(写真)質問する田村智子議員=5日、参院内閣委
日本共産党の田村智子議員は5日の参院内閣委員会で、加計学園問題に対する国民の不信をどう払拭(ふっしょく)するのかとただしました。菅義偉官房長官は「政府としてコメントする立場にない」との答弁を8度にわたって繰り返し、説明も議論も拒否する姿勢を鮮明にしました。
田村氏は、加計学園の渡辺良人事務局長が2015年2月25日の安倍首相と加計孝太郎理事長の面会を「実際にはなかった」と謝罪した問題について菅官房長官に質問。菅氏は「加計学園、愛媛県、今治市のやりとりについて政府としてコメントする立場にない」と答えました。田村氏がウソだったのなら首相に謝罪が必要であり、なぜ面会をでっちあげたのかの調査と説明がなされるべきだと指摘すると、菅氏は同じ答弁を繰り返しました。
田村氏は、愛媛県の文書を時系列に並べれば、獣医学部新設に危機感を抱いた加計理事長が首相との面談を実現し、愛媛県と今治市にもハッパをかけた動きに整合性が取れていると指摘。同じ答弁を繰り返す菅氏に対し「答えられないのは国民の不信を払拭する手だてが何もないからだ」と批判。「加計学園が本当にたばかっていたのなら、国会をたばかっていたのも同じことだ」と強調し、加計理事長に加え、渡辺事務局長の国会招致を求めました。
2018年6月6日(水)しんぶん赤旗より
【6月5日参議院内閣委員会議事録】
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
五月三十一日、加計学園渡邉事務局長が愛媛県及び今治市を訪ねて謝罪をいたしました。渡邉事務局長は、二〇一五年三月三日、愛媛県と今治市それぞれに、二月二十五日に安倍総理と加計理事長が面会したと報告したが、これは間違いだったとして、多大な迷惑をお掛けし申し訳ないと謝罪したようですけれども、菅官房長官、梶山大臣、この報道にどのような感想を持ったか、それぞれお答えください。
○国務大臣(菅義偉君) 加計学園と愛媛県、今治市とのやり取りに関して、政府の立場でコメントは控えたいと思います。
○国務大臣(梶山弘志君) 今官房長官おっしゃったように、当事者間でのやり取りということで、コメントは差し控えさせていただきます。
○田村智子君 これ、二月二十五日の加計理事長と安倍総理の面会がなかったのならば、多大な迷惑を被ったのは安倍総理ではないんでしょうか。何らかの説明、総理への謝罪、これ加計学園からはいまだもって何もないんですか。官房長官。
○国務大臣(菅義偉君) まず、加計学園のコメントについては、加計学園と愛媛県、今治市との間のやり取りに関するものであり、政府としてコメントすることは控えたいというふうに思います。
既に総理御自身が国会や記者会見の場で、御指摘の二月二十五日、平成二十七年でありますけれども、これに加計理事長とお会いしていないことを繰り返し説明されております。それに尽きるんだろうと思います。
○田村智子君 渡邉事務局長は、謝罪の後、記者に囲まれて質問に何問か答えていましたけれども、まあ驚くような無責任ぶりでしたね。獣医学部を何とかしたいと思って思い付きで言ってしまった、あきれるような説明ですよ。
愛媛県のこの総理と理事長の面会が記された文書が公開されて、国会はこの問題も含めての集中審議を予算委員会でやるということになったわけですよね。国民の不信感というのも、これ一気に膨らんだというふうに言わざるを得ません。
時を同じくして、日大アメフト部の悪質タックル問題、大きく報道されましたが、日大は理事長が記者会見もし、文部科学省を訪ねて説明していますよ。悪質タックルというのはもちろん重大な問題ですけれども、これは国政上の問題ではありません。獣医学部の新設というのは、まさに国政上の問題です。しかも、理事長と総理の関係、これが国会質疑の焦点となってきたわけですよ。
なぜ総理と理事長の面会をでっち上げたのか、加計学園は責任ある調査と説明がなされるべきだというふうに思いますけれども、官房長官、いかがですか。
○国務大臣(菅義偉君) 先ほど来申し上げているとおりでありまして、加計学園のコメントについては、加計学園と愛媛県、今治市との間のやり取りに関するものであって、政府の立場としてコメントはすべきじゃないというふうに思います。
○田村智子君 いや、それはコメントする立場だということで、私は国会でも審議されてきた問題でしょうと言って聞いているんですよ。そこまで繰り返し私求めているのに、なぜ加計学園に対して何らの説明も求めようとされないんですか。これ、今治と愛媛の関係だけじゃ済まないんですよ、現に国会で質疑が行われているわけですから。なぜそれでも加計学園に説明を求めないのか、官房長官、お答えください。
○国務大臣(菅義偉君) 再三申し上げているとおりであります。
○田村智子君 いや、答弁になっていないですよ、答弁になっていないですよ。
愛媛県、今治市と加計学園の問題ではありません。この文書は予算委員会に提出され、国会で現に審議が行われた問題なんですよ。そこに書かれていたことがうそだったということであるならば、説明を求めるのは当たり前じゃないですか、違うんですか。
○国務大臣(菅義偉君) これ、度々申し上げておりますけれども、このことについては、加計学園と愛媛県、今治市とのやり取りのことに関することでありますので、政府としてコメントすることは控えたいというふうに思っています。
○田村智子君 違いますよ、これは総理に関することなんですよ。ここまでコメントしないということになりますと、やっぱり面会はなかったとする説明こそが総理の答弁を受けての虚偽の説明だから事細かに事情を説明されたら困ると、こういうことではないのかと思わざるを得なくなってくるわけですよ。
愛媛県が文書を参議院に提出したのは五月二十一日です。加計学園はこのときも沈黙しました。ずっと一貫して沈黙しているんです。ところが、五月二十五日の予算委員会で安倍総理がこの二月二十五日の加計理事長との面会を否定した途端に、沈黙していた加計学園が突然、実際にはなかった面会を引き合いに出したというコメントを出しました。この引き合いに出すというのもおかしいんですよね。普通引き合いに出すというのは、二月二十五日じゃなくて別の日に面会があったことを引き合いに出しちゃったとか、総理じゃないけど別の人に会ったのを引き合いに出しちゃったというときに使うのが引き合いに出すですよ。非常に不可思議なコメントなんです、これ。教育機関が出すコメントとして、引き合いに出すという言葉の使い方も分からない、こんなこともあり得ないというふうに思うんですね。
そうすると、面会はなかったのに虚偽の報告をしたとは言いたくない、加計学園のこの苦しい立場、かいま見るようなコメントだと言わざるを得ません。実際、渡邉事務局長、三十一日の謝罪後、記者からいろいろ問われて、うそをついたのかと言われて、うそでしたということは明言できずに、もごもごもごってなるわけですよ。ここも非常に説明おかしいんです。しかも、二〇一五年三月三日に、思い付きで、総理と理事長との面会、こういうことを言っちゃった、この事務局長の説明はつじつまが合いません。
今日、資料をお配りしました。これは、愛媛県の文書で示された加計学園等の動きを時系列でまとめてみたものです。二月十二日に加計学園、愛媛県、今治市の意見交換会が行われます。ここで、安倍総理と同学園理事長との面談が実現しない中、まずは副官房長官にお会いするという、こういう運びになるんですね。だから、もうこのときから面談をセットしようとしているということが報告されているんです、二月十二日。また、その思い付きで言っちゃったと言っている三月三日、これは、そもそも学園が県に対して二月二十五日の総理と理事長の面談結果を報告したいと言って、その報告をするために行われたものです。さらに、三月十五日、加計学園と今治市の協議が行われていることが分かります。ここでも、二月二十五日の総理と理事長の面談について加計学園は述べているんです。そして、この面談のときに、総理にこういう資料を示したんだと。そのとき示した資料の一部を文部科学省が獣医学部教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議の委員に渡して何らかの回答を求めているということも、加計学園は報告をしているんですよ。これ、思い付きで言っちゃったという説明は全然成り立ちません、一連の文書を見たときに。
二月二十五日に加計理事長と総理の面談はあった、あったことをなかったことにしようとしている、そうとしか読めないんですけれども、官房長官、いかがですか。
○国務大臣(菅義偉君) まず、先ほど来申し上げておりますけれども、愛媛県、今治市、加計学園、それぞれの立場で発言やコメントをされているというふうに思います。いずれにせよ、国としてはそれにコメントする立場にはないということです。
そして、総理と加計理事長との面会については、総理御自身が、当初から一貫して、二十七年二月二十五日に加計理事長とお会いしたことはない、記者の皆さんが出入りする人の名前を逐一確認している首相動静にも載っておらず、自宅を含めても会っていないというふうに事実関係を説明をされているところであり、それに尽きるんだろうと思います。
○田村智子君 今私が時系列で並べたことの反論にもなっていないですよ。総理が会っていないと言っているから会っていないんだと、ただそれだけじゃありませんか。
今回の愛媛県の一連の文書というのは、実に整合性が取れているんですよ。
二〇一四年の十二月に、国家戦略特区での獣医学部新設を新潟県が提案した。加計学園は、これが認定されてしまうのではと危機感を募らせて、加計理事長は安倍総理との面談を実現しようとする、そのことが愛媛県文書の十六ページで分かります。
この総理と理事長の面談を実現し、その上で、官邸への働きかけを愛媛県としても行ってほしいというふうに要望するんだけれども、県は、政治的な動きは難しいという対応をする、これが十七ページの資料に出てきます。
そして、加計学園自らが三月二十四日に柳瀬氏と面会をする、これは十八ページで分かるんですね。
そしてさらに、四月二日の柳瀬氏との面会を取り付けて、そこに愛媛県と今治市に同行してほしいというふうに求める、これは二十ページで分かるんですよ。
そしてさらに、自治体がやる気を見せなければと、この柳瀬氏との面談の中でハッパ掛けてもらうと、これ四月二日の柳瀬氏のコメントの中で出てきます。
愛媛県の文書が示している時系列での加計学園の動きなんですよ。実によく分かります。新潟市に決まっちゃう、まずいと。どうするか。まず総理と会おう、会う。柳瀬氏とも会う。で、県や市にも柳瀬氏に会ってほしい。で、内閣府の藤原豊氏にも会う。全く整合性が取れた文書なんですよ、これ。
しかも、渡邉事務局長の今回のコメントで、ここで述べられたことというのは事実であろうと、事実というのは、述べたということが事実だということがますます明らかになってきたわけですね。
そうじゃないかと聞いてもまた同じ御答弁だと思いますので、ちょっと聞き方変えますけれども、国民の皆さんも、だから、こういう文書読めば読むほど分かるわけですよ、実に整合性が取れているなと。やっぱり安倍総理は加計理事長と面会して獣医学部の構想を直接聞いていたんだなと、それをなかったことにしているんだなと、これ、少なくないといいましょうか、多くの国民がそういう不信感を持っています。私だけじゃないと思います。
官房長官、国民に広がっているその不信感をこれ払拭するために、どうされようとしているんですか。
○国務大臣(菅義偉君) 先ほど来申し上げておりますけれども、総理と加計理事長の面会については、総理御自身が、当初から一貫して、二十七年二月二十五日に加計理事長とお会いしていないことを繰り返し御説明をされております。それに尽きるんだろうというふうに思います。
なお、国会からお尋ねがあり、これまでも一つ一つ必要な対応をさせていただいているところであり、事実に基づき丁寧にもうしっかり説明責任を果たしていきたいというふうに思います。
○田村智子君 いや、それで国民の不信が払拭できると思うんですか。だって、皆さんが説明するのは、安倍総理は会っていませんということだけじゃないですか。会ったことにして、たばかったとしている加計学園に対しては説明も求めない、謝罪も求めない、それで国民の不信が払拭されると、官房長官、お思いなんですか。
○国務大臣(菅義偉君) 先ほど来申し上げておりますけれども、加計学園のコメント、あるいは、加計学園と愛媛県あるいは今治市とのやり取りに関するものについて、政府としてはコメントはする立場にはないというふうに思いますし、総理と加計理事長の面会については総理御自身が何回となく説明されているとおりであります。
○田村智子君 だから、それでは国民の不信が払拭できていないでしょうと言っているんですよ、世論調査見たって、総理の説明に納得できていない。どうやって払拭するつもりなんですか。少なくとも加計学園に説明求める、これ当たり前のことだと思いますけど、違うんですか。
○国務大臣(菅義偉君) 総理自身は会っていないということを明確にこれは繰り返し繰り返し説明をいたしております。そのことがこれ全てじゃないでしょうか。
そして、申し上げておりますように、加計学園のコメントについて、加計学園と愛媛県、今治市との間のやり取りに関するものについて、政府としてコメントする立場にないということであります。
そして、大事なのは、行政のプロセスが公平公正に行われてきたかどうかだというふうに思います。
○田村智子君 払拭するつもりが、不信を払拭する手だてが何もない、やる気もない、そういう御答弁だとこれ言わざるを得ません。
委員長、やはりこの問題は、いや、本当にたばかったんだったら、加計学園が愛媛県や今治市を、これは国会をもたばかっているのと同じことだと思うんですよ。
加計学園理事長に加え、渡邉事務局長の参考人招致を求めます。
○委員長(柘植芳文君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議をいたします。
○田村智子君 終わります。