(写真)質問する田村智子議員=5日、参院内閣委
盗品売買を防止するため中古品の取引規制を定めた、古物営業法の一部改正案が5日、参院内閣委員会で日本共産党を含む、全員一致で可決されました。改正案は、デパートや公園などの仮設店舗でも中古品買い取りができることなどを盛り込んでいます。
採決に先立ち日本共産党の田村智子議員は、インターネットのフリーマーケット「メルカリ」などの取引は、今回の法改正の対象外となっていることを取り上げました。政府は、ネットを利用した新産業の成長を重視し、業界による自主規制を見守るという立場です。
田村氏は、ネットを利用した盗品売買により検挙者が出ていると指摘し、「急速な事業拡大によって、一般国民が知らないうちに盗品の買い手になるリスクが一層大きくなる」と述べました。その上で、「何年も状況を見守ることが適切なのか」として、業界全体のルールの必要性を訴えました。
小此木八郎国家公安委員長は、「関係者の意見を広く聞きながら、関係省庁と連携をとっていきたい」と答えました。
また、田村氏は、障害者が自動車を運転する際の補助装置の中古品売買に関し、安全性確保や事故防止対策を求めました。
2018年4月12日(木)しんぶん赤旗より
【4月5日 内閣委員会議事録】
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
古物営業法の目的は盗品売買の防止や盗品等の早期発見を図ることにあることから、古物業者の営業所又は売手の住所以外での買取りは禁止されてきました。今回の法案によって、仮設店舗、デパートの催物会場やフリーマーケットなどでの買取りを可能とするということですが、既に御答弁もあるとおり、あらかじめ買取りの日時、場所の届出を義務付けることにもなります。売手に対する本人確認と併せて、法制度上は盗品売買の未然防止を担保していると私も考えます。
一方で、例えば、つい先日なんですけど、ある地方の日曜市の露店で、古物買い取りますと堂々と掲げている業者を私の秘書が発見をいたしまして、法律上はまだ禁止されているわけですね。仮設店舗での買取りが実際に既に行われているということに大変驚いたわけです。日曜市などは観光的な要素も強く、旅行者を装って盗品を売るということも考えられるわけで、そうすると盗品売買の温床になる危険性ということも感じました。
フリーマーケットや日曜市、朝市などは地域や商店街の取組として広く行われていますので、法改正を機に、この古物の取扱いについていま一度周知徹底が必要だというふうに思います。毎週行われている日曜市などでも一回一回の届出が必要であること、買い取る際の身分証明書による本人確認の徹底、あるいは違反した場合の罰則など、改めて事業者への周知徹底を丁寧に行うことが必要だと考えますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(小此木八郎君) 今回の改正で仮設店舗において古物を受け取ることができることとなりますが、古物を買い受けそれを販売することを反復継続して営業として行う場合には古物営業の許可を要することから、フリーマーケットでの古物の買受けも、その態様によっては古物営業の許可を要する場合もあると考えられます。
このため、無許可で古物営業が行われることがないように、古物営業法の改正内容やどのような場合が古物営業の許可を要するかなどについて、御指摘にありましたように、関係業界だけでなく、広く一般の方々にも周知に努めてまいりたいと存じます。
○田村智子君 先ほど矢田さんの質問にもありましたけど、過去にはお年寄りなどを狙う訪問購入、強引に詐欺的に買取りを行う事案がこれ国会の中でも問題となりました。
仮設店舗についても、悪質な業者による適正価格ではない強引な買取りという問題が生じる可能性もあると思います。これは消費者庁とも協力して適切な法執行が必要であると思いますが、その点もいかがでしょうか。
○国務大臣(小此木八郎君) これまでも貴金属等の強引な訪問買取り、いわゆる押し買いは特定商取引法の訪問購入としては規制がなされ、違反した事業者に対しては消費者庁や都道府県において行政処分が行われるとともに、警察としても悪質な事犯に対して特定商取引法等を活用しつつ、取締りを行っているところであります。
今後、本改正法が成立した場合に仮設店舗での買受けが可能となりますが、それに際して、押し買いのような不適切な行為が認められる場合には、消費者庁とともに連携しつつ、事案に即して行政処分や取締りを適切に行っていくよう警察を指導してまいります。
○田村智子君 これ、デパートなどで行うときにはそのデパートがやっぱり一定目配りができるというふうに思うんですけれども、これ、フリーマーケットというふうになると、本当に様々な業者が集まってくることにもなりますので、是非フリーマーケットとか日曜市、朝市を全体取り仕切っている方々もしっかりこの古物営業法の、今回の法改正も含めて周知徹底がなされるようにお願いをしたいと思う。古物商に限らず、そういうフリーマーケットとかを運営している側の方々にも周知徹底がなされてこそ法がしっかり施行されていくというふうに思いますので、その点、重ねてお願いをしておきたいというふうに思います。
それで、ずっと議論になっているんですけど、私もメルカリなどのインターネットでの状況についてやっぱり聞かざるを得ないんですね。
それで、対面での古物売買は法規制が掛けられる、その一方で、メルカリなどインターネットでの売買は事業者間の自主的規制の状況を見守るということで先送りになっているわけですけれども、そうなりますと、やっぱり一層盗品売買がインターネットでの取引に流れていくということが危惧されるから皆さんが繰り返し質問していると思うんですよ。ますますインターネットに流れていっちゃうんじゃないのかと。
確かに、この間、メルカリに紙幣が出品されて、しかも額面より高く出品されて一体何なんだということが問題になって、これはもう実質的な高利貸しだと、先にお金を出させて貸し付けるようなのと一緒ですよね、買わせるということで。実質的な高利貸しだとして出資法違反での摘発が行われました。それから、高校などの野球部から硬式ボールが大量に盗まれて高校名が入ったまま大量に売られてということも、これ繰り返し起きているような問題ですよね。それから、コンサートチケットの高額転売など、既にインターネットのフリーマーケットが様々な不正取引の温床となっているというのは、これはもう実態としてそう言えると思うんですよ。
その点について、警視庁が今の事態をどう見ているのかをもう一度御答弁いただきたいというふうに思います。ごめんなさい、警察庁です。
○政府参考人(山下史雄君) 何度も御答弁申し上げておりますけれども、フリーマーケットアプリ等の大手運営事業者であるメルカリが、昨年十二月から、インターネットオークション事業者に課せられている努力義務と同等の本人確認を自主的に開始をし、また、メルカリ以外の大手事業者も同様の措置を導入を検討しているものと承知もしているところでございます。
昨年十二月の有識者会議の報告書も踏まえ、今回の改正に際しては、まずは業界における自主規制の取組状況を見守ることとしたところでございます。先ほども御答弁を申し上げましたように、見守ると申し上げておりますけれども、そういったサイト、アプリにおきまして、実際に盗品などが売買されている実態がないかということについてしっかりと調査をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。
いずれにいたしましても、先生御指摘のチケット高額転売の問題も含めまして、やっぱりインターネット上での様々な違法行為というものについては私どもしっかりと見てまいりたいというふうに思ってございます。その中で、違法行為が認められる場合には、引き続き各種法令を適切に適用して必要な取締りを行ってまいりたいと考えております。
○田村智子君 これ、だから、大手のところで自主規制が始まっていて、見守りたいと。確かに検証は必要だというふうに思うんですけど、それ、大手がそういう自主規制やっていると、私は、規制の緩いところに流れるということもこれ考えられるわけですよ、全体のルールがない下ですと。事件起きてから、埼玉県警などが独自に本人確認の徹底や転売目的を隠して不正入手したチケットの出品削除などを要請していると、これも受けてのメルカリでの対応ということもあったんじゃないかというふうに思うんですけれども、イタチごっこといいましょうか、後手に回っているというやっぱり感覚を拭えないわけです。
やはり御答弁聞いていますと、インターネットを利用した新産業などは、まず成長重視という立場で、できるだけ規制をしない方向で対応しようとしているというのが現状だと思うんですよ、政府全体の対応としても、新産業成長ということで。インターネットは、手軽さも含めてどんどん今活用を広げていこうというのが政府の側の方針だというふうにも思うんですけれども、現に既に盗品売買で検挙者が出ている。急速な事業拡大によって、ますますこの活用が、いろんな意味で悪質な業者を巻き込んで行われていく危険性がますます高くなってくるんですね。そうすると、広く一般国民が知らないうちに盗品の買手となってしまうというリスクが一層大きくなってしまうというふうに思うわけですよ。
国家公安委員長にもお聞きしたいんですけれども、これやっぱり、いつまでというふうな厳しい御指摘が公明党さんからもありましたけれども、これ、何年も状況を見守って次の改正まで待ちましょうと言っていていいのかなということも含めて、あると思うんですね。ここ、見解を是非お聞かせいただきたいというふうに思います。
○国務大臣(小此木八郎君) 何年もというのは、決して長い間でなくて、御懸念のことがいつまでも続いたり十分なその抑止効果が認められないという判断をしっかりとこれはしていかなきゃならないと思っています。そのときに、関係者の意見を広く聞きながら、あるいは、先ほど答弁申し上げましたけれども、関係省庁とも連携を取って、警察の監視といいますか、そういったものを見守る中でしっかりと指導、管理してまいりたいと思います。
○田村智子君 難しい課題だと思います、インターネットは匿名性もあるからこその利用ということもあるのでね。そこは私たちも一緒に考えていきたいというふうに思いますが、是非、本当、そもそもの盗品売買を未然に防ぐというこの目的に沿ったやり方がネット上の売買でも行われるように一層の御努力をお願いしたいというふうに思います。
古物売買に関連して、中古品の運転補助装置について少しお聞きしたいんです。
この運転補助装置というのは、足でアクセルやブレーキを操作できない方の場合に、車に取り付けて手動で運転操作を行うためのものです。障害者の方の移動手段として自ら自動車運転ができるということは大切なことで、安全な製品が普及することを私も支援したいと思っています。
一方で、ヤフーオークションなどで、福祉車両から取り外したと見られる運転補助装置が出品されているのが見受けられるわけです。適合は自ら確認するようにというふうに記載がされていて、価格が安いために実際に購入して取り付けている方もいるようなんですね。
障害者の交通事故や運転について相談や支援をしている方からお話をお聞きしますと、取付けの不備だけではなくて、装置自体が壊れてしまって、それに起因する事故の相談もあるということなんです。しかし、これを理由にすると保険がなかなか下りないから、事故の届出は運転にミスがあったことにしてしまう、そうすると運転補助装置そのものの問題がなかなか表面化してこないという問題でもあるんだというふうにお聞きをしました。これは、付けたり外したりが可能な運転補助装置にはそもそも規制がないんですね。これも問題を見えにくくさせている要因だというふうに思います。
自動車の安全性の確保、事故防止の観点からこれはちょっと問題ではないかというふうに思いますが、国交省の見解をお聞きします。
○政府参考人(島雅之君) お答えいたします。
委員御指摘の運転補助装置でございますけれども、例えば、御指摘の両下肢に障害がお持ちの方が、アクセルペダルでございますとかブレーキペダルの代わりにレバーなどを使用しまして手動で加速やブレーキ操作を行う装置などが実際にございます。
これらの運転補助装置の安全性につきましては、自動車検査、いわゆる車検の際に車両に取り付けられた状態で検査に持ち込まれれば、その状態での操縦装置でございますとかブレーキ装置などの基準への適合性を確認してございまして、適合していないときには車検不合格ということになります。
また、現在、身体障害者用の運転補助装置のカタログなどにおきましては、当該装置が道路運送車両の保安基準に適合していることが必要でございまして、また、運転補助装置の取付けが不十分でございますとか、そのものに不具合がある、こういったことで保安基準に抵触する場合には車検で不合格になること、また、不明な点があれば最寄りの私ども運輸支局等にお問い合わせいただきたい旨記載していただくことによりまして、使用者の方々に注意喚起を行っているところでございます。
○田村智子君 車検は、装置そのものの強度であるとかその構造であるとかというのをチェックすることできないと思うんですよ。動くかなというそのチェックはできると思うんですけど。
警察庁にもお聞きするんですけれども、現在、手動運転補助装置限定の運転免許というのも発行されるわけですね。しかし一方で、手動運転補助装置そのものについては道路運送車両の保安基準などの規制がありません。十分安全ではない状態で運転している方がいる可能性があるわけで、現に事故が起きているということを私たちも聞いているわけです。これ、交通の安全確保から問題ではないかと思うんですけど、いかがでしょうか。
○政府参考人(桝田好一君) お答えします。
運転免許を受けようとする方は、御承知のとおり、自動車等の運転について必要な適性、技能、知識について行う運転免許試験に合格する必要がございます。身体に障害のある方につきましては、自動車等の運転に必要な適性、技能について個別に確認をしているところであります。
各都道府県警察におきましては、身体に障害のある方が運転免許を取得されようとする場合、運転免許試験場等において運転適性相談を行い、障害の部位、程度等を確認の上、免許取得が可能かどうか助言をしているところであります。その上で運転免許試験を受けていただくなどしていただくわけでありますが、その際には、どのような条件を付せば安全に運転することができるかどうかを個別に確認し、例えば、普通車はAT車で、アクセル、ブレーキは手動式に限るとの条件を付した運転免許を付与しているところであります。
お尋ねの運転補助装置は、当該装置を使用する運転者がその運転免許に付された条件を満たすために使用しているものと承知をしてございます。
警察におきましては、その運転補助装置を使用すれば運転免許に付されている条件を満たすことになるかといった相談があった場合には、今後とも丁寧に対応してまいりたいと考えてございます。
○田村智子君 これ、ネットオークションを見ますと、自分で試作したものが販売されているという例もあるわけですよ。その場合にも、使用中に起きました事故及び損害に対する補償はいかなる場合もいたしかねますとわざわざ表示した上で販売されているという例があります。
過去に、ホンダが開発した福祉車両の手動運転装置については、部品の破損でブレーキが利かなくなる可能性があるということでリコールを行っているんですね。しかし、今のままでは、これ試作品などが幾つも売られたときにリコールという手段も取れないわけで、これもう時間がありませんので、今後、対応を是非安全確保という点でお願いしたいと述べまして、質問を終わります。
ありがとうございました。