(写真)質問する田村智子議員=15日、参院内閣
日本共産党の田村智子議員は15日の参院内閣委員会で、加計学園問題に関連して、愛媛県今治市の獣医学部新設構想をめぐる国家戦略特区ワーキンググループ(WG)の意思決定過程が非公開になっているとして、「透明性が高い仕組み」と説明してきた安倍晋三首相のうそを追及しました。
国家戦略特区制度は、自治体などからの提案を受けてWGが提案者や関係省庁にヒアリングし、その後、特区諮問会議(安倍首相が議長)が採用する構想を決定する仕組み。安倍首相は「透明性の高い仕組み」「WGは全てがオープン」だと述べています。
田村氏は、WGから諮問会議へ議論が持ち上がる際に、今治市の構想が数ある特区申請の中でなぜ選ばれたのか、選定過程が不透明だと指摘。内閣府が開示した文書によると、議事録が公表されたWGとは別に、2016年11月1日に「ワーキンググループ」と題して開かれた会議で、選定をめぐる議論が行われているとして、「この会議は一体何か」と追及しました。梶山弘志地方創生担当相は「WGとは違う」と答えました。
田村氏は、公表されたWGと11・1の会議で、委員への謝金や座長の出欠・出席委員の定足数に関する扱いに差はなく、「議事録をつくらない、公表しない点しか差はない」と指摘。「11・1の会議は影のWGであり、これこそオープンにすべきだ」と、政府の隠ぺい体質や、「透明性の高い仕組み」と喧伝(けんでん)する安倍首相を批判しました。
2018年5月16日(水)しんぶん赤旗より
【5月15日 内閣委員会議事録】
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
先週十日、柳瀬元総理秘書官への参考人質疑で、柳瀬氏は、二〇一五年二月から六月にかけて官邸で加計学園と三回面談したことを認めました。愛媛県の職員、今治市の職員がその場にいたことも否定できませんでした。この面談を記録した愛媛県文書が明らかになったのは四月十日のことです。
四月十七日の内閣委員会で私は菅官房長官に、愛媛県文書に書かれているこの二〇一五年四月二日の面談について柳瀬氏に聞き取りをするべきではないかと繰り返し質問いたしました。官房長官の答弁は、昨年夏、閉会中の審査において既に答弁していると、そして愛媛県が作成した文書についてもマスコミに対して文書でコメントを出していると、だから柳瀬氏に事情を聞く必要もない、この態度に終始をしたわけです。ところが、参考人質疑での柳瀬氏の答弁は、マスコミへのあのコメントで済ませられるようなものでは全くなかったわけですよ。極めて重大な内容でした。
官房長官、柳瀬氏に対して何も聞かず調べもしない、この対応には猛省が求められると思いますが、いかがですか。
○国務大臣(菅義偉君) そもそも、この柳瀬秘書官の面会については、自身の記憶に基づくものであり、本人以外は説明することはできないものであるというふうに思います。その柳瀬秘書官は、今御指摘がありました四月二日、そして先日の国会で答弁を行っています。
私自身が当時申し上げたのは、既に文書で明確にコメントを出していたことから、政府としてこれに尽きるという、こういうことを愛媛県の文書について申し上げました。
先日の参考人の質疑では、柳瀬元秘書官は、質問に一つ一つまた答えた結果、全体像が見えず、議論が混乱してしまったことを深くおわび申し上げると述べております。
また、昨年の夏の国会答弁がきっかけで議論が混乱した以上、本人が国会の場で記憶の限りを明らかにすることが何よりも重要なことであると考えます。秘書官は、参考人質疑の中で、国会の様々な御質問に対し知っていることを記憶の限り明らかにしようと、そういう中で一つ一つ誠実に答えたということを言われています。そう思います。
○田村智子君 それは、私たち野党が本当に頑張って実現した国会の参考人質疑で明らかになったことなんですよ。
私が聞いているのは、官邸は何もやらなかった、愛媛県の文書で一応内閣府は調べましたよ、文科省も農水省も一応調べましたよ、官邸は何もやらなかったんですよ、秘書官が動いたことなのに。このことについて猛省が求められているんじゃないですかと聞いているんです。
○国務大臣(菅義偉君) その文書については、官邸でそれぞれの省庁に指示をして探索をさせたということであります。
○田村智子君 済みません。今、何の文書のことですか。柳瀬氏のコメントの、あの記憶の限りないという、あれだけ、あれを官邸が指示して出させたという意味ですか。何のことを言っているんですか。
○国務大臣(菅義偉君) 各省庁に対してです。その文書を探すようにということを官邸が指示をしたということです。
○田村智子君 違うんですよ。各省庁は官邸で働いていた職員に対しては調べられないと言ったんですもの。だから、私たち野党の合同レクやったって、その柳瀬氏に対して誰も聞き取りをやってくれなかった。渦中の人物は柳瀬氏だったんだから、それが聞けるのは官邸しかなかったんですよ。それをやらなかった。そのことについて猛省を求めているんです。
○国務大臣(菅義偉君) ですから、官邸としては、それぞれの関係省庁に対して、その文書があったかどうかということを探すようにこれ指示したということです。
そしてまた、柳瀬秘書官の面会について今申し上げましたけれども、自身の記憶に基づくものでありまして、本人以外には説明することができない部分だったんじゃないでしょうか。
○田村智子君 もう官邸崩壊じゃないですか、それ。だって、秘書官が官邸でやったことが問われたんですよ。それが加計ありきだったんじゃないのかと。獣医学部新設特出しで動いて、各省庁に総理が動いているよとにおわせるような、そういう影響を与えたんじゃないかという重大な問題なわけですよ。
秘書官がやったことについて、官邸は何も、何もですね、これだけ問題視されているのに調査しなくていいということなんですか、官房長官。
○国務大臣(菅義偉君) 先ほど来私申し上げておりますけど、愛知県が作成をしたこの文書に関しても……(発言する者あり)大変失礼しました、愛媛県が作成したこの文書につきましても、政府として徹底してそこは指示をさせたということで、そこは官邸がしたということであります。
○田村智子君 もう驚くべき無責任ですよ。
十日の参考人での柳瀬氏の答弁も、中村愛媛県知事とは食い違っているんですよ。というか、中村県知事は怒っていますよね。県の職員や今治の職員がバックヤードにいたと、職員に対して失礼だと、センターテーブルで獣医学部新設の構想を説明した、説明の際に用いた文書や面会の日付が入った柳瀬氏の名刺の写真も示して反論しているわけですよ。どっちに信憑性があるかということは、国民的には私、明らかだというふうに思いますよ。
柳瀬氏は、昨年七月、自分の答弁で、愛媛県や今治市の職員との面会を記憶の限りない、繰り返したと。この答弁と整合性を取るために、今度は加計学園と会ったことは認めたけれども、やはり愛媛県や今治市の職員はいたかどうか分からないと。こんな答弁がどうして信用できるかなんですよ。実際に、八割近い方々が共同通信の調査でも柳瀬氏の答弁信頼できないと、信用できないと、こう答えているわけです。官邸が行った仕事ですよ、秘書官が行った仕事ですよ。そのことに対してこれだけ国民が不信の目を向けているわけですよ。
今度こそ、私はちゃんと柳瀬氏に対して、菅官房長官、責任持って聞き取りや調査やるべきだと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(菅義偉君) 柳瀬秘書官は、さきの参考人質疑において、知っていることを記憶の限り明らかにするということで、一つ一つ丁寧に答えたということを述べております。
○田村智子君 今日、ほかにも質問したいことありますから、ここでもう官房長官に質問終わりますけれども、もう何といいましょうか、真相究明を一番妨害しているのは官邸ですよ。そうでしょう。総理秘書官には誰も聞けないんですよ、そこでやったことは。内閣府聞けないでしょう、柳瀬さん、何やったのかって聞けるわけないんですよ。あなたが聞かなかったら誰も聞けないんですよ。それぐらい無責任な対応をしている。もう本当に早く退陣してほしいなということを表明して、ここで菅官房長官には御退席いただいて結構です。
○委員長(柘植芳文君) 菅内閣官房長官は御退席いただいて結構でございます。
○田村智子君 昨日の予算委員会で、二〇一六年十月二十四日、山本幸三大臣、当時の大臣がですね、京都府副知事の獣医学部新設の陳情に対して、一校しか認められない、あるいは難しい状況なので理解してほしいと、京都の提案は難しいんだと伝えるに等しい発言をしていたことを私は独自に入手した文書に基づいて示しました。
今日の東京新聞の一面を見てみますと、どうやら西田昌司議員のところにも取材に行かれたようで、このとき同席をしていたということを予算委員会でも指摘をしましたので。西田氏は、二校認めてくれないかと求めたと、難しいと回答されたというふうに取材にもお答えになっているようです。これは私たちが入手している文書と合致いたします。梶山大臣、この調査はどうなっていますか。
○国務大臣(梶山弘志君) 昨日、予算委員会で田村委員の御質問にお答えしたのは、その文書について、独自に入手されたという文書については承知をしていないということを答えさせていただきましたが、内閣府としては西田議員が同席したかということにつきましては、責任を持って今の時点でお答えすることできませんけれども、昨日の報道によれば、西田議員は、大臣から一校に限るという発言はなかった、一校という話はなかったと、テレビに出演されたときにそういうやり取りがあったと承知しております。
○田村智子君 これは、昨年の山本大臣の一校に限るを決めた経緯の答弁がうそだったということが非常に可能性高まってきたんです。本委員会に対してもこの面談の記録を提出を求めたいと思います。
○委員長(柘植芳文君) 後日理事会で協議をいたします。
○田村智子君 今日、もう一点、ワーキンググループの闇、国家戦略特区の、これについて質問したいんですね。
昨日、衆議院の予算委員会で江田憲司議員の質問に対して安倍総理は、ワーキンググループの主導の中で選定等も事実上行われていると答弁したんです。これは区域の指定の選定や規制改革事項の選定をワーキンググループの議論で行っているというふうに聞こえるんですけれども、本当にそうなんでしょうか。
例えば、特区区域指定は、区域方針の決定、つまり提案された計画の採用と一体で行われるんですけれども、自治体からたくさん出された提案の中からなぜ広島県、今治市が選定されたのか、その議論をしているワーキンググループは公表されているものを見る限り見当たらないんです。これ、どこのワーキングでやったんですか。
○政府参考人(河村正人君) お尋ねの広島県、今治市を特区とする、選定することについての経緯でございますけれども、平成二十七年の春から秋にかけまして四十三の自治体から提出された特区提案につきまして、ワーキンググループにおいて順次ヒアリングを実施をいたしました。その後、民間有識者の御意向を踏まえまして、指定候補となり得る自治体について、最終的に、十二月十日にヒアリングを行った上で十二月十五日の特区諮問会議で了承されたところでございます。
その経過の中で、四十三の自治体からのヒアリングを終えた後、民間有識者の方々から指定基準に照らしてふさわしい提案はどれか聞き取ったところ、民間有識者の御意見は、千葉市、北九州市、広島県、それから今治市の四自治体でほぼ一致しておりまして、他の自治体を挙げる声は一部にとどまると、そういう経過を踏まえまして事務局で原案を作成をしたということでございます。
○田村智子君 今のだと何月何日のワーキンググループか分かりませんよ。
○政府参考人(河村正人君) 四十三の自治体から提案があったことについて相当数多くのヒアリングをしておりますけれども、当該今治市、広島県につきましては、六月五日、それから十一月十二日、十二月十日にヒアリングをしております。
○田村智子君 だから、選定したワーキングはないってことなんですよ、ないんですよ。
じゃ、二〇一六年十一月九日、特区諮問会議で獣医学部の新設の解禁決まりました。十一月九日にこの獣医学部新設の解禁という規制改革事項を提案しよう、こういうふうに選定をした、ヒアリングはいいんです、選定をしたワーキンググループは何年何月何日ですか。
○政府参考人(河村正人君) ワーキンググループで決定したわけではございませんで、ワーキンググループの累次の議論を経た上で諮問会議で決定されたものでございます。
○田村智子君 諮問会議は決定なんですよ。決定のために選定、どこから選び出すか、これ全く出てこないんですよ。
私、ワーキンググループの議事要旨って、獣医学部に関わるものは全部読みましたよ。ヒアリングだけなんです。ほかもそうですね。元々タイトルが、省庁に対するヒアリング、提案者に対するヒアリング、これしかないんですよ。
例えば、今国会に出されている働き方改革法案、労働政策審議会で審議を経て作成、提出されています。分科会でヒアリングをやって、分科会でそれを受けての議論をやって、案を取りまとめて労政審に提出をしている。その過程は全て傍聴できるし、議事録も公開されています。ほかの審議会や有識者会議でも、ヒアリングだけやっていてヒアリングの取りまとめをやらない、こんな大臣の諮問会議って、私、聞いたことないですよ。ほかの方も同じだと思います。ヒアリングだけやっている、取りまとめが出てこない。本当にヒアリングだけなのかという疑問も生じてくるわけです。
今日お配りした資料は、内閣府から出てきて昨年六月に私たちに配られた資料なんですね。一枚目、国家戦略特区ヒアリング登録用紙、十一月一日火曜日、十一時から十一時四十五分、これ農水省に対するヒアリングです。二枚目、これ文科省に対するヒアリングと思われるんですね。同じく十一月一日、十一時二十分から十一時三十五分、ワーキンググループ委員からの指摘、文科省の回答と、こういうふうに書かれているんです。
ところが、この十一月一日って、公表されているものの中にはワーキンググループありません。この会議って一体何なんですか。
○政府参考人(河村正人君) 御指摘の二十八年十一月一日の打合せでございますけれども、それまで文科省、農水両省と民間有識者との間で重ねてきたような、ワーキンググループとして開催したものではなく、民間有識者が省庁から個別に状況をお聞きしたというものでございます。
○田村智子君 この文科省のやつ見てくださいよ、何て書いてあるか。ワーキンググループの原委員、「「獣医師が足りていない」ということはどこが責任を持つのか。」、文科省の回答、「農水省から、どの分野は足りているのか足りていないのか示してもらいながら、検討する必要があると考える。」などのやり取りがあって、最後に、「方向性はこれで問題ないので、後は需給の調整の問題だけですね。(原委員)」。つまり、十一月九日の諮問会議にかける案文の議論をしているんですよ。
こういうのをオープンにすべきなんじゃないんですか、方針決定過程なんですから。梶山大臣、いかがですか。
○国務大臣(梶山弘志君) 累次の、数次にわたってのヒアリングを経て、今現在、今現在ってこのときの現在のそれぞれの担当の所管官庁の感想また進捗具合を聞いたものだと思っております。ワーキンググループとは違うという区別であります。
○田村智子君 じゃ、十一月一日のこの、私は影のワーキングだと思いますけど、これと公表されているワーキング、何が違うのか。
私、いろいろ内閣府に聞いたんですよ。例えば謝金、委員への謝金、どっちも出し得るという答えですよ。じゃ、十一月一日、出したのかというのには、どんなに聞いても、もう大混乱しているのかお答えいただけないんですけど、こうやって個別に来たときも謝金出しているんですよ。このとき、原委員一人だから、じゃ座長がいなければワーキングと言わないのかとか、定足数があるのかと聞いたら、違うんですよ。座長がいない、たった一人でワーキング、ヒアリングやっているワーキンググループは公表されているものの中に幾つも出てきます。何が違うのか。結局、これは議事録作っていないんですよ。だから、やり取り出せと言っても出てこないんですよ。
議事録を作らない、公表しない、これ以外に差はないんじゃないですか、違いますか。
○政府参考人(村上敬亮君) お答え申し上げます。
先生御指摘のとおり、この時期でございますけれども、十一月の九日の諮問会議に向けて、取りまとめ文は調整を行っていた時期でございます。十月下旬に内閣府から文科、農水両省には、これも国会で御説明したこともございますが、既に原案を提示し、十一月一日については省庁側の意見を伺うと、まさに詰めの折衝も想定されるというような段階の状況でございました。
一般に、こうした詰めの折衝を行う際には、素直な意見交換をしやすい環境を確保するため少人数で打ち合わせると、これは通常よくあることでございますが、当日も、他省庁が同席しないと、この獣医の関係は、この時期、ワーキングとしてやるときは大概農水省と文科省御一緒に話を伺って、議事要旨等の話も前提としてやるという形であったわけでありますが、この場合につきましては、それぞればらばらに別の非公式な形で伺った方が本音の話もしやすいであろうという判断から、座長の招集をする形を取るワーキンググループ、ヒアリングの形は取らなかったというふうに聞いております。
ただ、結果的には、もう既にこのやり取りは、調査の結果、国会にも御説明し、公表もさせていただいているわけでございますけれども、農水省は文案については意見がないと、文科省についても文案については別途事務的に調整するという場も並行してあったものですから、十一月一日、民間有識者との面会が詰めの折衝の場には結果的にならなかったと。
こうしたやり取りの結果が、担当者がよく事情を知らないでワーキングという表題を付けた紙にしてお配りをしたのは、もう調査の結果公表しているとおりでございますが、お示ししているような個人メモが残っているようなやり取りがありましたということでございます。
○田村智子君 これで名前、打合せなんかに変えないでくださいよ。私たちが知りたいのはこっちなんですよ。方針決定過程なんですよ、ヒアリングの結果。この重大な問題を今後も追及しなければならないと思います。
藤原豊氏の招致を改めて求めて、質問を終わります。
○委員長(柘植芳文君) 後刻理事会で審議をいたします。