参院議運委理
障害があっても国会活動ができるように参院選を受けて改革がすすんでいます。重度の障害がある、れいわ新選組の舩後靖彦、木村英子両氏が参院選で初当選したことによるものです。参院議院運営委員会理事会では25日に、障害者の議員活動を保障するためのバリアフリー化措置についていくつか確認しました。
改革の一つは、本会議場議席の改修など施設の改修です。舩後氏は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者で、手足を動かすことができず、声を出せません。木村氏は脳性まひで首から下を自由に動かすことができません。2人とも大型の車いすが必要です。
2人の本会議場の議席は、会派所属にかかわらず、出入り口に近く、席までに段差のない席で、3人分の席を大型車いすに合わせて改修します。持ち込みを禁止していたノートパソコンなども、両氏の意思疎通のためのもので、医療上、議員活動上必要であれば認められます。医療機器や電動車いすのための電源も議場に設置します。
もう一つの重要な改革は、議員としての意思表示の方法についてです。
本会議場へは参院職員を除き原則として議員しか入れませんでしたが、あらかじめ議長に届け出を出せば、介助者の入場を認めます。
本会議の採決には「起立採決」と「記名投票」、「押しボタン式」などがあります。どれも舩後、木村両氏には困難です。「起立採決」「押しボタン式投票」は介助者の代理投票ができます。議員が登壇する記名投票は、介助人が参院職員に賛否いずれかの札を渡します。首相の指名は介助人が代筆します。
論戦が行われる委員会での質問などについては今後の検討課題となっています。議員宿舎や議員会館の部屋の割り当て、公用の福祉車両の使用なども今後検討する予定です。
舩後氏からは目の動きでパソコンを操作して、会話ができる分身ロボットの導入も提案されています。
今回の対応は、国会のバリアフリーへの第一歩です。今後、重度障害を有する議員が十分な国会活動ができる体制を国会として早急につくっていくことが必要です。
当事者の要望に応え
日本共産党 田村智子副委員長
重度障害者の方々のために国会議事堂や議員会館の施設面でのバリアフリー(障害者らの活動の環境を改善・整備すること)をすすめることが確認されました。この間の障害者団体のみなさんが、バリアフリーの遅れを指摘してきたことも生かされており、評価できます。
建物が古いために、本格的なバリアフリーには、一定の時間がかかるかもしれませんが、さらにすすめていくべきです。
今回は、8月1日召集予定の国会に向けた必要最小限のことを決めました。その一つは、本会議での意思表示です。意思表示ができるのは、本人だけでしたが、押しボタン採決で介助者の代理投票などを初めて認めています。重度障害の方らの議員活動を保障していく上では、大きな一歩前進だと思います。
今後の大きな課題は、発言の保障です。委員会での発言については、規則で細かく縛っていません。それだけに、各会派が障害者の政治参加にどう対応していくかが問われてきます。「合理的配慮」の具体化について、当事者の方々の要望にできる限り応えられるようにするべきです。
2019年7月27日(土)しんぶん赤旗より