日本共産党の田村智子議員は26日、参院文教科学委員会で、新国立競技場(東京・代々木)の整備費について、都民にも知らせず東京都の財政負担を決めるべきではないと、政府の姿勢を追及しました。
スポーツ振興センター(JSC)法の改定法案は、JSCが所有する競技場を国際大会の招致・開催のために整備する場合、都道府県が費用の3分の1以内を負担するとしています。これは、新国立競技場の建設費が膨れ上がったための法改定です。
田村氏は、政府は昨年12月、都との合意の上で新国立競技場建設費の都負担を4分の1以内と決定したが、これを上回る負担を求めるのか、今後サッカーワールドカップ招致を理由に8万人スタジアムへの改修等が行われる場合、都負担を求めることが可能ではないかとただしました。馳浩文科相は、現時点では東京都との合意以上に負担は求めないと答えました。
2016年4月30日(土) 赤旗
(議事録 ⒋月26日 文教委員会)
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
本法案は、新国立競技場の整備費が膨れ上がる下で、東京都に財政負担を求め、スポーツ振興くじの収益からの収入も増やそうというものです。
昨年、私も繰り返しこの新国立競技場の建設計画の見直しを求めましたが、事実上、建物のデザイン変更にとどまって、広範囲に及ぶ人工地盤など、狭隘な場所に巨大スタジアムを建設するという問題の根本にはメスが入りませんでした。
東京都の財政負担の問題も、この見直し前の新国立競技場建設費が二千五百億円を超える、このうち五百億円を東京都に負担をお願いするということから浮上したものです。建設費が膨らんでも東京都に費用を求めることができる、この姿勢がずさんな建設計画の一因だったと指摘しなければなりません。
しかも、この東京都の費用負担、その経緯の不透明さは昨年の本委員会で問題となりました。舛添都知事は当初、五百億円の費用負担について聞いていないと述べ、当時の下村文科大臣にこのことをただしますと、自民党の都議との話合いの中で五百億円の負担を内々に了解してもらったと、こういう答弁だったんです。都知事の了承もない、都議会も都民も知らない間に多額の都負担が了承されているという異常な経緯が明らかになったわけです。
その後、舛添都知事は態度を転換いたしまして、昨年十二月一日、国立競技場の建設費一千五百八十一億円のうち、四分の一に当たる三百九十五億円を東京都が負担するという案で、文科大臣、オリパラ担当大臣、都知事の三者合意となり、十二月二十二日にこれが関係閣僚会議で了承されました。
この東京都単独負担、周辺整備を含めますと、東京都の負担は四百四十八億円にもなるということになります。本来、都道府県に費用負担を求めることのできない国立競技場の建設について、都民の頭越しに東京都の財政負担を法律によって定める、こういうことはやるべきではないということを申し上げておきます。
これを指摘した上でお聞きします。
この三者合意では、建築資材や労務単価の上昇、消費税一〇%適用によって一千五百八十一億円を超える場合、都負担は三百九十五億円を超えて四分の一だというふうに決めています。一方で、法案では東京都の負担割合の上限を三分の一としています。なぜ四分の一ではなく、三分の一という法律になっているんですか。
○国務大臣(馳浩君) 独立行政法人日本スポーツ振興センター法に新設する附則第八条の十第一項においては、特定業務に係る施設のうち、地域の発展に特に資するものとして政令で定める施設が存する都道府県が、その三分の一以内を負担すると規定しております。
このように、都道府県の負担割合の上限を三分の一としているのは、国道や都市公園の新設などの国の直轄事業では都道府県の負担率を三分の一としており、この水準を超えて都道府県に負担を求める特段の理由はないためであります。
なお、関係閣僚会議で決定した財源スキームでは、国の負担、スポーツ振興くじの特定金額、東京都の負担の割合を二対一対一とし、分担対象経費である千五百八十一億円の四分の一に当たる三百九十五億円を東京都が負担することとされております。
JSC法に新設する附則第八条の十第二項においては、同条第一項の場合において、当該都道府県が負担する費用の額及び負担の方法は、センターと当該都道府県とが協議して定めると規定されており、既に東京都と合意されている財源スキームに基づいて東京都の負担額が定められる予定であります。
○田村智子君 今の三分の一の根拠は国道や都市公園ということなんですけど、それは周辺住民が直接に日常的に恒常的に便宜を得ることができるからだと思うんですね。箱物の国立施設というのは特定の目的で使用されるもので、そもそも地方公共団体の負担割合はないわけです。オリンピック・パラリンピックでの使用というのは極めて限定された期間でもあり、こういう国道などと同じ扱いにすること自体が私は問題だと思います。
確認をしたいんですけど、関係閣僚会議の決定は四分の一ということなんですけど、法案は三分の一なんですよ。で、馳大臣に確認したいんですけれども、これ、じゃ、東京都の協議の合意である四分の一を超えた負担を求めることはない、絶対にあり得ない、協議もしないということでよろしいですね。法案は三分の一だけど、合意である四分の一を超えるというようなことを再協議で求めるというようなこともしないということでよろしいですね。
○国務大臣(馳浩君) 関係閣僚会議で決定した財源スキームにおいては、国、東京都、スポーツ振興くじが分担する経費をスタジアム本体の整備費等である千五百八十一億円程度と設定し、それぞれの負担割合を二対一対一と定めております。
これらの経費については、消費税率が引き上げられた場合や、賃金又は物価の大幅な変動に伴い公共工事標準請負契約約款に準じた規定により請負代金が増額された場合において追加負担が生じたときは、さきに述べた二対一対一の割合でそれぞれ負担することになっております。これ以外の要因で工事費に追加負担が生じることは想定されておりません。
したがって、関係閣僚会議で決定した財源スキームが分担対象とする経費について、東京都の負担割合が四分の一を超えることはありません。
○田村智子君 これ、協議次第で三分の一までって求めることができちゃう法案なので聞いているんですけど、それはやらないということを今御答弁いただいたというふうに確認をしたいというふうに思います。
この法案は、新国立競技場だけを対象にしたものではありません。国際的な規模のスポーツの競技会の我が国への招致又はその開催が円滑になされるようにするため、JSCが整備を行うスポーツ施設の整備費について、所在地の都道府県が三分の一以内を負担するとしているわけです。今後、国際的な競技大会のためにJSCが競技施設を整備するときには都道府県負担を三分の一以内で求める、こういう一般法になってしまっているんですね。これでは国立競技場の在り方、これが本当に問われてくることになると思います。
直面するオリンピック・パラリンピックに向けては、代々木第一、第二体育館、これも会場です。耐震改修が行われています。四月二十日、衆議院の文部科学委員会で我が党議員の質問に、これは対象としないということで合意しているという御答弁があったんですけれども、これはいつどこで協議し、代々木第一、第二は対象ではないという、そういう合意になったのか、お答えください。
○政府参考人(高橋道和君) 去る四月二十日の衆議院文部科学委員会において、今回の財源スキームは国立競技場のみを対象とし、代々木の第一、第二体育館は対象となっていない旨答弁をいたしたところでございます。
これは、国と東京都の実務的な検討や、遠藤、馳両大臣と舛添東京都知事との協議を経て、東京都知事も出席された昨年十二月の関係閣僚会議で決定した財源スキームにおいては新国立競技場のみを対象としており、代々木の第一、第二体育館は対象とされていないということを説明したものでございます。
○田村智子君 今後協議するのかどうかという、ここも不安になってくるわけなんですね。
協議の対象になった新国立競技場ですけれども、当初の計画では可動席を含む八万人スタジアムというものでした。現在の案では六万人。しかし、将来サッカーワールドカップの招致を視野に入れて八万人への改修をとサッカー協会などは要望しているわけです。
法案では、国際的な競技の招致でも都負担を求めることができるとなります。この点についてやはり衆議院で聞きましたら、答弁は、法律の規定は建設に限定するものではないとしつつ、大臣、知事レベルでも東京都と協議をして財源スキームを決めている、オリンピック終了後行われる改修などについてはそのスキームに含めないということとしているという答弁だったんです。
これ、オリンピック後の改修に都負担を求めないということを三者で協議し合意しているのかどうかなんですよ。今までの答弁聞いていると、関係閣僚会議の中で協議がされていないから、あるいはその了承事項に書いていないから、だから違うんだということなんですね。でも、書いていないということと負担をこれ以上求めないことを決めたということは違うんですよ、意味が。明確に答弁してください。
○政府参考人(高橋道和君) 昨年十二月に財源スキームを決定するまでには、国、東京都において具体的な各種経費について検討した上で、分担対象経費とするものは、スタジアム本体及び周辺整備費一千五百五十億円程度、設計監理費用四十億円程度及び旧国立競技場の解体工事費五十五億円程度の合計額から一部経費を除いた経費としたところでございます。明確に大会後の改修費は含まれていないということでございます。
○田村智子君 そうすると、大臣にもちょっと確認をしておきたいんです。今後ワールドカップ招致で八万人をスタジアムにということが具体化になったとしましょう。そのときにも東京都の負担を求めることはしないとこの場で明言していただきたいんですが、いかがですか。
○国務大臣(馳浩君) 二〇二〇年の東京大会後に八万席に改修することについては、まず現時点で決定されたものではありません。仮にそうした改修が特定業務の範囲に位置付けられたとしても、今回の改正法案では、当該都道府県が負担する費用の額及び負担の方法は、JSCと当該都道府県とが協議して定めるとされておりますので、東京都から了解がいただけない内容について負担を求めることは現実的ではないと考えております。
○田村智子君 ただ、調わなかったら大臣裁決ですからね。法案ではそういう逃げ道が残っちゃっているんですよ。ただ、現段階ではないということも確認をしたというふうにしておきます。
もう一点です。秩父宮ラグビー場と神宮球場、神宮第二球場がある地域は再開発A地区とされて、スポーツクラスターだと。競技施設のスクラップ・アンド・ビルドが検討されているわけです。そうすると、サッカーワールドカップを招致するという理由で、関連施設として秩父宮ラグビー場を再整備する際、都負担を求める、これ法案上は可能になってしまうと思うんですが、その点はいかがでしょうか。
○国務大臣(馳浩君) 平成二十五年の法改正により、スポーツ振興投票の売上金額の一部を国際的な規模のスポーツの競技会の我が国への招致又はその開催が円滑になされるようにするために行うスポーツ施設の整備等であって緊急に行う必要があるものに充てる仕組みが創設されました。この特定業務の対象は現時点では新国立競技場のみであり、それ以外の施設は想定されておりません。
今回の法改正は、特定業務のうち地域の発展に特に資するものについて都道府県が負担する根拠規定を創設するものであります。秩父宮ラグビー場を含む神宮外苑地区については、東京都と秩父宮ラグビー場を所有するJSCなどの地権者において再整備に向けた協議を進めておりますが、現時点においてその整備の在り方について、その具体的な内容を文部科学省としては承知しておりません。
また、秩父宮ラグビー場はラグビーワールドカップ二〇一九の会場には予定されておりませんので委員からお尋ねのあったような状況は想定しにくいのでありますが、仮にそのような状況になった場合には、まず特定業務に係る施設に該当するかを適切に判断することになります。その上で、仮に特定業務に係る施設に該当するとなった場合には、地域の発展に特に資するものに該当するかどうかについて東京都とも十分に協議して、適切に判断することになります。
○田村智子君 全部、現時点では、現時点ではなのでね。
だから、法律として、造るならば、どうしても新国立で東京都の負担をお願いしたいなら、なぜそれに限定しなかったかなんですよ。この法案上は、今後拡大され得るような中身になってしまっているわけです、協議次第で。何より、都民に全く知らせずにこういう財政負担の枠組みを法律に定めてしまう、私はこのことは許されないというふうに思うわけですね。なぜこういう質問するかって、とにかくオリンピック関係の費用が大体幾らになるのか、この新国立競技場の建設費もそうでしたけど、私たちに本当に分からないんですね。
今日、遠藤大臣にもお越しいただきました。
東京オリンピックの準備、運営、必要な経費、これ当初の計画から大きく膨張しています。東京新聞四月一日付けの記事を配付いたしましたので御覧いただきたいんですけれども、東京都は二〇一三年一月、開催費用を七千三百億円として立候補ファイルをIOCに提出をしたと。ところが、一五年七月には、日本組織委員会の森会長が二兆円を超すかもしれないと発言をすると。さらに、今年二月には舛添都知事が三兆円掛かるつもりで準備すると、こう発言をしていて、まさに天井知らずに膨れ上がっているわけですね。これはとても組織委員会で準備できる額ではなくて、巨額の国費負担、東京都負担になりかねないわけです。
遠藤大臣はオリンピック・パラリンピックの担当大臣ですから、一体、開催費用がどれだけになるのか、これ組織委員会から説明を受けているんでしょうか。この二兆円を超えるというようなことが言われている、こういうことを遠藤大臣もお聞きになっているのかどうか、お聞かせください。
○国務大臣(遠藤利明君) お答えいたします。
開催費用につきましては、組織委員会から具体的な説明は受けておりませんが、現在、組織委員会において東京大会成功に必要な業務の全ての洗い出しを行っているところであると承知をしております。組織委員会では、業務の洗い出しを踏まえ、大会開催経費の見直しについて、今年の夏頃にはIOCと調整できるよう作業を進めていると聞いております。
大会に関して様々な要望がある中、組織委員会において必要性の有無や、更に効率的、効果的なものがないかなどについてしっかりと精査し、大会に対する国民の信頼を損なうことがないように取り組む必要があると考えております。
政府としても、こうした作業が確実に進むように促してまいります。
○田村智子君 これ、日本組織委員会の収入というのは五千億ぐらいの見込みだというんですね。ならば、その収入見込みの範囲で開催する努力をしなければならないわけですよ。何で二兆円、三兆円なんて話が出てくるのか。これ余りに無責任だと思います。
昨年、新国立競技場の建設費問題では、総建設費が膨らむことに誰も責任を取らず、誰も歯止めを掛けなかった。じゃ、今度の東京オリンピックの開催費用については誰が責任を持ち、誰が歯止めを掛けるんですか。
○国務大臣(遠藤利明君) 二〇一三年一月にIOCに提出をしました立候補ファイルにおいては、大会組織委員会予算については大会組織委員会が、非大会組織委員会予算のうち公的資金については国、東京都が対応することとされております。大会経費に関しましては、大会組織委員会が赤字になった場合の対応については、IOCに提出した立候補ファイルでは、大会組織委員会は二〇二〇年東京大会を確実に実施できるよう東京都及び国と協議をする、その上で、万が一、大会組織委員会が資金不足に陥った場合は東京都が補填することを保証する、東京都が補填し切れなかった場合には最終的に日本国政府が国内の関係法令に従い補填するとされております。
このため、大会組織委員会が赤字に陥らないようにするため、大会組織委員会のコスト抑制の取組について政府としても厳しく目を光らせてまいります。
○田村智子君 その目を光らせるのは遠藤大臣ということでよろしいんですか。なのに、どうして開催費用の総額聞いていないんですか。
○国務大臣(遠藤利明君) 私が目を光らせてまいります。そして、費用については、先ほど申し上げましたように、例えばこれからリオの大会がありますが、リオの大会で必要だ、あるいは必要でない、こういうものもいろいろあります。そうしたことを含めて、今全ての業務を洗い出しているということでありますから、それを待って今いるところであります。
○田村智子君 続きは次回質問いたします。