国会会議録

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「加計ありき」いよいよ鮮明

安倍政権が国家戦略特区で決めた52年ぶりの獣医学部新設は、やっぱり学校法人「加計学園」(加計孝太郎理事長)ありきだった―。1日の日本共産党の国会質疑で“行政私物化”の実態がいよいよ鮮明になりました。


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(写真)質問する田村智子議員=1日、参院内閣委

“今治構想”加計が前提

 獣医学部新設は、愛媛県と今治市の共同提案が国家戦略特区諮問会議で認められたもの。加計学園は共同提案には加わっておらず、事業者公募に応じて選ばれた形でした。

 田村智子議員は参院内閣委員会で、諮問会議が獣医学部新設を議論しているさなかの2016年9月7日に、戦略特区を所管する山本幸三地方創生担当相と加計理事長が面談していたと追及。山本氏は「加計理事長から今治市と共同で獣医学部新設を提案したのでよろしくとあいさつがあった」と述べました。

 「加計学園は共同提案者ではない。不自然だと思わなかったのか」とただした田村氏に、山本氏は「今治市と加計学園は従来から共同でやりたいと相談し、そういう要請をしていると理解していた」と答弁。田村氏は「それでは公募の意味がない」と批判しました。

 山本担当相の発言は、“今治構想”が加計学園を前提としていたと政府が認識していたことを示しています。

 獣医師は足りているという日本獣医師会などの批判をかわすため、新設される獣医学部には新たな需要への対応=既存学部との差別化という条件がつきました。その新たな需要を検討したのはどこなのか。

 田村氏の質問に、農水省は「(新たな需要の)知見を有しておらず、検討していない」とし、大学を所管する文部科学省も「特段意見を出していない」と答弁。田村氏は「いつ、どこで、誰が『新たな需要がある』『既存大学・学部での対応は困難』という結論にいたる検討をしたのか」と迫りましたが、山本担当相は具体的検討経過を一切明らかにせず「私が決断した」と繰り返しました。

2017年6月2日(金) しんぶん赤旗

 

6月1日 【内閣委員会議事録】

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。

 昨日の本会議に続いて、加計学園の獣医学部新設の問題についてお聞きをいたします。

 まず、前提として、私は獣医学部の新設そのものを問題にしているのではありません。国民の要求や社会的あるいは学術研究上の必要性があるならば、関係省庁が責任を持って応えるべきだというふうに考えています。問題は、昨年十一月九日の国家戦略特区諮問会議が獣医学部新設の制度改正を決定した、これがそうした検討や議論を真面目に行ったのか、結論ありきだったのではないかということなんです。

 改めて、午前の議論でもありましたが、日本再興戦略二〇一五、「獣医師養成系大学・学部の新設に関する検討」、これ読み上げます。「現在の提案主体による既存の獣医師養成でない構想が具体化し、ライフサイエンスなどの獣医師が新たに対応すべき分野における具体的な需要が明らかになり、かつ、既存の大学・学部では対応が困難な場合には、近年の獣医師の需要の動向も考慮しつつ、全国的見地から本年度内に検討を行う。」と。この本年度というのはできなかったわけですけれども、これ閣議決定だと。

 本会議で私は、獣医師が新たに対応すべき分野における具体的な需要について農水省はいつどこで検討したのですかという質問をいたしました。農水大臣はこれに答えず、国家戦略特区諮問会議が判断したと言われました。つまり、農水省では十一月九日の諮問会議の決定につながるような検討はしていないということでよろしいですか。

○政府参考人(小川良介君) お答え申し上げます。

 農林水産省、獣医師あるいは獣医療に関することをつかさどっております。御存じのとおり、獣医師は、牛、豚といった家畜、あるいは犬、猫といったペットの診療を行うことができる資格になっております。農林水産省は、こういった観点から、小動物あるいは産業動物の獣医師と農林水産分野に従事する公務員獣医師、すなわち動物の診療を行う者の確保に努めてきているところでございます。

 今御質問ございました、獣医師が新たに取り組むべき分野である先端ライフサイエンス研究の推進などの分野は、こういった飼育動物の診療を行うものではございませんので、農林水産省は具体的な知見を有しておらず、具体的需要についての検討は行っていないところでございます。

○田村智子君 検討していないと。昨日、質問レクをやっているときには、つまりは農水省が把握できない新たな需要が決まったんだというような話もありました。そういうことだと思います、今の答弁は。

 じゃ、文科省にお聞きします。

 今、ライフサイエンス、先端的なとかという話もあったんですけど、じゃ、文科省の方でそういう需要について検討したのか、あるいは新たなそういう需要に既存の大学・学部が対応できない、こういう検討、これもいつどこでやったかといったら文科大臣は答えないで、内閣府で検討したって答弁されたんですね。そうすると、文科省も十一月九日の決定につながる検討はしていないということでよろしいですか。

○政府参考人(松尾泰樹君) 先日も大臣の方から御答弁させていただきましたが、既存の大学・学部では対応が困難かという点につきましては、国家戦略特区プロセスの中で内閣府において、英語での授業の実施を含めて、感染症発生時に国際的な協調を図りながら水際対策のできるグローバル対応可能な獣医師を重点的に養成しようとする点で既存の学部とは大きく異なる点、また、新たな人材養成のニーズへの対応は既存の大学においても一定程度対応することは可能だと思われるが、カリキュラムの抜本的な見直しや専任教員の大幅な入替えを行うことには困難があるとの、既存の大学・学部では対応が困難と判断されたものと理解しておりまして、その中において文科省としては特段意見を申し上げなかったということでございます。

○田村智子君 内閣府がそういう判断をしたのであって、文科省は判断をしていないという御答弁だった。

 そうすると、ワーキンググループのヒアリングでは、文科省は様々問われて、既成の大学・学部が感染症や先端ライフサイエンス等に対応するコアカリキュラムを発展させていると、こういう説明も行っているんですよ。

 もう一点文科省に聞きたいんですけれども、今言ったみたいな、内閣府が英語でやる授業とかというふうに言ったとしても、それは既存の大学・学部の例えばカリキュラムの改訂などで対応することはあり得るのではないかとも思いますが、いかがですか。

○政府参考人(松尾泰樹君) 新たな人材養成のニーズへの対応でございますけれども、これは既存の大学においても一定程度対応することは可能だと思われますが、例えばカリキュラムの抜本的な見直しや専任教員の大幅な入替えを行うことには限界があるということで、内閣府の考えを理解したものでございます。

○田村智子君 そこは理解しなくてもいいと思うんですけれども、そう言わないと内閣が激震走っちゃうんだろうなというふうに思いますが。

 じゃ、改めて伺います、山本大臣。関係省庁である農水省、文科省は、十一月九日の決定につながる検討、これやっていないんですよ、結論出していないんですよ。そうすると、いつどこで誰が、新たな需要がある、既存大学・学部での対応は困難と、こういう十一月九日の結論に至る検討をしたのか。十一月九日はほとんど議論していないですからね、決定しているだけですから。この決定に至る検討はいつどこでやられたのか、明確にお答えください。

○国務大臣(山本幸三君) まず最初に申し上げたいのは、特区等において規制改革を推進する上で、できない理由を探すのではなくて、できるようにするために前向きな議論を実施することが政府としての基本的スタンスだと考えております。なお、こうした考え方は、平成二十六年二月に閣議決定した特区基本方針のみならず、構造改革特区や総合特区の基本方針にも表れております。

 こうした考え方からすれば、今回の諮問会議取りまとめや、事業者がいわゆる四条件を満たしていないならば、本来は規制担当省庁がその旨を立証すべきでありますが、従来より規制担当省庁において議論を続けてきた結果、打開策が見付からず、長年の歳月を要したものと考えております。

 こうした中で、とりわけ困難な規制改革事項について、内閣府として、今回は特区の目的であります規制改革を進める、そしてそのことによって競争力を高め、経済活性化につなげるという観点から、平成二十七年六月の日本再興戦略に掲げられたいわゆる四条件に照らして問題のないことを私が確認いたしました。その上で、昨年十一月九日の諮問会議取りまとめにより本件の制度化を決定し、本年一月二十日の区域会議で区域計画を作成しました。

 それぞれの会議には、とりわけ十一月九日の諮問会議や一月二十日の区域会議には文部科学大臣と農林水産大臣にも御出席いただき、この平成二十七年六月の成長戦略の各条件ですね、各留意項目と我々は言っておったんですが、条件、いわゆる条件について三府省でしっかり合意確認をしながら、制度化、事業者の選定に至るプロセスを踏んできたものと考えております。

 ライフサイエンスなどの獣医師が新たに対応すべき分野における具体的な需要が明らかになっているかどうかということについてでありますが、具体的に検討した点は次のとおりであります。

 今治市の提案書、京都府等の提案書は、濃淡の差はあるものの、共に先端ライフサイエンス研究や地域の水際対策の強化といった分野に獣医師が新たに対応すべき需要があると説明しております。もとより、需要を定量的に把握することは困難でありますが、製薬会社等の会社に勤務する獣医師の数や会社に就職する新卒者の数がこの十年間で約五から六割増加していることは、新たな需要が具体的に発生していることをうかがわせる一つの材料ではないかと判断しております。

 また、家畜衛生分野の公務員獣医師に就職する新卒者の数がこの十年間で約五割増となっていることも、水際対策の強化に必要な獣医師のニーズが高まっていることをうかがわせる一つの材料ではないかと判断したところであります。

 このほか、民間有識者からも、人獣共通感染症に対する最先端の研究開発の必要性が高まっていることについて指摘があったところであります。

○田村智子君 答えていないじゃないですか。いつどこでどの会議で検討したのかと聞いているんですよ。

 中身はいいです。いつどこでを答えてください。

○委員長(難波奨二君) 山本大臣、適切に答弁をお願いします。

○国務大臣(山本幸三君) この点は十一月九日の特区諮問会議に至る議案を出す前に私が決断し、それを文科省、そして農水省に提示し、そして最終的に異論なしということで特区諮問会議の案として決定したわけであります。

○田村智子君 山本大臣は全能の大臣ですか。既存大学で対応できないとかそういう問題が全部分かる大臣で、あなた一人で確認したと。とんでもないですよ。それだけでも大問題ですよ。これ、具体的には、私、ワーキンググループとかと言うかなと思ったら、それさえ言わないんですね。ワーキンググループで相当な議論をやっているのは議事録を私も読みました。

 これ、最初、獣医学部の新設をめぐっては、二〇一四年七月、新潟市からの提案に端を発します。北陸信越というのは獣医学部の空白地域で、獣医不足というのも確かにあります。どちらかというと、北の方が獣医不足深刻ですからね、四国よりも。鳥インフルエンザの水際作戦というのも、渡り鳥は日本海側から入ってくるわけですから、こういう提案って、私、あり得ると思いますよ。

 しかし、八月から始まったワーキンググループは、翌年二月まで五回にわたって農水省、文科省のヒアリングを行っても、結論が出ません。そのまま、新潟市は提案をやめて、これは立ち消えになったんです、一旦。

 議事要旨、見てみますと、獣医師の需要について、もう産業動物が減少だというふうに農水省が説明すると、そうすると、ワーキンググループの民間委員から、じゃペットはどうなんだと、ペットの高齢化問題にはどう対応するんだとか、本当にこんな議論までやるのかというような議論までやって、それに農水省は一生懸命、資料を新たに出しては答えているわけですよ。高齢化っていったって、ペットフード改良されたっていったって、寿命はそうはいっても上限はあると、それに対応する新たな需要というのは考えにくいというようなこともいろいろやっていますよ。文科省も同じですよ。対応できるのかと聞かれれば、こういう中身で対応しているというふうに答えてきて、これ立ち消えになっているんです。

 愛媛県と今治市が共同でワーキンググループに提案をしたのは二〇一五年六月、つまりワーキンググループの議論が言わば行き詰まったときなんです。

 その後、この十一月九日の決定に至るまで、ワーキンググループで農水省、文科省へのヒアリングが行われたのはたった二回です。一五年六月八日、これは、これまでのどういう議論やってきたかということを両省が説明をしているんですよね。それで、翌年九月十六日、このときの農水省、もう、説明ありますかって聞かれて、説明はございませんですよ。これ以上何を説明しろと言うんだっていうワーキンググループになっているわけですよ。

 そうすると、この昨年九月十六日以降十一月九日まで、どんな検討がどこで行われて獣医学部新設の結論になったのかと、ここが焦点なんですよ。

 間に、実は京都産業大学と京都府が合同でヒアリングを行って、これは慌てふためいたんじゃないでしょうか、いきなりいい案がぽっと提案されて。ところが、このときのワーキンググループって実に冷たいですよ。熱心さは全く感じられませんよ。戦略が足りないですねって言われているんですよ。まあこの格差は何だろうと思うようなヒアリングになっていますよ。議事録からその冷たさが伝わりますよ。

 そうすると、愛媛県と今治市が提案を行い、その後、二回、この問題でのヒアリングが行われた、そこで結論は出ていない。その後、どこで検討が行われて結論になったのか。山本大臣一人の判断なんておかしいですよ。どこで検討が行われたのか、他の省庁とどんなやり取りがあったのか、明らかにすべきではないですか。

○国務大臣(山本幸三君) この点は、何度も申し上げているように、従来から経緯のある話であります。

 まさに構造改革特区で今治市がずっと提案をし続け、そしてまた、国家戦略特区になったときに、御指摘のように新潟市の話もありました。ただ、これは詰めていったところ、まだ準備ができていないということで立ち消えになったことは確かであります。

 それからまた、改めて国家戦略特区で今治市から提案があり、そして、それを軸に検討をワーキンググループ等で、区域会議等で進めておりました。そして、昨年の三月に京都府から、このときは簡単な要旨による提案でありますが、ございました。そして、それを受けて、十月に京都府についてのワーキンググループのヒアリングをやったということであります。

 いずれにしても、そうしたヒアリング、ワーキンググループのヒアリング、区域会議、そういうものを踏まえて、いよいよ方針を決めるという段階になって、十一月九日の特区諮問会議に上げるようになるわけでありますが、その際に、十月の終わり頃に私が決断して、特区諮問会議に上げる案を決めたということであります。

 そして、それを三府省、各省で案を出して、それについての意見調整をやり、最終的に、たしか十一月の二日だったと思いますが、最終的な案が固まって、十一月九日の特区諮問会議ということになったということであります。

○田村智子君 もう全然いつどこでは明らかにならないわけですよ。

 もう一点確認しましょう。じゃ、十一月九日に出されたこの諮問会議の決定の中で、これは案として示してパブリックコメント求めたときには、広域的に獣医師養成大学等の存在しない地域に限りという極めて地域限定的な言葉って入っていないんですよ、パブリックコメント求めているときには。ところが最終案では入った。それはいつどこで検討されたんですか。

○国務大臣(山本幸三君) 十一月九日の諮問会議取りまとめで広域的に獣医師系養成大学の存在しない地域に限るとしたわけであります。したがって、パブリックコメントはその後でありますから、当然入っているわけであります。

 それは、感染症に対する水際対策を担う産業動物獣医師に地域ごとの偏在があり、確保が困難な地域もある一方で、獣医師会などからの慎重論があることを踏まえて、産業動物獣医師の地域偏在に対応するとともに、獣医師が新たに取り組むべき分野に対応し得る獣医学部をいち早く実現するために、まずは地域を限るとしたものであります。

 広域的の具体的範囲は定量的に決まるものではありませんけれども、都道府県単位ということではなくて、より広い範囲で見て既存の獣医学部が近隣には存在しない地域について認めようという趣旨であります。

 この地域に限った理由を詳細に御説明申し上げますと、越境感染症は一気に拡大する可能性が高く、初動が肝腎でございます。特に同時多発型の越境感染症の場合など、いざというときには風土や畜産業の特色など地域の事情に精通した学識者が即時に的確な原因究明とそれに基づく蔓延防止策を助言することが必要であります。しかし、広い範囲で獣医学部がない地域では、こうした学識者が近くにいないため、いざというときに防疫体制が手薄となり、長い年月を掛けて築き上げたブランド力や信用は壊滅し、畜産業が立ち行かなくなるのではないかという切実な不安を抱いております。こうした不安を解消し、より良い防疫体制を確保する観点から、まずは広域的に見て地域に根差した獣医学部がない地域を優先するとしたところであります。

○田村智子君 これも答えていないんですよ。いつどこでって答えないんですよ、全然。

 これは、直前の十月十七日に京都が提案をしてきてヒアリングをやっているんですよね、京都産業大学と京都府の合同の提案。慌てて入れたんじゃないんですか。

 これを入れれば京都は対象から外れるんだという認識が諮問会議にはありましたか。あったかなかったか。

○国務大臣(山本幸三君) そのようなことはありません。

 具体的な調整の経緯について申し上げますと、十月下旬に私の指示の下で、特区ワーキンググループの委員の御意見も踏まえつつ、内閣府の事務方が特区諮問会議の取りまとめの原案を作成したわけであります。その中に、広域的に獣医師系養成大学の存在しない地域に限るという決定でありますが、その後、十月時点で内閣府の事務方が文科省高等教育局、農水省消費・安全局に原案を提示し、省庁間調整を行いました。十一月初めに特区ワーキンググループ委員及び関係府省間で事務的な調整を経て、最終的に私が内容を確認し、十一月九日の諮問会議の取りまとめ案としたところであります。

○田村智子君 全く納得ができませんので、この十一月九日に至るまでの経緯、特に九月の十六日の最後のヒアリングの後、だから、九月、十月に内閣府と文科省、農水省との間で、あるいは内閣府の国家戦略特区の担当部署での意見のやり取り、打合せ、メモ、決定に至る過程、その資料提出を求めたいと思いますが、委員長、取り計らいをお願いします。

○委員長(難波奨二君) ただいまの件につきましては、後刻理事会で協議いたします。

○田村智子君 ちょっと角度を変えてお聞きします。

 山本大臣、九月七日、加計学園の理事長とお会いになったことをお認めになっていますが、そのときどのような会話を交わされましたか。

○国務大臣(山本幸三君) そのとき事務方を通じてアポの要請がありまして、お会いしました。加計理事長からは、今治市と共同で獣医学部の新設について提案したのでよろしくという挨拶がありました。私からはきちっとルールに従って公正公平にやりますとお答えしたと記憶しております。

○田村智子君 松野大臣は突然の訪問に驚いた様子だったという報道がありましたが、山本大臣は、今のやり取り、加計理事長の発言が不自然だったとか唐突だったとか、あれっ、おかしいなとかは思われなかったということですか。

○国務大臣(山本幸三君) 私は、大臣に就任して、そういう案件があるということで御挨拶に来られたということで、特段おかしいとかそういうことは感じませんでした。

○田村智子君 獣医学部新設の提案は愛媛県と今治市の共同の提案であって、ここに加計学園は入っていません。それはそうですよ、だって、公募するんだから、公募するんだから。おかしいと思わなかったんですか。

○国務大臣(山本幸三君) 当然公募ですが、今治市と加計学園は従来から共同で事業者としてやりたいということで、相談してそういう要請をしているというように理解しておりました。

○田村智子君 今、重大ですよ。それ、公募の意味ないじゃないですか。公募の意味なくなっちゃうんじゃないですか。

○国務大臣(山本幸三君) いや、それは公募、当然公募をしなきゃいけませんから、当然別の候補者が出てくるということも当然あり得るということであります。

○田村智子君 ちょっと、それじゃ、遡って聞きますが、十一月九日の諮問会議の決定を受けたその一月四日の公募、更に限定が付きます、一校に限り認めると、一校に限り。これは安倍総理と松野文科大臣の連名での告示ですけれども、一校に限りはどこで検討されて誰が判断されたんですか。

○国務大臣(山本幸三君) 一校に限る経緯について申し上げます。

 昨年の十二月八日に日本獣医師会から一校とするよう要請がございました。それから、十二月十七日に締切りのパブリックコメントで約八割が慎重な意見であったことを踏まえて、十二月の二十日前後に私が一校に限ることを最終決断し、通常と同様に事務方に指示いたしました。十二月二十二日に事務方の原案に私が目を通し、内閣府から文科省高等教育局と農水省消費・安全局に提示いたしました。十二月の二十二日夕方までに通常と同じく事務方で文言調整後の案を両省の局長等から大臣に報告し、異議がなかったため、三大臣合意となったものであります。本年一月四日に一校に限る旨を明記した告示を制定いたしました。そういう経緯であります。

○田村智子君 そうすると、大臣は九月の時点で、まだ共同提案なんかになっていない加計学園が当然今治市とともに獣医学部新設をするんだということを知っていた、そうなるだろうという認識があった。その下で、広域的に獣医学部がない地域に限りという決定を十一月九日に下した。これによって、当時提案のあった京都と今治、これで京都は消えるわけですよ、応募できないわけですよ。そうなることが分かっていた、今治だけになるということも分かっていた、その上で一校に限りという限定まで付けたということでよろしいですね。

○国務大臣(山本幸三君) 当然公募ですから、ほかの候補者も手を挙げ得ることは当然であります。

 ただ、今治市は、構造改革特区を用いた獣医学部の新設について、今治市と愛媛県の連名で平成十九年以降十五回にわたり提案を行ってきたところであります。この提案書には、平成十九年に行った最初の提案時から平成二十一年秋の提案時まで、市が想定していた事業者として加計学園の名前が記載されているところであります。市が独自の判断でプロジェクトの実行者として同学園との議論を行っていたものと考えております。自治体が提案書の作成に当たって具体的な事業ニーズを十分に踏まえることは通常行われていることであり、全く不自然はないと考えております。

○田村智子君 加計学園以外にも公募だから応募できますよと。それじゃ、なぜ公募期間は八日間だったんですか。なぜ平成三十年四月開校という条件を付けたんですか。これはどこで判断されたのか。

○国務大臣(山本幸三君) 公募期間が八日というのは特別に決めたわけじゃありません。これは、従来から公募については大体それぐらいの期間でありまして、平均で言えば公募の期間は六・五日です。その意味では、八日ということに最大限したということであります。

 その後、追加の申出手続を六日間行いましたけれども、それも追加申出の期間、平均期間というのは五・七日でありまして、これは従来と同じやり方でやったということであります。

○田村智子君 あのね、岩盤規制に穴を開ける学部新設という五十二年ぶりの改革なんですよ。従来が何日間だったからで、それでいいんですか。五十二年ぶりですよ。学部新設ですよ。八日間で、応募期間ですか。

 今お答えになっていない、何で平成三十年四月開校が条件なんですか。

○国務大臣(山本幸三君) 当然、学部新設ですから、すぐ思い立ってできるというようなものではありません。したがって、当然、考えているところは従来からそういう準備をしているはずですし、またそういう話が進んでいるということは当然のことだと思います。

 それから、共同告示に平成三十年度に開設と規定した理由でありますが、いち早く具体的な事業を実現させ、効果を検証することが重要であるとの観点から、効果が発現することとなる開設の時期を共同告示に規定し、早期開設を制度上担保しようとしたものであります。具体的な時期は、開学前年の三月末に設置認可申請、その後夏頃に認可という例年のスケジュールを勘案して、最速で事業が実現するスケジュールである平成三十年四月の開学、すなわち平成三十年度に開設としたものであります。

 ただ、獣医学部の設置という特例措置は、この特例を受けた事業者がようやく大学設置の認可申請を行うことができるようになるといった手続全体から見れば入口の措置であります。開学時期を含め、実際に設置される大学の内容については、その後の文部科学省における設置認可の審査に委ねられるものであります。すなわち、内閣府、文科省の共同告示における平成三十年四月という時期は、目指すべき時期との性格を持つものでありまして、事業者にとって条件ではありません。このことを踏まえて、文部科学省による設置認可の申請等を行う事業者においては、準備不足などによる問題が生じることのないよう万全を期すべきものと考えております。

○田村智子君 もう今の答弁でもいっぱい問題点があるんですね。

 もう準備は進んでいるものと思われるって、そんなばかな話ないでしょう、そんなばかな話ないでしょう。土地ももう確保されています、もう着々と平成三十年四月に開校できる準備は整っていると思われるから、平成三十年四月開校の条件にしたって。それはもう、その準備しているところがあって、そこに獣医学部の新設を認めるために形だけ手続を踏んでいきましたよと。おまけに、加計学園が共同提案者でもないのに山本大臣は何の疑問もなく公正な審査を行いますとまで答えておられる。もう何を示しているか明らかじゃないですか。加計学園ありきっていうベクトルが、別に私、今日は内部文書一切使っていないですよ、一切使っていなくたって、そういうことが見えてくるじゃないですか。

 その上、今日、朝日新聞で、また新たな発言がありますよね。内閣官房参与だった、昨年の九月三十日まで内閣官房参与を務めていた木曽功さんですか、木曽功さんが、昨年八月下旬、前川文科事務次官と会っていろんな話をしたと。当然、自分は加計学園の理事を務めているから、獣医学部の話もその中には出てきたと。すごく全部符合するんですよ。ワーキンググループの議論が行き詰まっちゃった、行き詰まっちゃった、表に私たちが分かる議論が何も出てこない、その期間の中でこういう働きかけ、八月が最初だったというふうに前川さんは言っていますよね。その後、九月から十月にかけて内閣府から様々な働きかけがあって、邪魔をするなと、総理の意向だと、官邸の最高レベルが言っているんだと、獣医学部新設はもう決まっているものなんだと。加計って名前は出てこないかもしれないけど、山本大臣の頭には加計学園もしっかり頭の中にあったということまで今日の議論の中で分かったわけですよ。これ重大だと思われませんか。

 これ、少なくとも、木曽功さんはそういう話をしたって認めているんですよ。獣医学部新設の話もあったって認めているんですよ。これ、内閣府で働いていた、内閣府の特別参与だった、官房参与だった方ですからね、しっかりヒアリング、ちゃんと聞き取り、どういう話があったのか、これやるべきじゃないですか、山本大臣。

○国務大臣(山本幸三君) そういう方の発言について、私は一々コメントする立場にはありません。

 ただ、御指摘のように、先ほどのお話で公募期間の話がありましたけれども、いわゆるこの期間は応募書類の受付期間でありまして、昨年十一月九日に獣医学部新設の規制改革が決定した時点で、地域の水際対策の強化や先端ライフサイエンス研究の推進など新たな分野に対応するための獣医学部を求めていることを明らかにしております。さらに、遡れば、平成二十七年六月の日本再興戦略でも、従来型でなく、ライフサイエンスなど新たな分野に対応する人材養成を目指すことを明らかにしております。

 内閣府では、関心を持つ事業者や自治体が誰でも手を挙げられるよう、随時提案や事前相談を受け付ける体制を整えております。しかしながら、この数年間で、具体的な実現性という観点からは、熟度の高い提案は平成十九年から続く今治市の提案のみであったということであります。

 なお、一般論でありますけれども、地方自治体の大学誘致は自治体が大学側と十分に連携しながら進められるのが通常であります。今治市は加計学園と、京都府は京都産業大学と十分な調整を図りながらプロセスを進めてきたものと承知しております。

○田村智子君 もうむなしい答弁にしか聞こえません。

 木曽功さん、前川さんの参考人招致を求めて、質問を終わります。

 


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