国会会議録

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子ども子育て支援法案一部改正案 反対討論

私は、日本共産党を代表して、子ども・子育て支援法案一部改正案に反対の討論を行います。
 本法案は、市町村の関与なしに企業主導型なる保育施設等に限定して公費を補助するものです。事業所内保育を目的とするとしつつ、当該事業所の労働者の子供がいなくてもよい、株式会社への委託や複数事業主からの委託も可能など、その責任の所在が設置企業にあるのか、委託先にあるのか、極めて曖昧です。補助金の支給、監視業務を公募で委託するとしていますが、その要件もいまだに明確にされていません。これは保育の公的責任を著しく後退させるとともに、保育における一層の規制緩和と市場化を推進するものだと言わなければなりません。
 新設される企業主導型保育施設は、子供の年齢制限も人数制限もない認可外保育施設とされますが、定員十九人以下でゼロ歳から二歳児を対象とする小規模保育B型での保育士配置二分の一との基準を持ち込み、施設設備の基準は努力義務にしようとしています。そもそも小規模保育事業はゼロ歳から二歳児を対象としたもので、調理室や園庭の設置基準については既に緩和されていますが、その基準さえも曖昧にしようというものです。
 また、地域保育給付の事業所内保育であっても、雇用保険事業における認可外事業所内保育であっても、二十人以上の子供を保育する場合、人的配置、施設設備の基準とも保育所と同様の最低基準を遵守することが求められています。それは子供の命と発達を保障する基準だからです。企業主導型保育施設によって、この最低基準に大穴を空けることは到底認められるものではありません。
 政府は、多様で柔軟な働き方、働かせ方に合わせて、二十四時間、一時預かり、延長保育など、柔軟で多様な保育サービスの実施を盛んにアピールしていますが、ならば、従来以上の保育士体制などが考慮されるべきです。国の最低基準は、国際的に見ても余りに不十分であり、これさえ下回ることなどあってはなりません。
 認可外保育施設の指導監督等については、局長通知によって都道府県が行うとしているものの、年一回の立入りの実施は七割、事業所内保育に至っては四割にすぎません。認可外保育施設における乳幼児の死亡は、直近の二〇一四年で十二人と認可保育所五人と比べても多く、死亡率は認可の八倍にも上ります。
 さらに、把握できていない施設も相当部分残されています。一歳のお子さんを無認可保育で亡くされたお母さんは、これ以上の規制緩和で子供の命を奪わないでと訴えています。待機児童対策といって規制緩和を進めることは、安心、安全な認可保育所で子育てをしたい、認可保育所を増やしてほしいという保護者の願いに逆行するものです。
 公的責任での認可保育所の増設、職員配置基準と保育士の給与基準の抜本的な改善こそ緊急に行うべきであることを主張し、反対の討論といたします。


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