数々のノーベル賞受賞者を輩出した理化学研究所(本部・埼玉県和光市)が、有期契約の非常勤職員を無期契約に転換することを逃れるため契約5年上限の雇い止めを狙い、労働組合と誠実に話し合わないとして、理化学研究所労働組合(理研労)と上部団体の科学技術産業労働組合協議会(科労協)は18日、東京都労働委員会に不当労働行為の救済を申し立てました。
(写真)会見する理研労と弁護団の人たち=18日、厚労省内
申立書などによると、理研では16年4月、就業規則を変更し、契約に5年の上限をもうけました。6カ月の空白(クーリング)期間が経過しないと再雇用しないことも規定されました。労働者過半数代表と労働組合は反対意見を労働基準監督署に提出しています。
組合側は団体交渉で撤回を申し入れましたが、当局側は撤回を拒否し、雇い止めの理由や必要性を具体的に明らかにしないため、不当労働行為の救済を申し立てたものです。
日本共産党の田村智子参院議員の内閣委員会の質問で、理研には非常勤職員が4209人、契約上限に達する人が496人いると明らかになりました。
理研は「無期雇用アシスタント」試験の合格者だけを無期雇用にするとしていますが、合格者は16年74人、17年47人だけです。
同日、厚労省で会見した金井保之理研労委員長は、「職員は研究がスムーズにいくよう支えている。ベテランがいなくなれば研究現場は混乱し、まわらなくなる」と警鐘を鳴らしました。
雇い止めの危機にある非常勤職員6人が実態を訴えました。
経理などを担当する60代の男性は、「引き継ぎの職員は、すぐには理解できず、私に聞きにくる。こんな無駄な雇い止めをなぜするのか」と強調しました。
40代の女性は、「競争している研究成果の緊急発表の支援など、規定を理解した職員がいないとできない」と指摘。「私の部署では、6カ月クーリングが行われたが、割り当てられたメールアドレスを残してある」と脱法行為を告発しました。
2017年12月19日(火)しんぶん赤旗より