ともここらむ

ともここらむ
ヤギさんと一緒にお散歩する「こども園」

放し飼いのヤギ(すみれちゃん)と3・4歳の子どもたちが一緒に、山登りのようなお散歩、その後ろから私たち大人がついていく。こんな素敵な視察に行ってきました。(10月26日)

埼玉県秩父市の花の森こども園、小さな山がすべて敷地、畑があり、チャボやヤギ、ウサギもいる、既製品のおもちゃはこども用のシャベルだけ。お庭にある手作りのブランコ、急斜面の坂、大きな石垣、葉っぱや草、木片、虫で、こどもたちは外遊びを自由に独創的に楽しむ、そんなこども園です。すみれちゃん

 

お母さんたちと1時間ほどお話しする時間もつくってもらいました。小学校に入学するまでは、とにかくたくさん遊んでほしい、そういう共通の思いを持ったお母さんたち。私も共感することばかりでした。

多くの(ほとんどの)母親は、こどもには、自然のなかで思い切り遊んでほしい、と願っていると思います。ところが「英語教育は耳が大切。できるだけ早く英語にふれさせないと」「小学校に入るときには、ひらがなが読めないと」「幼児期の教育が学校に入ってから成績の差になる」等々の情報の波にのみこまれて、不安に駆られていくのです。

「こども期の喪失」という言葉が浮かんできました。

 

花の森こども園の運動会の様子も聞かせてもらいました。運動会の練習は3~4日間だそうです。競技の一つ、紙でつくったキャタピラを使った「はいはい競争」。練習では、でんぐり返しや、ごろごろ寝転がって動かそうとしたり。

「こうしなさい」と言わないのが園のやり方。「普通にやった方が早いよ」「でんぐり返しじゃ、負けちゃう」とこどもから声がでて、当時は「はいはい競争」で勝負を争ったそうです。

 

大人に「待つ」ことが求められているのだと、とても共感しました。

こどもには成長する力がある、次のステップに行くためのエネルギーを貯める時間と経験が必要、ゆったりと待って、こどもが何かを「できる」ようになった時、心底、こどもの成長を喜べる。それが子育ての醍醐味ではないか。

 

私もそんな経験を何度かしたことがあります。

自分の意見が言えず、クラスメイトの女の子の子分のようになってしまい、でも怖くて自分の気持ちも言えなかった娘が、「先生に自分で相談する」と決意した瞬間。

「元気にあいさつしましょう」とどんなに言われても、大人に向かって声を出すこともしなかった息子が、すれ違いざまに同級生のお母さんに「こんにちは」と自分からあいさつした瞬間。

そんなことも思い出していました。

 

今、花の森こども園は新システムの支援の枠に入れていないということもお聞きしました。政治の課題として、何ができるか考えなければなりません。

視察を終えて、お母さんたちを待つ間、お庭で遊び続けていた子どもたちに「さようなら」と声をかけると、男の子が2人、駆け寄ってきました。

「どの車できたの?」「黒い8人乗れる車だよ」

「8人ってすごいね」「数えられる?」

(しばし、知っている数字を2人が順番に言い合って)FullSizeRender

「63キロ!」「それは重いね」

「65キロ!」「もっと重くなったね」

「どれだけ重いか、だっこしてみて」「いいよ。お、重いなあ。それ!」(たかいたかい)

「僕も」「よし」とわきの下に手を入れた瞬間、わざとしゃがみこむ男の子。

「うわ、重い重い」(無理やりたかいたかい)

「また来てね」「明日は来るの?」「明日は来られないけれど、また来たいな」

 

人間を信頼している、みんな一緒に遊ぶのが当たり前、そんなこどもたちの表情は本当にすてきでした。

こんな保育・幼児教育がきちんと評価されて、もっともっと広がってほしいと強く思っています。


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