○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
私立高校の学費負担について質問いたします。
今年度の新入生から、低所得者世帯の高校生には就学支援金が増額されることとなりました。ところが、保護者の学費負担は支援金の増額分が反映していないという指摘があります。全国私学助成をすすめる会と全国私立学校教職員組合が共同で調査を行い、四月十八日その結果を記者会見されています。資料でもお配りをいたしました。
国の施策の拡充を受けて新たに低所得層への支援を拡充した県等がある一方で、独自の補助制度を廃止又は減額した都道府県が多数に上ることが分かりました。県の単独補助、減免制度を削減したために、年収三百五十万円未満の世帯の学費負担が変わらないということが明らかになったのは、これ調査の結果だけでも十五道府県に及びます。
こうした問題については、就学支援金の法案審議の際にも指摘がされ、また四月の本委員会でも民主党議員から指摘がされていました。
文科省はこうした実態を把握されておられますか。
○政府参考人(前川喜平君) 平成二十六年度の入学生から私立高校等の就学支援金の加算が拡充されることを踏まえまして、文部科学省におきましては、各都道府県が授業料減免事業等をどのように見直しているのか実態を把握するため、この四月七日に調査を依頼しているところでございます。現在、回答を回収しているところでございまして、その結果につきましては、まとまり次第公表したいと考えております。
○田村智子君 調査の結果を見ますと、岩手県、沖縄県では県の減免制度を新入生から廃止をしています。今新入生ですけど、来年は一、二年生、その次は三年生、このままでは二年後に全面的な廃止になってしまうんじゃないかということが危惧されるわけです。
また、都道府県の私立高校生に対する減免制度の予算、それを見ると、三十二道府県が結果として減額になっている。削減幅が大きい順に、山梨、沖縄、栃木、茨城、福島、愛媛、秋田、熊本、これ、二割以上の予算の減額ということになっています。
大臣、こうした実態をどのようにお考えになりますか。
○国務大臣(下村博文君) 高校無償化制度の見直しによりまして、本年四月に入学する生徒から就学支援金の加算が拡充されたことを踏まえまして、これまで都道府県において授業料減免に充てていた財源は、低所得者層への更なる支援や中間所得層の支援に充て、家庭の教育費負担の軽減を図っていただきたいというのは当然の考えであります。
このため、昨年十二月と本年三月に、都道府県に対し、現在実施されている高等学校の生徒等への経済的負担の軽減や教育条件の維持向上に係る事業等を拡充するなど、支援の充実に引き続き努めていただきたい旨要請をいたしました。
御指摘のこの調査は、全国私教連が各都道府県ホームページの情報、聞き取りに基づいてまとめたものと承知しておりますが、先ほど局長から答弁をさせていただきましたように、文部科学省としても、結果取りまとめ次第公表したいと考えております。
○田村智子君 この低所得者層への就学支援金の拡充は、高校授業料無償化を廃止し、公立のですね、公私立高校とも就学支援金の支給に所得制限を設けるということと言わば引換えに行われたものです。
それだけに、本委員会の附帯決議には次のような内容が盛り込まれました。「所得制限の導入により捻出される財源については、公私間格差の縮減や、奨学のための給付金の創設など教育費負担軽減施策に確実に用いること。そのために、平成二十六年度予算はもとより、今後の予算編成を通じて最大限の努力を行うとともに、その財源が地方公共団体によって確実かつ継続的に就学支援の拡充のために使われるよう、強く要請し、毎年その状況について調査・確認を行うこと。」と。
先ほど大臣が答弁されましたように、実態把握を行って公表すると、これ大切だと思うんですけれども、私は、それにとどまらず、就学支援、減免制度、この制度を後退させた都道府県については、国の施策の趣旨を徹底をして、補正予算を組むなどして今年度中にも授業料の負担の軽減が実態として図られるよう、これ強く要請を行うべきだと思いますが、大臣いかがですか。
○国務大臣(下村博文君) 今回の高校無償化制度の見直しは、低所得者支援を充実し、実質的な教育機会の均等を図るものでありまして、都道府県でもこの趣旨を踏まえて家庭の教育費負担の軽減を図っていただきたいと考えております。ただし、授業料減免制度については既に充実した支援を行っている都道府県もあり、今回の見直しに当たっては、授業料減免制度の充実だけでなく、その他の経済的負担の軽減策等についても併せて考慮しなければならないとも考えております。
いずれにしても、今回の調査結果を公表するとともに、必要に応じて都道府県に対して支援の更なる充実について要請してまいりたいと考えております。
○田村智子君 是非、強く要請をお願いしたいと思います。年収が二百五十万円未満の世帯で保護者の負担変わっていないなんという現状が現にありますので、是非お願いしたいと思います。
今回の国の就学支援金は、生活保護世帯及び年収二百五十万円未満の世帯については年二十九万七千円としています。ところが、授業料がこれよりも低いと授業料相当分のみとなってしまいます。一方で、施設整備費の負担は軽減がされません。この調査によりますと、十四県で私立学校の授業料の平均額が二十九万七千円に達していないということから、相当数の低所得者世帯が国の就学支援金の基準額に届かずに学費負担をしているということが推測をされます。保護者や私学関係者からは、施設整備費も対象とした学費補助制度とするよう繰り返し要望が寄せられています。
就学支援金制度の補助対象を授業料だけではなく施設整備費を含めた学費として、少なくとも年収二百五十万円未満の世帯が、二十九万七千円はこれ学費として超えているんだったら、その二十九万七千円が受け取れるように、その分が減額されるようにというような施策の拡充が図られるべきだと思うんですが、大臣、検討をお願いしたいんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(下村博文君) 今回の就学支援金は授業料に着目した視点での、今までの年収二百五十万以下の私立学校等における就学支援金加算を二倍から二・五倍にして、御指摘のように二十九万七千円にしたという経緯がございます。
私立学校における授業料以外の教育費については、国として平成二十六年四月以降に入学した低所得世帯に対する授業料以外の支援として、これと別に、御承知のことだと思いますが、返済不要の奨学のための給付金制度を創設をいたしました。これで該当させるということで、施設整備についてもここでフォローするということでありますが、今までもこの教育研究活動等の基盤となる施設設備費の整備支援は国として行っておりますが、これを更に拡充をしていくことを今後とも国としては検討課題にしていきたいと思います。
引き続き、全ての意志ある子供たちが家庭の経済状況にかかわらず高等学校における教育を受けることができるよう、私立学校における教育費負担の軽減に努めてまいりたいと思います。
○田村智子君 これ、保護者にとっては、授業料なのか施設整備費なのかは本当関係なく一括で払っているものですから、是非、学費全体の負担軽減が図られるよう、更なる施策の拡充をお願いしたいと思います。