○田村智子君 次に、子ども・子育て新システムについてお聞きします。
保育料の徴収については、公定価格に上乗せして徴収をすることを可能とする検討がされています。教育標準時間で三歳以上の子供を受け入れる幼稚園の場合は、そもそも公定価格は設定されませんし、私学の独自性ということから、上乗せ徴収はあり得ると思います。しかし、保育認定を受けた子供が入所する施設の場合は問題が生じてきます。
〔委員長退席、理事熊谷大君着席〕
二号、三号認定の施設型保育と小規模保育への入所は自治体による利用調整が行われる、これは処分性を持つとされています。待機児童の多い自治体では、どの保育所や認定こども園あるいは小規模保育等に入所させるか、これ実態としては自治体が決めるということになります。そうすると、結果として自治体によって上乗せ徴収が保護者に強制されるということにはならないか、厚労省、お願いします。
○政府参考人(石井淳子君) お答え申し上げます。
まず、私立保育所が保育料の上乗せ徴収を行う場合には、現行制度と同様に、保護者と市町村が契約をして市町村からの委託を受けて保育を実施する施設でありますので、保育所から委託者である市町村にあらかじめ協議をして同意を得ることを求めているものでございます。それに対しまして、認定こども園については、市町村からの委託ではなくて施設と保護者が契約をして保育を提供する施設であることから、市町村に対する協議は求めておりません。ただ、当然のことながら、上乗せ徴収の有無は、これは保護者の施設選択に関わる大変重要な要素でありますので、その徴収に当たっては、保護者に対して事前に丁寧に説明をして同意を得ることを求めることといたしております。
また、市町村による利用調整でございますが、これは保護者の希望を聞いた上で実施することとしておりまして、その前提としまして、上乗せ徴収の有無、その額あるいはその徴収する理由、これを含めた施設に係る情報を行政がまとめて公表を行いまして、保護者に分かりやすく提供することにいたしております。
したがいまして、このように情報の提供を徹底していくことで、認定こども園が上乗せ徴収を実施する場合でありましても保護者に強制をすることにはなるわけではないと考えているところでございます。
○田村智子君 徴収の理由をあらかじめ開示し、保護者に説明、同意を得るということなんですけれども、これは何千人という子供たちを入所決定をしていくと。そのときに一つ一つ、じゃ、ここの上乗せ徴収はこういう金額になりますがここはどうでしょうかなんという利用調整を自治体がやるなんというのは、まず不可能なことだというふうにしか思えないわけですね。納得と同意が必要だと、上乗せ徴収は。
それでは、上乗せ徴収について、払えないあるいは納得できないと、利用調整してあなたはここに行きなさいと、そこの保育施設が上乗せ徴収があると、それ納得できないというような理由で異議の申立てというのはできるのでしょうか。
○政府参考人(石井淳子君) お答え申し上げます。
保育認定を受ける子供の場合、認定こども園を含めて全て市町村が利用調整を実施することとされているため、その結果に対して保護者の異議がある場合は異議申立てを行うことは可能であると考えております。先ほど議員もおっしゃったように、利用調整は行政不服審査法の不服申立ての対象となります処分性を有しているというふうに考えられております。
ただ、利用調整は保護者の希望を聞いた上で行うものでありまして、仮に希望している施設に入所できない場合は、他に空きがあれば改めて希望を確認をした上で再度利用調整を行うことが想定されますので、実際問題としまして、この異議申立てに至るケースは通常はないのではないかなというふうに考えているところでございます。
○田村智子君 これは実際に進んでいくと市町村に大きな混乱がもたらされかねないんですね。現在も制度上は認可保育所、上乗せ徴収できるということになっているんですけれども、これは市町村の同意が前提であって、実際には行われていないというふうに聞いています。やっぱり、市町村が絡んで入所決定する場合に、保育所によって保育料が違うということは、これは公正性の問題があるということからだと思うんです。
今、子ども・子育て会議に配付された資料を見ますと、認定こども園についてこうあるんです。教員配置の充実、高処遇を通じた教員の確保、設備更新の前倒し、平均的な水準を超えた施設整備などのため上乗せ徴収することを検討していると。認定こども園の場合、幼稚園として入る子供さんと保育として入る子供さんがいて、例えば施設費みたいなのを幼稚園の子供さんからだけ取る、教育の子供さんからだけ取るということにならなくて、これ全体、保育として利用する方についても請求することになってしまうというふうに思うんです。
この上乗せ徴収は施設の判断だと、このことを理由に保護者から異議申立てが行われ、例えば再度調整を行えということになっても、これは市町村としては、決めるのは施設の判断ですから、なかなか納得ができないということになっていくと思うんです。上乗せ分が負担できないなら、払えないなら措置制度の活用という説明も受けたんですけれども、もう一点聞きたいんですが、自由価格である上乗せ徴収について、じゃ、それを払えないからと市区町村が負担できるのでしょうか。
○政府参考人(石井淳子君) 上乗せ徴収につきましては、保育認定を受ける子供についても、施設が徴収理由をあらかじめ開示をして保護者に説明、同意を得た場合は可能としているところでございますが、やはり低所得者世帯を始めとする地域の子供が円滑な教育、保育の提供が可能になるような提供体制の確保対策としまして、低所得者等の利用が排除されないように、例えば公立施設の活用とか、あるいは児童福祉法に基づく措置制度の活用など、制度の実施主体である市町村における運用上の対応についても検討しているところでございます。
その措置に要する費用でございますが、国が二分の一を負担することになりますが、このような市町村における運用上の対応と併せて、上乗せ徴収に係る費用の取扱いにつきましても今後検討してまいりたい、かように考えているところでございます。
○田村智子君 以上のことを踏まえて大臣にお聞きしたいんですけれども、新制度の下でも市町村には保育の実施義務があると、これは大臣が野党時代にそうやって法を修正させたからそうなったんですよね。公定価格も保護者の負担も自治体が定めることになっています。ところが、この上乗せ徴収ということが入ってくると、事実上、施設の判断で保育料が自由価格になりかねないわけですよ。
今お話があったように、じゃ、上乗せ分、措置で払えるかと。払えないということになれば、上乗せ徴収のあるところの保育所というのは貧困家庭は入れない、こういう貧富の格差を保育の中に持ち込むことにもなりかねなくなっていくわけです。保育についての上乗せ徴収というのは、こう考えるとやはり本来行うべきではないというふうに私は思います。せめて今の認可保育所の制度と同じように自治体の同意が前提であると、上乗せをやる場合には、それぐらいの規制はせめてすべきだと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) この制度の経緯は委員もよく御承知のとおりで、初めは幼保連携型認定こども園という考え方ではなくて、民主党さんがお考えになられておられたそういう制度であったわけであります。その中において、やはり保育というものは、これは直接契約ではなくて、やはり自治体とそれから利用者の契約であるというふうに我々がそれを強く申し上げて、そういうふうに保育所の方は変えさせていただきました。ですから、今も民間保育園と自治体との委託契約ということになっております。
ですからこそ、今の上乗せ徴収、これに関しましては、まず協議していただいて、同意がなければこれは認められないということになっておるわけでありますが、元々直接契約という立て付けの制度であったわけでありまして、認定こども園には直接契約、つまり施設と利用者の直接契約ということが残っておるわけであります。となれば、これに対して、自治体が上乗せ徴収に対して協議、同意というわけにはなかなかいかぬわけでございます。
ただ、一方で、御承知のとおり、徴収するときにはちゃんとその使途の目的といいますか、それからあと金額、さらには徴収の理由、こういうものを説明して御本人から、親御さんから同意をいただくと、こういうことになっておるわけでありまして、そのために都道府県等々がその追加徴収も含めて、上乗せ徴収も含めてどういうものがあるかということを情報開示をしっかりやっていただくと。その情報開示されたものを利用者の方々が御覧をいただいて、その上でどの保育所を選ぶか、認定こども園を選ぶか、それを御判断をいただいて、それを出していただくわけであります、自治体に。そして利用調整をするということでございますので、そのような形の中においてそれぞれ利用される方々が御判断をいただくと、こういうことになっておるわけであります。
○田村智子君 是非見直しを求めていきたいと思います。
〔理事熊谷大君退席、委員長着席〕
最後に、認定こども園の三歳児以上は、学級編制基準三十五人学級と、職員の基準はないが一クラスを担任一人で受け持っているところが少なくありません。一方、保育所は三歳児で二十対一、四歳児以上でも三十対一という保育士配置で、例えば三歳児の年少クラスでは、三十五人ぐらいを二人の保育士で受け持つというところが多く見られるわけです。学級編制基準を保育所の配置基準に合うよう変更すべきではないかと思いますが、少なくとも公定価格の支給基準で規制を行うべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(前川喜平君) 幼児期の教育は、義務教育段階と比較いたしまして幼児の発達の個人差が大きいということ、また幼児の状況を十分に踏まえた活動を行う必要があるという特性がございます。また、幼児教育の主要な担い手でございます私立幼稚園を含めまして、各幼稚園でその教育方針を生かした活動が行えるようにすることが求められているわけでございます。
このため、現在、幼稚園におきましては、園としての教育方針や幼児の状況に応じて、三十五人を上限といたしまして学級を編制しつつ、担任以外の教諭を活用したチーム保育でありますとか少人数学級の編制など、多様な形態で実施が行われているというところでございます。
認定こども園の三歳児以上の教育につきましても、こうした幼稚園における取扱いを踏まえまして、一学級の幼児数の上限を三十五人としつつ、各園において少人数学級やチーム保育など、幼児の状況等に応じてそれぞれ創意工夫を凝らした活動が行えるようにすることが重要であると考えております。
子ども・子育て支援新制度におきましては、こうした考え方に基づきまして、学級編制の上限は現在の三十五人学級を維持した上で、より手厚い教員配置やチーム保育等を行うことができるように、これに要する費用について、公定価格により財政措置するということとしておりまして、各園における活動を確実に支援できるものと考えております。
○田村智子君 終わります。