国会会議録

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通知書記載は撤回を 田村智子氏 マイナンバーただす


(写真)質問する田村智子議員=5月31日、参院内閣委

 日本共産党の田村智子議員は5月31日の参院内閣委員会でマイナンバーの誤配送や漏えいの問題を追及しました。

 昨年2月の衆議院総務委員会で、梅村さえ子前議員が地方自治体から事業所に送付する住民税の「特別徴収税額通知書」へのマイナンバーの記載は情報漏えいがおきると指摘。しかし総務省は、同年3月に自治体に対しマイナンバー記載の強制を通知しました。

 田村氏は31日の同委で誤配送の実態を確認。個人情報委員会は、152件695人分の誤配送、漏えいを認めました。

 田村氏は、事業所が管理業務の際に漏えいしたら罰せられると指摘。マイナンバーが記載された書類の保管について個人情報委の福浦祐介事務局次長は「ガイドライン上必要のないマイナンバーは、廃棄又は削除しマスキングして保管することは事業所の判断で可能」と答弁しました。

 田村氏は、経済同友会も通知書への記載は廃止すべきだと提案していることを紹介し、「事業所も自治体もこのマイナンバー記載は業務上必要ない」「通知書への記載という方針は撤回すべき」だとただしました。総務省の小倉將信大臣政務官は「当分の間、記載しないこととした」と述べ、昨年の方針の変更も事実上認めました。

2018年6月4日(月)しんぶん赤旗より

 

【2018年5月31日 参議院内閣委員会議事録】

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 この地方分権一括法案には、マイナンバーの情報連携の対象拡大などマイナンバーの更なる利活用、こういう内容が含まれています。しかし、年金の基礎番号をマイナンバーに関連付ける処理が不適切な業務委託で行われ大量の記入ミスがあったことが発覚するなど、個人情報の保護に反する深刻な事態が起きています。
 住民税特別徴収の税額通知書へのマイナンバー記載、これもその一つです。昨年四月十八日の本委員会で、私は誤配送や情報漏えいの危険性を指摘しました。これは、住民税の特別徴収というのは、従業員の方の給料から事業主があらかじめ住民税を控除する、そして事業主が代わりに納めると。そのために、お一人お一人に、一体住民税が幾らなのかということを事業所に一人一人の従業員の名前とともに税額を記すんですね。そこにマイナンバーを昨年記載するということが行われたわけです。
 危惧したとおりの事態が起きました。把握している誤配送の件数、それがどれだけの人数のマイナンバーに当たるのか、まずお聞きいたします。

○政府参考人(福浦裕介君) お答え申し上げます。
 この百五十二件についてでございますが、当委員会への報告件数でございまして、百五十二の地方公共団体から報告を受けたものでございます。また、漏えいした人数でございますが、合計をいたしますと六百九十五人となります。

○田村智子君 これ、個人情報保護委員会、今御答弁いただきました、に報告のあっただけで百五十二件、六百九十五人と。この百五十二件というのは、二〇一七年上半期二百七十三件の五五・五%に当たるわけですね。非常に重大な漏えいになってしまったわけです。
 この報告を受けて、個人情報保護委員会としてはどのように対応を行いましたか。

○政府参考人(福浦裕介君) お答え申し上げます。
 私ども委員会におきましては、漏えい事案等が生じた場合には、地方公共団体に対しまして、再発防止策の検討、その速やかな実施、影響を受ける可能性のある本人への連絡などを行うよう求めておりまして、それらの対応状況について報告を受けてございます。
 その報告を受けた際に検討内容が不足している場合などには、地方公共団体に対しまして再発防止策の実施に関します指導、助言等を行っているわけでございます。さらに、漏えい事案等が他の機関で起きないようにするための防止策としまして、現場で生じやすいミス、留意事項について参考となる事例をホームページに紹介する、全国の地方公共団体に対しまして、トップから事務担当者に至るまで各階層の方に説明会を実施しているところでございます。

○田村智子君 個人情報保護委員会は、行政機関における特定個人情報の漏えい事案が発生した場合の対応についてで、今御答弁いただいたように、速やかに本人に連絡し、又は本人が容易に知り得る状態に置くことを定めているわけです。そういう指導といいますか対応を自治体に対して行ったということですけれども、そもそもマイナンバーの記載を自治体に対して指導したのは総務省ですよ。結果としての誤配送が起きている。総務省は、それではどのような対策を取ったんですか。

○政府参考人(稲岡伸哉君) お答え申し上げます。
 特別徴収税額通知の誤配送によるマイナンバーの漏えいについては、地方税に係るミスでございまして、大変残念でございます。
 誤配送した団体については再発防止に努めていただきたいと考えておりますし、その旨、幾度も通知をさせていただいているということでございます。

○田村智子君 これ、経緯を申し上げます。
 まず、昨年の二月に、こうやって総務省が記載を求めましたので、衆議院総務委員会で我が党の梅村議員が総務大臣に直接、情報漏えいの問題起きますよと、この問題点を厳しく指摘しました。自治体は、様々な自らの判断の中で記載しないと、こういうふうに判断した自治体もありました。また、記載しないという判断をしていいのかどうかという問合せを総務省に対して行った自治体もあったようです。
 そうしたら、この二月の質問を受けて総務省は何をやったのか。三月六日に通知を出しているんです。QアンドAという形ですが、ここに何て書いてあるか。個人番号欄を自治体が独自に判断して削除することはできません、個人番号の記載を不記載や一部不記載とすることは認められていません、わざわざこういう通知を行って個人番号をちゃんと記載するようにと、皆さん求めたんですよ、総務省は。
 私、重大だと思って四月にこの委員会で取り上げて、市民団体がいろいろ調べてみましたら、普通郵便で送付しようとしているところもあると。これ、東京都はちょうど昨年は従業員が一人以上というところは全部この特別徴収の対象になって、それで通知が大量に送られるということになった、それとも重なったわけですよ。こういうことも様々に示して、これ、自治体の判断で記載しないってやろうとしているところもあるのに、総務省がそんな記載しろなんという通知を行えば誤配送起きますよと、個人情報の漏えいになりますよと厳しく指摘したわけですよ。予見できたんです。
 これ、この予見できるような事態に対して記載を行うように指導してしまった、このことについてどのような責任を認識しているのか、御答弁ください。

○大臣政務官(小倉將信君) 田村委員が御指摘をされましたように、特別徴収税額決定通知の送付等におけますマイナンバーの漏えい事案が発生をいたしましたことは、先ほど稲岡審議官からも申し述べさせていただきましたとおり、大変残念であると、このように考えておりますし、マイナンバーの漏えい事案が発生した市区町村には再発防止を努めていただきたいと、このように考えております。
 一方で、この特徴の通知書につきましては、マイナンバーを記載をすることによりまして事業者と市区町村の間で正確なマイナンバーが共有をされて、個人住民税の税務手続を通じまして公平公正な課税や事務の効率化にもつながると、このように考えております。
 総務省といたしましても、再三再四通知を出させていただきまして、今回の事案も踏まえまして五月にも通知を出させていただきまして、マイナンバーの適切な取扱いを徹底するように要請をさせていただいております。

○田村智子君 これ、マイナンバーについては国民の中にまだ意見が様々に分かれていますよ。ですから、事業所に伝えていないという方が少なくなくいらっしゃいますよ。私の質問に対する反響の一つは、私の知らないところで勝手に自治体がマイナンバーを記載して事業所に送っているのかと、何でこんなことが許されるんだという反響もありました。
 事業所は今も困っています。必要な情報ではないです、事業所にとって。この住民税の特別徴収するときにマイナンバー必要ないんですよ、全然。必要なのは、幾ら控除する必要があるか、これだけですよ。ところが、マイナンバー記載された通知書を送り付けられて、管理義務も一方的に負わされて、漏えいしたら罰せられるという状態に置かれているわけです。
 個人情報保護委員会にお聞きします。一般的に、マイナンバーの漏えいを防ぐために、事業所では書類からマイナンバーを黒塗りにするなどして保管する、これは可能でしょうか。

○政府参考人(福浦裕介君) お答え申し上げます。
 マイナンバーガイドライン上、保管につきましては、事務を行う必要がある場合に限り特定個人情報を保管し続けることができるとされておりまして、事務を処理する必要がなくなった場合にはマイナンバーをできるだけ速やかに廃棄又は削除しなければならないといたしております。そのガイドライン上、議員御指摘のマスキングして保管することにつきましては特段の定めは置いておりません。
 したがいまして、一般論で申し上げますと、各事業者の判断によりまして実施することは可能かというふうに考えてございます。

○田村智子君 これ、住民税の徴収額に関する書類なので、事業所は一定期間保存しなければならないわけですよ。
 総務省、通知で記載させたのはあなたたちですよ。だったら、せめて、昨年配ってしまったもの、このマイナンバーは黒塗りにして、それをコピーして保存してもいいよと、で、元々のやつは、黒塗りしても透けて見える可能性はありますから、シュレッダーしてもいいよとなど、何らか事業者の負担を軽くすること、これ必要だと思いますけど、いかがですか。

○大臣政務官(小倉將信君) 個別の事業者がどのように特別徴収税額通知を管理しているかどうかにつきましては、総務省としては把握をいたしておりませんが、個人番号関係事務実施者であります事業者は、マイナンバー法の十二条によりまして、マイナンバーの漏えい等の防止のために必要な措置を講じるとされておりまして、法令に従って適切にマイナンバーを管理をしていただいているというふうに承知をいたしております。
 なお、マスキングにつきましては、先ほど個人情報保護委員会からも答弁がありましたように、ガイドライン上はマスキングをして保管することにつきましては特段の定めがなくて、各事業所の判断になるものと、このように考えております。

○田村智子君 そういうことこそ通知してほしいと思いますよね、今困っていますから。
 昨年の質問で、そもそも自治体にとっても事業所及び従業員にとっても住民税特別徴収額の通知書にマイナンバー記載する必要は全くないと、こういうことを指摘いたしました。実は、私と同じ問題意識で提言を繰り返している団体があったんですね。経済同友会です。珍しく意見が経済界と一致いたしました。
 二〇一七年八月三十一日の経済同友会の提言では、地方自治体、企業共に利用することのない情報であり、誤配などによる情報漏えいのリスクを踏まえ、記載は廃止すべきであると、こうまとめています。さらに、九月十九日にも、特別徴収税通知に個人番号記載は不要と、少なくとも紙媒体で交付される通知書については個人番号の記載を不要とすべきと。完全一致です。そのとおりなんですよ。データ上で一致して、自治体の中でそれが分かればいいだけの話なんですよ。紙媒体に記載して事業所に送り付ける必要は全くないわけです。
 総務省は、昨年起きた漏えいの事件を踏まえてなのか、当面記載を求めないという方針になっているというふうにお聞きしますけれども、そもそも個人番号の記載欄を特別徴収の通知書、ここに記載すると、これ自体の方針を撤回すべきではないかというふうに思いますが、いかがですか。

○大臣政務官(小倉將信君) お答え申し上げます。
 昨年度、マイナンバーを記載した初めての特別徴収税額通知が行われましたが、書面による通知につきましては、委員から御紹介がございましたように、事業者の管理負担も大きいということなどから、経済界より見直しの要請があったのは事実であります。
 こうした要請を踏まえまして、与党の税制改正大綱におきまして、今年度分の通知から、電子送付を行う場合には引き続きマイナンバーを記載するものの、書面により送付する場合には当面マイナンバーを記載しないこととされたところであります。
 通知へのマイナンバー記載そのものは、公平公正な課税を図るため、正確なマイナンバーを共有する必要性が、意義があると考えておりますことから、今般の見直しでは、事業者の保管コストが大きい書面の通知について当面マイナンバーを記載しないこととしたということが経緯でございます。

○田村智子君 当面というのは当面であって、いつがお尻か決めていないということですからね。本当に厳しく指摘した問題なので、残念で済まさずに、やっぱりちゃんと反省をしていただきたいということを申し上げておきます。
 今回の法案では、障害者等への施設入所等の費用徴収に関する事務処理で、本人及び同一世帯の家族等の所得情報を新たにマイナンバーの情報連携の対象としています。自治体間で本人の同意も必要なくマイナンバーによって所得情報の提供、これが行われることになります。
 この所得情報というのは地方税の情報であって、これは本来、地方税法で厳しく守秘義務が掛けられています。この守秘義務を解除して、情報提供を求められた自治体に対しては応諾義務を課すということになると思いますが、いかがですか。

○政府参考人(宮嵜雅則君) お答え申し上げます。
 今議員からお話のありましたとおり、今回の児童福祉法等の改正は、地方税法上の守秘義務を解除し、マイナンバーを活用した地方税関係情報の情報連携を可能とするものでございます。

○田村智子君 これ、内閣府でお答えいただいてもいいんじゃないかと思ったんですけど、厚労省じゃなきゃ駄目だというんで、来ていただいてありがとうございました。
 既に多くの事務でこのような措置がとられているわけですよ。これ、守秘義務に穴を空け、それを拡大していっているというのと同じなんですね。冒頭で指摘したとおり、個人情報の保護が余りにずさんな中で、このようなマイナンバーの利活用ばかり推し進めるということは大変危険だと思いますが、政府の見解をお聞きして、質問を終わります。

○大臣政務官(小林史明君) まず、田村委員の問題意識は共感するところだと私は思っていまして、やっぱりこの特定個人情報の取扱いというのは、各行政機関でしっかり安全管理措置の徹底が図られるように引き続き我々もしっかりやっていきたいと思います。
 特徴への通知も、私、実は政務官になる前に、この業務負担どう軽くできるかという観点で同じような問題意識を持っておりました。そういう意味では、少し遅くなってしまいましたが、今回からは、当面まずは記載しないということができたわけでありますので、なるべくこういうふうに早く対応ができるようにやっていきたいと思っています。
 その上で、先ほどのマイナンバーの活用を広げるのはどうかというお話なんですが、今回の法案では、地方公共団体から提案を受けて、予防接種や難病の医療費助成とか費用徴収の事務等において、行政機関の専用のネットワークシステムを通じた情報のやり取りによって、従来必要とされた障害者手帳や健康保険証、課税証明書等の添付書類を省略できるように情報連携の項目を追加するということでありまして、住民の利便性向上にもつながりますし、地方公共団体の事務処理の効率化にもつながるということで、これは地方公共団体からやりたいと言っていただいたというものがまず基本にあるということであります。
 そして、問題意識のこのマイナンバーのところなんですが、実際、マイナンバーが確かに漏れるのは、これ良くないと思います。ただ、これはマイナンバーの仕組み上、番号が分かったからといって全ての情報が芋づる式になるものではありません。委員御指摘のように、先ほどの情報もきちっと保管をされていますので、そういったことはないようにシステム上なっておりますが、しっかりこのマイナンバーについても管理措置がなされるようにこれからも取り組んでまいりたいと思います。
 以上でございます。

○田村智子君 終わります。


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