国会会議録

国会会議録
「もんじゅ」廃炉しかない 参院復興特 田村智子議員が追及

 日本共産党の田村智子議員は11日の参院東日本大震災復興特別委員会で、高速増殖炉「もんじゅ」(福井県)について、運営主体の日本原子力研究開発機構(JAEA)は運転する「資質を有していない」とした原子力規制委員会の勧告をとりあげ、「廃炉しかありえない」と迫りました。

 JAEAは、規定に基づく保守点検をしないなど保守管理上の問題を繰り返し発生させてきました。このため規制委員会は11月13日、文部科学相に対し、これに代わる別の運営組織を特定するよう勧告しました。

 田村氏は「運転能力を持たないと評価するのは当然だが、今でも安全上大きなリスクがある」と強調。規制委員会が勧告で「リスク低減」を求めていることに関して、「廃炉の選択肢は排除されるのか」とただしました。

 田中俊一・原子力規制委員長は「具体的な方法は文科省の責任において検討される」と述べつつ、「その選択肢に廃炉も含まれると思う」と答弁しました。

 田村氏は高速増殖炉を研究しているのはJAEA以外ないことをあげ「もはや、もんじゅを運転できる組織はありえない。廃炉しかない」と強調しました。

 

2015年12月12日(土) 赤旗

 

【 東日本大震災復興特別委員会 2015年12月11日議事録 】

 ○田村智子君 日本共産党の田村智子です。

 十一月十三日、原子力規制委員会は、日本原子力研究開発機構が「もんじゅ」を安全に運転する資質を有していないとして、別の運営組織を特定するよう求める勧告を文科大臣に発出いたしました。田中委員長は、事の重大性にも鑑み、文科大臣に直接この勧告を手渡そうとされましたが、当初、文科省は事務方が受け取る対応をしようとしたということを報道で知りました。田中委員長の強い意向で大臣に直接手渡されたということは、勧告の重みを文科大臣と文科省に理解していただく上で重要だったと私も思います。

 この勧告では、「機構に代わってもんじゅの出力運転を安全に行う能力を有すると認められる者を具体的に特定すること。」とあります。これは、原子力規制委員会としては原子力研究開発機構には「もんじゅ」を安全に運転する技術的能力がないと評価しており、文科省にそのことを理解するよう求めているということだと思いますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(田中俊一君) 原子力委員会は、「もんじゅ」の保守管理の不備に関わる種々のこれまでの問題を踏まえまして、原子力研究開発機構が「もんじゅ」の出力運転を安全に行う主体として必要な資質を有していないと考えるに至ったものであります。

○田村智子君 それは、出力運転を行う上で技術的な能力を有していないという判断だということでよろしいですね。

○政府参考人(田中俊一君) 技術的能力という言葉の範囲をどこまで指すかということですけれども、必要な資質として私どもが考えておりますのは、組織風土とか、様々な専門的能力だけに限ったものではなくて非常に幅広いものでありまして、それを総合的に勘案して判断したものでございます。

○田村智子君 この勧告の文書には機構の評価についても書かれていまして、原子炉を起動していない段階ですら保安上の措置を適正かつ確実に行う能力を有していない者が、出力運転の段階においてこれを適切かつ確実に行うことができるとは考えられないという厳しい指摘がされているところです。

 この勧告の文書、その評価の部分で、「もんじゅ」は、高速増殖炉であることに伴う固有のリスクを有するとともに、そのリスクも軽視することはできない。すなわち、「もんじゅ」は、電力事業者が設置し運転している軽水炉に比べ安全確保上の難度が勝るとも劣らないのであり、機構がこれにふさわしい安全確保能力を持つとは考えられないと、こういう評価もされています。

 私も文科委員会で取り上げてまいりましたが、運転していない状態でも保安規定に基づく機器の保守点検ができていないわけですね。点検と点検の間の期間ですね、これを勝手に延ばしたりとか、ナトリウム漏れを監視するカメラが壊れていても交換しないとか、もう規制委員会が検査を行うたびに保守管理の不備が見付かって保安措置命令が出されるという事態なんです。このような機構が出力運転の能力を持たないと評価されるのは当然ですけれども、運転していない今でも安全上のリスクがあるのではないかということを私は危惧をしております。

 勧告では半年間という猶予期間を文科省に与えていますが、安全上のリスクを考えますと、この半年という期間も長いのではないかと思いますが、委員長、いかがでしょうか。

○政府参考人(田中俊一君) 安全確保の観点からはスピード感を持って対応することが必要でありますが、文科大臣にしっかりと検討していただきたいと考えることから、総合的に勘案して勧告に対する報告の期限としてはおおむね半年をめどとしたものでございます。

 なお、現時点では「もんじゅ」は冷温停止中でありますので、直ちに周辺公衆に重大な影響を及ぼすような状況にあるというふうには認識しておりません。

○田村智子君 差し迫った危機があるわけではないということもあって半年ということなんだということだと思いますけれども、これ、おおむね半年だからということで、十一月に出された勧告への対応がずるずると引き延ばされていく、何か夏だということが聞こえてきたりもするんですね。でも、十一月で半年後というのは五月の半ばぐらいということなんですよ。そうすると、ずるずると引き延ばされていくようなことは許されないというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(田中俊一君) 勧告は二つの点から成っておりまして、機構に代わって「もんじゅ」の出力運転を安全に行う能力を有すると認められる者を具体的に特定することということ、それから、そういった者を特定することが困難であれば、「もんじゅ」が有する安全上のリスクを明確に減少させるよう、「もんじゅ」という発電用原子炉施設の在り方を抜本的に見直していただきたいと、この二つから成っておりますので、そういう意味では先生の御指摘とはちょっと、きちっと踏まえているところであります。

○田村智子君 引き延ばされることはないということだという御答弁だったと思います。

 原子炉等規制法では、設置許可の要件として、「発電用原子炉の運転を適確に遂行するに足りる技術的能力があること。」ということを定めています。また、同法では、原子力規制委員会は、保安規定に基づく保安措置がなされていない又は保安措置命令を履行していない状況の場合、設置許可を取り消すことができるともあります。

 実は、この機構に対しては、保安措置命令が何度も出されました。そして機構の側からは、この保安措置命令に対する措置は完了したという報告が上がる。ところが、その報告に基づく検査を規制委員会が行うと、実際にはやったという点検が行われていないということもまた発覚するということが繰り返されてきているわけです。保安措置命令を守ることができていない、実質的に違反している状態がこれ続いてきているということなんですね。とすれば、これはもう機構に対して設置許可の取消しということもあり得た。

 今回の判断では、設置許可の取消しということにはならなかったのはなぜかも御答弁いただきたいと思います。

○政府参考人(田中俊一君) 原子炉等規制法に基づいて、原子力規制委員会は、事業者に対して一定の要件に該当するときは設置許可の取消し等ができるとされていますが、現時点においては、原子力規制委員会として、原子炉等規制法に基づく設置許可の取消しを行う必要があるとは考えておりません。

○田村智子君 その理由をお示しいただければと。あるいは、その認可の取消しということを全く否定しているわけではないけれど、今の段階ではそこまでの判断ではなかったというようなことを記者会見の中では田中委員長は述べられていますけれども、今回は設置許可の取消しという判断をしなかった、その理由を端的にお示しいただけたらというふうに思います。

○政府参考人(田中俊一君) 先ほどの繰り返しになるところもありますけれども、現在「もんじゅ」は冷温停止中でありますので、差し迫った、そういった冷温停止中の原子力施設を保守管理していく、安全を保っていくという点において、幾つかの不備はありますけれども、すぐに設置許可を取り消すような状況ではないという私どもの判断でございます。

○田村智子君 これは、設置許可を取り消すと、じゃ、「もんじゅ」をどこが見るんだということにもなってしまうという事情もあってのことだとはというふうに思います。

 あえてこういう質問をしたのは、それぐらい「もんじゅ」と機構というのは、非常に、もう法令違反と言えるような状態にあって、設置認可が行われてもおかしくないような、それほどの不備をこれまでも繰り返してきたということを指摘するためにあえてちょっとお聞きをいたしました。

 それで、私はそういう危機感を果たして文科省が持っているのかということを非常に危惧していまして、これまで文科省は機構の組織改革というのを何度も行ってきていると。原子炉の運転を経験している人を民間企業から入れたり、トップを民間から迎えたり、この前の通常国会では法律まで通して機構の組織改革というのを行っているわけです。今回の改革を受けても、核燃料サイクルは国のエネルギー政策だからというような発言が文科大臣から繰り返されていて、何か核燃料サイクルの研究主体である機構の形を変えるような対応をするんじゃなかろうかという危惧さえ感じるわけです。

 例えば、解体的出直しという言葉で対応したにしろ、看板を書き換えるだけの機構の組織改革という対応では、勧告が言う、機構に代わって「もんじゅ」の出力運転を安全に行う能力を有する者と、こういうことにはならないというふうに私は受け止めています。機構にルーツを持たない全く別の運営組織を求めているということでよろしいですか。

○政府参考人(田中俊一君) 組織改編ということですけれども、原子力委員会としては、機構に代わって「もんじゅ」の出力運転を安全に行う能力を有すると認められる者を求めております。それを特定していただくことを求めておりまして、そういう意味で、先生がおっしゃるように、ルーツがあるかないかというところまでは私どもは、そのことを明確に何か申し上げているわけではございません。

○田村智子君 じゃ、もう一度聞き方を変えましょう。機構とは、機構の改革ではなくて、全く別の組織ということで求めているということでよろしいですね。

○政府参考人(田中俊一君) 機構の改革ということで、従来のような改革でいいというふうには判断しておりませんけれども、それは文科大臣からの回答を待って、私どもとして検討していきたいと思います。

○田村智子君 文科大臣が改革という提案を出したときに、それを認めるかどうかというのは規制委員会の今後の判断ということだと思いますが、勧告の中ではもう機構は駄目ということを繰り返し述べられているというふうに理解をいたします。

 「もんじゅ」と同様のナトリウム冷却による原子炉の運転、これを研究している組織というのは、民間を視野に入れてもこれ機構以外には現実問題としてないわけです。そうすると、半年後に文部科学省が機構に代わる者を特定するというのは客観的に言って極めて困難と言わざるを得ません。

 ナトリウム冷却というその装置、それから高速増殖炉という安全上のリスク、こういうことを考えると、出力運転する能力を有する者がない場合、「もんじゅ」は廃炉という選択肢があり得るのではないかと考えます。

 衆議院の審議では「もんじゅ」の廃炉まで求めているわけではないという答弁があったのですけれども、今後の選択肢として「もんじゅ」の廃炉ということが排除されるものではないというふうに考えますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(田中俊一君) 勧告の第二項におけるリスク低減の方法の選択肢についてはいろいろあり得ると思います。

 ただし、勧告では具体的な方法は限定しておりません。施設を廃止するか否かも含めて、勧告への対応については文部科学省の責任において検討されるべきものと考えております。

○田村智子君 更問いで申し訳ありませんが、様々なことがあり得るでしょうと。その中で、廃炉ということが排除されるものではないということでよろしいですね。廃炉が排除される、廃炉ということはあり得ないということではないと、選択肢の中にあり得るということでよろしいですね。

○政府参考人(田中俊一君) 選択肢はいろいろあり得るということは、廃炉も含まれるかと思います。

○田村智子君 規制委員会はそういうことを判断する立場にないので大変慎重な御答弁でしたけれども、排除されるものではないという御答弁だというふうに理解をいたします。

 そうすると、もう一つお聞きをしたいのは、これ仮に、私はまずあり得ないと思うんですけど、仮に「もんじゅ」を機構に代わる者が稼働を目指すんだというふうになった場合、一旦これは機構が廃炉の届出を行って、そして新たな者が改めて設置申請を行う、あるいは、新たな者が「もんじゅ」の譲受けの申請を行って、また新規の設置申請に対する審査が行われる、いずれにしても新規の設置申請としての審査が行われるということしか道はないと思うんですが、その点はいかがでしょうか。

○政府参考人(田中俊一君) まず、「もんじゅ」の扱いにつきましては、まずは勧告に対する文部科学省における検討を踏まえて、今後の対応を検討すべきものと考えております。

 なお、原子炉規制法では、原子炉を譲り受けようとする者は原子力規制委員会の許可を受けなければならず、その許可の基準は、原子炉の設置を許可する場合の基準を準用することとされております。

○田村智子君 新たな設置申請になって、またそれに対する評価を行うということになるんですね。そうすると、これ、「もんじゅ」にしがみつこうとすると、いずれにしても大変な時間と労力、こんなの何年掛かるか分からないですよ、これが繰り返されることになります。

 客観的に見れば、もはや「もんじゅ」を運転できるような組織というのはこれあり得ない、私はもうこれは廃炉しかあり得ない、機構には、その廃炉までの間、今までのやり方を改めて安全に管理するという努力を、もう徹すると、それ以外に道はないんだということを、また今後も文科委員会などで質問していきたいと思います。

 質問を終わります。

  

 


 |