(写真)質問する田村智子議員=29日、参院内閣委
田村氏への答弁
菅義偉官房長官は29日の参院内閣委員会で、学校法人「加計学園」が2015年2月の安倍晋三首相と学園理事長との面談を虚偽の情報だとするコメントをした問題について、「加計学園から連絡を受けていないし、問い合わせもしていない」と答えました。日本共産党の田村智子議員への答弁。
田村氏は、愛媛県作成の文書には、安倍首相が学園理事長に会い、獣医学部構想に「いいね」と応援する発言をしたと記されているとして「安倍首相が(加計氏に)会ってもいない、発言もしていないのに、こんな報告をしたならば、安倍首相の信頼にかかわる」と指摘。梶山弘志地方創生担当相にも「(加計学園に)説明を求めないのか」とただしました。
菅官房長官は「安倍首相は(加計氏に)会ってない。会ってないから、そういう発言もしていないと明確に述べている」というだけ。梶山担当相も「(学園に)説明を求めていない」としか答えませんでした。
2018年5月30日(水)しんぶん赤旗より
【5月29日 参議院内閣委員会議事録】
○日本共産党の田村智子です。まず、加計学園問題についてお聞きします。
愛媛県の文書に記されていた二〇一五年二月二十五日の安倍総理と加計理事長の面会について、二十六日、加計学園は、実際にはなかった面会を引き合いに出したという驚きのコメントを報道各社に示しました。安倍総理と加計理事長の面会をでっち上げて愛媛県と今治市に報告をしたという説明になります。
この件について加計学園は、安倍総理や総理官邸に対して何か連絡や御説明はされているんでしょうか、官房長官。
○国務大臣(菅義偉君) 五月二十六日の加計学園によるコメントの発表に際し、加計学園から連絡は受けておらず、また問合せもしておりません。
○田村智子君 問合せもしていない。
これは何で加計学園に説明を求めないのですか。
○国務大臣(菅義偉君) 加計学園のコメントについては、加計学園と愛媛県や今治市の間のやり取りに関することであり、政府としてはコメントする立場にはないということであります。
○田村智子君 おかしいですよね。先ほどの質問にもあったとおり、安倍総理が加計学園の獣医学部構想に対していいねと応援する発言をしたという報告ですよね。安倍総理が会ってもいない、発言もしていない、それなのにこんな報告をしたならば、まさに総理の信頼に関わることになるわけですよ。それなのに、総理や官邸は加計学園に対して何も言わず、何も対応しない。今後もそれで済まされると思いますか。
○国務大臣(菅義偉君) 総理は、お会いをしていないし、お会いをしていませんからそういう発言もしないということは明確に述べているんじゃないでしょうか。
○田村智子君 いや、だから、そう言われていると。それで、加計学園が、しかし、それと違うことを今治市や愛媛県に対して説明をしたと、でっち上げたと。だったら、当然、説明求めたり、抗議したり、何らかの連絡をお互いに取る、これは当然のことなんじゃないんですか。
○国務大臣(菅義偉君) 先ほど来申し上げておりますけれども、加計理事長との面会について総理御自身が、平成二十七年の二月二十五日に加計理事長とお会いしたことはない、念のため入邸記録も調査したが、加計理事長が官邸を来訪した記録は確認できなかった。記者の皆さんが出入りする人の名前を逐一確認している首相動静にも載っておらず、自宅を含めて会っていないという総理から説明をしております。それに尽きるんだろうと思います。
○田村智子君 もうだから全然私が聞いていることにお答えになっていないんですけどね。ちょっと、そういうお答えだったら梶山大臣にもお聞きしなきゃいけないんですね。
内閣府は加計学園に説明求めないんですか。
○国務大臣(梶山弘志君) 求めておりません。
○田村智子君 国家戦略特区で加計学園に獣医学部の新設を認めたんですよ。その学校法人が総理との面会をでっち上げていたと、自らそういうコメント出したんですよ。これ報告、何らかの説明求めるのは当然だと思うんですが、やらないんですか。
○国務大臣(梶山弘志君) 先ほど官房長官からお話ありましたように、この文書が出たときから総理はお会いをしていないということを申しておりましたし、また、そういう発言もしていないということを常に言ってきたわけでありますから、こちらから問合せはする必要はないと思っております。
○田村智子君 もう本当に変な対応なんですよね、それは。
これ、愛媛県の文書に書かれていることがもう事実だと認めざるを得ないような状況に今なってきたわけですね。今治の市長さんも、加計学園が総理と理事長の面会をした、そういう報告を受けた記憶がある、言ったと。もう、あの文書の中に出てくる人は加計学園と様々な話をしてきた、そのことをもう認めざるを得ないような状況になった途端に、今度は加計学園がこれはでっち上げだったという驚きのコメントを出してくる。説明は求めない。そうすると、これは政府の側にも何かやましいところがあるんじゃないのかと、こういうふうに思わざるを得なくなってしまうわけですよ。加計学園に説明してもらったら困ると、逆に。
愛媛県の新文書には、柳瀬総理秘書官が内閣府の藤原次長を紹介したこと、あるいは、学部の構想を作成したのは、獣医学部構想ですね、作成したのは加計学園で、教員確保についても具体的に記述がされている。これらを内閣府や藤原氏が当時知らなかったとは到底考えられないという事態なんです。
今日、梶山大臣にお聞きしようと思ったんですけれども、これはもう私は柳瀬氏と藤原氏本人にただすしかなくて、こんなことを梶山大臣に聞いていること自体が異常だと思っています。今日も参考人招致を求めて、理事会の中では、与党からも、内閣委員会にはもう藤原豊氏は出てもらうこと必要じゃないかという御発言も政府に対していただいているということでした。
これやっぱり、そういう委員会をやらなければならない、必ず柳瀬氏と藤原豊氏、これ内閣委員会にお呼びいただきたい、このことを改めて求めたいと思います。
○委員長(柘植芳文君) ただいまの件につきましては、後刻理事会で協議をいたします。
○田村智子君 加計学園については以上で質問を終わりますので、官房長官と梶山大臣、御退席いただいて構いません。
○委員長(柘植芳文君) 両大臣は御退席されて結構でございます。
○田村智子君 次に、今日は、加計学園の問題、終わるわけではありません。藤原さん、柳瀬さんが出てこなければ質問ができないという意味です。
今日は、次に、子供の貧困の対策に関わって、高校授業料無償化の政策についてお聞きします。
民主党政権時に実現した高校授業料の無償化、これは、ばらまきという非難の下に、安倍政権は所得制限を持ち込みました。このため、授業料補助等高校就学支援金を受けるためには、高校生に対して申請を求め、所得証明書など書類提出を義務付けたわけです。
この所得制限を課す法案審議の際、私は、保護者が様々な病気、精神疾患などを含む病気の場合や複数の仕事をしていて所得証明取るのが難しい場合など、困難な家庭ほど申請のハードルが高くなると、このことを再三指摘いたしました。収入証明ができないために就学支援金の受給ができないとか、支給が遅れて授業料が一旦発生するとか、こういうことは一件もあってはならないという質疑をしたわけです。当時の下村文科大臣は、十二分に配慮していただきたいと、自治体への配慮を求めたわけですね。
ところが、実際には、私が危惧したような事案が現実に起きていることが分かりました。
都内で生活保護を受けながら私立高校をこの三月に卒業したAさん、昨年十一月、大学センター試験の受験を学校に申し込んだところ、授業料の滞納を理由に受け付けてもらえなかったんです。センター入試というのは、現役高校生は学校を通じての申請になりますので、Aさんは受験できなかった。さらに、学費を全額払わなければ受験に必要な調査書を書かない、こういう対応のため、二月の私立大学の入試も申し込めなかった。一括で支払わなければ卒業証書も渡さないとまで言われた。
この時点で私の事務所にも相談があって、我が党都議団とも協力をして、東京都や学校に適切な対応を促して、三月の受験ができるように、それから卒業することできるようにというふうにしましたけれども、Aさんが被った不利益、精神的なショック、これ本当にいかばかりかと胸が痛みます。
東京都の場合、生活保護世帯は授業料相当分は無償、その他の学費負担も就学支援金によって無償になるはずなんです。じゃ、何でこんな事件が起きてしまったのか。Aさんが三年生のとき、なる頃ですね、授業料免除の申請の時期にお母さんのうつ病が悪化してしまって書類の提出を忘れてしまった。これで就学支援金が支払われなくなってしまったためなんですね。
東京都や学校は、Aさんが生活保護世帯であり、申込みを行わなければ学業の継続が難しいということは分かっていたはずなんです。ところが、書類提出の督促もなく、所得状況から当然受けられる就学支援金の手続、これ言わば放置したということになります。
これが、当時、大臣が言った十二分に配慮した結果というふうに言えるんでしょうか。
○大臣政務官(宮川典子君) 先生御指摘の件に関しては重たく受け止めなければいけないと思っております。
文部科学省としては、高等学校等の就学支援金の申請や届出に当たり、保護者等の個別的な事情に応じて柔軟な対応を行うことは重要だと考えております。これまでも、都道府県に対しまして、事務処理要領というのがございますけれども、これらを通じて依頼を行ってきてはおります。
例えば、具体的には、DVで保護者等の所得を証明する書類が取得できないような家庭については一方の保護者のみの書類で対応可能とするとか、あとは、被災などや長期にわたる生徒の病欠といったやむを得ない理由によって申請が遅れた場合には、遡及して支給をするということを運用してほしいということで都道府県にお願いをしてまいりました。
さらに、今月でありますけれども、この事務処理要領の改正をいたしまして、委員御指摘のような、保護者が病気、入院、療養をしている場合も含まれることを明示いたしまして、就学支援金制度の趣旨を踏まえ、都道府県がより柔軟な対応を行えるようにしております。
文部科学省といたしましては、今後も保護者等の個別事情に応じた柔軟な対応が行われるように極めてしっかり努力をして努めてまいりたいと思っております。
○田村智子君 もちろん、丁寧な対応をこれまでもしてきた私学は多いというふうに思います。しかし、やっぱり通り一遍の周知で、出していない人は出してくださいねと、これ全体に言うだけ、こういう学校も実際にあるというふうにお聞きをしているわけですね。
これは、根本的には、所得制限を持ち込んだことで大変煩雑な手続事務を学校に負わせていること自体が問題なんです。それだけでなく、先ほど事務処理要領の見直しも今月行ったというふうにお聞きしましたけれども、やはり記載に問題があったんですよ、文科省の対応に。
この事務処理要領、受給者自らの意思で辞退できるというふうに書いてあるんです。辞退というのは、つまり申請がなかった場合ですよね。しかし、学業継続が本当に可能かどうか、意思確認を促すなど配慮するよう求めるという記載はないわけですね。
また、提出意思がない者をチェックする、こういうふうには書いてあります。私も、子供が二人、私学に通いましたので、全部出してくださいと。そのときに、申請するかしないかと、自分は所得制限超えているので申請しない場合にはチェックして出してくれというふうに対応した学校もあれば、そこまでやらなかった学校もあります。
じゃ、そうやって出さなかった、本当にその申請する意思がないのかどうかが明確でない場合、そのことをちゃんと確認する、学業継続が大丈夫なのか、こういうふうに問合せをする、こういうことをやってくださいねという記載がないわけですよ。
これは、高校生に対して学習権を保障するという観点に欠けているというふうに思いますが、いかがですか。
○政府参考人(下間康行君) 委員お尋ねのその点でございますが、まず、その制度の周知ということがまず必要かと思いますが、都道府県、学校は様々な機会を捉えて生徒、保護者に本制度の趣旨、目的あるいは期待される効果などを周知するよう努める、また、不知や勘違いなどにより受給できないことがないように周知を図ることということを事務処理要領上明記をしてございます。
先ほど政務官から御答弁申し上げましたとおり、そのやむを得ない理由により申請が遅れた場合に遡及して支給することができるという、このやむを得ない理由の判断については都道府県が行うこととしてございますけれども、この具体例につきまして、今年度の改訂に当たりまして、保護者の長期にわたる入院、療養等も含まれることを明記をし、都道府県がより柔軟な判断を行えるように明確化したところでございます。
文部科学省といたしましては、引き続き、保護者などの個別の事情に応じた柔軟な対応が行われるよう、都道府県とも連携を図りつつ取り組んでまいりたいと考えております。
○田村智子君 これ、本当に申請に至るまでが大変なんですよ。最初に、入学するときの説明会で聞いたって、一度で聞いて分からないと思いますから、分からなかったら質問してくださいねというふうに徹底しても、本当、私は、その所得制限を設けるときの法案審議に参加した一人です。だけど、学校の説明会聞いて分からなかったですよ、何説明されているのか。それくらい煩雑なわけですね。
先ほど御答弁のあったそのやむを得ない事由という場合なんですけれども、その場合には遡及して、ちゃんと、申請があった翌月からではなくて、遡及して払わなければならないという規定もあるはずなんですけれども、このAさんの場合、それも、遡及がなかなか大変だったわけですよ。センター入試の件で未提出であったということが分かって、Aさんの家庭では十一月に申請書を出しました。東京都は、就学支援金の支給は申請があった翌月からが原則で、遡及は真にやむを得ない場合に限られるんだと、学校のミスではなく、本人の責めに帰するようなものについては遡及しない、本件は申請のし忘れに該当するものであって遡及できないというふうに判断した、これは文科省とすり合わせた基準に基づくものだというふうに説明があった。
私の事務所は本当に驚きました。私、これ質問しましたから。もしも申請が遅れた場合に滞納発生したらどうするんだと、そうならないように遡及すべきでしょうということも、これまた法案審議のときに厳しく指摘をして、そうするようにするという、そういう答弁、やり取りがあったわけですよ。にもかかわらず、文科省とすり合わせた上で遡及しないことにしたと。何なんだと思って事務処理要領を見たら、先ほどは書換えがあったというふうに言いましたけれども、保護者が病気療養などを原因として提出できなかった場合、これはやむを得ない事由に含まれていなかった。
私、そうやっていろんな事例を書いても、その事例に当てはまらないようなことはいろいろ出てくることあると思うんですよ。複雑な事情があればあるほど、その責任を何で高校生に負わせるのかと。経済状況でこれは該当すると分かったら、遡及するのは当たり前のことだというふうに思うわけですけれども。
事務処理要領を改訂されたということですけれども、今後も必要なのは個別個別のケースだと。そして必要なのは、高校生に対して、家庭の経済状況で受給権があるにもかかわらずその権利が執行できないような事態を起こさない、その対応が必要だということ、これ改めて周知することが必要だと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(下間康行君) まず、その委員御指摘の事例の事実関係につきましては、所轄庁である東京都に事実関係を確認いたしましたものの、情報提供が得られていない状況でございます。
そうした中で、本年三月に、東京都から、生徒の保護者が長期の寝たきりの状況だが、課税証明書の取得に当たり、当該保護者の委任状等、意思の確認は可能であった場合、やむを得ない理由となるかと質問が、照会がございました場合には、この運用においては、保護者が病気のため課税証明書が取得できない場合、やむを得ない理由として認め得る、個別のケースに応じて柔軟に御判断いただきたい、判断が容易でない場合は適宜御判断いただきたいと回答したところでございます。
いずれにいたしましても、御指摘がございましたとおり、保護者の個別の事情に応じた柔軟な対応が行われるよう、都道府県とも連携を図りつつ取り組んでいくことが必要と考えております。
○田村智子君 これは、東京都から文科省に問合せがあった時点で私は解決されるべき案件だったというふうに思います。
あわせて、今回、生活保護基準の見直しについて、学習支援費についても精算払いに制度が変更されたわけです。それで、使われ方もクラブ、部活動など、使途制限が行われたわけです。
これ、三月二十三日の委員会で取り上げて、大沼政務官からは、「小学校では対象者が限定される、また中学校ではクラブ活動引退後に支給されないなどの御指摘があることから、今後、様々なそういったレクリエーション活動というものが考えられることでありますから、地方自治体と協議しながらその対象となる範囲の詳細を検討してまいりたい」というふうに答弁がありました。
これまた必要な方に支給が行き届くことが大切だと思いますので、どういう検討をなされているんでしょうか。
○大臣政務官(大沼みずほ君) 委員御指摘のように、きちっとこの制度の見直しにつきましても利用を促していくために周知を図っていくことが重要であると考えております。
そのため、現場のケースワーカー等に分かりやすい説明が行われるように資料の作成を国といたしましてもしっかり行い、丁寧に自治体に周知していくとともに、そのクラブ活動の状況を適切に把握することが重要でありますので、自治体にどのように把握するのがいいのかをしっかりヒアリングした上でこの状況を把握して、子供の気持ちや、また委員御指摘のように申請の手間等もございますので、そこに配慮をしつつ、今年の平成三十年十月の施行までに具体的な対象範囲や支給手続についてしっかりやっていきたいというふうに思っております。
○田村智子君 最後、山下政務官にお聞きしたいんですが、子供の貧困対策には、低所得世帯の子供たちが必要な支援必ず行き渡ると、これが必要だと思うんです。手続が煩雑になったり、本人の責めに、親御さんの様々な事情が子供の不利益になるようなことがあってはならないというふうに思いますが、その件について御答弁を求めます。
○大臣政務官(山下雄平君) 大変大事な御指摘をいただきました。
どんな状態の子供であっても、どんな環境の子供であっても、誰もが家庭の経済事情に関わりなく、自らの夢に向かって頑張れる社会をつくっていくことが内閣全体の基本方針であります。
支援が必要な子供や家庭に確実な支援を届けるためには、政府による各種支援の拡充はもちろんのこと、自治体や民間、そして企業などが連携して一人一人に寄り添ったきめ細やかな支援が必要だというふうに考えております。内閣府においても、地域ネットワークを形成するための自治体の取組支援であったり、また、草の根で子供たちに寄り添って活動している民間団体への支援などを進めていっているところでございます。
御指摘の個々の制度の手続の在り方については所管省庁が検討されるべきものでありますけれども、内閣府としても、様々な困難を抱える子供たちに対して必要な支援がしっかりと届く環境を築いていけるように、子供の貧困対策に関する大綱の見直しの検討も含めて、関係省庁、そして自治体、民間団体と連携して子供の貧困対策を進めてまいりたいというふうに考えております。
○田村智子君 終わります。