国会会議録

国会会議録
片山氏疑惑 会計責任者の実態追及 参院委 田村智子議員が質問

(写真)質問する田村智子議員=15日、参院内閣委

 

 

 

 

 

 日本共産党の田村智子議員は15日、参院内閣委員会で、片山さつき地方創生相が自身の資金管理団体「山桜会」の会計責任者をでっちあげたとされる疑惑を追及しました。

 片山氏は14日に、就任後3度目となる政治資金収支報告書の訂正を行っています。

 田村氏は、会計責任者とされる男性(N)が赤旗日曜版の取材に対し、「名前を使われた」「(会計責任者であることを)知らない」などと述べた事実を示し、会計責任者としての実態を追及。訂正された報告書は「Nさんが作成し印鑑も本人が押したのか」と迫りました。

 名義人の了承なしに印を使っていたとすれば有印私文書偽造、同行使の疑いもあります。

 片山氏は「本人の承諾の下、会計責任者に就任し適切に義務を果たしている」とした上で、訂正は事務代行者が行い、「(N氏に)了承してもらい」預かった判を押したと「説明」しました。

 田村氏は「やりとりとの整合性がない。納得できる説明じゃない」と批判しました。

 さらに田村氏は、山桜会の報告書と、片山氏が代表を務める政党支部の報告書で会計責任者の判が「入れ替わって」押されている実態を示し、「政党支部も同様に、片山事務所に印鑑を預け、全部代行しているのではないか。実態として会計責任者の名義貸しだ」と批判しました。

2018年11月16日(金)しんぶん赤旗より

 

【2018年11月15日参議員内閣委員会 議事録】

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 片山大臣に政治資金の問題でお聞きをいたします。
 昨日、片山大臣が代表を務める政治団体が三度目となる政治資金収支報告書の訂正を届け出ました。このうち、政治資金管理団体である山桜会についてお聞きをいたします。これ、山桜会についてお聞きしますのでというふうに事前に昨日お伝えもしていますので、私の質問のほとんどは事実確認ですから、端的にお答えいただきたいと思います。
 山桜会は、政治資金収支報告書を、十月三日、十一月二日、そして昨日十四日、訂正を行っています。いずれも会計責任者Nさんの印鑑が押されているわけですね。たくさん押されているわけです。
 しんぶん赤旗日曜版十一月十一日号では、この会計責任者とされるNさんに直接の取材をいたしましたところ、自分は会計責任者だということを知らないというふうにお答えをされたことを報道いたしました。
 七日の予算委員会で、小池晃議員がこのことを示して、片山大臣に質問をいたしました。大臣は、このNさんに事情を聞いたとして、非常にびっくりして、一切自分は知らない、存ぜぬのようなことを言ってしまったと説明をして、この赤旗編集局にNさんの名前で送付された文書を次のように読み上げました。二〇一三年六月七日、山桜会発足に伴い会計責任者を引き受けました、その際、私の代行、括弧、片山事務所秘書に印鑑を預けました、会計責任者としての任務は適正に遂行しておりました、御署名入りですと。これ、大臣の答弁のとおりだと思うんです。
 では、十月三日、十一月二日、そして昨日訂正された収支報告書は、このNさんが作成をし、印鑑も本人が押されたのですか。

○国務大臣(片山さつき君) まず、この度の政治資金収支報告書の訂正につきましては誠に申し訳ないと思っておりまして、その上で今委員の御質問にお答えいたしますと、実務につきましては、そちらの方に事務代行が書いてありますように、事務担当者が実務を行っておりまして、その上で、このNさんにきちっと内容を御理解いただいて、Nさんからお預かりさせていただいている判こを押してこのようなことに至っておるということでございます。
 以上でございます。

○田村智子君 そうすると、山桜会の領収書や会計帳簿は大臣の事務所に保管されているということですか。

○国務大臣(片山さつき君) いろいろな会計の資料等は、私どもの方の事務所の事務代行が預かっているものもございますし、Nさんのところのもあると思います。
 以上です。

○田村智子君 今回の訂正も含めて、訂正のための作業というのは、いつどこで行われたんでしょうか。これもやはり山桜会の所在地である議員会館の片山事務所ですか。

○国務大臣(片山さつき君) 委員御指摘のとおり、山桜会の所在地が私どもの議員会館になりますので、主な作業としてはその所在地ではないかと思います。

○田村智子君 では、このNさんはどうやって、その内容を御理解いただいてというふうにおっしゃられたんですけれども、Nさんはどうやって、それらの収支報告の報告書をまとめることも訂正することもどのように確認をされているんですか。

○国務大臣(片山さつき君) 報告書の今回の訂正の中で山桜会に係るものは平成二十八年六月十六日の全国宅建政治連盟からの寄附一件五十万円のみでございましたので、こちらにつきましては、訂正作業は、まあ一件でございますから、その上に、こういうことでこういうことがございましたということで御了解を先生にいただいて、判こを押して訂正したというふうに聞いております。

○田村智子君 収支報告書のコピーなりなんなりをお見せしているということなんですか。それとも、来ていただいて確認作業をしているということなんですか。

○国務大臣(片山さつき君) この一件につきましては、お送りをして、こういうことでということでだったというふうに聞いております。電話、メール、やり取りを含めて、様々な手段でちゃんと御説明をした上で了承していただいております。

○田村智子君 訂正だけでなく、収支報告書をまとめるには様々な領収書等を確認しなければなりませんよね。そういう収支報告書をまとめるときにはNさんはいらしているということなんですか、片山さんの事務所の方に。

○国務大臣(片山さつき君) 済みません、最初に訂正のことをおっしゃったんで、訂正はこのとおりでございますが、年度の収支報告を作るとなりますと時間も掛かりますし、膨大な領収書、あるいはいろいろなものの確認になりますので、主な作業は事務代行の者が行い、都度都度先生に御相談をし、全体を見ていただくというようなことと理解をしております。
 以上でございます。

○田村智子君 今御説明のように、このNさんが会計責任者の任務を本当に遂行していたならば、赤旗記者とNさんとのやり取りが非常に不可解になるんです。
 赤旗日曜版十一月十八日号は、今日辺りから配られる新聞なんですけれども、約十五分間のやり取りを詳しく掲載いたしました。
 赤旗の編集部が初めて男性に連絡をしたのは、Nさんのことです、五日だと、十一月五日。翌六日午前十一時五十三分頃、着信履歴を見た男性、Nさんですね、から記者の携帯電話に連絡が入りました。記者、片山先生のところの会計責任者をしていると思いますが。男性、私はやっていませんよ、後援会のメンバーで、今は解散していますというふうにお答えになっている。さらに、記者が、全国宅建政治連盟から寄附金が五十万円ありますがと聞くと、この男性は、宅建業界が入るような組織じゃないと答えた。この五十万円の寄附というのは、先ほどお話のあった、まさに山桜会が二〇一六年分の収支報告の記載漏れがあったとして訂正したものなんですよ。それ、知らないと答えているわけであります。
 さらに、記者が山桜会の収支報告書に年間四千万円超のパーティー券収入があるということを話すと、Nさんは大変驚き、自分が入っていたのは別団体ではないのかと自ら記者に説明を始めるわけです。会長は仙台の会社の人です、代表なんて本人、つまり片山さん御本人です、がなるわけない、違う会じゃないですか、会員は二十人くらい、毎月の会費はなく、年間一万円だと。これを聞いたので、記者の方は今度は、山桜会の収支報告書には個人の寄附はゼロ円ですと、別の団体ですかねと。Nさんは、だと思うけどと。
 更にやり取りは続きます。会計責任者としてのお名前が一三年から間違いなくある。Nさん、使われたんじゃないの。記者、会計責任者をしていただきますという話はなかったですか。Nさん、ないよ、どういうふうになって書類、つまり男性名での訂正願まで出たのか知らないと。
 これらのやり取りは責任を持ってしんぶん赤旗が掲載しているものです。とても驚いて、その場のごまかしで、言わば動転して知らないと言ってしまった、そんな会話にはとても聞こえないんですけれども。
 改めてお聞きします。Nさんは会計責任者として、領収書の徴収義務、保管義務、会計帳簿作成、保管義務、政治資金報告書の提出など、政治資金規正法によって直接課せられた義務を本当に果たしておられるんですか。

○国務大臣(片山さつき君) 政治資金団体、私の政治資金団体としての山桜会は二〇一三年六月七日に発足しまして、その際、お尋ねの男性Nさんは、御本人の承諾の下、会計責任者に就任をしておりまして、会計責任者としての適切に義務を果たしていると承知しております。
 また、委員からもお話がありましたように、Nさんの署名入りのコメントとして、二〇一三年六月七日、山桜会発足に伴い会計責任者を引き受けました、その際、私の代行、括弧、片山事務所秘書に印鑑を預けました、会計責任者としての任務は適切に遂行しておりますというのが出ておりまして、それに尽きることではないかと思います。
 以上です。

○田村智子君 大臣が指摘されたその書類というのは、赤旗が片山大臣の事務所に、こういうやり取りを会計責任者のNさんと行いましたが、どうですかという確認を取った途端に送られてきたものなんです。Nさんとは、それじゃどういうことなんだと、食い違うじゃないかということで赤旗の編集部は一生懸命連絡を取り続けていますが、一切電話に出られなくなってしまいまして、いまだ私たちは確認を取ることができない。文書一枚だけ送られてきて、それが本当にNさんが作られたものなのかどうかも、何しろ印鑑は片山事務所にあるんですからね、それもよく分からない。とても納得のできる説明じゃないですよ。
 私が今読み上げた、もう記事になりますのでね、片山大臣もお読みいただけると思いますけれども、このやり取りと先ほどの文書と、これ全然整合性がないと思いますが、どうですか。

○国務大臣(片山さつき君) まだ配付されてないかどうかは存じなかったんですけれども、その印刷版になったものは私どもも拝読させていただいておりますが、その上で、御本人ともお話しした上で、山桜会が政治資金管理団体になって発足した二〇一三年六月七日に、そのお尋ねのNさんは御本人の承諾の下に会計責任者に御就任されておりまして、会計責任者として適切に義務を果たしているものと我々は承知しておりまして、先ほどの訂正の件につきましても、ファクス、電話等できちっとやり取りをして、今回の修正は山桜会は一か所でしたから、そういうことでございますので、それに尽きるところでございます。
 以上でございます。

○田村智子君 昨日提出された三回目の訂正、これ、山桜会で訂正箇所ないと言っているんですけど、二〇一四年収支報告書、これ、改めてたくさん印鑑を押されて提出されているんですね。これの二ページ、六ページ、九ページには、会計責任者の印鑑が別の人の名前のものになっているんですよ。政党支部と後援会の会計責任者Tさんのものと思われる印鑑が押された後にNさんの印鑑で訂正されているんですね。
 一方、片山大臣の政党支部の同じ年の収支報告書の二ページにはNさんの印鑑が、山桜会の会計責任者であるNさんの印鑑が押され、それからTさんの印鑑に訂正をされているんですよ。
 山桜会と政党支部は所在地も会計責任者も違います。なぜ会計責任者の印鑑が言わば入れ替わるというようなことが起きたんですか。

○国務大臣(片山さつき君) 山桜会についての訂正につきましては、金額に係るものは先ほど申し上げたように二十八年六月十六日の宅建政治連盟からの寄附一件五十万円でございまして、日付の訂正のうち山桜会に係るものは、最初から政治団体内の送金であったにもかかわらず東三河片山さつき後援会からの寄附として誤記載をしていたものの削除でございまして、今委員が御指摘になったように判こが修正されていたといたしましても、事務作業をやって作った者が事務代行でございまして、それをきちっと各々の会計責任者に上げて中身も説明した上で御了解を取っているということでございますので、適切に義務が果たされているものと理解をしております。
○田村智子君 じゃ、こういう訂正、間違えて押しちゃったので訂正の印を押しますよと、これもNさんにちゃんと確認取っているということなんですね。Nさんが訂正の印を押してくださいねと、こういうふうにちゃんと言われたわけですか。確認したんですか。

○国務大臣(片山さつき君) いずれにしても、最終的に山桜会の方には山桜会の会計責任者様の印、そして二十五支部の方には二十五支部の会計責任者様の印が押されて、その内容とともにそれが説明され、御本人が会計責任者として適切に見て了解をされているということだと理解をしております。

○田村智子君 政党支部の方は、元々所在地は片山事務所じゃないんですね。だけど、これ、今の印鑑の押し間違いというような事態を見てみると、やはりこの政党支部の会計責任者の方も同じように片山事務所に印鑑を預けて、もう代行で全部片山事務所がやっていると、こういうことが起きているんじゃないのかなと。そうすると、実態として会計責任者、名義貸しという危険性、可能性、これね、だから押し間違い起きたんじゃないかというふうにも考えられるし、それが赤旗記者とのやり取りからいっても誠に自然な成り行きだというふうに思いますね。
 大臣ね、いろんな報告書などをまとめるときにはNさんにも来ていただいているというふうにおっしゃっていますので、これ是非、この収支報告書って毎年まとめているものですから、議員会館にNさんが訪問している記録というのは残されているはずですね。是非お示しいただきたいんですよ。
 知らないってあれだけ私たちの取材に答えている。勝手に名前を使ったんじゃないのとまで言われている。で、印鑑は片山事務所にあると大臣も認めている。本当にNさんが会計責任者として、宣誓書も出していますからね。宣誓書も出していますよ。で、法律に定められた義務を本当に負う会計責任者としての実態があるのかどうか、これ示すためにも、是非訪問の記録出していただきたいと思いますが、いかがでしょう。

○国務大臣(片山さつき君) いずれにいたしましても、Nさんは御本人が了解されて会計責任者になられ会計責任者として適切に義務を果たしておりまして、何回来たかどうかということと、きちっとチェックされたということがどうかということはあると思いますので、私どもとしてはきちっとNさんが責任者として義務を果たしておりまして問題はないものと考えておりますし、修正内容にも全て御了解をいただいております。

○田村智子君 だから、取材と食い違うんですから。で、Nさんに私たち再取材しようと思っても、全くNさん現れないんですから。だから、訪問の記録出してくださいよ。それぐらいできるでしょう。出してください。

○国務大臣(片山さつき君) 重要なことは、Nさんがきちっと会計責任者としてこれを見ていたということで、その御訪問が何回であったかということではなくて、御訪問なさっても何も見ていなかったら果たしていないわけですから、きちっと御本人が会計責任者として義務を果たしていたというふうにおっしゃっているということが全てだと思います。
 また、二十五支部につきましては、別の、ここからそう遠くないところの都内のところに置いてありますが、支部というのは非常に重要な役割を果たしておりまして、様々な配布物等をそこ行って分けて作業したりと、もちろん二十五支部についてのいろいろな会計の整理というようなこともそこで行ったりすることもございますから、そういった意味も含めて、ちょっと今のお話では誤解があるのかなと思っております。

○田村智子君 これ、是非大臣から訪問の記録出していただくように、これ、資料要求いたします。よろしくお願いします。

○委員長(石井正弘君) ただいまの件につきましては、後刻理事会におきまして協議いたします。

○田村智子君 もう残り時間がほとんどないんですが、今日、企業主導型の問題についてもお聞きをしたいと思います。
 世田谷区の企業主導型保育所が保育士が一斉退園したために今月休止となった。これ、午前中から取り上げられています。
 それで、聞きましたら、ちょっともう時間がないのでこちらで言いますが、この企業主導型、これまでに内閣府がつかんでいるだけで助成取消し、これ二施設、不正受給があったり、施設整備はやられたんだけれども、そもそも運営もされなかった、あるいは保育士がいなくて休止になった、子供が集まらなくて休止になった、これ四施設ある、こうお聞きしています。世田谷はこの中に入っていないです、その後の休止なので。また、破産手続に入ったんだけれども、そういう報道があるんですね、二施設、破産手続に入った。でも、まだ休止の届けも出ていない、助成取消しも行われていない。
 そうすると、同じような事態が今後も広がる懸念が大変あるというふうに思うんです。非常に定員の充足が低いということもこれまでの質問者の方々が指摘をされました。宮腰大臣、この現状をどう認識されているか、済みません、短めにお答えをお願いします。

○国務大臣(宮腰光寛君) 事業を行っていく上で、現状を把握していくということは極めて重要であるというふうに考えております。
 しかしながら、委員御指摘の、例えば定員がどの程度充足をしているのか、あるいは保育の人材の確保はどうなっているのかということなど、利用実態の把握についてはこれまでしっかりと対応できておらず、不十分であると言わざるを得ない状況にあります。このため、利用実態を適切に把握するための調査手法や調査内容を早急に整理をして調査を行うよう、事務方にしっかりと指示をしたところであります。
 調査を速やかに実施し、企業主導型保育施設の適切な実態把握に努めてまいりたいというふうに考えております。

○田村智子君 そうなんですよ。定員は分かるんだけど、どれだけつくったかで定員は分かるんだけど、じゃ、どれだけ充足しているのかと内閣府に聞いても出てこないという、それぐらいの実態なんですね。
 今回、突然の保育園休止という事態に対応した世田谷区。お聞きをいたしましたら、スタート当初は、事業がスタートした当初は、どこに保育園が開設されたのかも、定員がどれだけかも、区内の利用者数も全く分からないと。今は申請のときに自治体と相談することとされているけれども、それでも全ての事業所が事前に相談に来るわけでもない。待機児童が多いという先入観で計画し、入園希望者が算段どおりには集まらないという事態が発生していると。だから、自治体の関与や情報共有、これ不十分なままに今後も新規の開園がどんどん申請されている、このことに危機感を覚えるというふうにもおっしゃっています。
 これ、大臣、この自治体の危機感についてはどのようにお考えですか。

○国務大臣(宮腰光寛君) 企業主導型保育事業は、従業員の仕事と子育ての両立支援の推進を図る観点から、企業が主体となって実施しているものであります。一方で、事業の円滑な実施のためには、委員御指摘のとおり、地域の保育ニーズの把握などにおいて自治体とも連携しつつ取り組まれるということが極めて重要であるというふうに考えております。
 このため、企業主導型保育施設の設置状況を地元自治体と共有をするとともに、今年度からは、事業者が地域枠を設定する場合には自治体への相談を申請の前提といたしました。また、指導監督に関しましても、認可外保育施設を所管する都道府県と児童育成協会がそれぞれの立入調査の結果の共有などの連携を行っております。
 その上で、委員御指摘の趣旨も踏まえ、自治体との連携の在り方について必要な検討をしっかり行っていきたいというふうに考えております。

○田村智子君 これ、地域枠を設けた場合には自治体と事前協議というんですけど、世田谷で休園となった企業主導型は地域枠ないんですよ、駅前に設置されたにもかかわらず。
 これ、保育を実施する事業所がいろんな企業と契約をして事業所内保育所として運営をしたんですけれども、何と三十人の定員に対して二十数社の事業所と共同利用の契約をしていたんです。これ、どういうことかというと、あらかじめ企業と契約して、それで保育所をつくったんじゃないと思いますよ。まず保育所をつくって、入所希望してきた保護者に、あなたのところは厚生年金適用かいと聞いて、そうならば、それじゃ申請書持っていってと持っていかせて、利用契約書を書かせて、これで共同利用だよ、事業所内保育所だよという形を取ったとしか考えられないんですよ。
 そうすると、これ本当に無責任なことが起きていて、事業所内保育所、まあ企業主導型は事業所内だというんですけど、これは本来、従業員に働いてもらうために保育の手だてを取るというのが基本なんです。ところが、この世田谷で休園になったところ、どの企業だって、どこも、じゃ、その子、従業員の子供をどうするか、そのために動いたなんて聞いたことないですよ。世田谷区が一生懸命対応しているという状況ですよ。事業所内保育所としての責任さえも不明確にするという事態が起きてきています。
 それだけじゃないですね。やっぱりその地域とのやり取りというんですけれども、地域とのやり取りは、建築基準法にのっとっているかとか、それから、保育のニーズの情報というのは得るかもしれないけれども、これは参考にとどまっていて、言わば自治体は積極的な関与はやはりできないんですよ。
 自治体が関与する認可保育所というのは、保育園つくるときに、じゃ、その設置責任者は社会的信用があるだろうかと、設置管理者の保育実績はあるだろうかと、これは法律としてそれが要件として定められている。だから、自治体は、施設整備する場合には設置者と何度も面談する、それから、ほかで保育園やっていれば、そこに足運んでちゃんとした保育が行われているかどうかも見る。
 ところが、企業主導型はインターネット申請ですよ。面談さえも行わずに、どうぞつくってくださいと。まさに、株式会社の安易な参入でとにかく受皿つくれとやってきたことが、非常に不安定な運営と、そのしわ寄せが子供たちや保護者に行くという事態が僅か二年で生まれてきている、こういう事態だというふうに思いますが、この点、ちょっといろいろ盛り込みましたので、内閣府、いかがですか。

○政府参考人(小野田壮君) 共同利用の件でございますけれども、企業主導型保育事業の実施に当たりましては、自社のみで保育施設を設置、運営することが困難な中小企業などにとりまして、複数の企業が共同で利用することを可能とし、活用しやすい事業としているところでございますが、共同利用の実施に当たりまして、より適切に共同利用を実施できないか、何か工夫ができないか、大臣の御指導の下でしっかり検討していきたいと思います。

○田村智子君 もう企業主導型は、私は一旦もう新しくつくるのをやめた方がいいと思えるぐらいの事態だと思いますよ。
 やっぱり保育の責任がちゃんと果たせるのかどうか、これで事業の検証が絶対に必要です。事業所内保育所であれば、その事業所が、つまり、従業員が働ける状況をつくるという事業所がちゃんと責任が取れるような仕組みをこれは考えていただきたい。
 もっと言いますと、地域枠設けるということであるならば、これ自治体がちゃんと関与できるように、一旦は企業主導型でつくったとしても認可保育施設へと移行できるようなことを検討しなければ今後も大変な事態が起こるということを述べまして、これまだ質問積み残していますので、是非次回の質問でやらせていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。


 |