から答弁をさせていただいたところでありますけれども、さらに、個人向けに緊急個人資金等の特例を設けております。これは、貸付条件十万円、そしてまた、学校等の休業に伴うものについては二十万円の緊急小口資金、あるいは生活が維持が困難になっておられる方々に対しても、二人以上の世帯にあっては二十万円以内ということでありますけれども、こうした資金を支給をすることになっております。
それぞれの地域の社会福祉協議会、社協においてこれを取り扱うということになっておりますので、こうした資金も活用していただいて、これらの資金はまさに返済免除の要件が付いておりますので、引き続き、生活の厳しい方にはしっかりと配慮をしていくということでございますので、こうした資金も活用していただきながら、しっかりとフリーランスの方におかれても生活を支援していきたいと考えているところでございます。
○田村智子君 終わります。