(写真)質問する田村智子議員=28日、参院内閣委
日本共産党の田村智子議員は28日の参院内閣委員会で、パチンコが深刻なギャンブル依存症の原因になっているとして「パチンコが『遊技』だというなら、それにふさわしく換金を容認する仕組みを改める検討をすべきだ」と強調しました。
パチンコの出玉との交換で渡される特殊景品を買い取る「景品買取所」については、「窃盗被害や盗品処分の実態が認められない」ことを理由に古物営業法の対象外とされています。
田村氏は、特殊景品が盗まれたり、ネット販売されていた事例を示し追及。山本順三国家公安委員長は「(特殊景品については)盗品としての実態が認められない」と強弁しました。
田村氏は「古物営業法の対象になると、身分証の提示や商品売買の記録の保存などが求められ、パチンコ景品の換金がやりにくくなるから対象外にしているとしか思えない」と批判。景品買取所を使った「3店システム」は、警察庁保安部長の私的諮問機関がパチンコ客の「換金需要」をみたす「現実的な解決策」と結論付けたことで広がったことを明らかにし、「遊技だというなら、換金システムの規制を検討すべきだ」と求めました。
2019年4月1日(月)しんぶん赤旗より
【2019年3月28日 参議院内閣委員会議事録】
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
今回の法案では統計業務についての改定も行われ、古物営業の統計もその対象です。私は、この古物営業の取締り対象に大きな漏れがあるのではないかという問題意識を持っています。パチンコの賞品買取り所です。
昨年の内閣委員会では議員立法の審議のため国家公安委員長にお聞きできなかったので、改めて取り上げます。
賞品買取り所は、パチンコ賞品を客から買い取り販売するという営業をしています。個人の所有物の売買を営業とすることは、古物営業の許可がなければできません。なぜ賞品買取り所は対象外なんですか。
○政府参考人(小田部耕治君) お答えいたします。
お尋ねのいわゆるパチンコの賞品買取り所につきましては、古物営業の許可を取得する必要はないと認識しております。
古物営業法は、盗品等の売買の防止、速やかな発見等を図るため、古物営業に係る業務について必要な規制等を行い、もって窃盗その他の犯罪の防止を図り、及びその被害の迅速な回復に資することを目的としているところであります。
古物営業法のこのような趣旨に鑑みれば、窃盗等の犯罪の被害や盗品等の処分の実態が認められないパチンコの賞品につきましては、これを買い取ることについて古物営業法の規制を及ぼす必要は認められないと考えているところであります。
○田村智子君 賞品買取り所では盗品の売買は行われないと断定できるのでしょうか。
昨年、パチンコの賞品買取り所で発生した刑法犯認知件数と、そのうち強盗、窃盗の件数を示してください。
○政府参考人(小田部耕治君) お答えいたします。
平成三十年における景品交換所を発生場所とする刑法犯の認知件数は七十六件であります。このうち、強盗の認知件数は十件、窃盗犯の認知件数は四十件となっております。
○田村智子君 過去の報道を見ましても、交換価値が何百万、何千万円相当という特殊景品が盗まれ、起訴された事例が見られます。また、メルカリに特殊景品が出品され、マネーロンダリングのおそれありとして二〇一七年に運営側が出品禁止のルールを定めています。それでも、翌一八年十月にメルカリ等で出品されているという事例も私も確認しています。
窃盗等の犯罪の被害や盗品等の処分の実態が認められないとは言えないと思うんですけど、国家公安委員長、どうでしょうか。
○国務大臣(山本順三君) お答えをいたします。
御指摘の平成三十年における景品交換所を発生場所とする強盗及び窃盗犯の被害については、そのほとんどが現金でございまして、パチンコの賞品が窃盗等の被害品となっている実態は認められないと承知をいたしております。
また、パチンコの賞品につきましては、盗品等の処分の実態も認められないと承知しておりまして、このように、現在、御指摘のような実態は認められないところではございますが、今後とも、その実態を踏まえつつ、適切に対応するよう警察を指導してまいりたいというふうに考えております。
○田村智子君 今、特殊景品は地域で複数のパチンコ店が同じものを扱っていて、警察の指導でその買取り価格も同じになるようにされていると聞いています。ということは、どこで得た特殊景品かというのが分からないと思うんですね。
それで、今、特殊景品そのものの盗難、強盗は起きていないということでしたけれども、現に買取り所では、交換所では盗難事故が起きていて、じゃ、今後も特殊景品だけが盗まれないという保証があるのかと。そんなことないと思いますね。マネーロンダリングのおそれがあるという指摘もあるわけです。それでもなぜ景品買取り所を古物営業の対象としないのか、もう一度、公安委員長、お願いします。
○国務大臣(山本順三君) パチンコの賞品につきましては、先ほども御答弁したとおりでございますけれども、盗品等の犯罪の被害や盗品等の処分の実態が認められないことから、これを買い取ることについて古物営業法の規制を及ぼす必要は認められないものというふうに考えておりまして、お尋ねのいわゆるパチンコの賞品買取り所につきましては古物営業の許可を取得する必要はないというふうに承知をいたしております。
○田村智子君 古物営業法の対象になりますと、身分証明の提示が必要になる、商品売買の記録の保存なども求められる、そうするとパチンコ賞品の換金がやりにくくなる、だから対象外にしているんじゃないかなと私には思えてならないわけなんですね。
そもそも、この賞品買取り所というパチンコ換金システムがどうしてつくられたのか。一九九三年、警察庁保安部長、現在の生活安全局長の私的勉強会として国民生活の安全を守るための施策を研究する会が組織され、一九九六年にパチンコ営業の在り方についてという報告書を公表しています。この中で賞品問題として検討されたのが、換金需要を満たす方策なんですね。
パチンコ利用客の強い換金需要に十分な配慮をしないと暴力団などが関与する闇の換金が行われるという立場で、パチンコ店による現金提供まで検討したということがうかがえます。さすがにそれはできないと。そこで、賞品問題のまとめとしては、やむを得ない換金需要については、一定の条件の下に、第三者が買い取った賞品を営業者が買い取ることを認めることによって適正に満たすこととするのが現実的な解決策であると結論付けられたんです。この報告書を契機に、パチンコ業界でタブーだった換金問題が堂々と語れるようになった。報告書がお墨付きを与えたということになります。
改めてお聞きしたいんですね。賞品買取り所を使った三店方式というのは、つまりはパチンコ客の換金需要に応えるためのものなんでしょうか。いかがですか。
○国務大臣(山本順三君) 御指摘の勉強会における報告書につきましては、これに参加された部外の方々の見解が取りまとめられたものと承知しており、警察庁の見解ではないというふうな認識をいたしております。
その上で申し上げれば、客がパチンコ営業者から賞品の提供を受けた後、第三者に当該賞品を売却することもあるというふうに承知をいたしております。パチンコ営業者以外の第三者が賞品を買い取ることは直ちに風営法違反となるものではございませんけれども、営業者と実質的に同一であると認められる者が賞品を買い取る場合は、これは同法違反となる、このように認識をいたしております。
このように、パチンコ営業者と実質的に同一であると認められる者が賞品を買い取るなどの違法行為が認められる場合には厳正な取締りが行われるよう、引き続き警察を指導してまいりたいと思っております。
○田村智子君 風営法は、パチンコの出玉による結果を現金や換金性の高い有価証券に交換することを禁じています。賭博に当たるからです。そこで、換金需要に応える抜け道を風営法を所管する警察庁がパチンコ業界と一緒に考え出したのが三店方式だと言わざるを得ないんですね。これ、私的勉強会と言いますけれども、いわゆる政府から諮問を受けた勉強会ではないけれど、警察の今後の政策を検討するための勉強会であったことは間違いがないんですよ。
こういうやり方でどれだけのギャンブル依存症を生み出してしまったのかと。これ、ツイッターなど見ても、パチンコ依存を断ち切るためのつぶやきというのは本当にたくさん見られます。財布にお札を見付けたが、パチスロ店を何とか通過成功。子供が生まれて、やっとパチスロ地獄から抜けるため、借金返済に向かう。禁パチ三十五日目成功。禁パチというのは、パチンコをやらないの三十五日目ということですね。パチンコ負けで付き合っていた人に借金を申し込んだら別れを告げられ、もうこれ以上、借金で何も失いたくない。幾らでもありますよ。
警察は、パチンコは賭博ではない、遊技だと言う。一方で、深刻なギャンブル依存症は圧倒的にパチンコが原因で、そのことが今改めて大きな問題になっているんです。遊技だと言うのなら、それにふさわしく、換金を容認する仕組みをどう改めていくのか、これ改めて検討が必要だと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(山本順三君) 先ほど申し上げましたように、パチンコ営業者以外の第三者が賞品を買い取ることは、これ、直ちに風営適正化法違反になるものではございませんが、営業者と実質的に同一であると認められる者が賞品を買い取る場合は同法違反となり得るものと認識をいたしております。
このような、営業者と実質的に同一であると認められる者による賞品の買取り等の違法行為が認められる場合については、警察において厳正な取締りが行われているものと認識をいたしておりまして、引き続き警察において厳正な取締りが行われるように指導してまいりたいというふうに思っておりますし、また、パチンコ依存症については、この委員会でもいろいろと議論させていただきましたけれども、我々としても、様々な対応をするべく努力をしておるところでございます。
○田村智子君 限りなく同一ですよ、限りなく同一ですよ、今の賞品買取り所は。いつまでそれを温存するのかということを改めて厳しく指摘しておきたいと思います。
三月六日に提出されたギャンブル等依存症対策推進基本計画案には、パチンコ営業所内に設置されているATM及びデビットカードシステムの撤去を推進とあります。パチンコ店内のATM撤去、これは私も本委員会で要求したことでもありますので、これ、今後どのように撤去を進めることを検討しているのか、お答えください。
○政府参考人(小田部耕治君) お答えいたします。
ギャンブル等依存症対策推進基本計画案におきましては、パチンコ業界におきまして、平成三十一年度中にパチンコ営業所内のATMの撤去に向けた検討に着手し、その結果に基づき順次撤去を推進することとされているところであります。
基本計画策定後におきましては、パチンコへの依存防止対策として掲げられた取組についてしっかりと推進されるよう、業界を指導してまいりたいと考えております。
○田村智子君 確実に撤去が進むように是非お願いしたいと思います。
この基本計画案では、パチンコにおける取組に換金システムに関するものは何もないんですね。まあ温存されていますからね、本当に残念です。しかも、ギャンブル等依存症により不幸な状況に陥る人をできるだけ少なくする必要性が指摘される中という記述が見られるんですよ。これは警察庁がお取りまとめになったものの中にあるんですね。
不幸な状況に陥る人が生まれることが前提で、それをできるだけ少なくしましょうというのは、これは余りに弱腰で、遊技だと言っているんですから、そんな不幸な状態に陥る人は出さないんだという、そういう姿勢を明らかに持つことが必要だと思うんですけど、いかがでしょうか。
○国務大臣(山本順三君) 当然のことながら、ギャンブル等依存症対策においては、ギャンブル等依存症により不幸な状況に陥る人をなくし、健全な社会を構築するため必要な取組を徹底的かつ包括的に講じることが重要であるというふうに認識をいたしております。
パチンコへの依存防止対策としても、基本計画案においては、広告、宣伝の抑制を始めとした様々な強化策が盛り込まれているところであり、こうした施策が総合的に推進され、不幸な状況に陥る人がなくなるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
参議院の内閣委員会におけるギャンブル等依存症対策基本法案に対する附帯決議におきまして、本法がギャンブル等依存症により不幸な状況に陥る人をできるだけ少なくするためのものであるとされていることを踏まえているところでございまして、不幸な状況に陥る人がなくなるように、私としてもしっかり取り組んでまいりたいと思っております。
○田村智子君 本当に、パチンコを遊技とするためにどうするのかということを警察には本当に真面目に考えていただきたいと思うんです。やっぱり様々な犯罪の温床になっている、何よりギャンブル依存症で本当に苦しむ人がパチンコでたくさん生み出されている、これが問題になっているときだから、これまでやった研究会で三店方式というのを一緒に編み出しちゃったという経緯あるかもしれない、天下りとかいろんな利権とかも絡んでいるのかもしれないですけど、だけど、いつまでそこにしがみついているのかということだと思いますよ。
本当に、例えば、私、古物営業法になぜこだわるかというと、やっぱり賞品を買い取って売ったら、それは古物営業ですよ。そうだという対象にすれば、身分提示が求められれば、じゃ、ちょっとそういうやり方、換金のやり方はやめようかなと思う人出てくるかもしれないじゃないですか。何かそうやって、ギャンブルではない遊技だと、その遊技としての健全性というものがちゃんと担保できるようなやり方というのをもう考えなければならないときに来ているんだと思うんです。
そのことを強く申し上げて、質問を終わります。