国会会議録

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就学援助引き上げを 田村智子氏に文科相 「改善策考える」
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(写真)質問する田村智子副委員長=24日、参院文科委

 日本共産党の田村智子議員は、24日の参院文教科学委員会で、低所得者に支給する就学援助金を実態に見合った額に引き上げるよう求めました。馳浩文科相は「(実態と)かい離がある状況」だと認め、「必要な調査を行ったうえで、改善策を考える必要がある」と答えました。

 国の就学援助の単価表では、「新入学用品費」として、小学校入学は2万470円、中学校入学は2万3550円となっています。田村氏は、新日本婦人の会のアンケート調査では、入学準備費用は小学校で平均5万4540円、中学校で平均7万8492円と、国の就学援助単価を大きく上回っていると指摘。「『義務教育は無償』というにふさわしい抜本的な見直しが必要だ」と迫りました。

 馳文科相は「十分に財政当局とも議論する必要がある」と答弁。田村氏が生活保護の教育扶助も実態に合わせて引き上げるよう求めると、厚労省の石井淳子社会・援護局長は「(扶助の)水準の検証に取り組んでいきたい」と答えました。

 田村氏は、生活困窮世帯が入学準備金の立て替えをしなくて済むよう就学援助を入学前の2~3月に支給するよう要求。文科省の小松親次郎初等中等教育局長は「児童生徒が援助を必要とする時期に速やかに支給できるよう十分配慮するよう通知しているが、市町村に引き続き働きかけていく」と述べました。

2016年5月25日(水) 赤旗

 

【  議事録 5月24日 文教科学委員会 】

 

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。

 今日は、就学援助についてお聞きします。

 生活保護世帯や低所得世帯を対象に小中学校の入学準備費用、学用品費や給食費、修学旅行費などを援助するために就学援助の制度があります。生活保護世帯及び保護は受けていないけれども同等の所得水準の世帯は要保護世帯として国庫負担法による支援です。準要保護世帯については自治体施策とされ、所得水準も自治体ごとに決められています。

 今日は資料としてこの国庫負担法による就学援助の単価表を配付いたしました。このうち、上から五というところになるんですが、新入学用品費、これ小学校の入学時で二万四百七十円、中学校で二万三千五百五十円なんですね。これが私は実態に見合った金額なのかということを大変疑問に思います。小学校の入学準備、ランドセル、上履き、体操服、鍵盤ハーモニカ、これはもう四月に、入学するときにそろえてくださいというのが普通ですよね。これ、ランドセル工業会によりますと、今ランドセルの価格というのは平均四万円、これはピンからキリというよりも、その四万円超えるのが当たり前という価格だということなんです。

 中学校、もっと費用が掛かりますよね。制服は夏用、冬用購入が必要で、都内で見てみますと、ある中学、男女とも六万円近く掛かると。体操服も一万七千円近い、上履きは三千五百円超えると、こういう学校、これは普通だと思います。中には、制服だけで七万円、体操着で一万八千円、上履きで四千円、通学かばんで五千円と、もう十万円近いお金が最低限必要というような学校もあるわけです。この表と比べても、就学援助、これ、入学費だけを見ても実際に必要となる費用を満たしていないんじゃないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(馳浩君) 実際に、平成二十八年度要保護児童生徒援助費補助金における新入学児童生徒学用品等の予算単価、小学校二万四百七十円、中学校二万三千五百五十円と、実際、平成二十六年度子供の学習費調査の結果による保護者が支出した額で、要保護児童生徒援助費補助金の新入学児童生徒学用品等におけるおおむね相当する経費と考えられる額は、これ小学校一年生が五万三千六百九十七円、中学校一年生が五万八千六百三円、これは確かに無作為抽出の調査の結果の数値でありますが、これを比べても、やはり半分以上違うわけですね。したがって、やっぱり乖離がある状況を認めざるを得ませんし、これに関しては、やはり必要な調査を行った上で必要な改善策を考える必要があると、そのように思っております。

○田村智子君 これ、是非お願いしたいんです。

 新日本婦人の会東京都本部の皆さんが、昨年、教育費負担に関するアンケート調査に取り組みまして、この調査結果見ますと、入学準備費用、これは先ほど大臣がお示しいただいた数字と小学校の平均は大体かみ合います、五万四千五百四十円。中学が五万八千円というのは、ちょっとそれは少ないんじゃないかなと率直に思いまして、この新婦人の皆さんの調査では七万八千四百九十二円という調査結果なんです。四分の一の家庭が学校生活に掛かる費用を負担に感じるというふうにも答えておられるわけですね。これ、教材費、そのほかの教材費、年間の納付金も月平均にすると小学校が千二百円を超える、中学校で七千七百円を超えると、月平均で。これも就学援助の単価とは大きく異なってくるわけです。

 今、大臣、見直しが必要ということなんですけど、そもそも憲法は義務教育を無償としているわけですから、これちょっとの見直しではなくて、やっぱり無償と言うにふさわしい抜本的な見直しが必要だと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(馳浩君) したがって、私も先ほど必要な調査実態を踏まえて必要なやっぱり見直しが必要だと、こういうふうに答弁したところであります。できれば、委員、是非こういう答弁をするときには財務省も呼んでいただいて、やはり私どもは、多分私を応援するために、今、今日質問していただいていると思うのでありますが、やっぱり財政当局とも現状を踏まえて協議しなければいけないということ。

 もう一つは、確かに自治体においてはランドセルなども中古品を提供したらどうかと、こういう議論もあるんですが、これはやはり私たち教育に携わる者の見方からすれば、スタート地点においてどういう、やっぱり新品のものを与えて、それは気持ちも新たにスタートさせるということが必要だと思っておりますし、ここはやっぱりちょっと十分に財政当局とも議論する必要があると、そういう認識でおります。

○田村智子君 これ、是非お願いしたいというふうに思った一つのきっかけとなったのが、二〇一四年九月、千葉県銚子市の県営住宅で母子世帯のお母さんが十三歳の子供を、娘さんを殺害し、無理心中を図るという事件が起きたわけですね。これ、中学二年生の娘さんが亡くなってしまいました。

 この方、直接的には、県営住宅に住まいながら、家賃の滞納を理由にもう出ていけと、まさに強制執行のその日、もう強制的に荷物を運び出すんだといって車が横付けされて、強制執行する方々、つまり荷物を運び出そうとする人が家の中に入ってみたら、お母さんが子供を抱きかかえて子供さんの子供の頃のビデオをずっと見ていたと。子供さんはもう亡くなっているわけですよ。これで発覚して、無理心中には至らなかったということなんです。

 これは、県営住宅で、生活困窮が分かっていて、家賃滞納も繰り返していた。何で家賃減額や生活保護につなげるという施策が取られなかったのか。これもう根本的な行政の問題点があるんですけれども、実はこの生活困窮の一因になったのが娘さんの中学入学準備だったんです。制服代などを何とかしなくちゃいけないということで、この方、就学援助を受けていました。受けていたんだけれども足りなくて、二〇一三年二月に社会福祉協議会から限度額いっぱい、十二万五千円を借りたと。これでも生活費も含めてお金がこの時期足りなかったんでしょう、同じ時期に闇金からお金を借りてしまった。この闇金が、もうその後、毎週一万円返済しろと、できないともうどんどん脅しの電話を掛けてくると。これでどんどんどんどん追い詰められていったところに、家も出ていけと張り紙をされたことが無理心中事件になってしまったんですね。

 この銚子市の就学支援、新入学用品費というのは国と同じ基準で中学生二万三千五百五十円なんですよ。この就学援助が不十分で、中学入学準備のために貧困家庭が闇金に手を出してしまった、こういう事態なんですね。それぐらい事態は重いということなんです。

 だから、この事件、是非受け止めていただいて、御答弁ありましたけど、やっぱり小学校でいうとランドセル、体操服、それから中学でいえば制服ですよ。制服のお金がちゃんと出せるようにこれは就学援助の中に入れていくんだと。財務省を呼ばなかったのは申し訳ないんですけれども、やはりこれぐらい深刻な事件が起きているんだということも是非財務省にも伝えていただいて、何としてもこの制服代、ランドセル代、入れていただきたい。

 もう一度、大臣にお願いしたいと思います。

○国務大臣(馳浩君) 十分議事録にも載っておりますので、今後とも、私たちも財政当局との交渉の中で、実態を踏まえた、その上で必要な調査を踏まえた必要な支援策、額についての協議をすべきと、こういうふうに考えております。

 私もこの事件覚えておりまして、本当に痛ましいことであり、我が家族でも夫婦で話し合ったことを覚えております。やはりこういう観点もあるからこそ、教育と福祉との連携を取るためにも、スクールソーシャルワーカーの配置などもやりながら、教育と福祉の関係性をもっと連携を持って、事前にやはり察知をして、アウトリーチのような形で支援していくという基本的な考え方を共有すべきだなと、こういうふうに思っております。

○田村智子君 今日は厚労省社援局長にも来ていただきました。

 やはりこの就学援助、要保護児童に対する支援というのは、生活保護の教育扶助、これと無縁ではないわけですよね。そうすると、その生活保護の教育扶助、これも実態と比較して私は相当な乖離があると思います。やはり中学入学時の制服代あるいは小学校のランドセル、体操服、これは当たり前に賄えるような費用設定が必要だと思いますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(石井淳子君) お答え申し上げます。

 生活保護制度におきましては、義務教育に伴って必要となる費用については、学校に入学する際のランドセルや制服の購入等に必要な費用を入学準備金として支給をしているところでございます。この基準額につきましては、近年では文部科学省所管の就学援助の補助金単価の改定率を踏まえて改定を行っております。小学校の場合は四万六百円以内、中学校の場合は四万七千四百円以内というのが今の水準でございます。

 また、義務教育に掛かる費用でございますが、これは入学準備金だけではなくて、日々の学習に必要な筆記用具等の学用品とかあるいは通学用品などを賄うために、毎月一定額を教育扶助として支給しております。主な例を申し上げますと、中学の場合には基本額としては毎月四千二百九十円に加えまして、学習支援費としまして毎月四千四百五十円、合わせまして八千七百四十円、そのほか実費で支給するものもございますが、そういうものを月々お支払いしているところでございます。

 教育に係る扶助全体としてこの問題、私どもしっかり受け止めさせていただきたいと思っておりまして、就学に必要な費用が賄えているかという考えの下、教育に掛かる費用の実態や、あるいは地方自治体などの御意見踏まえながらその内容とか水準の検証というものに取り組んでまいりたいと、かように考えております。

○田村智子君 是非、文科省と厚労省と連携してこの子供の貧困問題に取り組んでいただきたいと思います。

 最後、局長にもちょっとお聞きしたいんですけど、この入学準備金の支払がいつ行われているか。多くの自治体の中で、今もう二月、三月ではなくて、六月や七月に支給されるというところが多いわけです。これは、後からではやっぱり闇金に手出しちゃうような事例が起こりかねないわけです。あるいは、学校の先生にお聞きすると、入学式に欠席する新入生がいると、それは制服がそろえられなかったんだろうというふうに推測するんだと言われるわけですね。

 やはり必要な時期に必要な額が支給されるように、これは国もそうやって取り組むし、自治体に対してもそういう働きかけが必要だと思いますが、局長、いかがでしょうか。

○政府参考人(小松親次郎君) ただいまの点、御指摘のとおり、入学時に必要となる新入学児童生徒学用品費、今準備金とおっしゃられたのはこの部分だと思いますけれども、これが必要な時期に必要な支給が行われるということが望ましいと考えております。

 文部科学省といたしましては、これまでも都道府県教育委員会に対しまして、要保護者への支給は年度の当初から開始し、各費目について児童生徒が援助を必要とする時期に速やかに支給することができるよう十分配慮していただきたいというふうに通知をいたしておりますけれども、市町村に対してこの通知でその周知を更に依頼してきておりまして、引き続きその働きかけをしてまいりたいというふうに考えます。

○田村智子君 では、最後、一問。

 オリンピックの問題なんですけれども、招致の問題で大臣にお聞きしたいんですが、これまでの審議の中で、こういうコンサルティングというのは通常行われていることで、十社程度がそのコンサルティングで招致委員会からいろいろな契約で情報を得たんだというふうにお聞きをしています。

 この招致のためのコンサルティング料というのは総額八億円なんですね。それで、このブラック・タイディングス社に支払われたものは二億三千万と、相当このブラック・タイディングス社に支払われた。しかも、そのうち一億三千万は招致が終わった後に支払われている。コンサルティング総額八億円のうちの実に一六%に当たるものが、招致後にブラック・タイディングス社に払われた。

 これは、大臣はやましいところは何もないからちゃんと説明するという立場なんですけれども、ここはフランスの捜査当局だけじゃなく、国民的に見ても極めて不自然なお金の動きだというふうに思うんですけれども、この招致後に総額八億円のうちの一六%ものお金がブラック・タイディングス社に支払われている。これは何か不自然というか、やはり相当な調査と説明が求められる事案だというふうに思いますが、そこの見解をお聞きしたいと思います。

○国務大臣(馳浩君) 先ほども蓮舫委員にも申し上げましたが、基本的には民間同士の契約事項でありますし、また、その成果物についても守秘義務が掛かっておるという現状でありますから、まずJOCにしろ、また竹田さんにしろ、調査チームを踏まえてしっかりとその疑惑には答えてほしいと思っております。

 私自身、招致に関わっていた者からすれば、御指摘をされている世界陸上選手権のタイミングというのは、もう最大の実は山場でもあったということを考えれば、私はここに対してやっぱりコンサルを通じて必要な情報を得て、その情報に基づいて招致活動を展開するということを考えれば、私はその金額云々よりも、それだけの必要性に迫られていたということは私は理解をすることはできます。ただ、今ほど委員もおっしゃったように、その金額の多寡、そしてそのタイミング等々については、改めて調査チームの報告もいただきながら、またやり取りもさせていただければと思います。

○田村智子君 終わります。

 


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