内閣府、開学期限切り文科省に迫る
前川氏「総理のご意向を理由」
山本創生相「具体的にはない」
参院で田村氏
田村氏は、「平成30年4月開学」と期限が切られ、“加計学園ありき”で獣医学部の選定が進められてきた疑いについて、ただしました。
「平成30年4月開学」という条件が政府から正式に示されたのは昨年11月18日にもかかわらず、昨年9~10月に作成された文科省の内部文書では「平成30年4月開学」を前提に対応するよう内閣府が文科省に迫っていたことが複数記されています。一方、加計学園が獣医学部新設を目指す今治市も、内閣府に「H30・4月開学予定」と記載したスケジュール表を送付していました。
田村氏の追及に、前川・前事務次官は「今治の獣医学部の設置は(平成)30年4月が大前提で動かせないということを確認し、その際、『官邸の最高レベル』『総理のご意向』という理由付けがされている」と答弁。一方、山本幸三地方創生担当相は「『(平成)30年4月』と具体的に出していることはない」と従来の答弁を繰り返しました。
田村氏は、開学時期を切ったことで政府が閣議決定した獣医学部新設の4条件を満たすかどうかの検討も十分されなかったとして、「疑惑はますます深まっている」と指摘しました。
■文科省の前川前事務次官の主な発言
加計ありきでプロセス進んだ
・(戦略特区での)穴の開け方、穴を通ってどの主体が規制緩和の恩恵を受けるかという決定プロセスに非常に不公平、不透明な部分がある。
・「広域的に獣医学部の存在しない地域に限り」「平成30年度(2018年度)開設」「1校に限り」という条件が次々付され、今治市の加計学園だけ残った。初めから加計学園に決まるようにプロセスが進んだ。
・プロセスは内閣府、内閣官房で進んだ。
「萩生田副長官ご発言概要」を目にした
・文科省事務次官の在職中、担当課職員から説明を受けた際に目にした文書に間違いない。
・(政府は確認できないというが)探せば出てくる。
・昨年9月、内閣府から強く、国家戦略特区での獣医学部新設に文科省として同意するよう要請があった。平成30年4月開設が大前提。萩生田官房副長官に調整をしてもらえないかと考えた。(「ご発言概要」は)その相談の経過を示した資料だ。
首相補佐官から「総理に代わって」との発言
・9月上旬に官邸4階の和泉洋人首相補佐官の執務室に呼ばれた。国家戦略特区での獣医学部新設について手続きを早く進めるようにとの話だった。「総理は自分の口からは言えないから、私が代わって言うのだ」との発言があった。
先輩が再就職先のために働きかけ
・木曽功内閣官房参与(当時)が8月下旬、私の部屋に来た。(旧)文部省の3年先輩。今治での獣医学部新設の手続きを早くという要望だった。(木曽氏は)加計学園理事だから、先輩が再就職先のために働きかけをしていることは分かった。
首相の「2校目、3校目」発言は無理
・今治市での獣医学部新設の成果の評価が必要。来年1年生を入れ、卒業まで6年かかる。研究者の養成は6年では足りない。研究者がどのような分野で活躍するか評価するには少なくとも10年内外は必要。いますぐ2校目、3校目は論理的にできない。
2017年7月11日 しんぶん赤旗
【7月10日 文教科学・内閣委員会合同審査 議事録】
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
九州北部での豪雨災害に心からお見舞いを申し上げます。
政府の迅速な対応と被災された方々への思い切った支援を求めて、質問に入ります。
まず、前川参考人にお聞きいたします。
文科省で確認された複数の文書に、平成三十年四月開学というスケジュールが記されています。また、今治市が内閣府に「H30・4月開学予定」と記載したスケジュール表を送付していたことも確認をされています。内閣委員会で私はこうした事実を示して質問をいたしましたが、藤原審議官は、選択肢の一つとして議論したことはあったかもしれないが、前提にした議論は全くないと答弁をされ、山本大臣も同様の答弁を繰り返しました。
前川参考人、平成三十年四月開学を前提にしたことはないというのは事実でしょうか。これ以外の選択肢というのが示されていたのでしょうか、お答えください。
○参考人(前川喜平君) これは文書をそのまま読んでいただければ皆様にもお分かりになると思いますけれども、まず、内閣府から九月の下旬に伝達された事項、これにつきましては、平成三十年四月開学を大前提に、逆算して最短のスケジュールを作成し、共有いただきたいと記されておりまして、これは官邸の最高レベルが言っていることと言われているわけであります。
それに対して、文部科学省の中で担当局も大臣と相談をした上で、三十年四月というのはなかなか難しいのではないかということで、改めて内閣府と調整を行ったわけでございますけれども、内閣府からの回答は、設置の時期について、つまり三十年四月としていることについてですけれども、これについては最短距離で規制改革を前提としたプロセスを踏んでいるということで、これは総理の御意向だと聞いていると、こういうふうに言われているわけでございまして、これはいずれも今治における獣医学部の設置であるということはもう前提としてございます。
その今治の獣医学部の設置については三十年四月、これが大前提で動かせないということをこうやって二度にわたって確認しておりますし、その際に、官邸の最高レベル、あるいは総理の御意向だと聞いていると、こういう理由付けが内閣府の方からされているということでございます。
○田村智子君 松野大臣にも確認したいんです。
文科省で確認された大臣御指示事項という文書には、平成三十年四月では必要な準備が整わないのではないか、平成三十一年四月開学を目指した対応とすべきではないかと、松野大臣の発言と思われる記載があります。この文書について、先ほどの答弁でも松野大臣は、大学設置審議会との関係で国家戦略特区として設置時期をあらかじめ書き込むのはいかがかと、という御答弁なんですね。ということは、あらかじめ設置時期が平成三十年四月というふうに内閣府から示されていたということでよろしいですね。
○国務大臣(松野博一君) お答えをいたします。
それは、期日が示されていたということが前提ではございません。ただ、国家戦略特区の立て付けとして、国家戦略特区の立て付けとして決定時において期限を書き込むということが過去の事例においてもあるということでございましたから、それが先ほど答弁をさせていただきましたとおり、それは、じゃ、大学の設置審を経ない状況の中において国家戦略特区の期日目標を書き入れることはどうかという趣旨で質問をしたと記憶をしております。
○田村智子君 それは、あらかじめ設置時期が何らかの形で提示されたから出てくる疑問だと思うんですけれども、違いますか。
○国務大臣(松野博一君) 国家戦略特区についての先例としては、医師養成大学における先例がございました。その事例として国家戦略特区の中に事前の設置期限というのを書き込んであるという説明がございましたので、それをもって質問をしたというふうな記憶がございます。
○田村智子君 失笑が起きているように、かなり苦しい御答弁なんですけど、内閣不一致を生まないための御答弁なのかなというふうに思います。
もう一点、先ほど今治市ということもあったのですけれども、資料配付したものをパネルにもしました。(資料提示)
これは、獣医学部新設を決定する国家戦略特区諮問会議の取りまとめ案に対する文科省の意見の文書で、上のところの赤字が文科省の修正意見なんですね。下が文科省の意見がいろいろ書いてあって、下線、赤線は私の方で引きました。この下の赤線引いたところを見ていただきたいんですけれども、獣医師の需給を所管する農林水産省及び厚生労働省において、今後の獣医師の需要の動向を明らかにした上で、それに照らして今治市の構想が適切であることを示すとともにというふうに書いてあります。
先ほども御答弁あったんですけど、改めて前川参考人に確認します。
やはり内閣府と文科省の協議は、今治市を前提としたものであったということでよろしいですね。
○参考人(前川喜平君) そのとおりであります。
○田村智子君 山本大臣、前川参考人の答弁とあなたの答弁は食い違っているんですよ。私、内閣委員会で何度もお聞きしましたが、平成三十年四月というスケジュールを示したことはない、今治市ありきではない、こういう答弁だけでした。食い違っているじゃありませんか。
○国務大臣(山本幸三君) 三十年度に開設というのは、初めて出てくるのはパブリックコメントのときであります。そして、共同告示に三十年度開設ということを規定するわけでありますが、これは、いち早く具体的な事業を実現させて効果を検証することが重要であるとの観点から、効果が発現することとなる開設の時期を共同告示に規定して早期開設を制度上担保しようとしたものであります。
ただ、それ以前については、できるだけ早くということは当然念頭に置いておりましたけれども、三十年四月ということで具体的に出していることはありませんし、当然、ほかのところを排除したということも考えておりません。
○田村智子君 今治市はどうですか。今治市ありきだったんですか。
○委員長(赤池誠章君) 改めて御質問ください。
○田村智子君 まあ今までの答弁のとおりだということだと思うので、もういいです。
ただ、文科省の文書には平成三十年四月は出てくるけれども、ほかの期日なんか出てこないんですよ。選択肢の一つとして示したというふうな答弁もありましたけれども、それ、何にも出てこないんですよ。出てくるスケジュールは平成三十年四月だけです。
もう一つ、今治市の構想が適切であることを示すのが必要だというのが文科省の意見として返された。内閣府はこれに対してメール出しているんですけれども、このことを別に当たり前の前提としたメールなんですよ、農水省と文科省で協議してほしい。ということは、今治市ありきということで文科省に提示していたということなんじゃないんですか。今治市の構想が前提だった、違いますか。
○国務大臣(山本幸三君) そういうことではありません。
これ、このやり取りをするときでは、もう既に四条件等をクリアして獣医学部を開設すると、そこを決めることが十一月九日の諮問会議でありまして、その勝負はもう既に付いていたわけであります。そして、そのときには今治市だけじゃなくて、ほかのところも当然あり得るという前提で考えていたわけであります。
○田村智子君 内閣府から文科省に返されたメールにはそんなこと書いていないですよ。今治市の構想が適切であることを示す必要があるという意見に対して、それは文科省と農水省で協議してくれって返しているだけなんですよ。今治市ありきじゃないよと言うんだったら、そういうメール返さなきゃおかしいじゃないですか。もう矛盾に満ちているんですよ、あなたの答弁は。
前川参考人にもう一点お聞きします。
獣医学部新設の規制改革が閣議決定である四条件に合致しているということが根拠を持って説明されていないということを前川参考人は繰り返し指摘をされております。そもそも獣医師の新たな需要とは何なのか、その規模はどれくらいなのか、それが明らかにならなければ、既存大学で対応できないのかどうか、これ検討しようがないと私も思います。
前川氏は、文科省としては農水省や厚労省の実質的な参加がなければ答えが出せないと言い続けてきたということも述べられておられるわけですけれども、では、こういう文科省の問題提起に対して、内閣府あるいは問題提起した相手である官邸、どのように対応されたんでしょうか、農水省や厚労省との協議が必要だという問題提起について。
○参考人(前川喜平君) 私の認識といたしましては、内閣府の姿勢は、内閣府が主体になって農水省、厚労省を引き込み一緒に検討する体制をつくるという意思はないというふうに思われました。農水省、厚労省の参加が必要だというのであれば文部科学省が責任を持って話を付けろと、こういうような姿勢だったというふうに記憶しております。
○田村智子君 それは内閣府としてやる気がないということですよね。
山本大臣にもお聞きしたいんですよ。農水省は、私、これももう六月の時点で何度も質問しているんですけれども、新たな需要があるという判断は一度としてやっていないんですよ。十一月九日の国家戦略諮問会議でのあの決定が出る前、一度としてやっていないんです。そのことを私の質問で本会議でも認めています。内閣委員会でも認めています。
また、創薬プロセスとか先端ライフサイエンスというのならば、これは厚労省の判断も必要でしょう。農水省は創薬プロセス関係ないですから。文科省も違うでしょう。ところが、内閣府と農水、文科、厚労、この三省の担当者による協議というのは行われていないんですよ。何でやらなかったんですか。
○国務大臣(山本幸三君) これは何度も御説明しておりますけれども、国家戦略特区の基本方針、これは閣議決定です。その中に、規制所管府省庁がこの規制、制度の見直しが適当でないと判断する場合には適正な理由を、正当な理由を適切に行わなければならないとちゃんと書いてあるわけであります。
したがって、その規制監督省庁はこの場合は文科省なんですから、文科省が責任を持ってそういうことについて、ちゃんと需要が足りていますよと、あるいは四条件満たしていませんよと、そういうことをきちっと説明しなければ、この基本方針にのっとって、当然そういう説明がない、つまり正当な理由がないということになって獣医学部を新設するということになるわけであります。その基本方針を理解しないでいろんなことを言われても困るわけであります。
○田村智子君 閣議決定の四条件を理解していないですよ。それをクリアするために厚労省も呼んで協議が必要だと言ったじゃないですか。それをやらなかったのがあなたなんですよ。結局、閣議決定に基づく検討をやっていたら、文科省の言うように、平成三十年四月開学に間に合わないということなんですよ。そうじゃないかと私は思いますよね。
平成三十年四月開学は、昨年十一月十八日のパブコメ募集で初めて公となりました。今年一月四日の事業者公募でも応募要件とされました。獣医学部新設に具体的な構想を持っていた京都産業大学も、この条件を示されたから、平成三十年四月という条件示されたので、これはもう無理だと完全に諦めたんだということをいろんな場所で京都産業大学の方述べておられます。私たちの議員も直接聞いております。この条件で応募ができたのは、なぜか方針決定の前に今治市でボーリング調査をやっていた加計学園だけですよ。
前川参考人にもう一点お聞きします。内閣府や和泉首相補佐官が平成三十年四月開学を譲らなかった、その意味を参考人はどういうふうに受け止めておられますか。
○参考人(前川喜平君) 平成三十年四月開設という、これが大前提であるということが官邸もあるいは内閣府も共通のスタンスだったと思いますけれども、その説明としては、官邸の最高レベルが言っていることだと、あるいは総理の御意向だと聞いていると。これ以上の説明は聞いていないわけであります。
○田村智子君 山本大臣、平成三十年四月は国家戦略特区でも一切議論になっていません。私の質問に内閣委員会であなたは私が判断したと繰り返し答弁されました。何で平成三十年四月でなければ駄目だったんですか。
○国務大臣(山本幸三君) これも何度も御説明しましたけれども、三十年度開設と規定したのは、いち早く具体的な事業を実現させて効果を検証することが重要であるという観点から、早期開設を制度上担保するためでございます。そうすると、開学前年の三月末に設置認可申請、その後夏頃に認可という例年のスケジュールを勘案して、最速で事業が実現するスケジュールである平成三十年度開設というものをパブリックコメントのときに示したわけであります。これは、そういう時期を示すというのは医学部のときにもやっております。
ただ、この獣医学部の設置という特例措置は、この特例を受けた事業者がようやく大学設置の認可申請を行うことができるようになるといった手続全体から見れば入口の措置であります。開学時期を含め、実際に設置される大学の内容については、その後の文部科学省における設置認可の審査に委ねられるものであります。すなわち、内閣府、文科省の共同告示における平成三十年四月という時期は、目指すべき時期との性格を持つものと考えております。
平成三十年度に開設としたのは、最速のスケジュールを要件とすることで獣医学部新設の早期実現を制度上担保したものでございます。内閣府としては、あくまで公正中立な意思決定を行ったところであります。
○田村智子君 もう昨年八月から九月にかけて、木曽功氏、加計学園の理事が前川氏によろしくと言って、また、理事長の加計孝太郎氏が山本農水大臣、松野文科大臣、山本担当大臣に相次いで面会をして、そして官邸の最高レベルが言っていることだといって平成三十年四月というスケジュールは作られていった。ますます疑惑は深まりました。
加計学園の理事長、和泉首相補佐官、藤原前内閣審議官、そして前川参考人にもお越しをいただきまして証人喚問を早急に行うことを求めて、質問を終わります。