国会会議録

国会会議録
塾業界と親密 参院委・田村議員 実態示す

 日本共産党の田村智子議員は3月31日の参院文教科学委員会で、「博友会」など下村博文文科相と塾業界など民間教育団体との密着ぶりをただしました。

 田村氏は、「近畿博友会」が規約に、会費の振込先を自民党支部と明記していたことや複数の会員が「会費として払った」と語っている事実を指摘。「政治献金は当事者の意思によるものだ。本人が『寄付』でないと言っている以上、虚偽名義での政治献金の受領と言わざるを得ない」と迫りました。

 下村氏は、振り込まれたお金が「寄付」なのか「会費」なのか、「(本人の意思は)確認する必要はない」などと述べました。

 田村氏は、文科相就任時に塾業界誌が「待ちに待った文科相の椅子である」と報道したことや、学校経営する株式会社を会員とする「新しい学校の会」参加企業から献金を受領していたことを指摘。そのうえで、下村氏が「塾は学校になれる」と語り、文科相として「公設民営」学校の設立を進めていることをあげ、「親密な関係を持ち、献金も受け、その要求を教育行政にくみこんでいるとみなされても仕方ない」と批判しました。

 (しんぶん赤旗、2015年4月2日(木))

 【 議事録 】

 
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 大変遺憾ですが、博友会の質問から始めなければなりません。
 下村大臣を政治資金規正法違反で処罰すべきと東京地方検察庁に告発状が提出されました。その主な内容は、地域の博友会六団体が、政治資金規正法に規定する政治団体としての届出を行わず、会員から年会費名で政治活動の資金を集め、下村大臣が支部長である自由民主党東京都第十一選挙区支部に寄附したこと、そして、当該選挙区支部が六団体からの寄附を会員名義の寄附として受け取り、その旨の政治資金報告を行ったということです。今後、これは検察官の捜査を経て刑事事件としての処分が決まるということになりますが、私としても看過できない問題です。
 まず、午前中も指摘がありました近畿博友会が規則で、会費は年払いとし、自由民主党東京都第十一選挙区支部下村博文宛てに振り込むとしていることについてお聞きします。
 午前中指摘のあったとおり、独立した任意団体の会費の振り込み先が選挙区支部というのはまずあり得ないことでして、規約に関しては大臣は関与していないという御答弁でした。しかし、大臣のお名前が振り込み先として指定をされているわけですから、これは大臣も当事者であると言わなければなりません。
 こういう規約があるということが分かった以上、これは不適切であると近畿博友会に変更を求めたのでしょうか。事実関係だけ。

○国務大臣(下村博文君) まず、市民オンブズマンが刑事告発をしたということについては報道で承知をしておりますし、また、さきの衆議院の文部科学委員会でそれに基づいた質疑がありましたが、これは週刊誌ネタをそのまんま刑事告発の中の告発内容に入れたのではないかということで、これについては全く事実無根であるというふうに思っておりますが、司法の場でこれは適切に処理されることだというふうに思います。
 その中で、先週の金曜日ですね、私もこの近畿博友会の規約については知りました。それは、午前中も申し上げましたが、地方の博友会、六つありますが、これの人事とか規約、内規については私も私の事務所も全くタッチしておりません。そういう中で、先週の金曜日、見たというところでございます。
 ただ、事実関係として、全国の縁のある方々に対して、年に一度、自民党十一選挙区支部から寄附のお願いをさせていただいております。

○田村智子君 聞いたことに答えてください、時間がないので。

○国務大臣(下村博文君) いや、分からない方もいらっしゃると思いますので。
 それに対して、これは寄附のお願いをし、そして寄附の領収書をお送りさせていただいておりますから、これは、私どもでは政党に対する寄附ということでこれは明文なことであると思いますし、届出についてもそのようにしているということであります。

○田村智子君 いや、聞いたことに答えていない。規約の変更を求めたのかと聞いているんです。聞いたことに答えてください。

○国務大臣(下村博文君) いや、これは冒頭申し上げたように、既に刑事告発をされている内容でありますから、これについて私が地方の博友会に対して依頼とか問合せすること自体がこれは捜査にも影響することだと思いますので、これは捜査機関によって適切に対処されることだと思います。

○田村智子君 求めていないということですね。
 それでは、こういう規約がある以上、私は、例えば近畿博友会の方から振り込まれたものが会費なのか寄附なのかということは、これはお一人お一人に確認をしなければ分からなくなってしまうと思うんですね。
 大臣は、おっしゃられたとおり、選挙区支部から寄附のお願いをしているから振り込まれたお金は寄附者からの寄附であると、問題はないというふうにおっしゃられました。それでは、振り込まれたお金、お一人お一人、これは寄附ですねと、会費ではありませんねと確認をされたんですか。

○国務大臣(下村博文君) これは確認する必要はないと思います。明らかに十一選挙区支部として寄附のお願いをし、そして寄附を実際は近畿博友会二十六人の方にお願いをし、振り込んで寄附としていただいた方が十二人いらっしゃって、そして寄附としての政党支部からの領収書をお渡ししているわけでありますから、これは相手の方も分かっていただいていることだというふうに思います。

○田村智子君 お一人お一人に確認はされていないということですね。
 私どもの赤旗が近畿博友会の会員企業に直接取材いたしました。こう言っています。近畿博友会に会費として払ったのに、下村氏が支部長の自民党東京第十一選挙区支部の献金になっていたと。また、中部博友会の元会員の女性は、会見の中で、年会費という認識で振り込んでいたものが政治献金として処理されているとは思いもしませんでしたと、こう述べておられます。
 当事者の方が選挙区支部への寄附だとは認識していないお金が選挙区支部の政治資金として処理をされた。これは全く問題ないと言えるのでしょうか。

○国務大臣(下村博文君) それは全くの事実誤認だというふうに思います。なぜかといえば、これは自民党の十一選挙区支部として寄附の御案内を出しているわけです。それに対して振り込んでおられるわけであります。そして、その中部の方も、記者会見をされておられますが、自ら十一選挙区自民党支部に振り込んだというふうにおっしゃっています。ですから、これは、政党支部に対して寄附をしていただいているというのは認識されていることだと思います。

○田村智子君 いや、御本人は年会費だという認識だというふうに答えているわけです。
 政治献金というのは確かに当事者の意思によるもので、私が政治献金をしましたというものがなければおかしいはずなんですね。だから、政治献金だとは思いもしなかったと御本人が言っている以上は、これは虚偽名義での政治献金の受領だというふうに言わざるを得ないわけです。
 次に進みます。
 全国の博友会は塾や民間教育団体、企業の皆さんが集まって下村氏を応援しようという組織であるというふうに大臣自身が御説明されてきました。年の初め、今年も二月の十三日には各博友会の代表が集まり、下村大臣同席の下で年間スケジュールを決めて、年一回は地方の博友会で下村大臣が講演を行うと。また、選挙区支部は、先ほどお話あったとおり、各博友会に申込みをした全会員に寄附のお願いを送付をしていると、これはもう大臣の説明のとおりだというふうに思います。
 文部科学大臣に就任をされてからも全国の博友会を通じて塾や民間教育団体の方々に政治献金を含む応援をしてもらい、博友会における下村大臣の活動については御自身も関与をしてこられたと、大臣になってからも関与してこられたということでよろしいでしょうか。

○国務大臣(下村博文君) まず、中部の女性の発言ですが、一緒に弁護士の方も同席されておられました。そのときの記者会見の内容を御覧になればお分かりになることでありますが、同席された弁護士の方が、その女性の発言に対して、それは記憶も不確かで、本当にそれを言って聞いている方々が信じるかどうかそういう言い方では分かりませんよというのを同席の弁護士の方も言われているということでありまして、これよく議事録、その記者会見のですね、それを精査されてから是非御質問をしていただきたいと思います。その女性の方も、十一選挙区支部、自民党支部に振り込んでおられるということは、これは認識をされておられます。
 それから、これ二月の十三日ですけれども、全国の博友会の代表の方々が集まって、集まっていただいて年間スケジュールを決める中で、そのときに、今日午前中の資料の中で出た部分がありますが、そのときにも申し上げましたが、私はその時期ぐらい、年に一度、これは政党支部として、自民党十一選挙区支部として全国に縁のある方々全ての方々に対して寄附のお願いをさせていただいております。その中には地方の博友会の方もいらっしゃるし、地方の博友会以外の方もいらっしゃいます。ですから、特定の塾とか、それから教育関係者ということを特定しているわけではなくて、私に今まで縁のある方々に対して、そういう意味では何かの業種とか業界とかそれから教育関係とか限定してということではなく、私を支援していただいているであろう方々に対して十一選挙区支部として寄附のお願いをさせていただいているということであります。

○田村智子君 博友会自身が塾産業の方々を中心にということはもう大臣もこれまで何度も御説明をされていることだというふうに思うんですね。
 大臣は博友会のほかにも民間教育連盟や新しい学校の会の会員企業からも献金を受けておられることを認めています。新しい学校の会というのは学校を経営する株式会社が主な会員で、その理事であるルネサンス・アカデミーの担当者は、下村大臣は株式会社立など新しいタイプの学校を支持している議員だから献金したと、これ赤旗の取材に答えているわけです。
 下村大臣、長年学習塾関係者のシンポジウムやセミナーに大変数多く登場しておられます。二〇一二年十月には塾の日シンポジウムで、私は塾は学校になれると思っています、具体的にはバウチャー制度ですなどのお話をされていて、月刊私塾界では、塾業界への愛情がありありと込められた熱き激励だったと報道がされていて、この直後、文部科学大臣に就任をされると、やはり同じ月刊私塾界の中では、学習塾業界にとっても待ちに待った文科相の椅子であると報道がされたわけです。
 文科大臣として下村大臣が当たられた仕事の一つは、特区の法案の中に、公設民営、公立学校の民間委託、この設立を盛り込んだことで、その経緯については、大臣自身が、自民党文部科学部会で八割反対だったのを説得したんだと会見で述べられておられます。
 こうした経緯を見ますと、学習塾業界と親密な関係を持ち続けて献金も受ける、その要求を教育行政に組み入れていると、こうみなされても仕方がないんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(下村博文君) それは適切ではありません。私は、別に学習塾業界とだけとかではなくて、広く今の教育状況の中でより改善が必要な部分はたくさんあります。これについては、まさにオールジャパン体制で、いい部分についてはそれぞれ協力をしてもらいながら、そしてより良い教育改革、教育現状を改善する、子供たちのための教育をしていく必要があると思います。ですから、特定の何か団体と結び付けて、その団体の何かプラスになるようなことをするということは全く考えておりません。
 例えば、フリースクールなんかも今進めておりますが、それは別にフリースクール団体から頼まれてとかいうことじゃなくて、十二万人の不登校の子供たちのある意味では受皿になっている部分があるんですね。今の学校教育の中で十分できない部分について、そういう部分についてそれぞれの民間レベルでやっていただいている部分で、そしてそれが子供たちのためになるのであればこれは応援したいということを考えております。
 公設民営についても、これは国家戦略特区の中で位置付けられているものでありまして、そもそも学習塾が直接公設民営でそこの設置主体になるというようなスキームでは全くございません。それぞれの地方自治体が、民間団体含めて、その中には学習塾も入るかもしれませんが、でもそれを株式会社でそのまま認めるということではなくて、設置主体は別にして、利益を外に出すとかいうことではない中で、それぞれの自治体が、国家戦略特区の自治体が責任を持ってやるということでありますから、そのような特定の業界と何か結び付いた教育を進めているということでは全くございません。

○田村智子君 この特区の法案の公設民営については、私もこういう要望が大阪から出されているという段階で文部科学省にいろいろ説明を受けたときには、とてもハードルが高いというふうに当時文部科学省は説明をされていて、あれよあれよという間に法案にまとまったことを大変私自身も驚きました。
 もう一点お聞きします。大臣は、新しい学校の会や民間教育連盟の顧問を務めてきたということを衆議院の審議の中で答弁されていますが、それは文科大臣政務官時代であるとか、あるいは今大臣就任以降、これも新しい学校の会や民間教育連盟の顧問は務めておられるんでしょうか。
○国務大臣(下村博文君) 両方とも顧問は今していないと思います。
○田村智子君 大臣政務官時代にも顧問はやっておられなかったということですか。大臣就任のときに、就任と同時に降りられたということでしょうか。
○国務大臣(下村博文君) 民間教育連盟はそもそも顧問をしていないと思います。それから、新しい学校のときに、私が政務官のときにそれがまだできていなかったと思います。
○田村智子君 そうすると、一部報道で今も顧問であるということは、これは違うということで確認ができるわけですね。
○国務大臣(下村博文君) そもそも民間教育連盟は顧問は最初からしておりません。新しい学校をつくる会については顧問をしていたことが、時期がありました。それがいつまでかとはちょっと把握していませんが、今現在は顧問をしていないということであります。

○田村智子君 分かりました。
 私、今までちょっとずっと博友会の問題でも、会費なのか年会費なのかがよく分からないまま、御本人に確認もしないまま受け取ってこられて、大変親密に年間スケジュールも大臣自身が関与をしながら博友会の皆さんとの交流を続けてこられたと。

○国務大臣(下村博文君) 関与していない。

○田村智子君 スケジュールは大臣自身が一緒に相談をして決められて、やってこられたと。こういう距離感が非常にやはり親密な距離感、塾の関係者の皆さんを中心として。
 午前中の審議にもありましたけれども、民主党政権のときに確かに、下村衆院議員時代ですね、委員会の質疑の中で当時の中川文科大臣や政務三役の資質についていろいろ指摘をされておられて、中川大臣と民主党に対する見識が問われていると、先ほどの中でもしっかりとした距離感と言いましたが、これは当然のことなんです、今までの自民党政権においてもいろいろな利害関係者はそれぞれの代表でいましたけれども、直接的な関係省庁の政務三役にはさせていないんですよ、ストレートにそのまま問題になるからと、こういうふうに御指摘をされている。
 これは一つの見識だと私も思います。こうした大臣御自身の発言に照らして、御自身の塾業界との距離感というのをどのように認識されますか。

○国務大臣(下村博文君) 兼職と、それから政治献金というのは違うというふうに思うんですね。政治献金については、これは私の政治に対する、特に教育に関するビジョンとか、志とか、それから改革について賛同していただいた方々が広く浅く、これは政治資金規正法にのっとって寄附をいただいているわけでございまして、これについては全く問題がないと思います。
 ただ、距離感というお話がありました。それが全く、例えばあっせん利得とかですね、何か便宜を図るとかいうことはありませんが、そういうふうに見られないような対処の仕方については十分これから注意をしてまいりたいと思います。

○田村智子君 私はこの一連の博友会の問題、いわゆる塾業界の皆さんと大臣との関係というのは、やはり大臣が特定の業界の代弁者であるかのようにみなされるような問題だと。だから、問題ないと大臣がどんなに開き直っても、それはとても納得ができないということを申し上げなければなりません。
 それから、先ほどの、年会費がそのまま大臣の選挙区支部の振り込み先として指定をされていると、これは本当それ自体でも非常に重大な問題で、個々お一人お一人に献金としての意思の確認もされていない、これもとても問題だというふうに思います。
 しかし、この問題だけで質問するわけにいきませんので次のテーマに移りたいと思いますが、いずれにしても、大臣というお立場で本当に御自身のこの政治活動を是非律していただきたいということを述べておきたいと思います。


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