国会会議録

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マイナンバー記載強制やめよ 田村智議員 住民税などの通知書
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(写真)質問する田村智子議員=18日、参院内閣委

 日本共産党の田村智子議員は18日の参院内閣委員会で、各事業所に送付される住民税などの「特別徴収税額通知書」に従業員のマイナンバー(個人番号)を記載するよう強制することはやめるよう主張しました。

 総務省は3月6日、「通知書」に個人番号を記載するよう指示する通知を出しています。田村氏は、「通知書」に個人番号を記載し、郵送することは誤配送などの配達事故などによる情報漏えいの危険があると指摘。多くの自治体が普通郵便での「通知書」の送付を想定していることも示し、政府の認識をただしました。

 総務省の開出英之大臣官房審議官は「適切な方法で送付されるものと考えている」などと答弁。田村氏は「国民にとって何の利便性もなくリスクだけがある」と厳しく批判。さらに、記載しないことを検討している自治体があることを踏まえて「自治体の判断を国は尊重すべきだ」とただしました。

 山本幸三地方創生担当相は「一般論として、国と地方公共団体の関係は対等な関係へと変わった」と述べ、自治体の判断を尊重すべきとの姿勢を示しました。

2017年4月19日(水) しんぶん赤旗

 

【4月18日 内閣委員会議事録】

○田村智子君 では、法案に関わって質問いたします。

 まず、法案のマイナンバーの利用拡大に関わる問題です。国民一人一人に一生涯にわたって国が個人識別番号を付け、住所、所得、医療など、また将来では顔認証まで行うかもしれませんけれども、こうした個人情報を一元化し活用することそのものに我が党は反対です。

 今回は、特別支援学校での事務に限定するとはいえ、生活保護関連の情報も追加されます。

 私がとりわけ危惧をしているのは、国が強引に個人番号の利用を進めようとしていることで、その事例として、住民税などの特別徴収税額通知書への個人番号記載について質問いたします。

 住民税を給料から天引きして従業員の居住地の自治体に事業所が納付する、これが特別徴収です。五月三十一日までに事業所に従業員一人一人の徴収税額が通知されます。総務省が定めた通知書の様式、これ個人番号記載欄が新たに設けられたことで、今自治体や中小業者に混乱と危惧が広がっています。

 特に東京都は、今年度から原則として全ての事業主を特別徴収義務者として指定いたしました。これまで対象外だった従業員が二人という小規模事業所に対しても通知書が送付をされます。個人番号の厳格な管理の体制が果たしてどこまで徹底されているのか、私は甚だ疑問です。

 今年二月、この問題を衆議院総務委員会で我が党の梅村議員が取り上げました。事業所が適切に個人番号を管理する準備が進んでいるのか調査をすべきだと求めましたが、その後、何らかの調査は行いましたか。

○大臣政務官(島田三郎君) 田村委員にお答えいたします。

 民間業者におけるマイナンバーの取扱いにつきましては、平成二十五年のマイナンバー法成立以来、国税庁や個人情報保護委員会等の関係行政機関や各種経済団体と共に連携し、全国で説明会を行うとともに、チェックリストやポスター、チラシ等を作成しているなど、様々な認知、広報を行ってまいりました。

 政府といたしましては、委員御指摘の準備状況に特化した調査は行っておりませんが、例えば日本商工会議所が昨年七月に行った調査によれば、マイナンバー制度の対応について、会員である中小企業のうち約七割が完了している又は対応中と回答しているなど、民間事業者における準備は着実に進んでいるものと認識をいたしております。なお、現に、既に、昨年の年末調整や本年二月の確定申告書等の提出など、民間事業者による従業員等のマイナンバーの記載が始まっているところですが、現時点において、民間業者におけるマイナンバーの取扱いについては大きな混乱が生じているとは考えておりません。

 今後とも、関係行政機関や各種経済団体と連携しながら、民間事業者が適切に対応していただけるよう必要な周知、広報を丁寧に進めてまいりたいと思っております。

 以上でございます。

○田村智子君 これ、調査やっていないんですよ。

 今回、従業員の方が伝えるんじゃないんですよ。一方的に記載して送り付けるんですよ。

 三月六日、総務省は自治体に、特別徴収税額通知への個人番号記載に関するQ&A、これを通知しています。ここには、個人番号欄を自治体が独自に判断して削除することはできません、個人番号の記載を不記載や一部不記載とすることは認められていませんとあります。情報管理の体制が取られているかも分からないままに、国が個人番号活用を事実上強制しているわけです。

 確認しますが、今回、この特別徴収の税額通知書に個人番号を通知しなくともこの徴収に何ら支障はないというふうに考えますが、いかがですか。事実だけ確認します。

○政府参考人(開出英之君) お答えいたします。

 個人住民税につきましては、公平公正な課税や課税事務の効率化を図るため、特別徴収義務者と市区町村との間で正確なマイナンバーを共有するよう、平成二十九年度の課税から、特別徴収義務者用の特別徴収税額通知にマイナンバーを記載することといたしております。

 仮に市区町村が同通知にマイナンバーを記載しなかった場合、特別徴収義務者と市区町村との間で正確なマイナンバーを共有することができず、翌年以降の地方税手続においてマイナンバーの確認事務等に時間を要するなどのことが考えられることから、公平公正な課税や事務の効率化につながらない懸念があると考えております。

 したがいまして、市区町村におきましては、地方税法及び同法施行規則に定める様式によりまして、特別徴収義務者に対し、従業員のマイナンバーを記載した通知を送付していただく必要があると考えております。

○田村智子君 今のはマイナンバー上の支障だけじゃないですか。徴収事務に何らの支障もないですよ。

 事業所に従業員の個人番号を通知することで、それでは事業所や従業員に何か利便性の向上があるんですか。

○政府参考人(開出英之君) お答えいたします。

 特別徴収義務者用の税額通知にマイナンバーを記載することによりまして、例えば翌年以降の地方税手続でマイナンバーの確認事務等が容易になるなど、事務の効率化の面で事業者にメリットがあると考えられ、マイナンバーの円滑な運用に資すると考えております。また、個人住民税の税務手続においてマイナンバー法が目的とする公平公正な課税が実現するということを通じまして、広く納税者、納税義務者である従業員にもメリットがあるものと考えております。

○田村智子君 具体的な利便性なんか何もないですよ。

 これは小さな診療所の方々もこの通知書が来るとその管理しなくちゃいけなくなるというんで、それで開業医の方々の中でも非常に問題視されているんです。

 そこで、東京保険医協会は、特別徴収の通知に個人番号を記載するか否か、送付方法をどのようにするのか、東京都内の全市区町村にアンケート調査を行っています。二月二十一日現在で、五区八市三村が普通郵便で送付すると回答しています。この中には、個人番号を記載しない、するかどうか検討中という自治体もありましたが、三月六日の総務省の通知で対応が変わっているかもしれません。多くの自治体で個人番号が記載された通知が一方的に普通郵便で送付をされることになってしまう。受け取っていないとか誤配送などの配達事故、また安全管理体制が不十分なことによる情報漏えい、こういうリスクを総務省は一切想定していないんですか。

○政府参考人(開出英之君) お答えいたします。

 市区町村及び個人番号関係事務者である特別徴収義務者に対しては、マイナンバー法に基づきまして所要の安全管理措置を講じることが義務付けられております。また、個人情報保護委員会は、特定個人情報の適正な取扱いを確保するための具体的な指針としてガイドラインを示しております。これらを踏まえまして、市区町村は、マイナンバー法及び特定個人情報保護委員会規則に基づき特定個人情報保護評価書を作成し、第三者による点検等を経た上で個人情報保護委員会に提出した後、速やかに公表する等の対応を取ることとされております。

 御指摘の郵送時の漏えいリスクにつきましては、個人情報保護委員会が示すガイドラインや市区町村自らが作成、公表する特定個人情報保護評価書に基づきリスクを軽減するための安全管理措置を講じる中で、特別徴収税額通知につきましても市区町村において適切な方法で送付されるものと考えております。

 総務省では、地方団体に通知を発出いたしまして、特別徴収義務者のマイナンバーを取り扱う部署に、確実に特別徴収税額通知が到達するよう正確な宛名の把握を行うことや、仮に誤配送があった場合の対応についての助言等を行っております。また、中小事業者におけるマイナンバーの管理につきましても、個人情報保護委員会が示すガイドラインを踏まえ、マイナンバー法に基づき特定個人情報を保護するための取組を行うこととされており、これらによりマイナンバーの適切な管理が行われるものと考えております。

○田村智子君 これは無責任の極みだと言わなきゃ駄目ですよ。簡易書留とか特定記録郵便にすれば事務量も郵送料も大幅に増大する、だから普通郵便で送付すると自治体回答しているわけですよ。特別徴収通知書への個人番号記載は国民にとって何の利便性もなく、リスクだけがあります。自治体も、業務の効率化どころか、事務量も経費も膨大に増えてしまいます。

 これ、山本大臣に一般論でお聞きしますが、自治体が住民の利益を考慮して事務のやり方を判断すれば国はとやかく言うべきじゃないと、これを尊重すべきだと思いますが、いかがですか。

○国務大臣(山本幸三君) 議員の問題意識のマイナンバー制度については所管外のためお答えを差し控えたいと思いますが、一般論としては、平成十二年四月に施行された地方分権一括法における地方自治法の改正によって機関委任事務が廃止され、国と地方公共団体の関係は上下主従の関係から対等協力の関係へと変わったところと認識しております。

 国と地方公共団体は、適切な役割分担の下で、国民福祉の増進という共通の目的に向かって相互に協力する関係にあると認識しております。

○田村智子君 そのとおりですよ。

 これ、事業所からは、マイナンバーは業務上全く必要ないと、行政の代わりに住民税を徴収するだけでなく、個人情報の管理を押し付けられ、漏えいすれば罰せられる、勝手な記載はやめてほしいと、こういう切実な声が上がっています。国民からも、私は知らせていないのに勝手にマイナンバーを通知することはやめてほしいという声が上がっているわけですよ。三月六日の通知は撤回をすべきです。このことを強く求めます。

 


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