日本共産党の田村智子議員は19日、参院内閣委員会で、4月1日から施行される女性活躍推進法をとりあげました。
田村氏は、男女の賃金格差、派遣社員の男女比などの実態把握は、国の省庁についても“任意項目”にされているが、各省庁が率先して任意項目の把握と分析、計画への反映を行って民間に範を示すべきだと強調。河野太郎行革担当相は「国が率先して、任意項目の必要なものを把握していく」と答弁し、内閣府の武川恵子男女共同参画局長は「給与格差の状況は、行動計画によるとりくみの結果の把握の重要な指標になりうる」とのべました。
政府はこれまで、女性の管理職比率を2020年までに30%に引き上げる目標を掲げながら、第4次男女共同参画基本計画では、20年度末までに本省課室長相当職の女性比率を7%にするにとどめています。
田村氏は、国際的に示されてきた目標と比べて低いと指摘し、20年に30%という目標にふさわしい数値目標と施策を求めました。三輪和夫内閣人事局人事政策統括官は「実現へスピードを加速させていく」と答弁しました。
田村氏は、地方労働局の定員が削減されており、4月に改組される雇用均等室が将来、定員削減の対象となる可能性があると指摘。女性労働者の労働相談の“駆け込み寺”としての役割を果たす上でも、事業所への指導を進める上でも、労働局の体制強化が必要だと強調し、抜本的な定員増を求めました。
2016年1月23日(土) 赤旗
【 議事録 決算委員会 1月19日 】
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
今、民主党、相原理事の質問の最後でも指摘がありましたけれども、今回のこの給与改定の人事院勧告は昨年の八月なわけですから、これは当然臨時国会で審議をして、これはボーナスについての勧告もあったわけですから、年末のボーナスにも反映させたり、また、地方に御迷惑をお掛けしないという責任は安倍内閣にあったと思います。憲法に基づいて野党が臨時国会の召集を求めた、これを無視した、その安倍内閣には一片の道理もないということは、私も冒頭厳しく指摘をしておきます。
今、日本の経済立て直すためにもやはり内需の拡大こそ求められていて、これは民間、公務共に私は賃上げは喫緊の課題だと思います。とりわけ賃金の底上げというのが本当に求められていると思います。同時に、これ公務員の皆さんからは、給料を増やすのと同じように、あるいはそれ以上に人員を増やしてほしいと、こういう切実な声をお聞きします。
今回の法案では家庭と仕事の両立のためにフレックス制度も導入するというふうにしていますけれども、これ女性の公務員からは、子供が病気であっても休みを取るということは職場に本当に気兼ねして難しい状況にあるんだと、同僚が妊娠をしても心から素直に喜べないと、それぐらい私たちは今大変な業務に追われているんだ、こういう声が聞かれているわけです。
河野大臣は、こういう指摘に対して衆議院の審議の中でも、必要なところには増員を措置してきたという認識を示されました。しかし、例えば、私、昨年決算委員会で取り上げたんですけれども、火山の監視体制とか防災機能、余りに脆弱であって、これ一つ取ってみても必要なところへの増員が行われてきたとはとても言い難いと私は思います。また、大臣は、内閣の重要政策に関わる分野について重点的な増員ということにも言及をされています。
そこで、今日はちょっと安倍内閣が重要課題として掲げた女性の活躍について私もお聞きをしたいんです。
昨年、本委員会で審議し、可決をした女性活躍推進法、本年の四月一日からの施行となります。この法案審議の際に私は、妊娠、出産を機に退職する女性が多数いると、事実上の解雇、雇い止めも少なくない、こういうことも指摘をいたしまして、マタニティーハラスメントゼロ、これを掲げて対策を進めるよう求めました。政府は、育児休業法も改正をして積極的に対策を進めていくという認識を示されました。これをやるためには、個別企業に対する指導監督の体制、また労働者に対する個別の相談体制の強化、これどうしても必要になります。
河野大臣にお聞きしたいんですが、このような分野で重点的に増員を進めていくということなのでしょうか。
○国務大臣(河野太郎君) 国家公務員の総定員につきましては、これまでも財政健全化の視点を踏まえつつ、定員の合理化を行ってまいりました。その一方、各府省から業務量を踏まえて積算された増員要求については、内閣人事局でしっかりとこれを審査し、必要なところには増員をしてまいりました。今御指摘いただきました女性活躍推進法などに関わる個別企業の指導のための増員につきましては、厚生労働省からの定員要求を踏まえ、厚労省の出先機関である都道府県労働局などに必要な措置を講じることとしてございます。
具体的には、二十八年度の定員審査において、新たに女性の就業促進やワーク・ライフ・バランスに関する指導、助言などを行う雇用環境改善・均等推進指導官を措置することとし、また過重労働撲滅のための監督指導を行う労働基準監督官を増員するということにしてございます。
今後も、切り込むところはしっかりと切り込みながら、内閣の重要課題に適切に対応する体制をつくってまいりたいと思っております。
○田村智子君 この間、今のような説明を私も聞いてきたんですけれども、本当に体制が強化されるんだろうかという不安の声は女性労働者の中からも上がってきていて、私も厚労省からの説明も受けてきました。
女性の活躍推進法は、常時雇用三百一人以上の事業所に女性の活躍に関する状況把握、課題分析、行動計画の策定と届出というのを義務付けています。対象となる事業所がどれぐらいあるのかとお聞きしましたら、約一万六千だろうと言われているんですね。そうすると、施行期日の四月一日までにこの一万六千事業所が行動計画を地方労働局に提出するということになるんですね。窓口は地方労働局の現在の雇用均等室になります。
これ、ただ受け取ればいいというものではないですね。この法の趣旨にのっとっているかどうかと、その計画の内容のチェックも必要でしょうし、未提出の事業所は、これは法違反という状態ですから、是正指導が必要になります。三百人以下の中小企業にも努力義務が課せられているわけですから、これは新法の周知徹底を図るということも求められます。このように新法の施行に伴う業務だけでも大変な業務量が増えるわけです。
厚生労働省、今その対応として御説明あったとおり、労働局の他の部署やあるいは基準部などから仕事と人を移して、今の女性の部分についての体制強化だと、組織改編をするんだという御説明なんですけれども、それでは地方労働局全体の定員というのは、今年度と比べて来年度は増えるんでしょうか。
○政府参考人(宮野甚一君) お答えをいたします。
労働基準監督署それからハローワークの職員を含めます都道府県労働局の定員数でございますけれども、平成二十七年度で二万九百九十八人でございます。平成二十八年度の機構・定員要求の査定結果に基づきますと、二十八年度の定員につきましては二万八百六十八人でございます。
○田村智子君 これ、地方労働局全体で見ると、増員どころか百三十人もの定員減になるわけですね。現行の雇用均等室に当たる部署は若干の増員になるという説明なんですけれども、労働局内で何人かが業務を持って業務とともに部署に引っ越してくるということでしかないわけです。これで女性活躍の推進と言えるのかということは甚だ疑問なわけです。
そもそも、この雇用均等室、各県一か所なんですね。北海道でも一か所、山で隔てられ県内移動が大変というような県でも一か所、これではとても間尺に合いません。しかも、大部分が四人という体制で、この少人数の体制で均等行政や個別相談に頑張って対応してこられたわけです。
併せてお聞きしたいんですけれども、それじゃ、来年度、女性の分野というのは減らさないんだと、むしろ若干増員するんだということですけど、じゃ、これからどういう体制つくっていくのか、これまた分からないわけですよ、活躍推進だと、これが安倍内閣の看板としても掲げられた政策であるにもかかわらず。
今後、どうしていくのか。箇所数増やすのか、県一個でいいのかということですね。抜本的な増員を行うべきだというふうにも思うわけですけれども、いかがでしょうか。
○大臣政務官(三ッ林裕巳君) 我が国の厳しい財政状況に鑑みて、行財政改革を引き続き推進する必要があり、その一環として地方労働行政職員についても合理化が求められております。一方、労働行政について多様な課題がある中で、個々の課題に的確に対応できる第一線の執行体制確保が必要と認識しております。このため、これまでも、定員の合理化に対応しつつも求められる行政課題に応じた増員を行ってきたところであります。
今後とも、労働行政の諸課題に的確に対応できるよう、厳しい財政状況を踏まえつつ、必要に応じ業務の効率化等を図りながら執行体制の確保に努めてまいりたいと思います。
○田村智子君 これ、再来年度以降、じゃ、定員減もないとも言えないわけですよ。体制強化するとも言えないわけですよね。
これ、女性団体や労働組合の皆さんからは、均等室というのは女性にとって駆け込み寺のような役割を担ってきたと、これ、他の部署と業務と人を統合するようなやり方を進めていったら専門性が薄まってしまうのではないか、やっぱり地方労働局全体の体制強化こそ必要だという声が上がってきているわけです。これ、マタハラ、セクハラなどの根絶、あるいはブラック企業対策、長時間労働の是正など、国民の権利擁護に不可欠の労働行政について抜本的な定員増というのは、これは絶対に必要だと思います。
安倍内閣は、例えば警察や防衛省というところは大幅な定員増もやっているわけですね。国民の暮らしに直結するところ、労働行政で看板にも掲げた女性の活躍、しっかりと体制強化を行うよう改めて強く求めておきたいと思います。
あわせて、この女性活躍推進法の施行に向けて、では各省庁の取組がどうなっているかということもちょっと確認をしておきたいんです。
各省庁もこの法律に基づいて、長時間労働の是正、女性職員の昇級、管理職の女性比率の向上、非正規から正規への転換、男女の賃金格差是正などについて実態分析、数値の公表、そして行動計画というのを進めることになっていきます。安倍内閣の目玉政策が女性活躍なわけですから、この各省庁の取組は民間の模範となるべきだというふうに思いますが、これ、全体の考え方ですので、河野大臣、決意としてお聞かせください。
○国務大臣(河野太郎君) 国家公務員に関しましては、隗より始めよの観点から、女性活躍推進法に先立って一昨年の十月に国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針というのを策定をして、各府省において取組を進めてまいりました。この結果、女性の採用、登用については着実に加速していると認識をしておりまして、特に女性の採用につきましては、国家公務員試験からの採用者に占める女性の割合が今年三〇%以上、三一・五%となりました。
今後、女性活躍推進法に基づきまして各府省で行動計画を策定する際には、民間部門に対し率先垂範できるものとなるように、若手のキャリア形成支援と計画的な育成、徹底した超過勤務の縮減などによる男性も含めた働き方改革、女性職員の活躍及び男女のワーク・ライフ・バランスに関する管理職の意識改革などを徹底をし、女性の活躍の動きを更に加速してまいりたいと思っております。
○田村智子君 民間の模範になるべくという認識が示されたと思います。
その点で注目されるのは、実態把握と調査結果の公表というのが、では各省庁でどこまで行われるかということだと思うんです。
法律では、男女の賃金格差の把握は任意項目とされました。男女採用数などの雇用管理区分ごとの把握、あるいは派遣社員の男女比などの実態把握も任意項目にとどまりました。これ、任意項目というのは、つかまなくていい、公表しなくていいということではないはずなんですね。法の趣旨にのっとって政府全体が率先してこうした任意項目についても把握、分析、計画への反映あるいは公表ということを行っていくべきだと考えますが、いかがですか。
○政府参考人(武川恵子君) お答えいたします。
各府省などが特定事業主といたしまして女性活躍推進法に基づく事業主行動計画を策定するということに当たりましては、まず、その多くの特定事業主に共通して当てはまる課題に対応して根幹的かつ典型的と考えられるものにつきましては、まず把握する項目というのが七項目設定されておりますけれども、この七項目といいますのは、民間企業に対して率先垂範するという観点もございまして、民間部門の四項目を上回って七項目設定されているところでございます。
その上で、更に課題の分析を深めるために必要があるという場合には、御指摘の給与格差でございますとか、そういうものを含めまして、計十八個の必要に応じ把握する項目というものを活用いたしまして課題分析を行うことといたしまして、行動計画策定指針におきましては課題分析の観点を提示しているところでございます。
また、職員のまとまりごとの給与格差の状況などにつきましては、行動計画の策定などによる取組の結果を把握するという観点から有効な指標になり得るという旨を指針で示しているところでございます。
こういった必要に応じ把握する項目の活用は各事業主の実情に応じてそれぞれ判断されることにはなりますけれども、いずれにいたしましても、各特定事業主が民間企業の模範となるような実効性のある事業主行動計画を今年度中という期限内に確実に策定できますように引き続き取り組んでまいりたいと思います。
○田村智子君 特に男女の賃金格差という、もう直接的な男女の、何というんですか、均等を進めていく上で本当に焦点となる課題について任意項目なわけですよね。これ各省庁任せでいいのかということがやっぱり問われてくると思います。これこそ内閣が旗を振って各省庁の努力を強く促していくと。国民から、国がなぜ率先して取り組まないのかとそしりを受けることがないようにしなくちゃいけないし、国がやっていないんだからと民間事業者が二の足を踏む、女性活躍の足を引っ張るというようなことが起きてもいけないと思います。河野大臣からも一言いただきたいと思います。
○国務大臣(河野太郎君) 率先垂範の観点からも、やはり任意項目の中で必要なものについてはきちっと把握をするべきだろうと思っております。
各役職段階における女性の登用状況、男女別の育児休業取得率、男性職員の配偶者出産休暇及び育児参加のための休暇取得率などに関しては、政府としては必ず把握をするとしております。また、各府省ごとにおいても必要と思われるものについては把握をしていくようにしてまいりたいと思っております。
○田村智子君 これ是非内閣府として旗を振っていただきたいと思います。
民間の取組について、厚労省は、各事業所の取組の見える化を進めるというふうにしています。各事業所がどんな項目について実態把握をしているのか、計画にどういう分野を数値で示しているのか、これを一覧表にして各事業所を比較できるようにするということなんですね。これは国の省庁についても同じような見える化で、どの省庁が進んでいるのか、どこが遅れているのかと、これ一目瞭然にすべきだと思いますが、いかがですか。政務官。
○副大臣(高鳥修一君) 田村委員にお答えをいたします。
今、河野大臣も答弁されたとおりでございますが、行動計画につきましては、まず隗より始めよということで、民間企業を率先垂範するものであることが望ましいと考えております。
各省庁や地方公共団体が互いに切磋琢磨いたしまして女性活躍推進に関する取組を積極的に進めるため、昨年十二月に閣議決定いたしました第四次男女共同参画基本計画において、各省庁や地方公共団体が作成する行動計画や女性の活躍状況に関する情報の公表につきまして国民に分かりやすい形で見える化することといたしております。
公的部門を担当いたします内閣府といたしましても、関係機関と連携をしつつ、今後やるということで、詳細については具体化を進めてまいりたいと考えております。
○田村智子君 是非とも分かりやすい見える化をお願いしたいと思います。
この法律で、管理職の女性比率の公表、その比率を引き上げる計画、これを国民に明らかにするということが国にも求められます。
政府は、二〇一〇年策定の第三次男女共同参画基本計画で、今年度、二〇一五年度末までに国家公務員の管理職の女性比率を五%とするというふうに掲げていました。しかし、一五年七月時点で、管理職というのは一般的に本省の課長室長相当職ということだと思いますけど、これは三・五%。今年度末の目標達成というのはもう極めて難しいというか不可能だということになります。二〇二〇年度までに三〇%という目標が、これは国際的にも示されてきたわけですね。
昨年十二月二十五日閣議決定した第四次計画を見てみましたら、課長室長相当職の達成目標、これ七%にされているんですよ。それで係長相当職の割合で三〇%と。普通、係長というのを管理職にカウントするというのは民間でないですよね。あり得ないことなんですよ。それを係長以上で三〇%でいいという目標を掲げてしまって、私はこれ自体に大変衝撃を受けました。
更に深刻なのは、じゃ、課長室長相当職七%、この目標も果たして達成できるか。この五年間で女性比率、この分野、僅か一・一%しか増えていないわけです。女性活躍推進法の言わば中核として提案されたのが管理職比率を上げていくということですよね。これはやっぱり二〇二〇三〇、二〇二〇年までに三〇%、これにふさわしい数値目標、それと、それに近づいていく施策ということをやっぱり具体的に行っていくことがどうしても求められると思いますが、いかがですか。
○政府参考人(三輪和夫君) お答え申し上げます。
第四次の男女共同参画基本計画におきましては、現在の各府省の女性職員の在職状況を踏まえまして登用促進に向けた最大限の取組を行うということを前提といたしまして、第三次の基本計画策定時、平成二十二年でございますけれども、その時点からの登用スピードを更に加速をさせた目標を設定をしたものでございます。
特に、将来指導的地位へ成長していく人材プールを確保するということのために、本省の係長相当職について三〇%とするという目標を新設するということにしたものでございます。
これから各府省におきましても、第四次の基本計画に定める政府全体の目標というものを踏まえまして、現在の女性職員の登用状況、あるいは改善すべき課題について把握、分析をして最大限の目標を設定することになると、このように考えているところでございます。
○田村智子君 今後も追及してまいります。
終わります。