国会会議録

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自動運転安全性担保ない 田村智子氏 メーカーの義務化要求

 

 

 

 

 

(写真)質問する田村智子議員=11日、参院内閣委 

 日本共産党の田村智子議員は11日の参院内閣委員会で、自動運転を位置付けて、開発・実用化を進めようとする道路交通法改定案について、自動運転の安全性に担保がないと批判し、メーカーの安全運行の義務化を求めました。

 田村氏は、自動運転で運転者が守るべき事項を「読書やゲーム、テレビ視聴は認められるのか。どのような行為は禁じられるのか」と質問。警察庁の北村博文交通局長は、具体的に決めることは「適当ではない」として、「運転手が適切に運転操作を(自動運転から)引き継ぐことができるかどうかだ」が基準となると述べました。田村氏は「客観的な基準になりえない」と批判しました。

 田村氏は自動運転中の事故の責任について、「(車両の)製造者や自動運転装置のメーカーに対して安全に対する義務がもとめられる」と主張。北村氏は「運転者は自動運行装置を含む各種装置を確実に操作して、他人に危害を加えない方法で運転する必要がある」と答え、メーカーへの義務を規定しないと述べました。

2019年4月26日(金)しんぶん赤旗より

 

【2019年4月11日 参議院内閣委員会議事録】

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。現行の道路交通法は、あくまで運転者がハンドル、アクセル、ブレーキなどを操作して運転することが前提で、本法案は、初めてそれらの操作を装置が行う自動運転について法律で規定し、自動運転に当たって運転者が遵守すべき事項を定めるものです。
 その遵守事項というのは、一つに整備不良車両ではないこと、二つに車両が自動運行装置の使用条件を満たしていること、そして三つ目に、車両がこの二つを満たさなくなった場合、直ちにそのことを認知し、自ら運転できる状態であることと、こういう三項目ですね。自動運転中におけるドライバーの義務は、つまりは緊急時などにすぐに自分が運転できる状態であることということなんです。
 これ、具体的にどういう状態なのか、まずお聞きします。例えば、自動運転中に本を読む、スマホでゲームをする、テレビを見ている、後ろを向いておしゃべりをしている、これらは認められるんでしょうか。逆に言えば、どのような行為が禁じられるのか、お答えください。

○政府参考人(北村博文君) お答えをいたします。
 自動運行装置を用いて自動運転中に運転操作以外のどのような行為が認められるかということでございますけれども、これは自動運行装置ごと、すなわち車種ごとに国土交通大臣から付される使用条件というものがございます。それによって異なりますし、また、それぞれの自動運行装置の性能によっても異なることとなります。
 自動運行装置の性能によって異なるということにつきましてでございますが、例えばその一つには、自動運行装置がどの程度の猶予時間を持って条件外となるときに運転操作の引継ぎを運転者に要請するのかと、どの程度の時間的余裕があるのかということでありますとか、また、どういう方法、音声とか光とか振動によりましての引継ぎ要請、どういうような方法によって行うのか、それを受けて、それでは運転者はどのような状態であればそれを気付く、認知することができるのかというような自動運行装置のそれぞれの性能に応じて異なるということでございますので、先ほどお尋ねがありましたような本を読むのはどうか、スマホでゲームをするのはどうか、後ろの人とおしゃべりするのはどうかというような行為を類型化いたしまして、これを一律に、これはよろしい、これはいけませんというような形で説明をするということは誤っておりまして、誤解を招くことにもなりかねませんので適当ではないと考えております。
 しからば、どのような場合に自動運転中に運転操作以外の行為が認められるのかという判断基準になりますけれども、先ほど来申し上げておりますように、いわゆるレベル3の自動運転車と申しますのは、自動運行装置のそれぞれの使用条件を満たさなくなった場合に運転者が適切に運転操作を引き継ぐことができるかどうかというのが基準になります。
 これをもう少し具体的に申し上げますれば、一つには、自動運行装置から発せられる運転操作の引継ぎ要請にその運転者が確実に気付くことができるかどうか、二つには、これに気付いた場合にその運転者は直ちにハンドル等を適切に操作することができるような状態にあるかどうかということが基準になるところでございます。

○田村智子君 今の説明ですと、つまりは、安全技術ガイドラインにも自動運転の条件から逸脱した場合に警告音が鳴るなどの機能を自動運転運行装置に義務付けるというようなことを書かれていますので、それがどういうタイミングで鳴るかというのは機械上の問題です。
 じゃ、運転者の方はどうかというと、そういう警告音に気付ける状態ならいいと。直ちに反応できる状態だと自認していればいいんですよ、自分が。自分が反応できるんだと自分が決められるんですよ。だから、私が先ほど言ったような行為は恐らく排除されないんです。
 しかし、元々運転に集中していない状態で車に乗っていれば、これは眠気に襲われることはよくあることですよね。その状態で警告音が鳴ったときにすぐに本当に反応できるんだろうかと。パニックになる人も私はいるんじゃないだろうかと思いますね。
 意識ははっきりしているけれども、読書やスマホのゲームに集中していて運転から全く切り離された状態でいる人が、警告音を受けてすぐに装置の不具合に対応できるんだろうかと非常に危惧するんですけど、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(山本順三君) 自動運転中に運転者が居眠りをしたり、あるいはまたシステムからの引継ぎ要請に応えられないほど読書やスマホに没頭している場合、これは適切に運転操作を引き継ぐことができないと、交通の危険を生じることになるということはそのとおりだろうと思います。このため、このような行為は安全運転義務に違反するということになって、道路交通法上禁止をされているところであります。
 なお、自動運転装置からの引継ぎ要請に運転者が適切に対応することができるように、自動車メーカーや販売店、関係機関等と連携して、自動運行装置の種類ごとの使用条件、それから性能や運転上の留意事項について、これからしっかりと啓発に努めてまいりたいというふうに思っております。

○田村智子君 そうすると、ゲームはしてもいいけど集中しては駄目だと。これまた非常に客観的な基準になり得るんだろうかというように思うわけですね。
 今回の法改正では、運転中の携帯操作、自動車等に取り付けられた画像表示用装置、つまりテレビやナビですね、これを注視して交通の危険を生じさせる行為について罰則を強化します。運転中のながらスマホ、携帯ゲームによって死亡事故まで起きたことを考えれば、こうした罰則強化は当然の措置だと思います。ドライバーが運転から注意をそらすことのないよう、注意喚起や取締りが一層求められると思うんですね。
 ところが、自動運転の場合には、この安全運転義務の逸脱の典型であるながらスマホが禁止事項から外されるという規制緩和が行われるわけです。これ、私は大きな矛盾だと思いますが、大臣、いかがでしょう。

○国務大臣(山本順三君) 携帯電話使用等は交通事故防止の観点から対処すべき重要な課題と認識しておりまして、この度の道交法改正でも罰則を強化しているところでございます。
 他方、自動運行装置、これを適切に使用して自動車を運転する場合には、運転者が常に前方や周囲の状況を確認しハンドル等の操作を行うことが不要になるために、携帯電話の使用やカーナビ等の画像の注視を一律には禁止しなくとも安全上の問題はないというふうに考えているところでございます。
 したがって、同じ改正法案において罰則を強化する一方で携帯電話の使用等を許容することとしても、これ、それぞれの根拠に基づくものでございまして、その点については問題ないと思いますけれども、いずれにしても、我々は運転者が安全運転義務というのをしょっているということを自動運転下でもしっかりとそのことをアピールしていく、そのことが極めて重要であるというふうに思っております。

○田村智子君 今回認めようというレベル3は、自分の運転と自動運転を行ったり来たりするんですよ。それで、自動運転のときはスマホを使っていいというんですよね。
 私は、運転中の携帯電話の通話禁止でさえ、今もってドライバーに徹底しているとはとても言い難い状況だと思うんですね。だからこそ罰則も強化される。ところが、同じ法案で、ながらスマホもゲームもテレビを見ることも集中しなければ許可する、これは到底私には理解ができません。
 一定レベルの自動運転、自動操縦を実用化しているのは航空業界です。飛行機の飛行ルートは道路のように狭い範囲ではありません。障害物もない広い空間です。また、管制官によって離発着時の飛行ルートが指示されます。自動操縦は自動車の自動運転と比べても技術的難易度が格段に低く、だからこそ早くから実用化が進められてきたのだと思います。最新の航空機は、離陸から着陸まで全てオートパイロットで行うことができるともお聞きしています。
 しかし、その航空機でも、自動操縦システムの不具合が原因と疑われる重大事故が相次ぎました。ボーイング社の最新鋭機B737MAXの墜落事故です。二〇一八年十月インドネシア、今年三月エチオピア、乗客乗員全員死亡という悲惨な事故により、日本を含む各国で運航停止、禁止の措置がとられています。この事故原因の調査は現在進行形ですけれども、以前から離陸直後にMCASという自動制御装置の不具合が何人ものパイロットから指摘をされていたといいます。このMCASが誤作動を起こした、しかしこれを遮断する操作、操縦を引き継ぐ手順をパイロットが理解していなかったことが事故の原因ではないのかと報道されているわけです。
 自動車の自動運転を実用化した場合にも同じ問題が発生し得るのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(北村博文君) 航空機に起きて、発生した事故については詳細を承知いたしておりませんけれども、自動運行装置の安全性というものは道路運送車両法に基づいて確認されることとなってございます。
 具体的には、自動運行装置の保安上の技術基準として道路運送車両の保安基準が定められる、個々のシステムが保安基準に適合しているかどうかということにつきまして国土交通大臣が審査を行う、このことによりましてその安全性が確保されるということになってございます。
 これも所管外でございますので、恐縮でございますが、この点につきましては、国土交通省の自動車局が昨年九月に策定いたしました自動運転車の安全技術ガイドラインにおきまして、万が一自動運行装置が故障した場合であっても、一系統が停止しても他の系統で機能を維持する冗長性を確保すること、運転操作が引き継がれない場合には車両を自動で安全に停止させるミニマル・リスク・マヌーバーという機能が設定されることなどが自動運行装置にその安全性に必要な要件として記載されているところでございます。このように、適切に引き継がれない場合には安全に停止するという機械になっているということで安全を確保しようとしているのだと存じております。
 なお、自動運行装置からの引継ぎ要請に現実に運転者が適切に対応するということはもちろん必要でございますので、この点につきましては、自動車メーカー、販売店、関係機関等と連携いたしまして、自動運行装置ごとの使用条件あるいは性能、運転上の留意事項などにつきましては、ドライバーの啓発に努めてまいりたいと考えております。

○田村智子君 航空機だって、自動制御装置等々を含めて、それは法令上も絶対の安全というのを求めているはずなんです。それでもこういう事故が起きているわけです。
 パイロットは航空機ごとに免許が違って、機種ごとに免許が違うわけですよ、航空機ごとに。個別の機種ごとにその特性を把握することを求められています。また、飛行機の故障という究極状態への対応も日常的に訓練しています。実際の飛行は、飛行経験を積んだ操縦士と副操縦士、やっぱり複数によって行われる。それでも、自動操縦装置からの引継ぎが適切に行えないという事態は決してレアケースではないわけですね。事故にまで至らないケースは幾つもあるとお聞きします。
 訓練を受け経験を積んだパイロットでさえもうまくいかないのに、プロでもないドライバーが緊急時に引継ぎという適切な対応を行う保証があるのかどうか、これは大臣にお聞きします。

○国務大臣(山本順三君) 航空機のパイロットとの比較ということでございまして、我々もその航空機の技術的なレベルの中身については知る由もないわけでありますけれども、実際にあのような事故が起きているということだけは重く受け止めておかなければならないということを前提にして答弁させていただきたいと思いますけれども。
 いわゆるレベル3の自動運転においては、故障等の不具合が発生した場合にはシステムが運転者と運転操作を引き継ぐことを要請することになります。この引継ぎ要請を発する具体的なタイミングでございますけれども、国交省におきましては国際基準を踏まえつつ検討されるものと承知しておりますけれども、一般的な運転技能を有する運転者であれば十分な時間的余裕を持って対応することができるようにシステムから引継ぎ要請がなされることになるというふうに理解をしておるところでございまして、これ、何秒あれば十分に対応できるかという観点では、先ほども交通局長からお答えいたしましたけれども、国際連合欧州経済委員会の部会においても議論されているというふうに承知をしているところでございます。

○田村智子君 じゃ、確認しますが、レベル3というのは自動運転と手動運転の切替えが条件によって何度も行われることになるんですけれども、その特性を踏まえた自動車教習や免許制度の変更、見直し、これは行われるんですか。

○政府参考人(北村博文君) レベル3におきまして、自動運転と手動運転の切替えが何度も行われるのかどうか、頻繁に行われるかどうかということは、これは自動運行装置の性能等に応じて、それぞれの使用条件等に応じて異なるということでございますが、また、その自動運行装置を使用して運転するに際しましては、自動運行装置の使用条件を満たさなくなった場合に運転操作を運転者が引き継ぐことが必要になるということは御指摘のとおりでございます。
 ただ、実際にその引継ぎということでありますけれども、運転者は直ちに適切に対処できる状態にいるということが必要とされるのみでございますので、その後の運転行為は平素の運転操作と全く同じことでございますので、特に高度な技能等を必要とするものではないと考えておりますので、新たな運転免許でありますとか教習を創設する必要はないものと考えてございます。
 なお、先ほど申し上げましたけれども、自動運行装置からの引継ぎ要請に適切に対応するということはやはり必要でございますので、自動車メーカー、販売店、関係機関等と連携して、自動運行装置の種類ごとの使用条件、性能や運転上の留意事項などにつきましては啓発に努めてまいりたいと考えてございます。

○田村智子君 私は、それは機械の安全性に対する過信になるんじゃないかと本当に危惧するんですよね。どういう警告音が鳴って、そのときにどう対応するのか、そういう教習さえもやらないんだろうかと、本当に疑問に思いますね。
 次に、自動運転走行中に事故が起きた場合、事故の責任を誰が負うのか。これも先ほども質問ありました。
 法案では、やはり運転者が自動操縦のボタン等々を押すこと自体も操縦なので、やっぱり運転者なんですよ。運転者に責任なんですよ。しかし、自動運転というのは、車体の操縦の主体は装置ですよ。ハンドルを操作するのも、ブレーキ、アクセルを操作し、そのいろんな判断をするのも全部機械なわけですよね。私は、製造者や自動運転装置のメーカー、ここに対して安全に対する義務、これ求められると思いますが、この点、法案ではどう位置付いているんでしょうか。

○政府参考人(北村博文君) お答えをいたします。
 この度の道路交通法の改正におきましては、自動運行装置を使用するということも道路交通法上の運転に含まれるということを条文上明らかにいたしておりますので、この自動運行装置を使用して運転する者が道路交通法上の運転者であり、運転者としての義務、例えば道路交通法第七十条の安全運転義務を負うということになります。その結果、道路交通法第七十条に則して申し上げますれば、運転者は自動運行装置を含む各種の装置を確実に操作して、他人に危害を及ぼさない方法で運転する必要があるということになります。
 道路交通法におきまして、車両のメーカーについての義務を規定していることはございません。

○田村智子君 昨年三月、アメリカでウーバー・テクノロジーズの自動運転システムを搭載したボルボ社の車が歩行者と衝突し、死亡させる事故が起きました。車両に装備された自動緊急ブレーキ機能は歩行者を認知し、ブレーキを掛ける判断をした。しかし、ウーバー社は、自社のシステムにも緊急ブレーキ機能があることから、車両の方の自動ブレーキ機能が働かないようにしていたと。で、運転者は前方を見ていなかったために歩行者との衝突直前にブレーキを踏んだけれども間に合わなかったと。現にこういう死亡事故が起きているわけですね。
 過去、日本の自動車メーカー見ても、三菱自動車工業のトラックのリコール隠しをしたために、横浜市で母子三人を巻き込む死亡事故や、山口県でトラック運転手の死亡事故が相次ぐと。これ、部品の破損が相次いでいたのに、そのことを隠し、しかも、裁判で訴えられても企業側はユーザーの整備不良を主張し続けたわけですよね。この間、自動車業界では検査データの偽装も相次いで発覚しています。リコールの件数も増加傾向にあるわけですよね。私は、やはり製造者に対する責任ということを道路交通法の中でも明記をすべきだというふうに思います。
 時間が来たのでもう質問しませんけれども、やっぱりレベル3の自動運転を実現するためにとにかくイノベーションだと、世界のほかの企業と勝たなきゃいけないと、こうやって安全性を置き去りにして進めるようなことはあってはならないと、ここは大臣も恐らく同じことだと思いますけれども、そのことは求めて、質問を終わります。


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