自民・公明両党と維新の会の3党が共同提出したギャンブル依存症対策基本法案が5日、参院内閣委員会で採決され、3党と国民民主党の賛成多数で可決しました。日本共産党、立憲民主党、希望の会(自由・社民)などは反対しました。
採決に先立つ討論で共産党の田村智子議員は、法案を提出した3党がカジノ合法化に賛成の態度を取っていることを指摘し、法案が「カジノを合法化するうえでの地ならし」となっていると批判。実態はギャンブルであるパチンコ・スロットを日本が野放しにしてきたことが外国と比べても日本のギャンブル依存症の割合が高い要因になっていることをあげ、「このうえカジノを合法化するなど、断じて認めるわけにはいかない」と強調しました。
そのうえで、田村氏は、事実上の換金システムである、パチンコの「3店方式」について禁止を含む規制を要求。実効性のある予防策に加え、ギャンブル依存症に、り患した人への支援策こそ議論すべきでカジノ合法化の議論などやるべきではないと重ねて主張しました。
2018年7月6日(金)しんぶん赤旗より
【7月5日 参議院内閣委員会議事録】
○田村智子君 私は、日本共産党を代表して、ギャンブル等依存症対策基本法案に反対の討論を行います。
ギャンブル依存症になってしまった方々が医療と回復のための支援を受けられるように国も地方自治体も施策を進めることは重要であり、参法である野党案が採決に付されれば賛成する立場であったことを初めに意見表明しておきます。
その上で、自民、公明、維新の会の衆法に反対する理由は、この三党がカジノ合法化に賛成の態度を取っていることです。本法案の提出者には、二年前の議員立法であるIR推進法、つまりカジノ推進法の提出者まで含まれています。これでは、カジノを合法化する上での地ならしとしてのギャンブル依存症対策と言わざるを得ません。
既に日本は、実態はギャンブルであるパチンコ、スロットが駅前、繁華街、学校の通学路もお構いなしで営業し、換金システムである三店方式も容認されており、これが諸外国と比してもギャンブル依存症の割合が高い要因であることは明らかです。この上カジノを合法化するなど、断じて認めるわけにはいきません。
三日の本委員会で、多重債務の相談事業を行っている大阪いちょうの会の山口美和子参考人は、父親のパチンコ依存症によって言葉に尽くせぬ苦しい経験を重ねてきたこと、また、パチンコ依存症の方々の立ち直りがどれほど困難かを率直にお話しくださいました。とりわけ、子供が置かれる深刻な事態を考えれば、新たな依存症を生まないことがどれほど切実な依存症対策であるかは明らかです。
カジノの合法化とギャンブル依存症対策とは全く相入れないものであり、カジノを推進する自民党、公明党、維新の会の法案には到底同意できません。
また、修正案についても、衆法の修正であるため、カジノの収益を含む関係事業者の収益を依存症対策に充てることとなり、賛成できません。
新たな依存症を生まないための施策については、法案にはほとんど盛り込まれていません。ギャンブル依存症等の教育、啓発と言いますが、刑法が犯罪とする賭博行為であるカジノを合法化し、いかなる教育、啓発を行おうと言うのでしょうか。
また、国が放置しているパチンコは、法案ではギャンブル等の等という扱いです。ギャンブル依存症の圧倒的多数がパチンコ、スロットによるものです。事実上の換金システムである三店方式について、禁止を含む規制を検討すべきです。また、パチンコ店内の銀行ATMの設置禁止はすぐにでも可能な対策であり、パチンコ、スロット業界の自主規制任せではなく、国としての規制に踏み出すべきです。こうした実効性のある予防策についても法案審議で深めるべきであったと指摘しておきます。
最後に、ギャンブル依存症対策は、既に罹患した方への支援策も、治療についてもエビデンスはこれから検証される段階であり、支援体制もまだほとんど構築されていません。そして、予防策については更に周回遅れの状況と言わざるを得ません。引き続き議論すべきはこうした対策であって、カジノ合法化の議論などやるべきではない、このことを強く主張し、討論を終わります。