国会会議録

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「加計」と面会 官邸で3回 柳瀬氏一転 認める 衆参参考人質疑 宮本・田村両氏ただす

学校法人「加計学園」の愛媛県今治市での獣医学部新設をめぐって、2015年4月に県や市、学園幹部と首相官邸で面会したとされる柳瀬唯夫元首相秘書官の参考人質疑が10日、衆参両院の予算委員会で行われました。柳瀬氏は「記憶の限りでは会っていない」としてきた答弁から一転して、加計学園関係者と官邸で面会したことを認め、学園関係者との官邸での面会は計3回にのぼることも明らかにしました。また、県職員が作成した面会のやりとりを記した文書についても、その内容を大筋では否定できませんでした。


(写真)答弁する柳瀬唯夫元首相秘書官=10日、衆院予算委

 

 

 

 

 


(写真)質問する宮本岳志議員=10日、衆院予算委

 

 

 

 

 

 

(写真)質問する田村智子議員=10日、参院予算委

 

 

 

 

 

 

 

柳瀬氏は、加計学園関係者とは13年5月に安倍晋三首相の別荘で会い、学園関係者の指名で15年2~3月頃、4月2日、6月頃の計3回、官邸で面会したと発言。「特区の関係で会った民間の方は、加計学園だけだ」と述べ、異例の扱いがされていたことが明らかになりました。

 ただ、加計学園の件については、安倍首相から指示を受けたことも、報告したことも「一切ない」と否定。県職員作成の面会文書で、柳瀬氏が「首相案件」と述べたとされている点については「個別プロジェクトが首相案件になるという旨を言うとは思えない」「伝えたかった趣旨とは違う」と弁明しました。

 さらに、獣医学部新設の解禁について、柳瀬氏は、安倍首相から「『早急に検討していきたい』という指示が出ていた」「制度設計を議論する際に、ある程度ニーズがあるかどうかを思慮に入れるのは当然」と発言。質疑に立った日本共産党の田村智子副委員長(参院議員)が、獣医学部新設は「規制改革の重要事項」23項目の一つにすぎないのに、柳瀬氏が特別に重要視している点をあげ、安倍首相からの指示もなく、報告もしていないなどありえないと追及すると、柳瀬氏は「なんでもかんでも総理にあげればいいというものでもない」など、苦しい弁明に終始しました。

 さらに、日本共産党の宮本岳志衆院議員は、県職員が作成した面会文書では、安倍首相と加計理事長が会食した際のやり取りの記載があるにもかかわらず、柳瀬氏がこの点だけは明確に否定している点について、「なぜ、断言できるのか」と追及。柳瀬氏は「記憶にない」というだけでまともに答えられませんでした。

 田村、宮本両氏は、獣医学部新設が“加計ありき”で進められた疑惑はさらに深まったとして、加計学園の加計孝太郎理事長ら関係者の証人喚問を求めました。

2018年5月11日(金)しんぶん赤旗より

 

【5月10日 参議院予算委員会議事録】

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 柳瀬参考人にお聞きいたします。
 本日の質疑で、二〇一五年四月二日、そしてその前にも二回、首相官邸で、総理官邸で加計学園事務局長、その他加計学園関係者とあなたがお会いになった、このことが、お認めになった、明らかになりました。
 それでは、愛媛県から出てきた文書、愛媛県の文書についてお聞きするんですけれども、この中で、当時の国家戦略特区の担当者であった内閣府藤原審議官と愛媛県、加計学園との面会の中で、その冒頭に藤原審議官が語ったこととして、「要請の内容は総理官邸から聞いており、」と書かれています。
 これは、あなたが藤原氏に伝えたと、加計学園からこういう要請があるよということを伝えたということなんでしょうか。

○参考人(柳瀬唯夫君) お答え申し上げます。
 まず、冒頭の議員の御発言の中で、私の今までの答弁で四月二日の前に二回官邸でお会いしたとおっしゃったと思いますけれども、私の答弁は二月から三月に一回、それで四月頃という御答弁をずうっと一貫してしていると思います。
 それから、私は一貫して事務局の方と関係者が来られたと申し上げていて、理事長が官邸に、私に、来られた記憶はございません。
 それから、御質問の藤原次長が何というふうにお話しになったかというのは、ちょっと私は存じ上げません。

○田村智子君 そうではなくて、内閣府に加計学園がこういう要請があるよということをお伝えになったことがあるんですかとお聞きしているんです。

○参考人(柳瀬唯夫君) 一回目、二月から三月に来られた後、四月に来られる前、その日付はちょっと分かりませんけれども、その間に一度内閣府の戦略特区事務局から、戦略特区の状況等をどういうふうにしていこうかというレクを受けた記憶があります。で、その際、私の方から、その前の九月に総理から御発言のあった獣医学部新設の話は今どうなっているかということをお伺いしたことがあると思います。それは、その前に加計学園から、この獣医学部の新設をやりたい、四国には獣医が不足しているんだと、そういうお話もありましたので、そういうことを質問したという記憶はございます。

○田村智子君 つまり、その際に加計学園からこういう話を聞いているよと内閣府に伝えたということでよろしいですね。

○参考人(柳瀬唯夫君) 私から、加計学園からはこういう話があったということを伝えたかどうかについては覚えてございません。

○田村智子君 そこは記憶が抜けちゃうわけですか。

○参考人(柳瀬唯夫君) そこは、加計学園ということを言ったかどうかは分かりませんが、獣医学部新設の解禁についてどうなっているかというのは、私ははっきり聞いた記憶がございます。

○田村智子君 それはお答えにならないんですね。
 ただ、そのときに加計学園のことを持ち出すのが自然だと思いますよね。そうやって聞くに当たって、どうなっているのと聞くに当たって、官邸でこういうふうに会っているよと伝えるのが私は自然だと思います。うなずいていらっしゃる。
 次に、お聞きします。
 午前中から、首相案件ということについて問われると、その加計学園とあなたがお会いになる前年、平成二十六年九月の特区諮問会議で民間有識者議員から当面の重要課題の追加の規制改革分野・事項についてというものが提案され、そのうちの一項目に獣医系大学・学部新設の解禁というものが入っていたと、諮問会議で総理からオープンの場で、民間議員の皆様から提示された追加の規制改革の提案について石破国家戦略担当大臣を中心に早急に検討していきたいという御発言があったと、だからそのことを説明したんだというふうに御説明繰り返しておられるんですよ。今日の午後もそうなんですね。
 私も改めて、その民間議員が提案した規制改革の重要事項というものを打ち出しまして、改めて見てみました。そうすると、大きな柱が四つ立っていて、その四番目の柱の(2)林業等、この林業等というだけでも四項目あるんですけれども、その中の一つとして確かに獣医系大学・学部新設の解禁というものがあるんです。二ページにわたる、項目で数えると二十三項目あるわけです。この提案を受けて、安倍総理の諮問会議での発言はあなたが読み上げたとおりで、獣医学部新設を特出しはしていません。
 そうすると、二十三項目もある項目の中で、獣医学部新設について、これが総理が大変重要な関心をお持ちの事項であって検討を急がなくちゃいけないと、これ、あなた個別にそういう指示を受けたことがあるということなんでしょうか。

○参考人(柳瀬唯夫君) お答え申し上げます。
 おっしゃるとおり、二十六年九月は、もちろん獣医学部の新設は、何度も答弁していますけれども、別にこれだけというわけではございません。これも含まれていたと、提案の中に含まれていたと。その全体に対して総理が早急に検討していきたいとおっしゃったと、全くそのとおりでございます。
 当時は、幾つもありましたので、その中の一つだという認識で、あるなという記憶でございましたけれども、加計学園の方から、関係者の方からお話を伺っていて、五十数年以上も新設が認められていなかったとか、四国では獣医が足りていないとか、そういう話も伺いまして、ああ、すごく具体的なこれについてはニーズがあるんだなというふうに思いました。
 それ以外にも、当時は法人設立手続の簡素化とか、農業生産法人の出資要件の緩和とか、この後、大きい問題になっていく労働時間の規制緩和とか、結構その後の大きな規制改革項目、このときに、今先生、二十三と、二十四とおっしゃったか、その中に結構大事な項目が幾つも入ってございます。そのうちの一つとして、それはそれとして大事なことだと理解をしております。

○田村智子君 午前中の質疑の中で、公明党の竹内議員に対して、五十年来新規参入が認められなかった獣医学部の新設も検討すると総理がおっしゃっていたわけでございますと、民間議員の提案に対して、五十年来新規参入が認められなかった獣医学部の新設も検討すると総理がおっしゃっていたわけでございますと。安倍総理は、こういうふうに言い出したのは、国会で加計学園が問題になってから以降なんですよ。国家戦略特区諮問会議の中で、ましてこの制度改革が決まる前は、獣医学部という言葉を安倍総理が使われたことはありません。
 なぜ、あなたの中で獣医学部の新設というのが、この当時、加計学園がお会いになるその当時に特出しの重要事項になっているんでしょうか。

○参考人(柳瀬唯夫君) それは、御質問がそこに及んだので獣医学部の新設についてお答えしたわけですけれども、ほかの答弁見ていただくと、全体をお話しするときには正確に、民間議員の提案の中に獣医学部新設の解禁が含まれておりましたと、その民間議員の提案に対して総理は早急に検討していきたいというふうに述べておられますということを申しておりまして、そこは午前中にそういう答弁も一部あったかもしれません。それは、質問に対してそこにフォーカスして答弁して、そこがもし誤解を招くようであればそれは申し訳ございませんが、私が言っている趣旨は、ちょっとその言葉を取っても余りサブスタンシャルな議論にはならないと思いますが、全体として、民間議員の提案があり、その中に獣医学部新設の解禁が含まれ、その全体の民間議員の提案に対して総理は早急に検討していきたいということを述べたと、そういうことを御答弁申し上げているところでございます。

○田村智子君 そうすると、あなたは総理からはこの獣医学部の新設を早急に進めてねと個別に聞いた覚えはないということになりますか。

○参考人(柳瀬唯夫君) 個別に言われたことはございません。
 ただ、このやはり公開、公式の場の公開の場で総理がこういうふうに、これ主語を、主語を言えば政府としてということでございましょうから、政府として早急に検討していきたいと。その中に含まれた項目はやっぱりそれは重たいと、総理秘書官としては大変重たいというふうに認識してございます。

○田村智子君 恐らく午前中から柳瀬さんの答弁を聞いていらっしゃる方は、二十三項目もあるなんということは分からなかったと思いますよね。まるでその幾つか、二、三か、四つか五つか、そういう項目の中に獣医学部の新設があって、それぐらいの項目を総理の案件というふうにしていたという扱いに聞こえていたと思いますが、改めて言いますが、二十三項目の中の一つにすぎません。
 加えて、あなた、こうも言っているんですね。その四月に面会する前に、たまたまでしょうか、戦略特区の事務局から特区制度の現状について、自動走行など様々なレクを受けたと。その際に、その前の年のこの重要二十三項目ですね、この重要項目という提案があったので、総理がこれは早急に検討していきたいというふうにおっしゃっていたので、獣医学部新設の解禁について今どうなっていますかというふうに聞いた覚えがございますと。
 つまり、二十三項目の中で、これのみについて説明を求めたということですか。

○参考人(柳瀬唯夫君) 田村先生への答弁でも申し上げましたけれども、日付は分かりませんが、二月から三月に加計学園の方が来られた後、四月の、四月二日と今報じられていますが、四月にお会いする前に、特区事務局から説明が来た折にこの獣医学部新設の解禁について聞きました。それは、おっしゃるとおり、この加計学園から獣医学部ってこういう、五十年来新規参入が認められていないんだ、あるいは四国では獣医が、感染症対策の獣医が不足しているんだというお話を伺ったことも頭にあったものですから、聞いたということでございます。

○田村智子君 一方で、あなたがこの九月九日の民間議員二十三項目、その中で獣医学部新設重要というふうに捉えていられたのならば、なぜやっぱり新潟には、その五十年来のなかなか突破できない問題、これ何とか進めなきゃいけないというのが総理の御意思だというふうに思っていたのだったら、なぜ新潟には改めて聞こうというふうには思わなかったんですか。

○参考人(柳瀬唯夫君) 提案についてそれぞれから聞いて、公平な立場でプロジェクトを選定すると、それは内閣府特区事務局の仕事でもあるという、それはもうずっと先のプロセスでございます。私は、具体的な実態の話を伺ったということでございますし、これはアポイントの申入れがあったのでお会いをしたということで、新潟市からアポイントの申入れはございませんでした。

○田村智子君 そうすると、あなたにアポイントのできた加計学園からお聞きをして、しかも、その加計学園から聞いたことで、あなたの中で二十三項目の中で獣医学部が特出しの進めなければならないという要求になっていったんじゃないかということになっていくと思うんです。
 次に行きます。
 そして、獣医学部の新設が総理の重要な関心事であったとあなたは自覚をしていたということになりますよね。だから、加計学園と官邸で会い、獣医学部の新設は総理の検討で急ぐよう指示しているという説明もされたと、そう答弁されています。
 そうすると、それは総理に報告するのは当然だと思うんですけれども、何で報告しなかったんでしょう。

○参考人(柳瀬唯夫君) 当時、繰り返しになりますが、制度をつくるかどうか、獣医学部新設に道を開けるのかどうかという、これはもう総理は前の年の九月に検討を指示しているわけです。その中で、具体的な案件は幾つもあるんでしょうけども、それを、じゃ、まず制度としてどういう検討をしていくかというプロセスでございますので、何県がどうとか、どこの事業所が、事業者がどうとか、それは総理の指示の外でございます。それはもっとずっと後のプロセスの話でございますので、そんなことを総理に御報告する必要は全くございません。
 むしろ、六月末に成長戦略のまとめる中で、いわゆる石破四条件と呼ばれてございますけれども、こういう観点で検討を、獣医学部新設について検討していくという、それがその前の九月に出された、まあ総理の御発言の受けでございますので、まさにそのプロセスで総理に、そのいわゆる石破四条件を内閣府と一緒に総理に上げるということをしたわけで、そのときに総理に別に個別の話を上げる必要は私は全くないと思いましたので、御報告しませんでした。

○田村智子君 いや、総理の重要な関心事なわけですよね。早急に検討を進めるようにというのが総理の指示だとあなたは受け止めたわけですよね。だけども、この獣医学部に関わることで何一つ、省庁からもレクを受けていたのに、何一つあなたは総理に対して物を言っていないということなんですか。

○参考人(柳瀬唯夫君) 明らかに総理の指示は制度論について指示が出ていたわけで、別に個別具体的にどうこうしろという御指示では全くございませんでしたので、個別の話を総理に御報告する必要は全くないという判断をしておりました。

○田村智子君 あなたは、総理の招待で総理のお知り合いや親戚いっぱい集めた中で、なぜか加計学園がいるってよく分かった上で、バーベキューやゴルフやって加計と知り合いになった。それで、官邸での面談の前に関係省庁から進捗状況をわざわざお聞きになった。そして、官邸で、国家戦略特区で学部新設をしたいという旨、加計学園から直接お聞きになった。その面談の直後に桜を見る会で加計理事長と総理が会うことを知っていた。
 それでも、総理に何一つこのことのお話をしなかったということなんですか。

○参考人(柳瀬唯夫君) まず最初に、バーベキューのところに加計の方が来られるということは私は全く存じませんでした。付いていったら、そこにいらっしゃったということでございます。
 それに、総理は、まあ御想像付くと思いますけれども、もう膨大な量のことを処理されております。総理に判断を仰ぐ必要のない段階で総理に上げることは秘書官はいたしません。総理に必要な判断を仰ぐ必要なタイミングで必要なことを上げます。そこをセレクトするのが秘書官の業務だと思います。何でもかんでも総理に上げればいいというものではございません。

○委員長(金子原二郎君) 田村君、終わりです。

○田村智子君 疑惑は本当に深まっていると思います。報告しなかったなんてあり得ないですよ。
 引き続きの証人喚問、また加計孝太郎氏、藤原豊氏らの国会招致を求めて、質問を終わります。

 


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