国会会議録

国会会議録
多様な民意くむ活動の活性化こそ 田村議員 教育委改悪法案を批判


○田村智子君 私は、そういうことが一番の教育委員会改革として必要なことだろうと思うんですね。
 もちろん、今も民意反映の努力を行っている教育委員会というのはあります。例えば、比較的小さな自治体の中には、教育委員の皆さんが小まめに学校訪問をして子供たちの様子を見ていたり、校長先生や教員の皆さんとも懇談をして、そこで直接につかんだ声を教育委員会の会議の中で発言をして、それに応える施策を求めるということをやっているんですね。例えば、学校訪問したら男子トイレが本当に臭いんだと、あの臭いはどうにかならないのかと。なぜ施設改善もっと進まないんだというふうなことも教育委員会の中で発言されている議事録を私も幾つか読みました。これは本当に歓迎されますよね、学校現場からも子供たちからも。
 あるいは、埼玉の鶴ケ島市教育委員会、ここは条例で教育委員会の下に十五人以内の教育審議会の設置というのを決めているんです。この目的は、地方自治の本旨に基づき市民の参加と協働により、市の実態や特色に応じた鶴ケ島市らしさのある教育改革を進め、教育の真の目的を実現するためだというんですね。この鶴ケ島市教育振興基本計画、これ策定に当たって、この審議会が教育委員会からの諮問を受けて、児童生徒への、これ全児童生徒対象アンケートやったり、それから計画の素案も一か月間パブリックコメントを掛けているんですよ。そういう中身を教育委員会にも報告をしていると。とても大切な取組だと思います。
 私たち日本共産党は、本法案への言わば対案として教育委員会の改革提言というのを発表しています。その改革の第一に、やはり教育委員たちが、保護者、子供、教職員、住民の不満や要求をつかみ、自治体の教育施策をチェックし改善する、これが必要だということを提言をしたんですけれども、大臣、このことには御賛同いただけると思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(下村博文君) それは適切なすばらしい提案だと思います。

○田村智子君 すばらしい提案と、ありがとうございます。そうなるように、だからそういう法案を出していただけたら私たちもそれはいい法案だとなるんですけれども、そういうところの直接の条文がないというのが非常に残念なところなんです。
 私も校長先生を務めておられた方からもお話お聞きしたんですけれども、本当に教職員の声も本当につかんでほしいんだと。校長先生でいいますと、いろんな問題が今学校で起きると。いろんな先生は問題起きたときに、じゃ、副校長に相談しようかなと。副校長は本当に困ったら校長に相談しようかなと。ところが、校長はもう後ろを振り返っても誰もいないんだと。そういう孤独感の中で仕事しているんだとおっしゃる方がいたんです。そういうときに、あっ、あの教育委員の方に相談したら答えてくれるよな、相談乗ってくれるよな、そういう教育委員の顔が思い浮かぶかどうかというのが学校にとっては決定的だというふうにおっしゃっていたんですね。そういう教育委員会になるような努力が求められていると思うんです。
 教育委員の皆さんたちが、そういう多様な民意を反映すべく活動を活性化させる、そのためには、やはりそのための条件整備というのが欠かせないと思います。
 先日の参考人質疑で、横浜市の教育委員長さんだった今田参考人は、まず、委員たちの机と椅子がない、直ちに用意しろというところから仕事を始めたというお話をされました。これ、同じような状況は少なくない自治体にあると思います。机、椅子、パソコン、資料を置く場所、これはもう本格的な活動をする上では欠かせないことだと思います。
 また、ある教育委員の方にお話伺ったら、本格的に活動しようと思ったら毎週会議が必要だと。時には週に二回以上集まることも必要になってくると。では、その活動をどう保障するか、手弁当でいいのかという問題も出てくるわけです。
 私たちは、教育委員会改革の柱の第二として、会議の公開とか教育委員の待遇改善、支援、教育への見識や専門性を持つ人物の確保など、教育委員会の役割が確実に果たせる体制の整備が必要だと、こういうことも提言をいたしました。これについても大臣の所見を伺いたいと思います。

○国務大臣(下村博文君) まず、教育委員会において、教育委員は非常勤ではありますが多様な民意を反映することが期待をされているわけでありまして、保護者や地域住民の不満それから要望等を的確に把握し、教育行政に生かすことは御指摘のように大変重要だというふうに思います。
 この保護者や地域住民の不満や要望等を把握するため、公聴会等を開催し、保護者や地域住民の意見等を聴取し、意見交換を実施すること、また、教育委員が学校を始めとした所管施設を積極的に訪問すること、教育委員会の会議で学校や事務局に寄せられた意見等を情報公開することなどが考えられるというふうに思います。
 限られた予算の中で、また行革に相反しない中で、教育委員の方々にはこういう取組について是非していただければと思います。

○田村智子君 もう一点、そうした体制つくっていくためにはやっぱり予算が必要で、これまでの審議の中では教育委員会事務局の指導主事の配置についてはこれ充実していきたいというお話があったんですけれども、私は教育委員への活動の支援、これはやっぱり必要だというふうに思うんです。特に小さな規模の自治体では負担が重いというふうにも思いまして、この教育委員の活動を下支えするような予算の支援、この点についても、大臣、要望したいんです。是非やってほしいと思うんですが、いかがでしょうか。

○国務大臣(下村博文君) 教育委員の下支えをする予算ということですか。教育委員そのものに対する予算ということではなくて。

○田村智子君 そうです。教育委員の活動そのものですね。

○国務大臣(下村博文君) 教育委員そのもの。

○田村智子君 はい。

○国務大臣(下村博文君) 教育委員そのものは、やはりレーマンコントロールの中で、非常勤の扱いということの中で対応していただいているというのが現行制度、それから改正案でもあるわけでありまして、その範囲内の中でではありますが、教育委員の方々がしっかり地域の適切な、不満、要望等を捉えて、それを教育行政の中で反映できるような支援については検討してまいりたいと思います。

○田村智子君 是非お願いしたいと思います。
 最後に、教育長と教育委員会の関係について質問をいたします。
 スーパー教育長という言葉がこの委員会の中でも何度か出てきているんですけれども、教育長は、教育委員会からの委任を受け、教育委員会の意思決定に従って具体的な事務の執行に当たると、この点については現行法と同じだと思うんです、法案も。教育長のみの判断で何でもできるということではないと思いますが、これ局長に確認したいと思います。

○政府参考人(前川喜平君) 改正案における新教育長は、執行機関である教育委員会の代表者となるわけでございますが、合議体としての教育委員会の意思決定に基づき委任を受けたことについて事務を執行するということについては現行と変わりございません。

○田村智子君 これ、スーパー教育長という言葉が独り歩きすると誤解が広がりかねないというふうに私は思っているんです。教育委員会においては教育長は代表、法案でも代表であって、それは、決定権限は合議体である教育委員会にあるんだということはしっかりそれぞれの自治体の中に法案の中身、知らせていかなくちゃいけないというふうに思っています。だけれども、一方で、教育委員長への指揮監督という権限は教育委員会から奪われました。教育長、教育委員会事務局へのチェック機能をどうするかということは、やはり大きな問題だと私も思います。
 先ほどもありましたが、参考人質疑で中教審メンバーでもあった村上参考人から、教育委員会が教育長への勧告を行うなどの運用の仕組みがあってもいいんではないかという提案があったんです。とても大切だと思うんです。これ、法案では、教育長は教育委員会に事務の執行についての報告をするということが義務付けられています。では、報告を受けて、教育委員会がその内容を議論をし、そして教育長への勧告を議決した場合、不十分だとか、それはやり過ぎだとかということを含めて、それは学校教育にちょっと口を出し過ぎじゃないかということとか、あるいはこういう施設整備はもっと早くやるべきなのになぜなかなか進まないんだと。そういう事務の執行について勧告が必要だと委員会が判断し、これを決議した場合、それは教育長はこの勧告に従う義務が生じると思いますが、これは大臣に確認したいと思います。

○国務大臣(下村博文君) 改正案第二十五条第三項におきまして、教育長は、教育委員会から委任された事務の管理及び執行の状況について教育委員会に報告しなければならないこととされております。教育長の事務の管理及び執行について、教育委員会において審議し合議体として意思決定を行った場合には、教育長は当該意思決定に従う必要があると考えます。

○田村智子君 勧告を行った場合にはそれに従う必要があるということを確認をいたしました。
 この村上参考人の運用に対する仕組みの提案というのは非常に大切なものが幾つもありまして、これちょっと通告していなかったので質問にはしないで、これ確認が必要だったら次回確認したいと思うんですけれども、例えば教育委員会の議決は、これもう教育委員会の会議の主宰を教育長にしちゃったものですから、であるならば、教育委員会の議決は教育長を外してまず行うと、そして可否同数だった場合に教育長の判断によるというふうにしてはどうかという提案があったりとか、あるいは教育長の任命、罷免についても教育委員会の承認を必要とする、こういうようなことをやっていかなければ、チェック機能という役割が教育委員会果たせなくなってしまうんじゃないかということを中教審のメンバーで教育委員会の改革についてまさに協議したその方が提案をしているんですよ。
 私は、これ、どうなるかということはまた後日確認はしたいと思っているんですけれども、本来、やはり教育委員会のチェック機能の強化ということを言うのであるならば、それは今、村上参考人から提案されたような内容は、これは法案の中に含んで、だからチェック機能は後退しないんだと、指揮監督権というのは外したけれどもチェック機能は法律がちゃんと保障しているんだということを盛り込むことが必要だというふうに思うんですよ。これ、今からだってそういう修正が行われるのであれば、やっぱりやらなきゃいけないというふうにも思うぐらいなんです。
 本来、責任の不明確ということも言われてきましたけれども、これ、教育委員会の制度の発足時を見てみれば、教育委員会にはそもそも教育長は含まれていなかったわけです。組織的には事務局というのと教育委員会というのは分離をしていて、教育長も教育委員会の外に置かれていたわけですよね。そして、教育委員会には意思決定や指揮監督の責任があり、教育長はその教育委員会の意思決定に基づいて日常的な事務統括を行うという責任があったと。
 もし責任の不明確さということを問題にするのであれば、やっぱり私は原点に立ち戻ってそのぐらいの改革を行うということが求められていたんじゃないのかということも思わざるを得ないんですね。そのことを指摘しまして、今日は時間になりましたので、本日の質問は終わりたいと思います。