(写真)質問する田村智子議員=6日、参院内閣委
日本共産党の田村智子議員は6日の参院内閣委員会で、天皇が即位する日と「即位礼正殿の儀」の日を休日とする法案について政府の姿勢をただしました。田村氏は「天皇の即位する日を休日とすることには賛成」と述べました。4月末から5月上旬の10連休によって非常勤職員では4、5月の減収が7万3500円に上るなどの事例を示し、市民生活に大きな影響を与えることを指摘しました。
田村氏は、国会の全政党会派の議論と意見の取りまとめを踏まえ、「天皇退位法」が成立した経過に触れ、日本共産党が国民主権を原則とする日本国憲法にのっとり、国民の理解を得て行われるよう繰り返し求めてきたと指摘。「代替わり」の進め方や儀式なども全ての政党会派の意見を反映し、国民的な合意を形成して行うべきだと申し入れてきたと述べました。
田村氏は「代替わり」の儀式が国会での議論もなく4月3日に閣議決定されたと批判。政府が一連の儀式で明治憲法下の「登極令」を踏襲し、宗教的儀式である大嘗祭(だいじょうさい)を国費負担にしていることに対し「国民の納得を得られない」と批判しました。
2018年12月12日(水)しんぶん赤旗より
【2018年12月6日 参議員内閣委員会議事録】
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
天皇の即位をお祝いする日として休日を設けることは賛成です。全ての政党会派が、私どもも含めて一致しているところだと思います。
ところが、衆議院内閣委員会では附帯決議が行われ、本委員会でもやはり附帯決議が準備されています。附帯決議が行われるというのは、懸念事項があって政府の対応を求める場合がほとんどなわけですね。五月一日を休日とすることで国民の休日に挟まれるという理由から四月三十日、五月二日も休日となり、前例のない十連休。附帯決議は、この十連休が市民生活や経済活動に与える影響への懸念からのものです。
私も、十連休と聞いてまず心配になったのは、先ほども御質問ありましたけど、日給月給で働く方々のことなんですね。以前、私、ある省庁で働くシングルマザーの非常勤職員の方に、別のことでお話を伺っていたんですよ。そのときに、ゴールデンウイークのことに話題が行きまして、休日が増えるというのは収入がそれだけ減るので本当に大変なんだと、特に四月、五月というのは収入が減る一方で子供は出かけたがる、これどうしたらいいのかと毎年憂鬱になるんだということをお聞きしていたんです。だから、十連休と聞いたときに、その方の顔がまず浮かんだわけですよね。
実際、ある期間業務職員、国の省庁で働く方ですね、その方にお聞きしますと、日額の単価は大体一万五百円ほどなんだそうです。例年の四、五月は二か月合わせて平常月よりもやっぱり四万二千円ぐらい減ってしまうと、それが来年は、平常月と比べて、二か月分ですけれども、七万三千五百円もの減収となってしまう。国家公務員というのは非常勤職員も兼業禁止ですから、これ、ただただ二か月分の七万三千五百円は、とにかく節約してしのぐというふうにせざるを得なくなるわけですよ。
また、逆に、サービス業や自営業の方というのは、休んでいられないということが起きてきます。そうすると、小さな子供さんを抱えておられる家庭では、今までだったらおじいちゃん、おばあちゃんのところに何とか見てもらっているのが、十連休ですから、じゃ、子供どうするかということも、これ大変今から心配だという方がおられるというふうに思うんですね。
行政機関、金融機関は、休日は休業とすることが法令で定められていますから、市民生活に与える影響も決して小さくはありません。
官房長官にお聞きしたいんですけれども、やはり天皇の即位というお祝い事、これは私たちも全然反対しません。このようにこのお祝い事が国民の中に広範な懸念を生じさせてしまっているということが残念でならないわけですよ。官房長官はこのことをどう受け止めておられるのか、お考えをお聞きします。
○国務大臣(菅義偉君) 国民の皆さんへの十分な周知に努める、また、国民生活に支障が生ずることがないよう関係府省がよく連携して政府として万全を期してまいりたい、このように思います。
○田村智子君 いや、避けられない影響なんですよ、その日給月給の方は。どうしようもない状態になってしまっていますので。これは、そうやって官房長官はおっしゃられたので、何らかの手だてを省庁も、じゃ、考えるのかなという期待をしてしまうんですけれども、本当に、影響が少なくなるようにというのであれば、そういう手だてを尽くしていただきたいというふうに思います。
ただ、やっぱり現に懸念が広がっていると。これは国民に分かりやすい議論がなされていないということが私は大きな問題だというふうに思うんです。
天皇の代替わりについては、昨年、時間を掛けた合意形成が国会の中で行われました。全ての政党会派の代表が衆参正副議長の下で会議を持ち、その議論と意見の取りまとめを踏まえて内閣が天皇の退位等に関する皇室典範特例法案を国会に提出、さらに、国会の審議を経て、全会一致で成立いたしました。この特例法に基づいて代替わりが行われるということになったわけです。
我が党は、この会議の中でも、また記者会見などでも示した見解でも、国民主権の下での象徴天皇の退位、そして即位が、日本国憲法にのっとり、国民の理解を得て行われるようにということを繰り返し求めてまいりました。法律ができた後も、代替わりの進め方、儀式等も、内閣が一方的に決定するのではなくて、特例法と同様に、国会の全ての政党会派の意見を反映して国民が合意できる内容にすべきだということを政府にも申し入れいたしました。
ところが、大変残念なことに、国会の中での議論もないままに、今年四月三日、退位と即位に関する国の儀式等が閣議決定されて、この閣議決定に基づいて本法案の提出となったわけです。
なぜ、特例法のときのように、国民の代表たる国会に代替わりの進め方についてなど意見を求めることにしなかったんでしょうか。官房長官、お答えください。
○国務大臣(菅義偉君) 今委員の発言にありましたように、皇室典範特例法の成立過程においては、各党各会派、国民の代表たる立法府の主体的な取組が必要であるとの認識で一致され、衆参正副議長による議論の取りまとめが行われたというふうに承知しております。政府は、この議論の取りまとめを厳粛に受け止め、その内容を忠実に反映をさせて法案を立案したところであります。
また、天皇陛下の御退位及び皇太子殿下の御即位に伴う式典については、政府において、平成に行われた式典の実例や皇室制度に詳しい有識者から聴取した御意見なども踏まえて、式典準備委員会において慎重に検討を行い、本年四月三日に閣議決定した基本方針において、憲法の趣旨に沿い、かつ、皇室の伝統等を尊重したものとすること、平成のお代替わりに伴い行われた式典は現行憲法下において十分な検討が行われた上で挙行されたものであるから、今回の式典についても基本的な考え方や内容は踏襲をされるべきである、こうした基本的な考え方を定めたところであります。
いずれにしても、政府としては、天皇陛下の御退位と皇太子殿下の御即位に関する式典が国民がこぞってことほぐ中でつつがなく行われるよう、準備に万全を期していきたい、こう思います。
○田村智子君 本当に残念なんですよ。その式典準備委員会というのは、私もホームページで確認しましたけれども、メンバーは全員政府の方なんですよね。有識者からもヒアリングやったというんですけれども、三人の方からの意見を受けただけなんですよ。
それで、今、平成のときの儀式を基にということなんですけれども、そうなんですよね、最初からもう平成のときの儀式が言わば基になって、それで、何というんですかね、その平成の儀式を進めたときに問題となったことはないだろうかというようなことの議論にとどまっているわけですよ。
しかし、その、じゃ、平成のときの儀式というのは何を基にしたんだろうかというふうに調べていくと、これは明治憲法の下で作られた登極令という、その儀式を定めたものに基づいて行われたということで、これは明治憲法下とやっぱり今の憲法とでは天皇と国民の関係も全く違いますし、じゃ、それを踏まえたものが平成の儀式で、その平成の儀式を踏まえたものが今回の儀式でというので本当にいいんだろうかと。だから、私たちは議論を、必要じゃないですかということを提起していたわけなんですよ。
大体、即位される日というのは、もう四月三十日が退位の日ですから、即、即位ということで五月一日なんですけど、そのお祝い、お披露目というんでしょうか、その日が十月二十二日と五か月以上も空くんですね。平成のときには、確かに亡くなられてから即位で、それは喪に服す期間があったということもあって期間が離れたというふうに思うんですけれども、海外で考えてみても、王室が即位をされて戴冠式とかを五か月後にお披露目なんというのは、これなかなか考えにくいことなんですよ。何でそうなるのというのが、私は、国民に対してこれなかなかもう説明のいかないようなことになっていると思うんですよね。
いろいろ見てみると、大嘗祭との間隔のものだというのが式典準備委員会の中では議論されているようなんですけれども、では、その大嘗祭というのは、これはもうマスコミでも大きく取り上げられるような議論になっているわけで、これは国事行為としないけれども国費負担とすると、これもまた納得のいく説明にならないわけですよね。大嘗祭というのは本当に神様を体の中に入れるという儀式だから、これは国事行為にできないというふうに、政府の側もそういう判断をしたんだというふうに思うんですけど、じゃ、そことくっつけてお披露目の日をセットするというのはどうなんだという議論にやっぱりなってしまうわけですよ。
だから、やっぱり、国家神道、現人神としての天皇という時代と国民主権、政教分離が大原則の時代で即位に関する儀式が同じでよいのかということはちゃんと議論が行われるべきだと思います。やはり、広く国民が納得いく形でお祝いができるようにいま一度儀式等については検討してはどうかと、国会にも意見を求めてはどうかと思いますが、官房長官、いかがですか。
○国務大臣(菅義偉君) まず、明治憲法を基にということは違います。現憲法の趣旨に沿って皇室の伝統等を尊重したものにする、さらに、平成のお代替わりに伴われた式典は現憲法下において十分な検討が行われた上で挙行されたものであるから、今回の式典においても基本的な考え方や内容は踏襲をされるべきである、そういう考え方の中に基づいて、まさに憲法の趣旨、皇室の伝統を尊重しながら、今回、方向性を決めさせていただいたということであります。
○田村智子君 元々、神話に基づくような儀式というのが、私たちは、天皇家の、まさに天皇家の伝統的行事として、儀式として行われる、これは天皇家が決めることであるから、これは別に私たちが何か言うということではないというふうに思うんです。
ただ、やっぱり国がお金を出す、あるいは国事行為として行うというものが、今、官房長官はちゃんと憲法との関係で検討を行ったと言うんだけれども、どんな検討が行われて、それでどういう意見があって、そこがどう解決されたのかということは分からないわけですよ。だから、議論が必要でしょうって。政府の考え方を示していただいて、私たちの考え方も述べて、それで議論して納得いく形で合意つくっていくという、その過程が必要だというふうに思うわけです。
まだ実際にいろんな儀式が行われるまでには間がありますから、是非本当にそういう努力を尽くしていただきたい。是非本当に、何かこういうことで賛成、反対とか本当はやりたくないわけですよ、やり方を、そういうふうな分断を生まないようなやり方を政府はやるべきだということを改めて申し上げて、質問を終わります。