○田村智子君 経産省が引き取って答弁してくれたんだなと。昨日、これ質問通告したら答弁のたらい回しに遭いまして、もう私の事務所に、うちのところじゃないと、ここに聞いてくれ、ここに聞いてくれと、三時間たっても答弁者が決まらないという事態だったんですよ。
私は、二十ミリシーベルトが安全かどうかということを議論しようと思っているんじゃないんです。それが不安で帰れないというのは、これは当たり前の考え方なんじゃないのかと。戻れる方もいらっしゃるでしょう。でも、戻れない人は、そういう戻れないという不安も、それは相当、やっぱり政府としては受け止めるべき、そういう不安に沿った支援を行うべきだということで、帰還についてお聞きをしているわけです。
で、広野町では、避難指示が解除されたことによって、これは二〇一二年八月までで東電からの慰謝料を打ち切られたんです、戻れていない方も。給与の減額分を補填する就労不能賠償も同じ年の十二月に終了をしているんですね。七割の方がいろんな不安があって町に戻っていない。町に戻った方も、お店が十分にない、かかりつけだったお医者さんも戻ってきていないと。住民が戻っていないために、お店を開くにしても営業が非常に困難だと、こういう状態にある。それでも打ち切られたんですよ。打ち切られたということを私は問題にしたいんです。
先日出された中間指針第四次追補の中では、例えば就労不能補填については、これは一律に切るべきものではないと書いているんですね、この中でさえ。営業損害及び就労不能損害の終期は、これ、第二次追補で示したとおり、何というんですか、一時的にやるものじゃないと。やっぱり、従来と同等の営業活動を営むことが可能となった日を終期とすることが合理的であると書かれているのに、広野町、切っちゃったんですよ、広野町。これは、私、おかしいと思うんです。
一度切ったことが、これは本当に妥当なのか。このことを、私、再考が求められると思いますが、いかがですか。
○大臣政務官(磯崎仁彦君) お答えを申し上げたいと思います。
まず、賠償には恐らく大きく分けて物損があると思いますし、休業損害、それから精神的損害に対する賠償というものに大きく分けられるのではないかなというふうに思っております。
今委員の方から打切りというお話ございましたけれども、精神的損害ということにつきましては、これは基本的には、避難を余儀なくされた期間、これが賠償の対象になるというのが基本的な考え方でございます。
大震災が発生をしましたのが平成二十三年の三月の十一日でございまして、この旧緊急時避難準備区域、これが解除をされましたのが、同年、平成二十三年の九月でございますので、基本的にはその余儀なくされたという期間としましては、この三月から九月までの七か月間になるということでございます。
ただ、委員御指摘ございましたように、原子力損害賠償紛争審査会、これが定める指針におきましても、この精神的損害が継続する相当期間としまして、この七か月に限らずその後約一か月間、具体的には平成二十四年の八月末までの十一か月間でございますけれども、この期間を相当期間ということで、精神的損害の賠償期間ということで定めております。
更に言えば、この審査会の指針の中でも、その上で、その相当期間を経過した後におきましても、個別具体的な事情に応じて柔軟に判断をするということが言われておりまして、特に、やはり高校生以下の年少者の方におきましては非常に思春期で多感な年代層でもあるということで、この七か月と十一か月の十八か月を経過した後におきましても、五か月間、やはり賠償の対象にするということにさせていただいております。
更に言えば、その後の期間につきましても、先ほどの指針に応じまして、やはり特段の事情等があれば賠償が発生している場合には損害賠償の対象になるというのが基本的な考え方でございますので、一律に賠償の対象とするというものと、その後の個別具体的なものを判断をして賠償するということにつきましては、指針としてもございますので、それに基づいて東京電力も賠償をしていくということで御理解を賜りたいというふうに思っております。
○田村智子君 これは、もうだから、避難指示解除を切ったらもう戻るのが当然で、そこから先はどんどん生活再建できるよという大前提の下で作っているとしか、あるいは賠償の打切り、慰謝料の打切りというのが行われたとしか思えないんですが、それは実態から見て余りにも懸け離れているのが現に避難指示解除が解かれたその地区を見れば明らかじゃないかという問題提起をしているわけですよね。
政府は、中間指針第四次追補で、新たな故郷喪失分として一人七百万円の精神的損害賠償の追加賠償を行うとしました。これも批判高いですね。二〇一七年六月以降の分を一括して支払う。これで賠償を打ち切るという方針。この対象は、帰還困難区域を始め長期にわたって帰還不能とされる区域。避難指示解除準備区域、居住制限区域に関しては、一人につき十万円の精神的賠償は広野町などでは七か月だったけれども一年にしましょうと、一年で、基本的には、それをめどとして打ち切ると、こういう方向だと。
だけど、これまでの避難解除の実態を踏まえて考えてみれば、これは広野町や川内村で起きているような事態を一層広げることになる、矛盾を広げることになると思います。現に、広野町や川内村では、町長さんや村長さんが政府に対して、私たち何で打ち切られちゃったのか、こういう話をしているはずなんですね。
こういう中間指針の第四次追補というのは、余りにこれまでの実態を踏まえていないんじゃないか。見直すことが必要だと思いますが、いかがですか。
○副大臣(櫻田義孝君) お答えさせていただきます。
原子力損害賠償紛争審査会が昨年十二月に策定いたしました中間指針第四次追補におきましては、その時点で避難指示解除及び帰還の見通しすら立たない状況にある帰還困難区域の住民の方々につきましては、早期に生活再建を図るためにも、避難指示解除の時期に依存しない賠償が必要と考えられ、精神的損害も一括して賠償することといたしました。
他の避難指示区域につきましては、インフラや生活関連サービスが復旧した段階において解除されることが前提と考えておりますが、これらの地域の住民の方々については、帰還するにはある程度の準備期間が必要であること、帰還に向けた節目となる時期は個々の避難者によって様々であること等を考慮して、避難指示が解除された後に精神的損害等の賠償が継続される期間を、当面の目安として一年間といたしました。
文部科学省といたしましては、避難指示区域の状況を踏まえ、中間指針第四次追補は被災者の救済に資するものと考えており、指針の考え方に基づき、原子力損害賠償紛争解決センターも活用をいただきながら、被災者の方々に寄り添った賠償が進められることが重要と認識しているところでございます。
○田村智子君 もう帰還が大前提で、一年あれば元の生活に戻れるでしょうという、絵に描いた餅なんですよ、それは。広野町とか川内村を見れば、どれだけ皆さんが苦しんでいるか、戻りたくても戻れないという状態にあるか。私、戻った方々だって、これ本当に打ち切っちゃっていいのかと思うんですよ。
例えば川内村の方、村にいたときは、豊かではないけれど、米と野菜を作り、水もあった、山では山菜もキノコも取れた。しかし、今は何でも買わなくてはならない。賠償が打ち切られ、年金だけでは足りない分は貯金を取り崩しているんだと。元の生活に戻れていないんですよ。自給自足のようにして生活をしていたから、その分の生活費必要なかった。だけど、今それができなくなっている。それでもどんどん打ち切っていく。まして、戻るに戻れない、不安を一杯抱えている方々、戻らないあなたの責任でしょうと言わんばかりに打ち切っていく。私、これは本当に問題だと思うんです。このままでは復興支援どころか、その復興したいという思いを踏み付けにするような事態が進むと思うんです。
これ、根本大臣にお聞きしたいんです。やっぱり帰還という問題は復興庁はもっと責任持ってほしいんですね。縦割りでやっていると、二十ミリシーベルトがどうだとかこの指標がどうだとかという話になっちゃって、もっと本当に、被災された方、避難している方のその実情に立った支援策を、復興庁は私たちが進めるんだという勢いでやってほしいわけですよ。いろんな省庁に答弁投げないで、やってほしいんです。
根本大臣は、今年二月、衆議院の予算委員会で、我が党高橋千鶴子議員の質問に対して、一年間という期間は、避難指示解除が検討されている区域の現状を踏まえて、当面の目安として示すものであり、実際の状況を勘案して柔軟に判断するのが適当だというふうにお答えになりました。
これ、指針のところを見ても、一年でなかなかインフラ整備ができない場合にはもうちょっと延ばしましょうとか、そんなようなことが書かれているんですが、そういうことじゃなくて、避難されている方のやっぱり生活が本当に復興できるんだというめどが立つ、せめてそこまで打ち切るべきじゃないというふうに思いますが、そういう検討を復興庁からやっぱり呼びかけてほしいと思います。大臣、いかがですか。
○国務大臣(根本匠君) 私は先ほども、帰還を妨げている要因、三つ挙げました。放射線に対する不安、生活関連サービス、インフラの未普及、雇用機会の確保、やはりこの三つの大きな要因を克服しなければいけないと私は思いますよ。
そして、川内村だって、今、村長を先頭に、いかにして魅力ある地域をつくるか、懸命に頑張っておられる。例えば商業施設も、共同の公設民営の商業施設を造って、生活のできるような環境整備、本当に身を粉にして働いて頑張っていますよ。
そして、先生のおっしゃるのは、一つは住民の放射線への不安の解消、これは課題ですよ。ですから、大事なのは、個々人の懸念、不安にきめ細かく対応したリスクコミュニケーションの実施、一人一人に寄り添って対話をしながら、今、川内村だって、例えば保健師さんが長崎大学の大学院の方も来られた、もうその保健師さんは一人で千人の住民との対話をやって、丁寧にこの住民の健康不安の対応をしていますよ。やっぱりそういうことを我々は一緒にやっていかないと、先生のおっしゃることで本当に私はどうかなと思いますよ。
やっぱり、不安の解消をするためのリスクコミュニケーション、そして生活関連サービス、インフラ、魅力ある地域づくりをしっかりやる、雇用の場も確保する。川内村だって、村長さんの努力で新規立地企業を誘致していますよ。そして、工業団地の整備だって……
○委員長(蓮舫君) 大臣、時間が来ておりますのでおまとめください。
○国務大臣(根本匠君) 工業団地の整備もしっかりやれるように、我々、再生加速化交付金でやれるようにした。やっぱり私は、被災者の立場に立つということは、そういうもろもろの要因を考えてしっかり我々が復興に取り組むこと、関係省庁挙げて取り組んでいくことだと私は思います。
○田村智子君 その川内村の村長さんが、この賠償の打切りの問題について意見を上げているんです。私はそのことにも取り組んでくれと言っているんです。その努力を否定するものでは決してありません。
一言申し上げて、質問を終わります。