国会会議録

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非常勤 3年使い捨て 田村氏「国家公務員正規化を」 参院内閣委

日本共産党の田村智子議員は15日の参院内閣委員会で、「国家公務員の非常勤職員を正規化すべきだ」と追及しました。

 非常勤国家公務員である期間業務職員は、任期は1年以内、更新は2回、3年目は公募による採用に努めるとされています。田村氏は、3年を上限として雇い止めが発生し、雇用が安定しない制度だと指摘。政府は公募後に採用される可能性があると説明しますが、田村氏の調査では公募で採用されたケースは1~2割。内閣府、総務省、国土交通省はゼロでした。田村氏は「この実態をどう見るのか」とただしました。山本幸三行政改革相は「国家公務員には採用試験がある。手続きを経ずに常勤になるのは困難」と非常勤職員の救済に背を向けました。

 田村氏は、5年を超える有期労働者については「雇用の安定化」を図るとして労働契約法を改定して無期転換ルールを定め、全員無期化を目指すとしている一方、国家公務員では3年ごとに雇用が脅かされる仕組みとなっていると指摘。「公募制度が使い捨てになっていないか。期間業務職員の意見や要望を直接聞くべきだ」と強調しました。

2016年11月17日(木) しんぶん赤旗

 

【11月15日 内閣委員会 速記録】

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。

 景気回復のためには、給与を引き上げる、賃金を引き上げて家計を温めるということが急務であって、当然、今回の法案のように公務職場においても一般職の給与引上げやることは、私たちも賛成です。しかし一方で、配偶者手当の減額を行うなど、結果として、差引きで給与がマイナスになる職員がこれでは出てしまうと、こういった法案の問題点があるということも指摘をいたしまして、今日この場では公務職場の非正規の問題について私も取り上げたいと思います。

 安倍内閣は、昨年、一億総活躍社会の実現のために緊急に実施すべき対策として、不安定な雇用と低所得のために結婚に踏み切れない若者の希望を実現するため、非正規雇用労働者の正社員転換、待遇改善を推進すると、こういうことを掲げました。さらに、今年の一億総活躍プランでは、若年層の不本意非正規雇用労働者の割合、二八・四%を二〇二〇年に半減する、五年以上有期契約を繰り返す者、四百万人のうち希望者は全て正規化するということが盛り込まれました。

 これは民間企業についての目標ですけれども、国家公務員においても、非常勤職員の常勤化、正規化あるいは待遇改善、これは民間と同様に進めるべきだと考えますが、山本大臣の御所見を伺います。

○国務大臣(山本幸三君) 非常勤職員については、先ほども話がありましたように、一般職員との権衡を勘案しながら予算の範囲内で待遇の改善を図るべきだというように考えております。

 他方で、非常勤職員を常勤職員と直ちにするかどうかについては、これは、常勤職員として採用するためには、国家公務員の場合は採用試験というものがございまして、常勤の国家公務員としての能力の実証を行う必要があるわけであります。そういう意味で、こういう手続を経ずに直ちに国家公務員の非常勤職員を常勤職員とすることは困難であると考えております。

○田村智子君 国が直接責任を持つ省庁では、本人が常勤化を望んでも非常勤のままでよいということになってしまうんですね。これでは安倍内閣の姿勢が問われてしまうと思います。

 期間業務職員、常勤の労働時間の四分の三以上で働く非常勤職員で、任期は一年以内、更新は二回、三年目は公募による採用に努めるものとされています。つまりは、三年を上限として雇い止めの可能性があるという制度になっています。

 厚生労働省の労働組合が期間業務職員のアンケート調査を行いました。これ見ますと、回答者の七割が三十歳以下、まさに若年層です。任期の上限を超えて働き続けたいという回答は七割を超えていて、ほとんどの方が無期化を求めています。

 三年を上限として雇い止めがあり得る、こういう制度のままでは公務職場において雇用が安定しない、不本意な雇い止めが起こり得ると思いますが、もう一度、山本大臣、お願いします。

○国務大臣(山本幸三君) 非常勤職員については、従来の一日単位で任用していた制度から、一年、一会計年度内に限って任期を定めて任用することのできる期間業務職員制度を導入して、不安定な地位の改善や業務実態に即した適切な処遇の確保を図ってきたところであります。

 そして、人事院規則において一会計年度内に任期を定めるものとされており、その採用に際しては原則として公募によることとされております。ただ、能力の実証を期間業務職員としての勤務実績に基づき行うことができる場合には、例外的に公募によらない採用も可能とされております。その際、人事院の通知において、平等取扱いの原則及び成績主義の原則を踏まえ、公募によらない採用は、同一の者について連続二回を限度とするよう努めるものとされているところであります。

 このような関係法令や人事院の通知を踏まえて、各府省において適切に運用すべきものと考えております。

○田村智子君 例外的ではあるけれども、公募後更新は妨げないという御答弁でもあったと思います。

 資料を配付いたしました。御覧いただきたいと思います。

 これは、本省に勤務をする期間業務職員について、現に勤務している職を公募に掛けた、働いている人がいるその職を公募に掛けたその数、そして、その働いていた人がその公募後採用された数、これを各省庁に全て、本省勤務員だけですけれども、問合せをいたしまして、私の事務所で一覧にしたものです。

 公募によってそれまで働いていた人が採用されているのは、これざっと見ますと、おおむね一割から二割で、ほとんどは更新されていないと思われるんですね。これ表の中で赤くしたところが、公募後、従前働いていた人の採用がゼロというところを全部赤にしたんですよ。ぱっと見てもほとんど赤だというのが皆さん分かるというふうに思います。特に、内閣府、総務省、国土交通省、これ全ての局にわたってゼロなんですよ。公募に応募しても三年で使い捨てられているということを表していると思います。

 労働行政を担当する厚労省の労働基準局、職業安定局、能力開発局、ここでは、期間業務職員制度をスタートさせたとき、つまり、先ほど御答弁あった日々雇用職員を期間業務職員に切り替えたとき、それまで勤務していた日々雇用職員は全員雇い止めになりました。首を切られました。それからちょうど三年になりますので、そのときに採用された職員が全員公募になります。また全員雇い止めするのかどうか、労働行政機関にあるまじきことをやるのかどうかと、私は大変注目をしているところなんです。

 期間業務職員は、正規化はできないし、無期化も駄目、働き続けたければ三年ごとに公募に応募をし、採用試験を受けなければならない。しかし、応募をしてもほとんどの方が公募後同じ職場では働いていない。この資料から見える働く側の方の現実を山本大臣はどのように受け止められますか。

○国務大臣(山本幸三君) 働く側の立場からということでありますと、非常勤職員については、先ほども申し上げましたように、採用に際して、原則として公募でございますけれども、能力の実証を勤務実績に基づいて行うことができる場合には、例外的に公募によらないこととすることも可能とされているところでありますが、他方で、人事院の通知において、こうした機会は平等でなければならない、平等取扱いの原則及び成績主義の原則というものがございまして、その場合でも公募によらない採用は同一の者については連続二回を限度とすると、そういう取扱いになっております。

 これは、そういう継続して雇用するという必要性と、それから同時に、公務員として平等原則、成績主義ということのバランス上のことから取り扱われているものと考えております。

○田村智子君 ちょっと観点を変えたいんですね。有期雇用から無期雇用への転換ルールを作って雇用の安定を図るとして、二〇一三年に労働契約法が改定をされています。厚労省に、この十八条の趣旨、簡潔に御説明ください。

○政府参考人(土屋喜久君) お答え申し上げます。

 労働契約法第十八条は、有期労働契約が長期間反復更新された場合につきまして、その濫用的な利用を抑制し、雇用の安定を図るため、有期労働契約が五年を超えて更新された場合には、労働者の申込みによりまして期間の定めのない労働契約に転換できるということを規定した規定でございます。

○田村智子君 この改定については、労働者から無期雇用の申出の権利を奪うために更新回数上限定めるとか、五年に達しないうちに雇い止めするなどの問題あるということを私厳しく追及をしてきましたが、しかし政府は、あくまでも雇用の安定化を図るために、反復更新されている者、これ無期化を図っていくんだと、これを民間についてはやったわけですよ。一億総活躍プランでも、五年以上の反復した有期雇用計画全員無期化だということまで掲げているわけですよ。ところが、省庁については、もう五年にも達しない、三年ごとに雇用が脅かされるのが当然という仕組み、仕組みがそうなっている。

 期間業務職員の方にお話伺いましたけれども、給料は日給制で時給も決して高くありません。仕事の内容は常勤の方と変わらない方も多数いて、新人の教育やっているという方もいる。給料上げてほしいという思いももちろんあるけれども、一番の願いは、いつ仕事を辞めさせられるかというこの不安を何とかしてほしいということだと。これ当然だと思います。

 民間には無期契約で雇用の安定を促す一方で、国自らが責任を持つ省庁にはそういう仕組みがない。そのままでいいのかと。これまでの仕組みの、制度の御説明は結構です。やはり何らかの検討が必要だと思うんですけれども、大臣、いかがですか。

○国務大臣(山本幸三君) 先ほどもお答え申し上げましたけれども、国家公務員の場合は、常勤職員として採用するためには採用試験、競争試験があるわけでありまして、それによって常勤の国家公務員としての能力の実証を行う必要がございます。その意味では、非常勤職員について、このような手続を経ずに直ちに常勤職員とすることは困難であります。もし常勤職員になりたいということであれば、採用試験を受けていただくということになります。

 一方で、非常勤職員については、先ほども申し上げましたように、期間業務職員制度の中で公募によらない採用もすることはできますが、これは同一人に対しては二回までということになっております。

 いずれにしても、内閣人事局としては、関係法令や人事院通知の各府省に対する周知徹底等により、人事院とも連携しつつ、期間業務職員制度の適切な運用に努めてまいりたいと思っております。

○田村智子君 国家公務員になるには採用試験を受けなければと言いながら、その期間業務職員がいなければできない仕事というのをつくってきているんですよ、皆さんね。

 例えば、ハローワークの就職支援ナビゲーター、これ全員が非常勤なんです。それで、どういう仕事しているかというと、生活困窮者のまさに求職活動を、生活の立て直しも含めて支援をしていくわけですよ。あるいは、刑務所から出所した方、この方を受け入れる会社ってなかなか難しいから、そういう事業所回ってこういう方受け入れてほしいという事業所開拓なんかをこの就職支援ナビゲーターの方々がやっているわけですよ。これ、全員が非常勤だと。だから、そこでの能力って、私は三年で切るような能力じゃないと思いますよ。むしろ、経験積んで働くことが必要だと思います。

 ハローワークでいうと、確かに三年ごとの公募掛けると、結果としてこれまで働いてきた方が、スキルもありますし、そういう事業所開拓なんてそんな簡単にいかないことですから、また雇われる、採用されるというパターンが、そういう事例があります。ただ、その場合にも、採用された方は大変苦悩するんです。先ほどお話あったとおり、窓口に自分の職を掛ける、求人を掛けるわけですよ。そうすると、それに応募した人が誰かということも御自分で分かるわけですよ。自分が採用されたら、ああ、こういう応募した方々が結局職に就けなかったんだなと。これを考えちゃうと矛盾を感じてメンタル疾患になっていくと、こういう人が後を絶たないという話も私たち聞いているわけです。

 大臣、もう制度の説明はいいのでちょっとお願いをしたいのは、三年ごとに機械的に公募を掛けるというこのやり方です。これが私は様々な弊害を生んでいると思います。ですから、これは期間業務職員の方にその実態を直接にお聞きするというような機会をやはり設けるべきだというふうに思うんですけど、その点いかがでしょうか。

○国務大臣(山本幸三君) 内閣人事局では、国家公務員制度を企画立案する立場から、各府省の人事当局や地方出先機関の人事担当者、さらには職員団体など、様々なレベルで協議、意見交換を行っております。この際には、非常勤職員についても当然話題に上がっているところでありまして、任期の件を含めて様々な御意見をお伺いしているところであります。

 引き続き、非常勤職員に関する御意見や実態をよく伺ってまいりたいと思います。

○田村智子君 是非、三年ごとの機械的な公募、この弊害ということをちゃんと直視をしていただきたい、こういうことを重ねて強く要望しておきます。

 常勤と非常勤の処遇の格差の問題として、両立支援の休暇の問題を指摘をしたいと思います。

 これは、子供さんが小さいうちの保育時間、あるいは病気になったときの看護休暇、産前産後休暇、短期介護の休暇など、親御さんの介護休暇ですね、常勤職員は有給で保障されますが、非常勤職員の場合は全て無給となっています。常勤職員と同じ七時間四十五分勤務する期間業務職員でも無給だと。なぜこのような違いが生じているのでしょうか。

○政府参考人(千葉恭裕君) お答え申し上げます。

 非常勤職員は業務の必要に応じまして任期や勤務時間を設定する任用形態でございまして、勤務した時間に対して給与を支給するというのが基本的な考え方でございますので、休暇は基本的に無給といたしております。ただし、情勢適応の原則に鑑みまして民間企業における休暇の状況との均衡を踏まえておりまして、民間の有期雇用従業員においても有給で措置されている割合が高いものにつきましては有給の休暇として措置しているところでございます。

○田村智子君 シングルマザーで期間業務職員で働いている方も割と多いとお聞きもしているんです。そうすると、子供さんが病気のとき、あるいは学校の行事のとき、これ全部休めば無給、有休なんかあっという間になくなっちゃうという状態なんですね。

 今、民間を見ながらということだったんですけれども、これは、家庭と仕事の両立支援というのはまさに内閣が掲げている中心政策ですよ。そうすると、公務職場は民間を引っ張るような、民間に範を示すようなやり方というのを是非検討していただきたいということを要求しておきます。

 更にお聞きします。

 二〇〇八年の人事院の通知では、期末手当、交通費については常勤職員と同様に非常勤職員についても支払うようにと促しています。勤勉手当は、通知では書かれていませんけれども、人事院にお聞きしますと、各府省に支払うよう指導しているということです。ところが、内閣人事局の調査を見てみますと、期間業務職員のうち一万六千八百八十二人、それ以外の非常勤職員を含めると約四万人に期末手当に相当する給与は支払われていません。また、勤勉手当に相当する給与は二万四百八十二人に支払われていないという調査結果が出ています。

 期間業務職員が最も多いのは厚生労働省です。地方労働局、地方厚生局の期間業務職員の大多数に期末手当や勤勉手当に相当する給与が支払われていません。その多くは、ハローワーク、労働基準監督署、労働局。まさに、非正規と正規の待遇改善の是正を指導すべき役所でこのように待遇格差が是正されていない。これをどうされるのか、御答弁ください。

○政府参考人(宮川晃君) お答えいたします。

 御指摘のとおり、現在、都道府県労働局に勤務する非常勤職員に対して期末手当、勤勉手当を支払っていることはございません。来年度、都道府県労働局に勤務する非常勤職員の処遇を改善するため、人事院の定める非常勤職員の給与に関する通知、いわゆるガイドラインにおいて期末手当に相当する給与の支給に努める旨定められていることを踏まえ、まずは期末手当について検討してまいりたいと考えております。

○田村智子君 これ、中身聞きましたら、労働局で〇・八七月、厚生局で一月、これ年間ですよ、これで要求だというんですね。これ、常勤職員や他府省のほとんどが期末手当は二・六月に加えて勤勉手当相当額を支払うということだというんですね。まあ、厚生労働省についても、まずは一歩だということですけれども、余りに小さな一歩だというふうに言わなくちゃいけないんです。

 このように、省庁ごとの格差が大きいんですね。これ、山本大臣にお聞きしたいんですけれども、やっぱり任命権者に任せているということから生じることだと思います。もう少し拘束力のある労働条件示して、府省や部局による極端なばらつき、余りに極端です、これ、こういうばらつきが出ないようにすることも必要だと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(山本幸三君) 御指摘のように、先般内閣人事局で行った調査におきましても、一部の項目に差異があることも含めて実態を把握することができまして、私どもは一定の意義があるものと認識しております。今回の調査結果を踏まえて、民間の同一労働同一賃金の実現に向けた検討を含む働き方改革の動向等も注視しつつ、関係機関と連携して今後の対応について是非実効が上がるように検討してまいりたいと思っております。

○田村智子君 最後に大変強い決意の思いで御答弁をいただけましたが、今までの質疑の中で、やっぱり、民間には非正規の正規化を求め、また処遇の改善を求めて正規との差がないようにと言いながら、まさに国が責任を持つこの省庁の中でこれが全く放置された状態だというふうに言わざるを得ないんですね。これでは、安倍内閣の働き方改革というのが、一体その足場がどうなのかということが問われることになると思います。根本には国家公務員の先ほど来ある総人件費の削減ということが非常勤をどんどん増やしているという実態がありますので、そのことも含めて、国家公務員の働き方の問題、雇い方の問題、このことについては抜本的な見直しを重ねて強く求めまして、私の質問を終わりたいと思います。


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