国会会議録

国会会議録
民意無視 党略極まる 安倍内閣 被災地おきざり 参院委 きょうにもカジノ採決

 自民、公明の与党は18日、参院内閣委員会で刑法が禁じる賭博を解禁するカジノ実施法案の採決強行を狙いました。野党の反対で同日のカジノ法案の採決は断念したものの、19日には採決する構えで、安倍内閣の民意無視の暴走が極まっています。


野党が問責、解任案に賛成討論

(写真)討論に立つ辰巳孝太郎議員=18日、参院本会議

 

 

 

 

 

 

(写真)討論に立つ田村智子議員=18日、参院本会議

 

 

 

 

 

 

 日本共産党、国民民主党、立憲民主党、希望の会(自由・社民)は、西日本豪雨災害への対応よりもカジノ法案の強行にまい進する政府・与党の姿勢を厳しく批判。17日に4野党・会派が提出した石井啓一カジノ担当相の問責決議案に続き、18日には柘植芳文内閣委員長(自民)の解任決議案を共同提出しました。

 参院本会議で、日本共産党の辰巳孝太郎議員が石井カジノ担当相の問責決議案、田村智子議員が柘植内閣委員長の解任決議案への賛成討論をそれぞれ行いました。共産、国民、立民の各党と希望の会、沖縄の風は両案に賛成しましたが、自民、公明、維新などの反対で否決されました。

 辰巳氏は、石井国交相(カジノ担当相)が豪雨災害に万全の対策を政府に求めた全会一致の国会決議に反し、賭博の解禁に血道をあげたとして、「問責は当然だ」と指摘。カジノ法案は、賭博の違法性を阻却する明確な根拠もなく、依存症対策よりもカジノ資本のもうけを優先させるなど問題だらけで「こんな法案を推進する大臣に、大臣たる資格はない」と指摘しました。また、石井国交相が森友事件の真相解明に背を向けている点も厳しく批判しました。

 田村氏は、西日本豪雨災害への緊急の対応が求められる中、柘植内閣委員長がカジノ法案の審議を委員長職権によって強行し続けたこと、審議を深めることなく質疑終局・採決を一方的に宣言したことをあげ、「『中立公正』を投げ捨て、与党と政権いいなりに委員会運営を強行することは許されない」と指摘。加計学園問題でも真相解明に欠かせない参考人招致や証人喚問を棚上げし続けているとして、「国民に恥じることのない国会運営と国会審議を行うことを強く求める」と主張しました。

 

参院選挙制度の改定強行

衆院 審議不十分、抜本改革先送り

(写真)反対討論をする塩川鉄也議員=18日、衆院本会議

 

 

 

 

 

 

自民党提案の最悪の党利党略の参院選挙制度(公職選挙法)改定案は18日の衆院本会議で、自民、公明によって可決、成立が強行されました。日本共産党、立憲民主党、国民民主党、無所属の会など全野党が反対。共産党の塩川鉄也議員は反対討論で、選挙制度が国民の参政権、議会制民主主義の根幹にかかわる問題であり、「十分な審議もせず押し通すやり方は、国民の理解を得られず、選挙制度改革のあり方として許されない」と厳しく批判しました。

 塩川氏は、参院に続き衆院でも、特別委員会で自公と委員長が質疑を打ち切り、討論省略、採決を強行したことに強く抗議しました。

 過去2回、抜本改革を先送りし続けてきたのが自民党です。15年公選法改定で「抜本的な見直し」について「必ず結論を得る」と付則に明記していたにもかかわらず、今回の案も安倍晋三首相が「臨時的な措置」と認めたように「抜本改革」でないことは明らかで、塩川氏は「抜本改革を先送りする自民党は責任ある政党とはいえない」と断じました。

 塩川氏は、合区により立候補できない自民党候補を救済するため、比例代表に「特定枠」(政党が当選順位を決定する拘束名簿式を一部に採用)を持ち込むことは到底、国民の理解を得られないと批判。ほぼ全てを「特定枠」にすることが可能で、政党ごとに「非拘束」「ほぼ拘束」の名簿が混在する選挙になると指摘。「特定枠」の候補者への個人名投票も認められることで、1万票で当選する候補もいれば、50万票で落選する人も生まれるとし、「矛盾だらけの特定枠導入は有権者に混乱を招くだけで、認められない」と述べました。

2018年7月19日(木)しんぶん赤旗より

 

【7月18日 参議院本会議議事録】

○田村智子君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました内閣委員長柘植芳文君解任決議案に賛成の討論を行います。
 その最大の理由は、西日本豪雨災害への緊急の対応が求められているただ中で、カジノ実施法案の審議を委員長職権によって強行し続けたことです。
 IR整備法案、すなわちカジノ実施法案は、西日本の広範囲で激しい雨が降り続いていた七月六日金曜日、本会議での趣旨説明、質疑が行われました。七日、八日、すさまじい豪雨は収まることなく、次々と土砂崩れ、河川の氾濫を引き起こし、多くの人命が奪われる大災害となってしまいました。時間を追うごとに死者、行方不明者が増え続ける重大な事態に、ここにおられる議員誰もが、胸が潰れる思いを、いても立ってもいられない焦燥感を抱いたのではないでしょうか。
 九日月曜日、内閣委員会理事懇談会で日程協議が行われました。法案を所管する石井IR担当大臣、すなわちカジノ担当大臣は、土砂災害の対策に直接責任を負う国土交通大臣です。IR、つまりはカジノの法案のために委員会に縛り付けるべきではない、私も、国民民主、立憲民主、希望の会も、繰り返し、委員会を立てるべきではないと求めました。
 我が党は、カジノに断固反対です。法案を廃案にすべきという立場です。しかし、九日の理事懇で、私は、どうしても成立を目指すというのならば継続審議の手続をすればよい、これだけの災害が起きたのだから早期に臨時国会は召集されるだろう、そのときに落ち着いた環境で審議すればよいではないかと、ここまで譲りました。これは、法案やカジノへの賛否の問題ではないからです。人命救助の真っただ中、まだ被害が拡大するおそれがあるというときに、政府が、とりわけ国交大臣が災害対応にあらゆる力を集中しなければならない、ただただその一点を本気で求めたのです。
 野党のこうした主張は、柘植委員長にも届いていたでしょう。与党の理事も、思いを共有するところはあったでしょう。事実、自民党藤川理事は、何度も私たちの意見を自民党内に持ち帰り、理事懇談会は昼から夕方まで断続的に行われることとなりました。しかし、自民党の結論は、重要法案として今国会に提出したので今国会での成立を願いたいというものであり、これを受けて、柘植委員長は、付託された法案を審議することが委員会の役割だと、職権で翌日十日六時間の法案審議を決めてしまいました。
 十日になっても私たち野党は委員会の取りやめを求め続けましたが、委員長の判断は変わりませんでした。その結果、石井大臣は、委員会室に座り続け、広島県府中町で発生した榎川の氾濫を昼休みのニュースで知るという事態になりました。災害は拡大し、猛暑の中で行方不明者の捜索が続いている、懸命に救助活動が行われている、鉄路も道路も寸断され、孤立した集落で助けを待っている、その真っただ中で、外国人観光客を呼び込むために、日本の伝統、文化、芸術等を生かした観光の魅力を発信するだとか、世界最高水準のカジノ規制だとか、こんな議論は聞くことさえも苦痛でした。柘植委員長、あなたは胸が痛まなかったのでしょうか。
 十一日本会議では、西日本豪雨災害に政府が全力で対応することを求める決議が全会一致で採決されました。しかし、柘植委員長は、IR整備法案の審議日程を、十二日六時間、十三日参考人質疑、そして昨日十七日、総理出席を含む六時間、全て職権によって強行しました。
 特に、昨日の委員会は、西日本の被災地を訪問し、避難所で直接話を聞いた安倍総理が国会で最初に答弁に立ったのがカジノ法案の審議という、参議院の歴史に汚点を残す委員会となったのです。
 日程協議で委員長は、野党の意見に真剣に耳を傾けておられました。十日の委員会を職権立てするときには目が潤んでいるようにも見えました。柘植委員長、委員長の職責とは、自らの良心を押し込めて自分が所属する党の意見に従うことではないはずです。与党、野党の意見を聞き、道理ある委員会運営を行うためには、時には所属する党の幹部に意見することも辞さない、この覚悟で国民に恥じることのない公正な委員会運営を決断する、これこそがあなたの職責だったのだと言わなければなりません。
 委員長解任に賛成する第二の理由は、重要法案と言いながら、IR整備法案の審議を深めることなく、昨日夕刻の理事会で、質疑終局、採決を一方的に宣言したことです。
 委員長は、質疑時間が衆議院を超えたことを理由としましたが、これまで三回行われた対政府質疑では豪雨災害についての質問も多く、法案審議を深める条件を欠いていました。また、法案には、カジノ施設の面積規制を含め三百三十一項目が政省令とカジノ管理委員会規則に丸投げされており、この項目一覧が政府から示されたのは昨日の委員会開会直前でした。世界最高水準の規制をうたいながら、それをどう担保するのか、国会審議では全く明らかになっていません。
 また、二年前に議員立法として成立したIR推進法の提出者がアメリカのカジノ事業関係者にパーティー券を購入してもらっていたという問題も急浮上しました。刑法で犯罪とされている民間賭博を政府が解禁するのはハードルが高い、まず議員立法でカジノ解禁を政府に要求し、議員立法を根拠に政府がカジノを合法化する、これが今回のIR整備法案が提出された経緯です。事の始まりが海外カジノ業界から日本の政治家への裏献金であったという疑惑が深まっており、我が党は、推進法提出者であった岩屋毅氏、細田博之氏、両衆議院議員の委員会出席を求めております。
 こうした問題への質問が始まったばかりで、どうして法案採決を宣言することができるのでしょうか。中立公正を投げ捨て、与党と政権の言いなりに委員会運営を強行することは許されません。
 第三に、加計学園問題について、真相究明に欠かせない参考人招致や証人喚問を棚上げし続けていることです。
 加計学園の獣医学部新設の経緯で官邸や内閣府がどう関与したのか、この真相究明は今国会で行うべきです。愛媛県知事が、参議院予算委員会の要請に応え、文書を本院に提出したのは五月二十一日のことです。この文書には、安倍総理と官邸の直接的関与が詳細に記されています。
 二〇一五年二月二十五日、加計学園理事長と安倍総理が獣医学部新設問題について直接会って話をした、ここから総理秘書官、内閣府などが加計学園ありきで動き始めた、これしか説明の付かない状況です。ところが、総理が面会を否定し、学園の事務局長が面会を思い付きででっち上げたという、どうにも説明の付かない説明が行われている。誰がうそをついているのか、何をごまかそうとしているのか、真相究明することは当然です。
 私は、加計学園の理事長、事務局長、また、内閣府で国家戦略特区を担当し、加計学園の車で獣医学部新設予定地まで視察していた藤原豊氏らの委員会招致を繰り返し要求していますが、柘植委員長は、その実現のために何も動こうとしていません。
 加計学園の問題で、世論調査では七割が総理の説明に納得していない、つまり圧倒的多数の国民がこの国の総理大臣はうそをついていると思っている、これは異常な事態です。
 委員長が行うべきは、窮地に立たされた政権をかばうことではなく、疑惑のうみを出し切るよう、政府や政権から独立して、徹底した国政調査を断行することではありませんか。
 最後に、国民の信託を受けた国会が、議員がなすべきことは何か、国民から鋭く問われていることを自覚すべきです。国民に恥じることない国会運営を、国会審議を行うことを強く求め、討論を終わります。(拍手)

 


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