10年度から最も高い実施率になっているものの、東京都12・6%など一部の自治体の実施率は極めて低く、極端な格差が存在しています。
14年度で、指導監査の実施率が100%を下回り、年1回の実地検査を義務付けた児童福祉法施行令に違反しているのは17都道府県、6政令市、7中核市でした。
実施率が5割を切るのは都道府県で、(1)東京都12・6%(2)兵庫県22・1%(3)大阪府45・0%(4)三重県48・1%(5)神奈川県48・3%。中核市では大阪府枚方市21・8%が該当します。
政令市で5割切るところはありませんが、(1)大阪市60・3%(2)広島市66・5%(3)横浜市66・7%(4)川崎市83・1%が全国平均を下回っています。都市部を中心に認可保育所の指導監督体制の不十分さが目立ちます。
解説
指導体制の点検必要
多くの自治体は実施率が100%となっていますが、年に1回、保育所に出向いて実地検査をしているとは限りません。自治体によっては実地検査で行うべきところの一部を集合指導監査(役所に来てもらって監査を実施)、書面監査を実地検査にかえて行っているところもあります。それぞれの自治体の指導監督体制の点検が必要です。
近年、認可保育所の重大事故は増加傾向にあります。待機児問題対策のため急速に認可保育所は増えていますが、非正規ばかり、経験のない保育士ばかりの施設なども散見されます。年に1回の実地検査は安全な保育のための最低の保障です。
急速に認可保育所を増やしている東京都など異常に実施率が低いところは、量の確保のために保育の質や安全をないがしろにしていると言われても仕方がありません。
指導監督体制を充実させるため自治体が努力するのは当然ですが、保育所が急速に増えており財政面の制約などから体制を整えるのも大変なのが実情です。
認可外保育施設も含めたすべての保育施設に対する抜き打ち指導のための人員配置への補助事業が今年度から始まりましたが、自治体に義務付けられた年に1回の実地検査等の体制整備に対する国の支援はありません。自治体の努力に任せるだけでなく国も保育の質と安全の担保のために責任を果たす必要があります。(日本共産党国会議員団・岩藤智彦)
2017年8月15日(火) しんぶん赤旗