国会会議録

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採用の障害者支えよ 田村智子氏 省庁の環境整備要求

 

 

 

 

 

(写真)質問する田村智子議員=6日、参院内閣委

 日本共産党の田村智子議員は6日の参院内閣委員会で、中央省庁が採用した障害者への支援体制の構築を求めました。

 昨年、障害者雇用率水増し問題が発覚し、各省庁は急きょ障害者の採用計画を立て、今年4月、行政機関全体で約2500人が採用されています。

 田村氏は、日本国家公務員労働組合連合会が行った霞が関相談ダイヤルには、「知力を使わない肉体労働ばかりさせられる」「採用当時から見下した感じがあり、相談役となる課長補佐もばかにした言動をしている」など障害者枠で採用された人からパワハラを訴える声が寄せられていることを指摘。障害者雇用を進めるために、単なる数合わせでなく職場環境の整備が求められると指摘しました。

 内閣府の宮腰光寛国家公務員制度担当相は「今回、(障害者を)大量採用して各省庁で(業務が)スタートしたばかり。(職場の)状況がどうなっているか一定の時期に把握していきたい」と答弁。田村氏は、国家公務員の職場が多忙、過密労働となっているのも要因だとして、「採用した障害者の方々への支援体制を構築するためにも、人員、財政上の手当てを求めていくべきだ」と主張しました。

2019年6月16日(日)しんぶん赤旗より

 

【2019年6月6日 内閣委員会議事録】

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 障害者等の人権を守るための成年後見制度が公務職場で働く権利などを自動的に奪ってきたことは本当に重大で、今回の改正によって欠格条項を削除するのは当然のことだと考えます。
 一方、政府はこの法案の提出理由として成年後見制度の利用の促進ということを挙げているんですけれども、これ利用が進まない大きな要因は、今も指摘のあった費用負担の問題だと私は考えます。
 成年後見制度は、元々、財産管理が中心で、各家庭裁判所が決める後見人報酬は利用者の財産額に応じた定額制というのが一般的です。
 昨日、六月五日の毎日新聞の報道でも、東京家裁の場合は、毎月の基本報酬は二万から六万円で、業務の難しさによって最大五〇%割増しする、業務が少なくても支払われるという問題点を指摘し、認知症当事者と家族の団体の代表を務める方の声として、成年後見制度は使い勝手が悪い上に資産が目減りする、会員には使わないように勧めている、こういう声も紹介をしているわけです。
 実際、私も障害者のグループホームの視察に行った際に、もう高齢の保護者の方からお話をお聞きしました。親亡き後にこの子が困らないようにと成年後見制度を利用することにもしたと、困らないようにともう私自身の生活は節約に節約に節約を重ねてこの子のための預金をしてきたんだと、そうしたら、預金の額が大きいからといって、その報酬額が、自分から見ると本当に高額の報酬額が毎月支払われていると。日々の生活に必要な支援というのは後見人の仕事ではないというと一体何のための制度なんですかということを切々と訴えられて、本当に胸が痛むような思いだったんですね。
 まず、厚労省、こういう現実をどのように認識されていますか。

○政府参考人(八神敦雄君) お答え申し上げます。
 親族ではない専門職の後見人の方が例えば本人にほとんど会わないようなケースがあるというような指摘があるということは、私どもも承知をしてございます。一方、身上保護や意思決定支援を適切に実施をするためには、後見人の方が本人との面談等を行って、本人の生活状況や希望、意思を把握をして支援をするということが必要だと考えてございます。
 厚生労働省としては、成年後見制度利用促進基本計画に基づきまして、最高裁判所とも連携しつつ、利用者が制度のメリットを実感できる制度とするための身上保護、意思決定支援の取組を推進したいと考えてございます。
 具体的には、意思決定支援に関する取組としまして、平成二十九年三月ですが、障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドラインを、また、平成三十年六月には認知症の人の日常生活、社会生活における意思決定支援のガイドラインを策定をしたところでございます。
 また、こうした取組も踏まえまして、最高裁判所の呼びかけにより、最高裁判所、厚生労働省、専門職団体におきまして、後見人等が本人の特性に応じた適切な配慮を行うことができるよう、意思決定支援の在り方についての指針の策定に向けて協議を始めたところでございます。
 また、権利擁護支援の地域連携ネットワークの中核機関等の整備を推進するということで、今年度予算におきまして、新たに中核機関の立ち上げ支援、市町村職員等に対する国の研修を盛り込むなど、予算を三・五億円に大幅に増額をして計上、また、全国会議や市町村セミナーの開催、ニュースレターの発行等を通じて自治体に働きかけるといったことを取り組んでいるところでございます。

○田村智子君 最高裁にも認識と取組をお聞きいたします。

○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) 成年後見制度の利用者から委員御指摘のような報酬についての問題点の御意見があること、あるいは先日の新聞報道についても、我々としても認識をしているところでございます。
 報酬額につきましては、裁判官が個別の事案ごとに様々な事情に基づいて判断をするという点で、一律にこうしろというような指示ができるような性質でないということは御理解をいただきたいんですが、その上で、御指摘のように非常に重要な問題であるということはそのとおりであるというふうに思います。
 そこで、最高裁判所は、今のところ制度の重要な担い手になっております弁護士、司法書士、社会福祉士が所属する各専門職団体と、基本計画を踏まえた後見人の選任及び報酬の在り方について議論を行いまして、これを踏まえて各家庭裁判所での今後の検討のたたき台とするための資料を作成して、各専門職団体の意見書と併せて、今年の一月に各家庭裁判所に情報提供をいたしました。
 こういったことを踏まえての報酬の在り方について今後更に検討が行われていくというふうに思いますし、また、委員御指摘のようなケース、事例につきましては、専門職の方が後見人に一旦選任されたとしてもずっとその方がやり続ける必要があるのかということが問題になるケースもあろうと思います。
 当初、財産管理あるいは身上について行政サービスにどうつなげていくかとかいった、そういった課題が解決したのであれば、その後は親族の方に後見人としてサポートしていただければ足りて、報酬の問題が発生しなくなると、こういうケースもあろうと思いますので、そういった柔軟な後見人の交代といったことについても併せて専門職団体とも意見交換し、また各家庭裁判所にも情報提供しているところでございます。
 更に申し上げますと、今後、中核機関の設置が進んでいくことになりますと、むしろそちらの方からサポートが受けられると、これによって専門職の方が必ずしも選任されなくても済むといった場面も増えてくるのではないかと思われますので、そういった対応を今後検討していく必要があるかなというふうに考えております。

○田村智子君 何かもう、一度決めたらもうその人がずっと成年後見だというふうに思い込んでいるところもあると思うんですね。是非今の御答弁のようなことを周知もしていっていただきたいと思いますのと、ただ、親族が後見人になったら、じゃ問題解決するかということなんですけれども、これ問題提起にとどめますが、親族を後見人にというときには、一律に後見信託にして財産管理を信託銀行で行うようにという判断、あるいは後見監督人の選任、このどちらかという判断を一律にやっているんじゃないのかなと思えるような状況もあるわけですよ。そうすると、これまた手数料といいますか、その報酬が発生したり、様々な煩雑な手続が求められたりとか、果たしてこれでメリットになっているんだろうかという問題も残ってきますので、やっぱり成年後見制度を利用して安心だと、よかったと実感できる制度になるように本当に改善を図っていただきたいというように思います。
 続いて、宮腰大臣にお聞きしたいんですけれども、今回の法改正によって国家公務員等の欠格条項から成年被後見人等が除かれることになる、そうすると、いわゆる知的障害、発達障害者の方にも国家公務の職場で雇用拡大を進めていくということになっていくと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(宮腰光寛君) 本法案は、欠格条項を規定する各資格、職種等について、成年後見制度を利用していることを理由として一律に排除される仕組みを改め、個別的、実質的な審査によって各資格、職種等の特性に応じて必要となる能力の有無を判断する仕組みへと見直しを行うものです。これによりまして、本法案の成立後は、成年被後見人等であっても国家公務員となるための選考試験等を受けることが可能となり、障害のある方にとって門戸が広がるという側面があるものというふうに考えております。
 公務部門における障害者雇用につきましては、昨年十月に決定した公務部門における障害者雇用に関する基本方針等を踏まえ、政府全体で受入れ体制の整備、職場環境の整備等に取り組んできております。
 国家公務員制度担当大臣としても、厚生労働省や人事院等の関係機関と連携しながら、各府省において障害者雇用が適切に進むよう引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

○田村智子君 昨年、障害者雇用の水増し問題というのが発覚して、各省庁は急遽、障害者の採用計画も立てて、今年四月には行政機関全体で約二千五百人が採用になったと聞いています。障害者が働ける環境の整備なしに数合わせだけをすることのないようにというのは障害当事者の団体から本当に強く要望されていたんですけれども、そこがどうなっているかは私、大変危惧をしております。
 五月二十九日、国家公務員労働組合連合会、国公労連が、霞が関公務員相談ダイヤルというふうに労働相談に取り組んだんですね。半年ごとの電話相談活動なんですけれども、今回の特徴の一つは障害者枠で採用した人に対するパワハラだというんですね。
 霞が関の省庁は、障害者雇用枠の水増しを解消するために多くの障害者を受け入れ、体制、業務内容、障害者への理解の普及啓発などを整えないままに非常勤職員として採用した。その結果、無視されたり、大声で叱責されたり、上から目線のパワハラなどが横行している実態が分かったというふうに取りまとめが行われているんです。
 具体の事例、紹介します。知力を伴わない肉体労働ばかりさせられる。採用当時から見下した感じがあり、相談役となる課長補佐もばかにした言動をしている。例えば、カットソーなどを着ていると、結婚もできないのに頑張るねと言われたり、あるマニュアルを渡され、あなたが分かれば誰でも分かるよねと言われたりした。課全体がそういった感じであり、相談したくても誰にもできない。また、別のケースですけど、直属の上司は配慮してくれているが、周囲の人からは無視されたりしている。前の職場でも、女性非常勤職員から大きな声でばかにされたり無視されてきた。また別の人は、何か相談事があればこちらにというものがあるが、同じ職場の職員が相手なので相談できないと。
 宮腰大臣、こういう声、どう受け止めますか。

○国務大臣(宮腰光寛君) いわゆるパワハラにつきまして、障害者に限らず、働く方の尊厳や人格を傷つけ、職場環境を悪化させるような行為はあってはならないものでありまして、障害のある職員を含めた全ての職員が働きやすい職場環境を整備することは極めて大切なことと認識しております。
 このため、公務部門における障害者雇用に関する基本方針等を踏まえまして、障害のある職員がそれぞれ意欲と能力を発揮し活躍できるよう、各府省における障害のある職員本人からの相談を受け付ける相談員や、障害のある職員をサポートする個別支援者を選任し、また、障害のある職員とともに働く職員向けに障害者雇用に関する理解促進を図るためのセミナーを開催するなど、政府全体で受入れ体制の整備、職場環境の整備等に取り組んでおります。
 国家公務員制度担当大臣としても、本年三月末に、各府省において障害者雇用を着実に進めるための支援策、制度等を盛り込んだ公務部門における障害者雇用マニュアルを作成し、各府省に配付するなど、各府省の職員の障害者雇用への理解促進に努めております。
 今後とも、厚生労働省や人事院等の関係機関と連携しながら、各府省において障害者雇用が適切に進むよう、またその環境をしっかりと整備ができるように取り組んでまいりたいと考えております。

○田村智子君 今お話のあった基本方針なんですけれども、確かに個別支援、必要だというふうにしているんですけど、じゃ、それをやる人をちゃんと付けているのかということだと思うんですね。
 先日、私、厚労省の長時間勤務の実態取り上げましたけれども、超多忙で長時間労働だと。もちろん、先ほどの見下すようなとかというのはこれ論外なんですけれども、やっぱり物すごい忙しい中で、じゃ、相談に乗りましょうというふうな気持ちになれるかということが起きてくるわけですよ。過密労働があって、長時間労働があって、業務量にふさわしい人員がそもそも配置をされていないと。障害者枠で障害者の方が雇用されたと、その方の相談に乗れるという余裕がその職場の中に生まれるかということなんですね。
 個別支援が必要だというのならば、そのために必要な人の配置、そのために必要な財政の手当て、これやっていくべきだと思いますが、いかがでしょう。

○国務大臣(宮腰光寛君) 職場におけるパワハラというのは決してあってはならないということであります。障害のある方に限らず、全ての職員がやりがいを持って生き生きと働くことができる職場づくりは極めて大事であると認識をいたしております。
 その上で、障害を持つ方が安心して継続的に業務を担うことができる職場づくりのためには、これまで以上に障害者の方と一緒になって業務を遂行していくことについての理解を促進することや、職場全体として、これが大事だと思うんですが、既存の業務のやり方を前提とせずに、業務のやり方の見直し、具体的には新しい技術の活用などでありますけれども、業務そのものを減らしていくことが重要であると考えております。
 現在、政府全体として職場の理解促進や相談支援体制の充実等に取り組んでおりまして、国家公務員制度担当大臣としても、引き続き、障害のある方も含めた全ての職員が存分に能力を発揮できる環境づくりに努めてまいりたいと考えております。
 今回、大量採用させていただいて、各府省庁でまだスタートしたばかりであります。状況がどうなっているかについて、関係省庁などと一定の時期にやはり状況を把握してみるということが大事なのではないかなというふうに思っておりまして、相談の上で状況把握、まずしてみたいというふうに考えております。

○田村智子君 終わります。


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