日本共産党の田村智子委員長は28日、衆院本会議で代表質問に立ちました。石破茂政権の大軍拡と大企業奉仕の放漫財政を批判し、国民の暮らしの困難を打開する五つの改革を財源とともに提案。自民党裏金事件の真相解明と企業・団体献金の全面禁止、「日米同盟絶対」からの転換、選択的夫婦別姓の実現を求めました。
田村氏は、自民党裏金事件の関係者の証人喚問や都議会自民党の裏金疑惑の徹底調査を要求。本質的にわいろ性をもつ企業・団体献金にしがみつく自民党の姿勢は「国民の声より『財界・大企業』の声を聞くという宣言に等しい」と批判しました。
田村氏は、今の国民の暮らしの苦しさを打開するには部分的改良では足りず政策全体の転換が必要だと強調。▽大幅賃上げ▽不公平税制の改革▽全ての国民が安心できる社会保障▽学費・教育費負担ゼロ▽食料安定供給―の五つの改革を提案しました。
賃上げは「アベノミクス」以降の実質賃金マイナス相当分の年33万円以上の引き上げを最低限の目標とし、たまりすぎた大企業の内部留保を賃上げに回す仕組みをつくるよう要求。併せて残業規制の強化、労働時間の短縮実現を訴えました。
税制については生計費非課税が原則だと強調。廃止をめざした消費税減税、インボイス制度廃止が「最も困っている人に届く施策だ」と述べました。法人税率を「アベノミクス」以前に戻し、大企業・富裕層への税優遇をただせば、14・6兆円の税収が見込まれ、消費税5%への引き下げは十分可能だと指摘しました。
田村氏は、年金・医療・介護の公的支出の増額や、学費・教育費ゼロに向かうための教育予算の抜本的拡充を要求。食料自給率50%の回復を当面の目標に、全ての農業・酪農・畜産従事者の所得を増やす政策への転換を求めました。
こうした暮らし応援の政策には、大企業・富裕層への応分の税負担、大軍拡の中止、一時的国債発行などで40兆円の財源を充てられると主張。しかし政府の来年度予算案では軍事費が8・7兆円に上り、これでは「庶民増税、暮らしの予算切り捨て、国債の大幅増発しかなくなる」と警告し、共産党は抜本的組み替えを求めて奮闘すると表明しました。
田村氏は、首相は核兵器の非人道性を批判しているが「いかなる状況のもとでも核兵器の使用は許されないとの立場に立つのか」と追及。非人道性への批判と核抑止の立場は矛盾すると指摘しました。
首相は質問に答えず安全保障上「米国の核を含む拡大抑止は不可欠」だとし、同時に核兵器のない世界を目指すことは「矛盾しない」と強弁。「核抑止」の前提である「いざとなれば核兵器を使用する」立場を示しました。
戦後80年―国際秩序・核兵器・沖縄/「日米同盟絶対」問う
「日米同盟絶対」でよいのか―。田村氏は戦後80年にあたり、3点から政治の転換を石破首相に迫りました。
一つは、2月に予定される日米首脳会談で、トランプ米大統領の言動をきっぱりと批判し、国際秩序、国際協調の尊重を求めるべきだと迫りました。トランプ氏はパナマ運河を「取り戻す」と発言し、気候危機打開の「パリ協定」から離脱するなど、国連憲章・国際法に基づく平和の秩序や国際協調に背を向けています。
二つ目に、核兵器について、被爆から80年で唯一の戦争被爆国として日本が何をなすのかが問われていると強調。3月に行われる核兵器禁止条約の第3回締約国会議へのオブザーバー参加を政府が見送るとの報道に、被爆者から落胆と怒りが起こっていると指摘し、参加を求めました。首相は明言を避けました。
同条約は被爆者が核兵器の非人道性を訴え抜き誕生したと強調し「首相も核兵器の非人道性を批判している。ならば、いかなる状況のもとでも核兵器の使用は許されないとの立場に立つか」と追及。政府が固執する「核抑止」は、いざとなれば核兵器使用を前提としたもので「核兵器の非人道性への批判と根本的に矛盾する」とただしました。
石破首相は核の「非人道性」への言及を避け、核使用を許さない立場に立つかを答えない一方、周辺地域の核軍拡に直面しているとして「(米国の)拡大抑止が不可欠だ」と明言。核抑止に固執しました。
三つ目に、田村氏は「いつまで沖縄を米軍基地の島にしておくのか」と問い、占領軍に奪われた土地に米軍基地がつくられ、米兵による性暴力で「どれだけの女性、少女、子どもが犠牲になってきたか」と強調。重大事故や騒音被害など沖縄は80年間平穏な暮らしが奪われており、その上、県民の民意を踏みにじる米軍辺野古新基地建設の強行は断じて許されないと批判しました。やるべきことは、危険な米軍普天間基地の即時閉鎖・撤去、日米地位協定の抜本的見直しなど「沖縄を平和で豊かな島にする政治への転換だ」と訴えました。
日本共産党の田村智子委員長は28日の衆院本会議の代表質問で、石破茂首相が施政方針演説で一言も触れなかった自民党の裏金問題の真相解明を要求し、今国会での企業・団体献金の全面禁止の実現を呼び掛けました。暮らしの困難打開に向けた五つの提案を財源とセットで示し、自民党が進める政策全体の転換を要求。戦後80年を迎えるなか、「日米同盟絶対」の政治を批判。選択的夫婦別姓の実現も強く求めました。
暮らしの悲鳴にこたえる/「五つの改革」を提案
1 大幅賃上げと時短を一体に
2 不公平な税制をただす
3 全世代を支える社会保障へ
4 学費・教育費負担ゼロへ
5 食料の安定供給、 持続可能な農業へ転換
田村氏は「今の暮らしの苦しさの根底には『失われた30年』が続いているという大問題がある」と指摘。「暮らしの困難を打開するにはシングルイシューの部分的改良ではとても足りず、暮らしにかかわる政策全体の転換が求められている」とし、五つの改革を提案しました。
第一は大幅賃上げと労働時間の短縮を一体的に進める改革です。田村氏は「アベノミクス以降のマイナス分を取り戻す、年33万円以上の賃上げを最低限の目標として、正真正銘の大幅賃上げを政府の方針とすべき」だと提案。内部留保の一部に時限的に課税して、中小企業の賃上げへの直接支援に充てるなど、たまりすぎた内部留保を賃上げに回すといった仕組みを政治の責任でつくるよう求めました。
石破首相は「(内部留保への課税は)二重課税の指摘もあることから慎重な検討が必要だ」などと従来の見解を繰り返しました。
第二は不公平な税制を抜本的にただす改革です。田村氏は「生計費非課税の原則に立つことが、暮らしの応援にも公正な税制のためにも必要」だと強調し、「消費税こそ廃止をめざしただちに減税し、インボイスを廃止すべき」だと主張。石破首相は税制のあるべき基本原則に答えず、消費税減税を否定しました。
第三はすべての世代を支える社会保障への改革です。田村氏は、物価が上がれば増える年金への改革、医療・介護の基盤崩壊を止める、ケア労働者の処遇の改善を求めました。
政府は「保険料負担の抑制につなげる」とし、高額療養費の負担上限の引き上げを狙っています。田村氏は「がん患者など重症患者に負担増をもたらすことが、どうして社会保障への不安の解消につながるのか」と撤回を求めました。石破首相は「低所得者の経済負担にも十分配慮しながら、保険料負担の抑制にもつなげる」などと撤回に応じませんでした。
田村氏は、高齢者と現役世代の世代間対立をあおる政府の方針を批判し、「税と社会保障の応分の負担を大企業に求め、医療・介護・年金への公的支出を増やしてこそ、すべての世代にとって安心の社会保障を実現できる」と追及。「地方創生というなら、ただちに訪問介護の基本報酬を引き上げるとともに、介護保険に対する国の負担割合の引き上げこそ行うべきだ」と主張しました。
石破首相は「2024年度の介護報酬改定の丁寧な把握に努める」と引き上げを拒否し、公費負担割合の引き上げにも慎重な姿勢を示しました。
田村氏は、国公私立大学の4割が、来年度の授業料値上げを実施あるいは検討中との報道が出ているとし、「学生や保護者にとって重い負担であり、強い不安となっている」と指摘しました。
来年度予算案で国立大学運営費交付金を据え置いていることは、物価高騰のもとで、学費値上げを促進しているに等しいと強調。「値上げを止める1000億円の緊急助成を行うべきだ」と求めました。
石破首相は授業料について、「各大学の設置者で適切に設定」されたと強弁しました。
田村氏は、食料の安定供給、持続可能な農業への転換について、38%まで落ち込んだ食料自給率をどう引き上げるのか、当面50%への引き上げを目標とし、達成への責任ある政策を示すよう追及しました。
石破首相は「世界市場への輸出を促進し、もうかる産業にする」などと述べ、自給率向上の目標を語りませんでした。
○財源の裏付けと一体で――大軍拡・大企業奉仕の放漫財政にメスを
田村氏は、暮らし全体を応援する政策を財源とともに提案。大企業・富裕層への応分負担による税収確保や、大軍拡中止、大企業の利益優先の見直しで消費税減税や社会保障、教育などの恒常的予算を確保し、災害や物価高騰対策など一時的に必要な場合の国債発行を行い、40兆円規模の財源を暮らしに充てることが可能だと強調。「政策は財源の裏付けと一体で議論することが国民への責任ではないか」と迫りました。
来年度予算案で、8・7兆円の軍事費について「財源はどうするのか。その中身も、米軍と一体に外国を攻撃するための長射程ミサイルの実戦配備など『戦争の準備』そのものだ」と指摘しました。長射程ミサイルを大量に配備すれば軍事対軍事の悪循環をエスカレートさせるとして、東南アジア諸国連合(ASEAN)と協力して東アジア全ての国を包摂する対話、外交で戦争の心配のない東アジアを構築する党の提言を示しました。また、予算案は大企業への大盤振る舞いの一方、能登の被災者への生活再建支援金の増額や、中小企業への賃上げ支援もないと指摘し、「あまりにもゆがんだ予算案だ」と批判しました。
石破首相はASEANとの関係強化を言う一方で、「ミサイル配備を進める」という矛盾した姿勢を示しました。
裏金幕引き許されない/企業・団体献金禁止を
田村氏は、総選挙の与党過半数割れは、自民党裏金問題に対する国民の審判だと指摘し、石破首相の施政方針演説に裏金問題が一言もなく、衆参の政治倫理審査会でも自民党議員が開き直りに終始していると批判しました。「裏金づくりが誰の指示で始まったのか、何も明らかにならないままに『幕引き』をすることは許されない」として、関係者の証人喚問を求めました。
石破首相は「党として可能な限りの調査を行った」などと述べ幕引きをはかる姿勢を示しました。
田村氏は「しんぶん赤旗」日曜版のスクープを機に、都議会自民党の裏金に捜査が入り会計担当職員が立件された事件に言及。共産党都議団が入手した自民党の内部文書をもとに、2019年の政治資金パーティーについて、「都議会議員1人当たり100枚のパーティー券を配布、納入は50枚分100万円」との記載があるとして「キックバック(還流)がシステム化している」と告発しました。同文書には「都連所属衆参議員46名、1人30枚配布」の記載もあり、東京選出の国会議員の対応など新疑惑も浮上していると指摘。都議会自民党の裏金も徹底調査と全容解明なしに、国民の信頼回復はないとして追及しました。
石破首相は「該当者の都議会での役職停止や都議選での公認見送りを行った」とし、さらなる調査や全容解明には背を向けました。
田村氏は「政治改革の根幹は企業・団体献金の全面禁止だ」と述べ、「企業献金はわいろ性をもつ」と改めて強調しました。
日本経団連が04年度から政策要望と一体に自民党の政策評価を行い、企業献金をあっせんしてきたと指摘。実際に、経団連の要望通りに消費税増税と一体で「租税負担と社会保障を合わせた企業の公的負担の抑制する」政策が、国民の声を聞かずに進められてきたと告発しました。
国民の多くも企業・団体献金の禁止を求める中、自民党だけが企業献金にしがみつくのは「国民の声よりも財界・大企業の声をきくという宣言にほかならない」と追及。「総選挙での民意に応え、今国会で、企業・団体献金全面禁止を必ず実現しよう」と呼び掛けると、野党席から大きな拍手が起きました。
石破首相は「企業献金を含め、政治資金の透明性を確保する」との従来の主張を繰り返し、企業・団体献金を正当化しました。
選択的夫婦別姓/妨害やめ、いま実現を
田村氏は「共同」の最新世論調査(25、26両日実施)で支持が約6割に上った、選択的夫婦別姓制度導入について質問しました。
法制審議会が同制度の導入を提言した1996年から30年にわたり、自民党が「党内協議がまとまらない」ことを理由に法案審議を妨げてきたと指摘し、「もう妨害はやめるべきだ」と要求。「私たちを踏みつけているその足をどけてほしい」と、導入実現のため運動を続けてきた人々の思いを突きつけ、「今国会で、民法改正の法案審議に踏み出し、選択的夫婦別姓を実現すべきだ」と迫りました。
それでも、石破首相は「国会において建設的な議論が行われ、幅広い国民の理解が形成されることが重要だ」と述べるだけでした。
2025年1月29日(水) しんぶん赤旗