国会会議録

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小規模保育に公的保険 対象拡大の議員立法が成立 共産党も賛成

 子ども・子育て支援新制度で新たに認可施設となる地域型保育施設を公的保険の対象とする日本スポーツ振興センター法改正案が3月31日の参院本会議で全会一致で可決、成立しました。

 新制度で認可施設となる、小規模保育(定員19人以下)、家庭的保育(保育ママ)、事業所内保育について、日本スポーツ振興センター(文科省の独立行政法人)の災害共済給付(学校共済)の対象とするものです。保護者らが災害給付の対象とするよう求めていました。病気や事故に対し、医療費や見舞金が支払われます。

【 議事録 】

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 本法案は、四月からの新システムの施行に伴い、公的給付の対象となる認可外保育施設を学校共済の対象にするというもので、これは当然の改正であって、本来政府が提案すべきものだということをまず指摘しておきます。
 提案者にお聞きします。
 二〇一四年、保育施設での死亡事故は、ゼロ歳児では、認可施設ではゼロ件、認可外で八人ですね。五歳児までの合計で見ても、認可で五人、認可外では十二人と。しかも、認可外施設での死亡事故は、全て本来保育者の目があるはずの保育室内で起きています。保育をしている人数から考えても、施設基準、保育士配置など、認可基準を満たしていない施設で重大事故が多いということは明らかです。
 事故などで子供が被害を受けたときの救済制度があればよいというのではなく、まず事故そのものを可能な限り未然に防がなければならない、これが求められていると思いますが、提案者の見解をお聞きいたします。
○衆議院議員(浮島智子君) 委員御指摘のとおり、保育事業における事故を防止し、そして子供が安全な環境の下で保育を受けられるようにすることは非常に重要なことと思っております。
 そして、今回の法案で災害共済給付の対象に加えようとする家庭的保育事業、小規模保育事業及び事業所内保育事業は、子ども・子育て支援新制度におきまして新たに児童福祉法上の認可事業といたしまして位置付けられるものでございます。これらの事業は、設備及び運営に関する一定の基準を満たす場合のみに行うことが許されているため、一定の安全確保体制が整備されるものと考えているところでございます。
○田村智子君 厚労省にお聞きします。
 これまで、施設基準及び運営体制の違いが死亡事故の発生にどのような影響を与えているかということ、これ検証しているでしょうか。
○政府参考人(木下賢志君) お答えいたします。
 認可保育所であります、あるいは認可外保育所であるにもかかわらず、個々の事故の原因につきましては、それぞれの背景が異なりますことから一概に申し上げることは困難でございますけれども、厚生労働省におきましては、死亡事故件数を公表する際に、事故発生の事例と留意すべき点について記載し注意を促しているところでございます。
 また、事故の再発防止や未然防止を図るための検証につきましては、昨年九月に内閣府、文部科学省、厚生労働省におきまして、教育・保育施設等における重大事故の再発防止策に関する検討会を設置いたしまして、事後的な検証の在り方等について、認可外保育施設も含めて検討を進めているところでございます。
○田村智子君 私もほぼ毎年その報告は見ているんですけれども、重大事故の報告、集めて集約をして発表するだけで、施設基準や運営体制との関連についてはおろか、死亡事故発生のその要因、これについてもほとんど検証ということが行われていないのが現状です。新システムでは、施設型給付施設や地域保育給付施設に事後報告を運営基準によって課すことになります。ところが、報告は受けても、検証の仕組みが全く示されていないわけです。
 先ほどお話のあった教育・保育施設等における重大事故の再発防止策に関する検討会、昨年十一月に中間まとめが出されています。その中でも次のような指摘があります。現行においては、保育所、認可外保育施設、放課後児童クラブ等について、死亡事故や治療に要する期間が三十日以上の負傷や疾病を伴う重篤な事故等が発生した場合には、国に報告を行う制度が設けられているが、必ずしも事故の検証や再発防止に役立つ形にはなっていない等の問題点が指摘されている、施設、事業の透明性を高めつつ、事故の再発防止に資する制度としていく必要があるという指摘なんですね。この検討会では、事故の集約、検証、再発防止策についての検討をしているんですけれども、結局、中間まとめでは、事故再発防止のための事後的な検証の在り方は、今後検討ということで終わってしまったんですね。
 国の給付対象となる保育施設は大きく広がるわけです。これまでも私は、死亡事故などが起こるたびに質問をしてきました。事故を繰り返す悪質な事例というのも取り上げてきました。子供さんを亡くされた両親は、経営者が過去にも事故を起こしたこと、行政が何度も指導に入っていたことなどを後から知って大変ショックを受けておられた、こういう事例もありました。また、つい先日も、宇都宮市で死亡事故を起こした認可外施設が日常的に乳幼児を毛布でぐるぐる巻きにしていたということが報道をされています。
 この事故の再発防止に資する制度、あるいは事後的な検証の在り方どうするか、これは結論を先送りにするということは許されないというふうに思うんですね。いつまでにこうした検討の結論を出すのか、内閣府にお聞きいたします。
○政府参考人(中島誠君) 委員御指摘の検討会でございます。検討会につきましては、事故被害当事者の方、さらに、関係事業者、また地方自治体関係者の皆さん方で構成していただいておるものでございまして、先ほど委員から御指摘がございましたように、昨年十一月には中間取りまとめを行わせていただきました。そこでは、まず重大事故の情報の集約の在り方及びそうした情報の公表の在り方について取りまとめをしていただいたということでございます。
 御指摘の事後的な検証の在り方、さらには、重大事故の発生を防止するためのガイドラインの策定につきましては、引き続きこの検討会で本年の秋頃を目途に意見を取りまとめていただければということで鋭意検討を進めていただいておるところでございます。
○田村智子君 本当に急いで、また中身のいいものをということを求めたいと思うんですが、もう四月から公的給付の対象に認可外施設もなるわけですね。そうすると、そういう施設の中には公的給付の対象となっているから安全だよということを売り込む施設というのが必ず出てくるわけですよ。しかし、その中に悪質な事故を過去にも起こしているような施設というのが紛れ込んでくるという可能性もあるわけで、これは是非検討を急いでいただきたいと思います。
 現在、認可保育所での事故について、厚労省は市町村が検証を行うように通知をしています。これによって市町村が速やかに事故の状況を把握できるんですけれども、果たして十分な検証を行うような体制があるのかということが問題になってきます。児童虐待等の検証制度というのは市町村ではなく都道府県が実施主体となっていて、関係する市町村は参加、協力をする、そしてその検証には外部の第三者が参加するということになっています。これは実際に機能もしているというふうに指摘されています。
 子どもの命を考える集会実行委員会や保育事故裁判当事者の皆さんは、子供の安心、安全に成長、発達する権利を保障するため、教育・保育施設等における重大事故防止対策に向けた提案というのをまとめています。その中でも、この児童虐待の検証制度を参考にしながら、検証の実施主体を都道府県とし、第三者委員会が実際の検証を行う、市町村がそれに参加、協力する仕組みというのを提唱しています。私は、こうした意見は取り入れるべきではないかというふうに思いますし、検証がきちんと行われるよう、法令によって都道府県への検証、これを義務付けるべきだと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(中島誠君) 事後的な検証体制につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、本年秋を目途に検討会において取りまとめていただきたいと考えておるところでございますが、御指摘のように、児童虐待による死亡事例等の検証の仕組みといったものも参考にさせていただく必要がございますし、また各施設、事業者に対する認可権限等がどこにあるかということも踏まえて検討していく必要があろうと思っております。
 本日の御指摘等も踏まえまして、検討会で様々な観点から御議論いただいて、秋を目途に取りまとめていただきたいと考えておるところでございます。
○田村智子君 終わります。

 日本共産党の田村智子議員は3月31日、参院文教科学委員会で、「当然の改正であって、本来、政府が提案すべきものだ」と述べ、「被害を受けたときの救済制度があればよいのではなく、事故そのものを可能な限り未然に防がなければならない」と強調。国の検討会で、保育事故の事後検証が議論されていることに触れ、「保育事故裁判当事者らの意見を取り入れ、都道府県に検証を義務づけるべきだ」と指摘しました。

 


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