日本共産党の田村智子議員は28日の参院文教科学委員会で、熊本地震で被災した生徒に対し、柔軟な学業支援を行うよう求めました。
田村氏は、高校等就学支援金や高校等奨学給付金について、被災者に申請を猶予できることなどが周知されていないとして、国に周知徹底するよう要求。さらに、家屋倒壊など災害時の資産の減少にも対応した措置をとるよう求めました。
馳浩文科相は「おっしゃる通り」と周知徹底を約束。就学支援金や奨学給付金に関連した支援の判断基準については、「柔軟に検討する」と述べました。
2016年4月29日(金) 赤旗
【 議事録 2016年4月28日 文教科学委員会 】
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
まず、熊本、大分の災害対応についてお聞きします。
授業料負担に充てられる高校等就学支援金、これ在校生は六月の申請ですけれども、新入生は四月中に申請しなければ四月からの給付を受けられません。文科省は初中局長通知を出して、被災者に配慮した柔軟な対応をということを自治体に求めておられます。しかし、今、避難所の対応だけでも熊本県や各学校というのは大変な事態になっていて、これは県が判断してとか学校が手続してってなかなかに難しいことだというふうに思うんですね。
また、熊本県等に出された事務連絡を見てみますと、このような対応が考えられるという内容になっているわけです。また、保護者向けとか生徒向けに文科省が何か広報しているかというと、私、ホームページでもそれを見付けることができませんでした。これ、例えば医療保険、窓口の自己負担は猶予するよ、あるいは免除するよと、こういうのを国が統一的な取扱いを示して、あるいはチラシやポスターも作ってこの周知に努めているところです。
是非、文科省も、四月中に申請しなくて大丈夫だという統一的な対応、これを示していただきたいし、そのことを周知していただきたい。例えば大臣が記者会見でPRするなど、保護者や生徒のところにも届くようなこと、こういう対応が必要だと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(馳浩君) おっしゃるとおりであります。記者会見等の場を活用してちゃんとやっていきたいと思います。
また、今度、五月十二日に全国の都道府県の担当者を集めた就学支援金に関する説明会がございますので、その場を通じても、より具体的に通知の内容などを報告したいと思いますし、それを踏まえて、またホームページの内容も充実したいと思います。
○田村智子君 この高等学校等就学支援金あるいは給付制奨学金である高校奨学給付金、これはどちらも制度的には前年所得に基づくものであって、災害時の資産の急速な減少、これに対応する制度になっていません。
つまり、自宅が全半壊などしても、例えば職場は無事だったと、だから職場に通うことはできる、だけど自宅はなくなっちゃったと、こういうのに対応できるものになっていないんですね。これはやっぱり何らかの対応が必要だと思いますが、その点いかがでしょうか。
○国務大臣(馳浩君) まず、この就学支援金については前年度あるいは前々年度の所得によって支給を決定しております。このため、今回の熊本地震を受けて、被災により課税証明書などの取得が遅れる場合にはその提出を猶予するなど、柔軟な対応を行うように都道府県宛てに通知を行ったところであります。また、従来より、保護者の失職、倒産などの家計急変により収入が激減し低所得となった世帯の生徒に対し、就学支援金の支給額に反映されるまでの間、就学支援金と同様の支援を実施しております。
こういった取組に加えて、今回の熊本地震で被災した生徒に対して今後どのような支援が可能かについても十分柔軟に検討してまいります。
○田村智子君 これは是非、自宅が全半壊という場合も何らかの手当てができるようにお願いしたいと思います。
また、教科書や制服などの学用品がなくなっちゃった、使えなくなっている、あるいは学校に通う上で大変な状況というのが生じているというふうに思うわけですね。教科書については既に通知も出されています。学用品や制服などについても私、配慮が必要だと思うんです。
実は、東日本大震災のときに、私、ある避難所に行きましたら、お母さんが、避難所から子供さん中学校に通っているんだけれども、制服を買い直すのに全部自費で負担しなければならなかったと、こういうお話もお聞きをして驚きました。全半壊などの場合、災害救助法で学用品は給付ができる。では、県とも相談して、制服とかかばんとか体操服とか、こういうことも含めて必要な対応ができるように是非検討していただきたいと思いますが、お願いいたします。
○国務大臣(馳浩君) まず、災害救助法では、手提げかばんについては支援対象となりますが、制服については支援の対象外となっております。一方、経済的に就学が困難な児童生徒に対する就学援助においては制服は支給対象となり、これは被災により経済的に就学が困難となった場合も同様であります。また、そのうち要保護者については、災害により学用品などを喪失し再度給与することが必要な場合には就学援助に係る国庫補助の対象とすることが可能であります。
文科省としては、援助の必要な児童生徒に対し適切な就学援助が実施されるように、都道府県の教育委員会を通じて市町村の教育委員会に支援の充実を促してまいりたいと思います。
○田村智子君 それだけだとやはり、職場は大丈夫だった、だけど自宅がなくなっちゃったという方が駄目なんですよ、就学支援では、収入要件に引っかかってしまうので。ですから、災害救助法の枠になるのかどうかなんですけど、制服の買い直しもできるような、そういうことも是非検討をということを改めてお願いしておきたいというふうに思います。