(写真)質問する田村智子副委員長=7日、参院連合審査
学校法人「加計学園」の獣医学部新設を巡って参院文教科学、内閣両委員会は7日、連合審査会を行いました。日本共産党の田村智子議員は、獣医学部新設を認めた国家戦略特区の審議過程で徹底した“加計隠し”が行われたため、加計学園の計画の十分な検証が行われなかったとして、政府の責任をただしました。
獣医学部新設は愛媛県今治市が国家戦略特区に提案しましたが、加計学園は共同提案者にならず、今年1月の事業者公募に応じて初めて表舞台に現れました。田村氏は、予定事業者である加計学園を今治市が隠したため、政府が獣医学部新設を認める前提とした「既存大学・学部では対応が困難」などの「4条件」を満たしているかが十分に検証されていないと指摘。一方、今治市と競合した京都府と京都産業大学は事業者を明らかにしているので、「4条件」にかみあわせて「獣医師の新たなニーズ」などを独自に調査し、詳細な提案をしているとして政府の認識をただしました。
梶山弘志地方創生担当相は、獣医師の新たなニーズを説明する根拠について「京都府のアンケート結果を参考の一つにした」と答弁。「4条件」の根拠に京都府の資料を使いながら、加計学園の構想についてはまともな検証をしていないことが明らかになりました。
田村氏は「ここに“加計隠し”の意味があった」と指摘。さらに、獣医学部には既存大学も定員増を認めない定員規制がかけられているにもかかわらず、今治市の提案には獣医学部の定員の記載さえなかったとして、「なぜ、告示で定員を示さなかったのか」とただしました。
林芳正文科相は「既存の私立の獣医学部と同程度の定員規模と想定していた」などというだけで、加計学園が他の獣医学部を大幅に上回る160人の定員としていたことについては、まともに説明できませんでした。
田村氏は、文科省大学設置・学校法人審議会でも、加計学園の獣医学部定員に厳しい是正意見が示されたことを指摘。「『4条件』どころか、獣医学部設置の最低ラインにも達していない申請だった」と政府の対応のずさんさを批判しました。
2017年12月8日(金)しんぶん赤旗より
【12月8日文教科学、内閣両委員会 議事録】
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
二〇一五年六月五日、国家戦略特区ワーキンググループに加計学園から三人が出席し発言していたのに、議事要旨には一切その存在が隠されてしまった。また、このワーキンググループの二か月後、二〇一五年八月六日には、内閣府藤原豊審議官が加計学園岡山理科大を訪問し、獣医学部に関わる説明を聞いていたこともこの国会で明らかになりました。おとといの内閣委員会で、これらにやましいところがないのならば、なぜ通常国会でこの事実に基づいた答弁をしなかったのかと私はただしました。
今年六月十三日、内閣委員会の会議録抜粋、おとといも配りましたが、今日もお手元に配りました。改めて資料といたしました。
これ、今治市の提案が京都府と京都産業大学の共同提案よりも教員確保などで熟度が高い、だから今治市特区だけで事業者公募をした、こう言う山本幸三大臣に、教員確保は今治市にはできない、予定事業者である加計学園から説明を聞いたのではないのかと、再三再四私が質問を繰り返した議事録なんですね。このとき、大臣は答弁に行き詰まって、議事も止まりました。通常、そういうときには事務方が手を挙げるのに、なぜかこの日は手を挙げなかった。私が名前を出して、やっと藤原審議官は答弁に立ちましたが、加計学園から話を聞いていたという重要な事実を隠しました。
今日も、これはもう藤原さんに聞くしかないと思って、参考人出席求めましたが、これを与党の皆さんは認めなかった。これは、厳重に抗議したいというふうに思います。
おとといの質問で、教員確保については今治市が説明をしたのであって、加計学園の説明は受けていないというのが内閣府の答弁なんですね。それじゃ、ワーキンググループで加計学園が本当に教員確保のことを話していないのか、その発言を示せと求めると、廃棄したから内容は分からない、こんな答弁が何でまかり通るんですか。もう国会審議をばかにしているとしか言いようがないですよ。
私、それでももう一度、そう言われるので、これまでの質問の、私の質問の会議録とか今治の提案資料とか全て読み返しました。そうしたら、新たな疑問が湧いてきたんです。
お配りした資料の、今度は一ページ目のところに新たに傍線を引いたんですね。山本大臣は、教員確保についてこう答弁しているんです。今治市は専任教員を七十名確保するとしており、その確保先についても、海外製薬企業、中央官庁のほか国際機関での経験者、あるいは国際協力機構を含めて途上国経験を持った人材等が示されており、教員確保の道筋が立っている。
確かに、今治市の提案資料には、教員は七十二名程度と書いてありますが、具体的な確保先は提案資料にもワーキンググループでの議事要旨にも一度も示されたことはありません。加計学園が示したんだったら、非公式発言だから議事要旨には載らないですよ。今治市が示したんだったら、議事要旨に載るはずじゃありませんか。何で載っていないのか。いつ、どこで、誰が、誰に対して専任教員の確保先を説明したのか、お答えください。大臣。
○国務大臣(梶山弘志君) 専任教員の確保先については、平成二十年の第十四次構造改革特区提案において、獣医学先進国であるアメリカ、欧州などからも専任教員を招致するといった構想を示しております。第一回から第十五回まで申請をしているんですね。第五回までは加計学園の名前出ていますけれども、第六回からは今治市の提案ということであります。
また、昨年十二月下旬に事務的に今治市から確保先を聞き取ったものであります。
○田村智子君 事務的に誰が誰に聞いたんですか。
○政府参考人(村上敬亮君) お答え申し上げます。
専任教員の確保先につきましては、先ほど大臣から説明がありましたとおり、内閣府に所属する担当者が今治市の事務職員に事務的に聞き取ったものでございまして、それについて特段記録は取ってございません。
○田村智子君 これ、今治市が平成二十年当時に確保しているなんて、あるわけがないじゃありませんか。できるかどうかも分からない獣医学部の教員を海外製薬企業などから何で確保できるんですか。事業者でなければ招聘の打診だってできるはずないんですよ。
消された議事録の内容がいよいよ問われるし、これ、藤原豊氏が加計学園から何聞いていたのか、これやっぱりはっきりさせなければなりません。この資料を求めますし、藤原豊氏の委員会への招致、これをお願いしたいと思います。
○委員長(高階恵美子君) 後刻理事会で協議させていただきます。
○田村智子君 これもう加計隠しとしか言いようがないんですね。
加戸元愛媛県知事は国会で、愛媛県や今治市にとっては加計ありきは当たり前だったと発言をされましたが、今治市はワーキンググループの議事要旨の非公開まで主張して加計学園を隠し通したんですよ。その結果、加計学園の獣医学部構想が四条件をクリアしているのか、こういう検証は全くなされないまま今日まで来てしまったんです。
一方、京都府と京都産業大学の共同提案は、四条件にかみ合わせて獣医師の新たなニーズ、創薬分野における新たな研究開発の進展、既存の獣医大学の実験動物学教育の現状、新たな獣医学部の設置構想など、二十ページにわたる提案になっているんです。
この国会、十一月二十七日衆議院予算委員会で梶山大臣は、獣医師のニーズについて、新薬開発を担う企業からは、動物を用いた研究ニーズの高まりに応え切れず、医薬品開発の遅れにつながっているとの悲痛な声が寄せられておりますと、これはニーズについての答弁、通常国会で全く聞いたことのない答弁されたんですが、この答弁はどういう調査に基づくものなんですか。
○国務大臣(梶山弘志君) アステラス製薬からの要請書を始めに、製薬業界では、特に臨床試験を担う企業や部門を担う者にとって獣医師ニーズに対し十分な供給ができないということはよく耳にする話題であります。また、製薬企業での獣医師の採用に苦労していることについては京都府の提出資料にもあるアンケート結果において示されており、こうしたものも参考の一つとなったものであります。
このほか、従来よりワーキンググループや今治市分科会、区域会議、諮問会議など様々な場面で有識者からライフサイエンス分野における新たな需要に関した御意見をいただいているところでありますが、例えば人をゴールにした創薬の先端研究が日本は非常に弱い、動物研究による創薬が後れているなどの御意見があったところであります。
○田村智子君 私は調査について聞いたんですけど、今の御答弁だと京都の提案の中にあった調査、意見はほかにもあると分かりましたけど、調査はそうなんですよ。京都の提案の中で製薬企業など四十五社に対する意向調査、こういうふうに出されているんですね。
もう一点お聞きします。獣医学部新設を認める規制緩和を決定した昨年十一月九日、国家戦略特区諮問会議ワーキンググループの座長を務めた八田達夫氏が、創薬プロセス等の先端ライフサイエンス研究では実験動物として今まで大体ネズミが使われてきたのですけれども、本当は猿とか豚とかの方が実際は有効なのです、これを扱う、やはり獣医学部でなければできない、そういう必要性が非常に高まっていますと、獣医師の新たなニーズについての説明は国家戦略特区諮問会議ではこの部分しかありません。この根拠となる資料は何ですか。
○政府参考人(村上敬亮君) お答え申し上げます。
八田座長にも確認をしてまいりました。そもそも八田座長は、規制改革の推進役として様々な情報収集を行っておられまして、創薬プロセスにおける獣医師の役割につきましても、かねてから様々な知見をいろいろな方から集めて、持たれているというふうに認識をしてございます。
十一月九日の諮問会議、御指摘のあった発言でございますけれども、この御知見に基づき、しかも、どちらかといえばむしろ京都府の提案が猿と豚であったということも意識した上で、例示として犬であるとかヤギであるとかいろいろな可能性がある中で、自分としては猿や豚に言及をすることを選んだということでございます。
いずれにせよ、四項目の適合性の確認は提案者ごとに行うものではなく、この十一月九日の段階はまさに制度の追加規制事項の決定でございますので、各提案者の提案も含め様々な御意見などを踏まえて、四項目で示された条件によるかを確認したもの、したがって、京都府の資料の記載を踏まえて発言したといってもそれ自身が問題になるわけではございませんが、いずれにせよ提案者でもない加計学園から聞いたということではないということで確認をしてございます。
○田村智子君 そうなんですよ。二〇一五年十月十七日の京都の発言のとおりのことを八田さんはこの場で発言したということなんですよ。
ということは、四条件に関わるこの新たなニーズなどは、京都は調査を行った、事業者を隠すこともないので、新しい獣医学部の構想も具体的に示した。一方で、今治市の方は事業者が隠されていますから、新しい獣医学部の構想というのはスローガンだけなんですよ。ここに加計隠しの意味があったとしか言いようがありません。
加計学園がやっと現れるのは今年の一月十日、事業者公募への応募によって初めて大まかな構想が明らかになります。一月十二日の今治市分科会が加計学園を特区の構成員とすることを確認、つまり加計学園の構想を採用しました。
文部科学省はこの一月十二日の分科会で、加計学園の構想が既存の大学・学部では対応できない構想かどうか、これは検証を行いましたか。
○国務大臣(林芳正君) 今委員からございましたように、昨年十一月九日の追加規制改革事項の決定の際に関係省庁においてこの四項目が満たされていると確認を行っておるわけでございます。この際、文科省としては、新たなニーズに対応するための重点的な人材養成を実施するためにはカリキュラムの抜本的な見直しや教員の大幅な入替え等が必要となり、これを既存の組織で対応することは一般的には困難であろうと、こういうふうに解釈をしていたものでございます。このため、既存の大学・学部では対応が困難という項目を含めまして、四項目が満たされたという判断自体は内閣府において行われたものですが、文科省としても内閣府の判断を尊重いたしまして、この項目が満たされていないという異議を唱えることなく、追加の規制改革事項の決定に同意をいたしております。
今お尋ねのあった本年一月十二日の今治市分科会では、事業者の公募に対して応募のあった、今お話のありました学校法人加計学園の構想が追加の規制改革事項に沿っていることを有識者と関係省庁において確認をし、また四項目が満たされていないという異論もありませんでした。
その後、大学設置・学校法人審査会から可とする答申を受けたということは従来申し上げているところでございます。
○田村智子君 やっていないということなんですよ。十一月九日に一般的に困難だという判断をやって、それ以後やっていないんですよ。既存大学への問合せもやっていないですよね。一月十二日の分科会、一月二十日、広島県・今治市特区区域会議、また諮問会議、いずれも既存学部での対応可能かという検証も議論も一切ありません。
十一月九日の諮問会議で結論を出した、こういう説明では、今治市の提案はスローガンだけで四条件を満たしたことになってしまうじゃありませんか。どっちの提案もあると。京都の方は確かに詳しいですよ。でも、今治市はスローガンですよ。それで今治市の提案も含めて四条件クリア、こんなばかな話ないと思いますけど、林大臣、もう一度お願いします。
○国務大臣(林芳正君) スローガンというのがどういう意味でお使いなのか、必ずしも理解をいたしておりませんが、先ほど申し上げましたように、これはあくまで追加規制改革事項の決定をいたしておりまして、十一月九日にこの四項目を満たされている確認を行った際に、この新たなニーズに対応するための重点的な人材養成を実施するためには、カリキュラムの抜本的な見直しや教員の大幅な入替え、こういうのが必要となりますので、これを既存の組織で対応することは一般的には困難であろうと、こういうふうに解釈したところでございます。
○田村智子君 そんなのは今治市の提案からは、とてもじゃないけど検証なんかできっこないですよ。加計学園はずっと隠されてきたから、どんな構想かなんて示す必要がなかったんですよ。だから何の検証もないままに今日まで来た。これ、何度でも私、繰り返し指摘しておきたい。
加計学園の応募によって新たに明らかになったのは、定員百六十人というほかには例のない大規模獣医学部の構想、これが初めて明らかになります。この百六十人定員の妥当性はどの会議で検討されましたか。梶山大臣。
○国務大臣(梶山弘志君) 特区プロセスにおいては、今年の一月に加計学園が提出した応募書類の内容について獣医学の専門家も交えて審査をし、獣医師が新たに対応すべき分野における具体的な需要を含め、四項目への適合性を確認したところであります。
一月十二日の今治市分科会で、文科省、農水省だけでなく、文科省推薦の獣医学の専門家を交えて審査するとともに、一月二十日の区域会議で文科大臣、農水大臣も出席の上、異論なく了承して、同日の諮問会議、特区認定に至ったものであります。この中で、入学定員も含めた加計学園の構想の妥当性は確認をされているところであります。
そもそも、獣医学部新設の共同告示では、定員数に特に上限、下限を定めておらず、何名なら妥当といった具体の数字を念頭に置いておりません。なお、入学定員については、設置審のプロセスにおいて十分な教育を行い得るかどうかの観点からチェックされたものと認識をしております。
○田村智子君 これも、どこでも検討されていないということなんですよ。
そもそも、獣医学部の規制というのは、既存大学も定員増が認められない定員規制なんですよ。その規制緩和を求めながら今治市の提案に定員の記載がない。これは実に不可解なんです。
昨年十一月九日の国家戦略特区諮問会議の決定を受けて安倍総理と文科大臣の連名で出された告示は、獣医学部新設申請を一校に限り認めるというもので、これまた定員枠をどれだけ拡大するのかというのは示さなかったわけです。これは加計学園にとって実においしい話ですよ。ほかの獣医学部ではあり得ない百六十名という定員をもしも提案段階で示したら、これは当然議論になります。その議論は全く避けたまま、今治市特区だけの公募、応募は加計学園だけ、しかも獣医師の新たな需要などの四条件は既にクリアしたことになっている、安心して百六十名と記すことができた、そういうことじゃないんですか。
何で告示で、定員規制の規制改革なのに、規制緩和なのに、何で告示で新たな総定員を示さなかったんですか、林大臣。
○国務大臣(林芳正君) 今般の国家戦略特区の検討過程では、農水省におきまして、今回の獣医学部の新設は、先端ライフサイエンス研究の推進など内閣府が把握している新たな需要があるという前提の下で、獣医師の需要に影響を与えないと、こういう判断があったところでございます。その後、プロセスにおいて、内閣府により、日本獣医師会からの要請やパブリックコメントにおける多数の獣医学部新設についての慎重な意見を踏まえて、一校に限り新設を認めることが提案をされて、昨年十二月二十二日に内閣府、文科省、農林水産省の三大臣によりましてその旨を合意したところでございます。
こうしたことを踏まえまして、今お話のありました本年一月四日の特例の告示を制定した当時、内閣府、文部科学省においては一校に限るとされていたために、既存の私立の獣医学部と同程度の定員規模で申請がなされるものと想定していたところでございまして、告示において上限を設けることは行わなかったところでございます。
○田村智子君 定員規制の規制緩和でその定員をどうするかを全く示さなかった。それで、挙げ句の果て出てきたのは百六十人定員じゃないですか。何なんですか、これは。
この百六十人定員、大学審議会で厳しい是正意見示されましたよ。実習について、学生や教員の配置計画、動物の種類、飼育頭数、実習先との連携体制などが不明であり、百六十名という学生規模で円滑に実施できるか不明、第一次審査の是正意見のこれほんの一部です。実習もカリキュラムもこれでは実施できないと言わば落第点を付けたのと同じで、四条件どころか獣医学部設置の最低ラインにも達していない申請だった。
この事実を、林文科大臣、どう受け止めますか。
○国務大臣(林芳正君) いろいろと議論になっておりますように、この設置審の審査というのはそういうところを指摘をいたしまして、それに対して大学側から補正をやっていくというこのプロセスでございますので、この加計学園にかかわらず、いろんな大学の審査においてそういうことが行われているというのが審査であると、こういうことでございます。
そういった前提条件の下で、今年三月に、今お話がありましたように、加計学園からは入学定員百六十名で申請がありまして、設置審におきまして実習計画の実現可能性に関する審査意見が付されたことを踏まえて、法人によって百四十名に修正をされたところでございます。その後、百四十名の定員規模に即した教員体制、カリキュラム、施設設備、卒業生の人材需要等について審査が行われた結果、設置を可とする答申がなされたところでございます。
○田村智子君 これ、なぜ百六十名が不問に付されたのか、新たな疑問も湧いてきました。定員規制があって、定員割れはまず起こらないのが獣医学部なんですよ。この獣医学部を新設して、詰め込みのカリキュラムでほかの獣医学部の約二倍の学生を受け入れる、これは経営上の利点は大きいですよ。そういう意図が見えてくるじゃないですか。
民進党の白議員の質問でも、韓国での募集要項、誇大広告、フライング募集、これ、もう学生獲得するためには何やってもいいというやり方じゃないですか。このビジネスをなぜ応援するような行政のゆがみが行われたのか、この加計学園隠しを徹底的に追及しなければなりません。
加計孝太郎理事長の証人喚問を求めて、質問を終わります。