国会会議録

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辺野古空撮に規制も 参院委 ドローン飛行禁止法案可決 田村議員が批判

 

 

 

 

 

(写真)質問する田村智子議員=16日、参院内閣委

 参院内閣委員会は16日、自衛隊施設や米軍施設、その周辺地域の上空で小型無人機(ドローン)の飛行を禁止する法案を自民党、公明党などの賛成多数で可決しました。日本共産党は反対しました。

 日本共産党の田村智子議員は同委員会で、同法案が「防衛基盤の維持、すなわち安保体制の維持」を理由に米軍施設・区域をドローン飛行禁止とし、沖縄県名護市の辺野古沖やキャンプ・シュワブ上空でのドローンによる撮影をやめさせ、報道の自由を制限するものと批判しました。

 田村氏は、辺野古の新基地建設に関連して2017年以降5回、文書で飛行自粛を要請し、中には米軍から要請を受けて行ったことまであったと指摘。「米軍が『航空上の安全』を理由にマスコミ各社にドローン飛行の自粛を求めている。この法案が成立したら、自粛ではなく規制できる」と批判しました。防衛省の田中聡地方協力局次長は「(ドローン規制は)個別具体的に指定し、どのように指定するかは米軍と協議する」と述べました。

 田村氏は、辺野古新基地の埋め立て現場の状況は地上からは見えず、赤土投入など国の違法な行為はドローンなどによる空撮で明らかになったと指摘。ドローン飛行を禁止することで「都合の悪い事実を日本政府と米軍が一緒に覆い隠そうとするのは許されない」と主張しました。

2019年5月17日(金)しんぶん赤旗より

 

【2019年5月16日 参議院内閣委員会議事録】

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 本法案によって、防衛大臣が指定した自衛隊施設、米軍施設及び区域、その周辺おおむね三百メートルの地域が新たにドローン規制の対象となります。当該基地、施設の管理責任者の同意がなければドローン飛行は禁止されることになると。このことに対して、既に指摘ありましたけれども、日本新聞協会や日本民間放送連盟からも報道規制につながるおそれがあるとの意見書が提出されています。新聞協会は、安全保障問題や自衛隊、在日米軍の活動、事故等は国民の関心が極めて高く、報道機関はこれに応える責務がある、防衛関係、あるいは周辺地域における事件、事故や地域活動を含め、取材活動を不当に制限することにつながるおそれが強いなど指摘していますが、私もそのとおりだと思います。
 質問時間の関係で、米軍基地に焦点を当てて質問いたします。
 これまでの委員会審議で、報道機関の取材活動を制限する意図は全くないという答弁や、米軍からは日本側の要請の趣旨を理解したとの回答を得ているなどの答弁が行われています。
 確認いたします。
 では、米軍に対して日本政府はいつどのような場でどういう要請を行ったのか、また、アメリカ軍からはどういう場でどのような回答が得られたのか、お答えください。

○政府参考人(田中聡君) お答え申し上げます。
 在日米軍施設・区域の敷地等及びその周辺おおむね三百メートルの地域の上空におきます小型無人機等の飛行に係る同意の申請がなされた場合、施設管理者である米軍は、当該飛行への同意、不同意について個別具体的に判断するということになります。
 防衛省といたしましては、米側に対しまして法律案の趣旨を踏まえて適切に同意の可否の判断を行うよう要請いたし、米側からは日本側の要請の趣旨を理解したというふうな回答を得ているところでございます。
 特に米側は、日本側の要請、三点ございますけれども、まず一点目、同意の可否の判断を行うに当たりましては、在日米軍施設・区域の安全確保と、それから報道機関が有する報道の自由とのバランスを図る必要があるということ。二番目に、在日米軍施設・区域の周囲おおむね三百メートルの上空における小型無人機等の飛行に係る同意の申請がなされた場合には、当該在日米軍施設・区域外における地域住民等、一般国民の権利にも配意した上で同意の可否の判断を行うこと。それから三点目でございますけれども、在日米軍司令部から各在日米軍施設・区域の管理者に対しまして小型無人機等の飛行に係る同意の申請について必要な指示を行うと、こういった三点につきまして日本側から要請を行ったところでございます。この要請に対しまして、米側からは理解を示しているというところが現状でございます。
 それから、今委員の方から、いつどのような場でというお尋ねがございましたけれども、これ以上の詳細につきましては、米側との関係もございますことから、お答えは差し控えさせていただきますけれども、防衛省といたしましては、今後とも、必要に応じまして米側と協議すること等によりまして、成立後の法律の適正な運用を図ってまいりたいというふうに考えております。

○田村智子君 そうすると、今の御答弁でちょっと一点確認したいんですけど、安全確保と報道の自由のバランスは取れるべきだと。そうすると、例えば、米軍機などが飛んでいない時間帯があり、飛んでいない場所があると、にもかかわらず、一律に排除がされていると、同意がされないと、これはバランスに欠いているということでよろしいですね。

○政府参考人(田中聡君) まさに、飛行の御申請と、同意の申請というものをいただいた上で、米側の施設管理者の方が個別具体的にその都度判断をさせていただくということになると思います。

○田村智子君 バランス取ってくれって要請しているんですから、今みたいなのはバランス取れていないとかの判断を日本側示さなきゃ駄目ですよ。ちょっと時間がないので、先に進みますけどね。
 それで、やっぱり焦点となるのは沖縄県のキャンプ・シュワブ周辺だと思います。米軍の運用上必要だからの一言でドローンの規制行われたら、とんでもないことだと思うんですよ。
 今も、キャンプ・シュワブに接する水域というのは五百六十一万八千平米ぐらいが臨時制限区域となっていて、海上、水中への立入りは禁止をされているんです。しかし、この臨時制限区域であっても、空中への立入りは今は禁止をされていないと。だから、現実に辺野古での工事がどう行われているかというののドローンの撮影が行われているわけですよ。
 では、この法案の成立、施行によって、キャンプ・シュワブとこの臨時制限区域、ドローン飛行規制の対象とされるのではないかと、こういう危惧が起こっていますけれども、いかがでしょうか。

○政府参考人(田中聡君) お答え申し上げます。
 キャンプ・シュワブも含めまして、個別具体的にどの在日米軍施設・区域を指定し、その敷地等をどのように指定するかという点につきましては米側と協議することとなりますが、これは法案成立後にその必要性を踏まえて判断するということになります。
 防衛省といたしましては、ドローンの普及や機能向上に伴い利活用が進展している状況にも配慮しながら、防衛関係施設に対する危険を未然に防止し、もって我が国を防衛するための基盤を維持するという法律の趣旨を踏まえまして、対象防衛関係施設の指定の必要性を精査し、真に必要な範囲を指定するという考えでございます。

○田村智子君 そのキャンプ・シュワブ周辺、ドローン飛行に対して、これまでも防衛省は沖縄のマスコミ各社に自粛要請しているんじゃありませんか。

○政府参考人(田中聡君) 沖縄におきます米軍施設・区域上空におけます飛行の自粛要請について申し上げます。
 過去三年間でございますけれども、調べましたところ、沖縄防衛局から沖縄県政記者クラブの各社に対しまして、キャンプ・シュワブの上空や沖縄県内の米軍機事故現場における航空機やドローンの飛行の自粛等につきまして、合計六回要請をしているという実績がございます。

○田村智子君 文書以外、口頭でも要請を行っているということなんですけど、その文書で出されたものは防衛省から昨日受け取りました。
 二〇一七年十月十二日に出された東村高江の米軍ヘリCH53の墜落事故に際しての要請文では、十分高度及び距離を取るなど安全に配慮した取材をお願いしますとあって、これは飛行の自粛ではないんですよ。一方、キャンプ・シュワブについては、五回全てですね、これは二〇一七年十月二十七日、十一月十七日、十二月八日、二〇一八年四月十日、八月十日、五回とも、航空機やドローンの飛行を控えていただきますよう御配慮方お願いいたします、飛行自粛の要請なんですよ。
 なぜ、キャンプ・シュワブについては安全配慮の要請ではないんですか。

○政府参考人(田中聡君) 今御指摘のとおり、平成二十九年十月十二日の沖縄県政記者クラブに対する要請というところでは、十分高度及び距離等を取るなど安全に配慮した取材をお願いしますという表現にしておりますが、その他の五件につきましては、航空機の安全上の理由から飛行を差し控えさせて、控えていただきたいという要請になっております。
 これは、当然理由はございまして、まず、東村高江の最初の事例でございますけれども、これは事故現場が施設外でございまして、航空機の飛行の安全確保という観点から航空機やドローンの飛行の自粛まで要請しなければならない状況ではなかったという理由から、事故現場上空における航空機及びドローンを使用した取材に当たっては、十分高度及び距離等を取るなど安全に配慮した取材をお願いしたというところでございます。
 他方、キャンプ・シュワブ上空における航空機やドローンの飛行に関する要請でございますけれども、こちらキャンプ・シュワブにつきましては、米軍の航空機、キャンプ・シュワブの上空でございます、につきましては、米軍の航空機が日常的に離発着しておりまして、当該施設の上空において航空機やドローンを飛行させた場合には米軍の航空機との衝突事故等につながるおそれがございます。このため、沖縄防衛局から県政記者クラブに対しまして、航空機の飛行安全を確保するために、キャンプ・シュワブの上空における航空機やドローンの飛行の自粛というものを要請したというところでございます。

○田村智子君 実際、四月十日、二〇一八年四月十日の文書には、キャンプ・シュワブ上空においてヘリコプター二機とドローンが確認されたとして、米軍から当局に対しこれらの航空機の飛行について潜在的危険性のあるものとして飛行の自粛の申入れがありましたと、アメリカ軍からの要請があったことを明記した上で、ドローンを含む航空機の飛行の自粛というのを要請しているんですよ。潜在的危険性ですからね、これも。
 つまりは、アメリカ軍から、航空上の安全、これ、こう言われれば、これはドローン飛行自粛の理由となるということでよろしいんでしょうか。

○政府参考人(田中聡君) お答え申し上げます。
 キャンプ・シュワブの上空というのは、当然のことながら、地位協定上、米軍の管理にあると、管理権がカバーされているという状況、場所でございます。
 その場所において米軍が自己の運用のために航空機を運用するということは、これ日常茶飯事にあることでございまして、その上空にヘリコプターですとか、民間のヘリコプターですとかドローンというものが飛んできた場合に、いわゆる潜在的危険性というものはあるというふうに我々も考えておりますし、まさにその施設管理者がその当時危険性があったというふうに認識したということで、我々がそういう連絡を受けたというところでございます。

○田村智子君 そうすると、今でも、米軍ヘリなどの航空上の安全、潜在的危険性の除去、これを理由に、報道目的が明らかであるマスコミ各社に対してドローン飛行の自粛を繰り返し要請しているんですよ、キャンプ・シュワブの周辺においてはね。
 この法案成立したら、今度は要請、お願いではありませんよ、法に基づいて禁止され、取締りができるわけです。そして、やっぱりこのキャンプ・シュワブ、その周辺の制限区域、ドローン規制の対象にならないとか、報道目的ならば辺野古沖のドローン飛行にも米軍が同意するとか、まずあり得ないと私には思えてならないんですけれども、いかがでしょうか。

○政府参考人(田中聡君) お答え申し上げます。
 先ほど来御答弁申し上げているとおり、キャンプ・シュワブを含めまして、個別具体的にどの在日米軍施設・区域を指定し、その敷地等をどのように指定するかという点につきましては米側と協議することになりますが、これは法案成立後にその必要性を踏まえて判断することとなります。
 防衛省といたしましては、ドローンの普及や機能向上に伴い利活用が進展している状況にも配慮しながら、防衛関係施設に対する危険を未然に防止し、もって我が国を防衛するための基盤を維持するという法律の趣旨を踏まえまして、対象防衛関係施設の指定の必要性を精査して真に必要な範囲を指定するという考えでございます。また、対象防衛関係施設に指定された場合におきましても、米軍の施設管理者が同意した場合には、小型無人機等を飛行させること、可能でございます。
 それから、防衛省といたしましては、米側に対しまして、法律の趣旨を踏まえて適切に同意の可否の判断を行うよう要請をいたしておりますし、今後もいたします。米側からは、日本側の要請の趣旨を理解したと回答を得たというのは先ほど申し上げたとおりでございます。
 防衛省といたしましては、今後とも、必要に応じ米側と協議すること等により、法律の適正な運用を図ってまいりたいというふうに考えております。

○田村智子君 最後、大臣にお聞きしたいんですけれども、この辺野古の埋立現場をなぜ問題にするかというと、何が起きているのかは地上からは確認ができないわけですよ。空撮によってしか現場の状況分からない。沖縄のドローンプロジェクトの写真や映像を私も見ました。ダンプに積み込まれている土砂はどう見ても赤土、土砂投入による海水の濁りは汚濁防止膜を越えて広がっているということも映像によって明らかなんですよ。
 この法案によってこうした都合の悪い事実を日本政府がアメリカ軍と一緒になって覆い隠そうとしているんじゃないのかと、こう言われても仕方がないような法案だと思うんですけど、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(山本順三君) 今回の法改正でありますけれども、近年におけるドローンの脅威の高まり、これを受けまして、我が国を防衛する基盤である防衛関係施設に対する危険を未然に防止することなどを目的といたしておりまして、今ほどお話ししたとおり、報道機関の取材活動を制限する意図がないことはこれまでも答弁をしてきているとおりでございます。本法案は委員御指摘のようなことを目的としているものではございません。
 その上で、報道機関による取材目的の飛行等、正当な理由のあるドローンの飛行については、施設管理者の同意等の手続を通じて飛行を認めることにより、法の規制目的と国民の権利、自由の調和を図ることとしているところでございます。
 適切な法の運用につきましては、本日、防衛省からも答弁しているとおりでございまして、私といたしましても、防衛省において、報道の自由の重要性、これを十分認識した上で、取材活動や国民の知る権利に配慮した適切な運用が確保されるものというふうに認識をしているところでございます。

○田村智子君 県民の意思を踏みにじって埋立て行われていると。それに対して、県民の監視の手段さえも奪うようなことは絶対にあってはならない。バランスと言いましたから、バランスを欠いて一斉排除なんというのは絶対認められませんからね。
 今後も質問していきたいと思います。
 終わります。


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