国会会議録

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残業代不払い 是正を 田村智子議員 国家公務員の実情指摘

(写真)田村智子議員

 

 

 

 

 日本共産党の田村智子議員は、22日の参院内閣委員会で、超過勤務命令がないことを理由に国家公務員の不払い残業が事実上合法化されている問題をただしました。

 田村氏は、人事院が行った各省庁別在庁時間のサンプル調査をもとに試算した年間在庁時間と、実際に支払われた超過勤務手当の時間数とで大きな乖離(かいり)があることを示しました(乖離は厚労省で約160時間)。

また霞ケ関国家公務員労働組合共闘会議の残業実態アンケートで「超過勤務手当が全額支給されている」との回答が半数程度であり、「100時間を超える残業が3カ月続いたのに、30時間程少なくされた」などの記述もあると指摘し、「実態として不払い残業があるのではないか」と迫りました。宮腰光寛担当相は「超過勤務命令に従い、超過勤務手当を支給することとなっている」と答弁。

田村氏は、「勤務時間内に終わらないような仕事量を与えながら、もう帰りなさいと言えば、手当は払わなくてよいことになる」と厳しく批判。政府が民間事業所に対して、残業時間の適正な申告を妨げてはならないことなどをガイドラインで示していることも指摘し、同様の措置をとるべきだと人事院に求めました。

2018年11月27日(火)しんぶん赤旗より

 

【11月22日参議員内閣委員会 議事録】

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 私も、国家公務員の働き方改革について、まず質問いたします。
 人事院は、人事管理に関する報告書で、超過勤務の縮減に取り組んでいく必要があるとしています。しかし、その内容を見れば、これでどうやって超過勤務が縮減できるのか、極めて疑問です。
 超過勤務命令を行うことのできる上限として、現在は指針で月四十五時間、一年三百六十時間、他律的な業務の多い職員に対しては一か月百時間かつ年七百二十時間等と定めていて、これをそのまま人事院規則とする方向です。しかも、ただし書で、重要法案の立案等公務の運営上やむを得ない場合にはこの上限を超えることができるとあります。
 さきの通常国会で、民間事業所での時間外労働について、労使協定があっても超えることのできない上限を百時間未満とする法規制が行われました。私たちは、これも過労死ラインをはるかに超えるもので、到底認めることはできないと断固反対をいたしましたが、国家公務員についてはこの百時間未満という規制さえも行わない、これで超過勤務の縮減になるのでしょうか。

○政府特別補佐人(一宮なほみ君) 国家公務員につきましても、職員の健康保持や人材確保の観点等から長時間労働を是正する必要があり、超過勤務を縮減するために、民間労働法制において設けられた時間外労働の上限時間や現行の超過勤務の縮減に関する指針における超過勤務の上限目安時間を踏まえて、超過勤務命令の上限時間を設定することとしたものでございます。
 一方で、公務においては必要な行政サービスの提供を中止するということはできないものですから、大規模な災害への対応や重要法令の立案、重要な国際交渉など、重要性、緊急性が高い業務に従事しなければならない職員には、この上限を超えて超過勤務を命ずることを認めることとしております。
 一方で、上限時間を超えて超過勤務を命ずる場合には、その超過勤務を必要最小限にとどめるとともに、健康確保に最大限配慮しなければならないとすることとし、上限を超えて超過勤務を命じた各省各庁の長に対しては、その要因の整理、分析を行う義務を課すこととしています。
 さらに、一か月について百時間以上の超過勤務を行った職員等に対しては、職員からの申出がなくとも医師による面接指導を行うことを義務付けるとともに、職員からの申出があった場合の面接指導につきましても、その対象となる超過勤務時間の基準を一か月について百時間から八十時間に引き下げるなどの措置も講ずることとしております。
 各府省においては、検証を行った結果も踏まえ、業務の削減又は合理化に取り組むなど、超過勤務の縮減に向けた適切な対策を講じていただく必要があると考えております。
 公務における長時間労働の是正については、政府全体で連携しつつ取り組んでいくことが必要であり、本院としても、必要に応じて制度の運用状況を把握し、各府省を指導していくなど、引き続き適切に役割を果たしてまいりたいと考えております。

○田村智子君 災害などの非常事態は、労働基準法も労働時間規制の対象外とする条文があるんですよ。民間企業でも、例えばクライアントの都合だとか要求だとか、あるいは海外の事業所と関連する仕事など、他律的な業務というのは山ほどあると思うんです。それでも、他律的であっても繁忙期であっても、時間外労働は百時間未満、これを超えてはならないと規制をしたわけですよね。重要法案の立案等公務が自然災害と一緒じゃ駄目だと思うんですよ。これは人為的努力によって縮減が可能な範囲のはずであると思うんです。そういう人為的な努力によって長時間労働にならないような措置ができると、そういうものであっても百時間を超えて天井なしで超過勤務が命令できてしまう、そういうことになってしまうんでしょうか。

○政府特別補佐人(一宮なほみ君) 重要な法令には、臨時、緊急に措置をしなければならないものもあるため、職員がそうした法令の立案に従事する場合も公務の運営上真にやむを得ない場合に含まれていると考えておりますけれども、これが必要以上に拡大されて解釈することがないようにはしたいと思っております。

○田村智子君 私も、霞が関国家公務員労働組合共闘会議の勤務実態アンケート、これ毎年行われているものを読みまして、その中で国会対応での待機だとか、早朝、深夜の勤務に国会との関係でなっているという記述が幾つもあって、本当に胸が痛むわけです。過労死ライン超えるような働き方をさせては駄目なんだということを閣僚にも各党議員にももっと徹底しなければならないと、本当このアンケートを読んで思いました。
 不誠実な資料や答弁が出てくれば、それは資料要求や説明レクの回数どんどん増えちゃいますよ。深夜、早朝になるということはありますよ。強引な議会運営は、当然質問レクを遅らせるということにもなりますよ。もちろん平時であっても、私たちは、ちゃんと質問レク早め早めに終わらせて、超過勤務にさせないようにという努力がもっと求められると思うんですけれども、こういう公務上やむを得ないというような規定で、曖昧な規定で天井なしの超勤命令をこれ許してしまったら、そのことを徹底するという努力もこれまたちゃんと取られていかないというふうに思ってしまうわけです。
 だからこそ、月百時間超の勤務命令、これは容認してはならない、こんな内容を人事院規則とするようなことはあってはならないと、このことを厳しく申し上げておきたいと思います。
 そもそも、国家公務員の場合、超過勤務の時間は客観的な把握もされていないと、このことも大問題です。
 民間事業所に対しては、厚労省が示している労働時間適正把握のガイドラインで、タイムカード、ICカードなどの客観的な記録によって勤務時間の開始と終了時間を把握することを原則としています。その上で、自己申告制を取る場合にも、自己申告のルールを示しています。例えば、自己申告が適正に行われているかどうか実態調査を実施すること、あるいは、残業時間に上限を設けて、上限を超える申告を認めないなど、労働者の適正な申告を阻害してはならないことなどですね。
 それでは、各省庁ではどうか。タイムカードやICカードなど客観的な記録による始業・終業時刻の把握を原則とし、これを実施しているのかどうか、内閣人事局、お願いします。

○政府参考人(植田浩君) お答えいたします。
 国家公務員につきましては、人事院規則等に基づきまして、出勤簿や勤務時間報告書等により勤務時間管理を行っているところでございます。他方、民間につきましては、委員御指摘のように、使用者が自ら現認すること、ないしタイムカード等の客観的な記録を基礎とすることを原則としつつ、措置を講ずるということと承知しております。

○田村智子君 これは、置いているってまず聞いたことがないんですよね。先ほど、御答弁の中で、例えば月百時間超の超過勤務をやった場合には本人の申出がなくとも医師面接義務付けられるという御答弁あったんですけど、ということは、客観的な記録がなかったらこれ実施できないわけですよ。客観的に把握しなければならない義務があるはずです。
 ところが、現実には、例えば厚生労働省、お聞きしましたら、出勤すると出勤簿に判こを押すそうです。そして、超過勤務はその都度、一枚紙の在庁時間管理簿というのに記入をして、それを一々上司のところに提出をして、それで上司の承諾を得るというやり方だというふうにお聞きをしたんです。まあ今どきこんなアナログなやり方というのは本当に驚くわけですけれども、そもそも忙しいから超過勤務になるわけで、その忙しい人がわざわざ紙に書いて上司のところに願い出る、本当に非現実的なことなんですよ。不合理なんですよ。
 先ほど御紹介した霞国公のアンケートでは、超過勤務手当が残業時間のとおりに全額支給されているというふうに回答したのは五二・六%にとどまっています。残業時間の六割未満しか払われていないとする方は一割近くあって、自由記述の欄には、三か月連続で残業百時間超え、産業医の面談の対象となるため、勝手に三十時間ほど少なくされたという記述さえあります。また、上司が、超過勤務手当の予算が足りない、こうやって言い触らすと、そうすると申告もしづらいと。一旦職場の電気が消されてから戻ってきて仕事をする、こういう方も少なくなくおられるということもお聞きしているわけです。
 大臣にお聞きします。国家公務員には、実態として未払の超過勤務があるということになるんじゃないでしょうか。

○国務大臣(宮腰光寛君) 長時間労働を前提とした働き方を改め、しっかり休んで集中して働き、限られた時間で成果を上げる生産性の高い働き方へと変えていくことは、官民共通の重要な課題であると考えております。
 国家公務員の超過勤務は、公務のための臨時又は緊急の必要がある場合において、正規の勤務時間以外の時間において勤務することを命ぜられたとき、この超過勤務命令に従って行われるものであります。この超過勤務命令に従い、勤務した時間に対して超過勤務手当が支給されることというふうになっております。

○田村智子君 言及避けているような答弁なんですけどね。
 資料をお配りしましたので、見ていただきたいんです。
 人事院は、各省の在庁時間というのをサンプル調査を行っています。これは一週間当たりの時間ですので、これは四十五時間で掛けてみました。通年換算、一年間で大体五十二週で、そこから、夏と冬の休みの期間とかゴールデンウイークとか、これを考えますと、少なめかなと思いつつ四十五を掛けてみたわけですけれども、それと国家公務員の府省庁別総超過勤務時間数、これはつまり超勤手当が払われたものから計算されたものということになりますけれども、この結果を一覧にして比較をしてみました。
 そうすると、各府省で在庁時間と超過勤務手当の支給時間、大きな乖離があります。例えば、平成二十八年、在庁時間のサンプル調査、内閣府は、一週間当たり九・八時間、年間に直すと四百四十一時間、同じ年、実際に手当が払われた時間数を見てみますと四百二十・五時間。厚労省、もっとひどいですね、在庁時間年間五百二十六・五時間、ところが手当が支払われた分は三百六十四・五時間。
 人事院、この乖離をどう考えますか。

○政府参考人(合田秀樹君) お答えいたします。
 委員御指摘の人事院が把握しております在庁時間でございますが、これはサンプル調査といたしまして、各月の第一週の一週間につきまして、全本府省の各局の一つの課に所属する超過勤務手当支給対象職員の在庁時間を調査し、年度単位で集計したものでございます。
 一方、お示しの総超過勤務時間数の方でございますが、これは国家公務員等給与等実態調査という人事院が行っている調査を基に算出されているものと承知しますけれども、これは、この調査の対象となっております全職員のうち、一月から十二月までの全期間において超過勤務手当の支給対象となっていた全職員について、一年間の超過勤務手当を集計して算出したというものでございます。
 御説明しましたように、在庁時間のサンプル調査とそれから平均年間超過勤務時間数とは調査対象等が異なっておるから、両者を単純に比較することはできないと考えておるところでございますし、また、国家公務員の超過勤務は、公務のため臨時又は緊急の必要がある場合において正規の勤務時間以外の時間に勤務することを命ぜられたとき、この命令に従って行われるものでございまして、在庁時間には超過勤務時間とそれから食事等業務外の時間も含まれ得るというところでございますから、必ずしも一致しないものであるというふうに認識をしております。

○田村智子君 私も在庁時間がそのまま勤務時間だとは言いませんよ。だけど、百時間以上もの乖離があるんですよ。これ、ずっと私も人事院とも内閣人事局ともやり取りしているんですけど、命ぜられた以外はたとえ職場に残って仕事をしていても超過勤務ではないという、この平行線なんですよ、ずっと。
 そうすると、命令がなければ超勤ではなく手当も支払われない。管理者が勤務時間内にとても終わることのできないような仕事を与えていながら、もう帰りなさいよとか勤務時間内に終わらせてよと言い続ければ超勤命令になりませんから、そうすればこれ不払残業が合法化されることになってしまうと思うんですよね。大臣、それはおかしいと思うんですけど、どうですか。

○国務大臣(宮腰光寛君) 先ほど御答弁申し上げましたとおり、超過勤務命令に従い勤務した時間に対して超過勤務手当が支給されることとなっております。
 なお、平成二十九年四月からは、超過勤務を実施する際にその理由や見込み時間等を上司が把握するなど、超過勤務の適切な管理の徹底に取り組んできております。
 国家公務員の長時間労働を是正するため、また職員の健康確保の観点からも、勤務時間管理を適切に行うことが重要であります。今後、人事院において勤務時間管理の適切な方法について定めるものと承知しておりまして、その内容を踏まえた上で、人事院や各府省と連携しつつ検討を行ってまいりたいというふうに考えております。

○田村智子君 答弁がかみ合っているのかどうかがよく分からないんですけれども、とにかく、民間事業者に対しては、例えば、もう残業手当を出すだけのお金がないから、だからもう残業やっていてもカウントしないよなんてことはやってはならないわけですよ。適正な申告を妨げることはやってはならない、こうやってガイドラインで示しているんですよ。ずっともう私たちのやり取りでは、とにかく超勤命令を出してくれと、実際に働いているんだったら後からでも超勤命令出してくれということを言い続けるので、だったら人事院、せめて民間に示しているガイドライン並みのことを改めて言うべきだと思うんですよ。
 不払超勤というのはあっては駄目なんだと、実際に働いた時間に基づいて超勤手当は支払わなければならないと、その際、請求できる条件を設けるなど適正な申告を妨げるものであってはならないと、こういうことをしっかり示すべきだと思いますが、いかがですか。

○政府参考人(合田秀樹君) お答え申し上げます。
 国家公務員の超過勤務手当は、先ほど、公務のため臨時又は緊急の必要がある場合において正規の勤務時間以外の時間に勤務することを命ぜられたとき、この命令に従い職員が勤務するというものでございます。
 公務における長時間労働を是正し、職員の健康を確保していくためには、職員の勤務時間を適正に把握し管理していくことが重要であるというふうに考えているところでございます。このため、今般講ずる措置の中では、課室長等による超過勤務予定の事前確認や、所要見込み時間と異なった場合の課室長等への事後報告を徹底するということにしております。
 また、超過勤務時間につきましては各府省において適切に管理していただくべきものでございまして、人事院としても、今般の制度化によって適切に措置を講じてまいりたいというふうに考えているところでございます。

○田村智子君 今日、ちょっと障害者のこともお聞きしたかったんですけど、時間がなくなっちゃったので、一点、もう一回、済みません、先ほどの答弁の中で私聞き落としたのかもしれないんですけれども、こうした超勤手当ちゃんと払うということと、それから百時間超えたら医師の面接をちゃんとやらなければならないということで、客観的な把握、これはもう絶対的な条件だと思うんです。これは、在庁時間イコール勤務時間というふうに私しろとは言いませんが、午前中にもありましたけど、コンピューター開けたらもう始業だと、あるいは閉めたら終業だと、こういう客観的な記録については今後やっていく方向なのかどうか、これはもう一回ちょっと、内閣人事局、お答えください。

○政府参考人(植田浩君) 国家公務員の長時間労働を是正するために、また職員の健康確保の観点からも、勤務時間管理を適切に行うことが重要と考えております。
 今後、人事院において、本年八月の人事院報告を踏まえまして勤務時間管理の適切な方法についての定めがあるものと承知しておりまして、その内容を踏まえた上で、人事院や関係府省と連携しつつ検討していきたいというふうに考えております。

○田村智子君 客観的な記録ができる方向で検討するということでよろしいですね。

○政府参考人(植田浩君) お答えいたします。
 繰り返しになりますけれども、人事院からの定めがあるものと承知しておりまして、その内容を踏まえた上で、人事院や関係府省と連携しつつ検討していきたいということでございます。

○田村智子君 それじゃ、ちょっと人事院の方にも確認したいんですけれども、先ほど御答弁総裁からあったように、本人の申出がなくても百時間超の場合には医師面接が必要だというところまで規則の中に入れるわけですよね。ということは、それは客観的な記録がなければできないことになると思うんですよ。客観的な記録を行う方向であると、そういうふうに人事院は検討しているということでよろしいですか。

○政府参考人(合田秀樹君) お答え申し上げます。
 先ほど総裁から申し上げましたように、百時間以上の超過勤務を行った職員に対しては、本人から申出がなくても医師の面談等を行うということにしておりまして、その時間数の把握が必要になってまいりますので、課室長等による超過勤務予定の事前確認ですとか、所要見込み時間と異なった場合の課室長等への事後報告を徹底するとともに、超過勤務時間の確認を行う際には、課室長と周囲の職員等による現認等を通じて行うものとし、客観的な記録を基礎として在庁の状況を把握している場合には、これを参照することもできるようにすることというのを考えているというところでございます。

○田村智子君 時間ですので一旦終わり、また続きやりたいと思います。


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