安倍晋三首相の地元・山口県から大勢の後援会員を招いていたことが大問題になった「桜を見る会」を2020年度は中止すると菅義偉官房長官が発表しました。野党の追及と国民世論が追い詰めた結果です。菅氏は、首相官邸や与党に招待者の推薦を依頼していたことも認めました。税金で賄われる公的行事が、首相らが自分の後援会活動に利用できる余地があることを示すものであり、「税金の私物化」疑惑は一層深まります。来年は中止するからといって、首相の資格にかかわる重大問題を絶対あいまいにはできません。
後援会活動と一体不可分
「桜を見る会」に安倍首相の地元後援会員が多数招待され、地元事務所が窓口になっていたなどの疑惑は、「赤旗」日曜版10月13日号がスクープしました。日本共産党の田村智子副委員長が今月8日の参院予算委員会で取り上げたことを契機に国民の怒りが広がりました。野党共同追及チームもつくられ、一斉に国会で質問し政府をただす動きとなっていました。
「桜を見る会」は1950年代からほぼ毎年4月に東京の新宿御苑で開催されてきました。2012年末の安倍首相の政権復帰以降、年々参加者数と費用は増大し、14年の参加者約1万3700人・支出額約3000万円が、19年は参加者約1万8200人・支出額約5500万円へとふくらみました。日曜版報道と田村氏の質問は、「桜を見る会」と首相の後援会活動とが一体不可分で行われていた実態を、参加した政治家自身のブログや後援会員らの証言を通じて生々しく明らかにしました。
安倍首相は、招待者の取りまとめには「関与していない」と答弁しました。しかし、参加者は、安倍事務所に申し込んだら内閣府から招待状がきたと述べています。さらに安倍事務所名の「『桜を見る会』のご案内」という文書の存在も新たに判明しました(日曜版17日号)。地元事務所が取りしきった事実は隠しようがありません。
安倍後援会名のバスを連ねて入場したこと、開門時間前に入園し、首相夫妻を囲んで記念撮影をしたことなどは、どう見ても地元後援会の活動の一環です。「桜を見る会」は参加費無料で、アルコールやオードブル、お菓子、お土産も振る舞われます。政治家が自分のカネでこんな接待をしたら明白な公職選挙法違反です。それを税金を使って行うのは極めて悪質です。公選法違反の疑いは消えません。
「桜を見る会」前日に例年開かれる首相後援会の「前夜祭」も疑惑があります。この催しをめぐっては首相のどの政治団体の政治資金収支報告書にも、収支の記載がありません。政治資金規正法違反にならないのか。首相は説明責任を免れることはできません。
逃げずに国会で説明せよ
菅氏が「中止発表」をしたことは、「桜を見る会」に問題があったことを認めざるをえなかったものです。しかし、これで首相の「税金私物化」疑惑にフタをし、責任追及から逃げることは許されません。首相をはじめ閣僚や与党政治家が自分の「推薦枠」をどう使っていたのか、なぜ「桜を見る会」が肥大化したのか、追及すべき課題は山積しています。名簿を破棄したなどという解明の妨害はやめるべきです。首相出席の衆参予算委員会開催が早急に必要です。
2019年11月14日(木)しんぶん赤旗より