国会会議録

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こども園 監査不十分 姫路事件 “子の命に関わる” 参院内閣委 田村議員追及
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(写真)質問する田村智子議員=22日、参院内閣委

 日本共産党の田村智子議員は22日の参院内閣委員会で、定員超過などの問題が指摘されている姫路市の「認定こども園」問題をとりあげ、認定こども園に対する年1回の監査を法的に義務づけ、指導監督を強化するよう求めました。

 田村氏は、姫路市の私立認定こども園「わんずまざー保育園」では、定員の1・5倍にあたる約70人の児童を受け入れて詰め込み、約70人への給食は定員人数以下に減らして児童に過小に分け与える、架空の名前まで用いて保育士人数を水増しする―などが明らかになっていることを指摘。「子どもの安全や命にも関わる重大な事件だ」と述べ、「認可時点や過去の定期監査でなぜ明らかにできなかったのか。昨年1月にも情報が寄せられながら抜き打ちの監査もしなかった。認定こども園に対する監査が非常に不十分であったと言わざるを得ない」と批判しました。

 田村氏は、認定こども園には年1回の監査が法的に義務づけられていないことを示し、自治体への監査の義務づけ、監督指導の強化を求めました。加藤勝信少子化担当相は、「各自治体において適切に監査が行われているものと認識している」と述べ、自治体任せの姿勢に終始しました。

 田村氏は、「この間の国による規制緩和のなかでさまざまな事業者が保育に参入し、チェックが抜け落ちていることの表れだ」と政府の姿勢を批判しました。

 2017年3月23日(木)

 

【4月22日 内閣委員会議事録】

○田村智子君 次に、この数日来報道されています姫路市の認定こども園、わんずまざー保育園の問題取り上げます。

 これ、四十六人の児童を入所させていると行政に届けていながら、二十人超の直接契約によって、定員の一・五倍、約七十人の児童を受け入れ、給食は四十人分を分けて与える、保育士数は架空の人物まで入れて水増しをしていたことなどが判明し、姫路市は認定を取り消し、刑事告発をすると報じられています。これは子供の安全や命にも関わるような重大な事件なんですが、内閣府もまだ事態の詳細を把握していないということですので、また別の機会に詳しく取り上げたいと思います。

 今日は一点だけ、監査の問題を指摘しておきます。

 これだけひどい保育実態が明らかになったのは、今年二月の定期監査で不審点があったことから、約二十日後に抜き打ち監査を行い、定員超の児童を確認したと、ここが出発点なんです。しかし、保育士数の水増しなどは何で認可時点で分からなかったのか、これまでの定期監査でなぜ明らかにできなかったのかということが問われなければなりません。また、昨年一月には不適切な保育が行われているという情報が寄せられていたのに、抜き打ち監査を行うこともありませんでした。

 これは、認定こども園に対する監査が非常に不十分であったと言わざるを得ないと思いますが、内閣府の認識はいかがでしょうか。

○政府参考人(西崎文平君) 子ども・子育て支援制度におきましては、施設の認可に加え、施設型給付等の支給の要件として、市町村長が施設型給付費等の支給に係る施設として確認を行うこととされております。また、市町村が行う施設型給付費等の支給の適正化を図るため、確認に係る指導監査を適切に行うよう自治体に特定教育・保育施設等指導指針をお示ししているところでございます。この確認及び指導監査におきまして、市町村は、保育所、幼稚園、認定こども園等の類型を問わず、また、保育士等が常勤であるか非常勤であるかにかかわらず、年齢別配置基準が満たされていることを審査することとなっております。

 委員御指摘のわんずまざー保育園の事案につきましては、姫路市の実地指導及び兵庫県との合同による姫路市の監査により明らかになったと承知しており、今後とも、市町村において適切に確認及び指導監査が行われるよう取り組んでまいりたいと考えております。

○田村智子君 これは大臣にも伺いたいんです。

 これ、本当に重大な保育事故がいつ起きてもおかしくないような状態だったと思うんですよ。ところが、そもそも認定こども園は年一回の監査が法的に義務付けられていません。私は、昨年の委員会でも保育事故の問題取り上げて、定期監査に加えて抜き打ちの検査や巡回指導が必要だということを強調いたしました。

 スプーン一杯程度のおかずで栄養も全く足りない給食だった、食器の使い回しがあった、保育士がまともに配置されず、定員超で詰め込み保育を行っていた。これ、たとえ地方裁量型であっても、認定こども園でこういう問題が明らかになった以上、早急に認定こども園の指導監督を自治体に義務付けるということが必要だと思いますが、いかがですか。

○国務大臣(加藤勝信君) 認定こども園で実施される指導監査等については、委員御承知のように、都道府県における各施設事業の認可基準充足状況のチェック、そして、施設型給付の要件を講じていることを含む適正な運営や施設型給付の支給要件に係る運営状況を市町村が確認を行う指導監督、この二つのいずれも受けることとされております。

 認定こども園については、都道府県等による立入検査については、幼保連携型認定こども園は、認定こども園法第十九条に基づく指導監査通知により、児童福祉施設が一年に一度以上実施されることに留意して、定期的かつ計画的に実施すること。保育所型認定こども園は、児童福祉法施行令第三十八条に基づき一年に一回以上実施することが義務化。幼稚園型は必要に応じて実施。地方裁量型認定こども園は、児童福祉法第五十九条に基づく認可外保育施設に対する指導監督の通知により年一回以上行うことを原則とされております。

 また、市町村による確認による指導監査については、子ども・子育て支援法第十四条、また三十八条に基づく確認に係る指導監査通知により新規施設、既存施設への指導監査が実施をされると、こういう立て付けになっております。

 それぞれ根拠とする法令等が違うわけでありますけれども、立入検査の実施については、その法令の規定に基づき各自治体において適切に実施されているものというふうに認識しております。

○田村智子君 いやいや、これ適切にやられていないから、もうここまでひどい事態になって発覚しているわけですから。

 これ、また改めて取り上げますけれども、様々な保育の規制緩和の問題とか、いろんな事業所が入っていいよとか、もうチェックが抜け落ちるような事態が今広がっちゃっていることを表していると思うんですよ。また、地方裁量型の認定こども園だったら監査は努めるぐらいですからね、自治体は。それでいいのかという問題として、また引き続き取り上げていきたいというふうに思います。

 


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