「裏金非公認候補に国民の税金を元手に2千万円を支給しても何の反省もない」―。日本共産党の田村智子委員長は5日の衆院予算委員会で、総選挙での自民党の裏金非公認候補への2千万円を巡る石破茂首相のウソを追及し、「政治モラルを崩壊させている」と批判しました。裏金の原資で、大企業優遇政策の推進力である企業・団体献金を全面禁止するよう求めました。
総選挙終盤の10月23日に「赤旗」は、裏金議員が代表を務める政党支部に自民党本部が公認候補の支部と同額の2千万円を支給したことを暴露しました。田村氏は、2千万円は選挙のためだと追及。石破首相は「選挙に使ってはいけないと明示している」などと弁解しました。
田村氏は「赤旗」報道の翌日に自民党総裁・幹事長室が出した文書には、税金が原資の政党助成金を通常期には年4回、政党支部に交付した上で「そのほかに選挙に際して…党勢拡大のため、別途交付」と書かれていることを示し、重ねて追及。石破氏は「日本語の読み方の問題で、『選挙の際に』は『選挙の時期に』ということで、それに使うという関係を意図していない」と強弁。田村氏は、総選挙では、選挙がない年の年間総額の2倍を一気に支給していると指摘し「全くの詭弁だ」と批判しました。
さらに「赤旗」日曜版の調査で、小選挙区に自民党が立候補していない支部には2千万円が支給されていないと判明したとして、石破首相が3日の衆院本会議で「支部が存在しない場合は支給していない」などと答弁したのは「ごまかしだ」と指摘。「公明党が立候補して自民党が候補を立てていない支部はいくつも存在している」と反論し、「これらの支部に選挙に際し2千万円を支給したのか」と迫りました。
石破首相の「支出はしている」との答弁に田村氏は、公明党候補が出た選挙区の自民党支部の関係者が「赤旗」に「2千万円は来ていない」と答えたことを示し、「選挙の際の2千万円は渡っていない」と反論。年4回の通常の交付金を受けながら、2千万円は支給されていない支部の存在を挙げ「選挙のために非公認の候補にお金を出した」「事実上の裏公認だ」と強調しました。
さらに、裏金の原資となっている企業・団体献金に固執する自民党を批判。経団連は自民党の消費税増税や法人税率引き下げなどの「実績」を評価し、企業に寄付を呼び掛けているとして、財界・大企業が要求する政策を国民の反対を押し切って進める背景に企業・団体献金があると告発し、「国民のための新しい政治へと進むには、企業・団体献金の全面禁止が絶対不可欠だ」と強調しました。
論戦ハイライト/企業・団体献金禁止こそ真の政治改革/田村委員長の質問/衆院予算委
日本共産党の田村智子委員長は5日の衆院予算委員会で、自民党の裏金非公認候補への2000万円支給問題での石破茂首相の欺瞞を追及し、企業・団体献金にしがみつく自民党の体質を厳しく批判しました。
裏金非公認に2000万円支給/田村氏「事実上の裏公認」「政治的モラルの崩壊」、事実突きつけ追及
総選挙で自民党は、一部の裏金議員を非公認にしながら、公認候補と同額の政党交付金2000万円を支給していました。田村氏は、公認候補のいる支部には、公認料500万円と活動費1500万円という選挙のための2000万円が交付されたと指摘し、非公認候補の支部に交付された2000万円も「選挙のためだ」とただしました。
「選挙のための2000万円ではない」と開き直る石破首相に対し田村氏は、本紙報道翌日の10月24日付で自民党総裁・幹事長室が公認候補者と選挙実務者宛てに出した説明文書を提示。「通常期に政党交付金を年4回、政党支部に交付」し、「そのほかに選挙に際しては、支部活動の活発化や、党勢拡大のため、別途、交付(今回指摘されている交付金)」との記載を指摘しました。
田村 別途交付する選挙のための2000万円ではないか。
首相 選挙の際にというのは選挙の時期にということで、それに使うという関係を意図したものでない。
田村氏は、選挙がなかった昨年の選挙区支部への交付は多いところでも年間1000万円前後で、総選挙時に年間総額よりも圧倒的に多い金額が一度に交付されているとして、「選挙のためのお金ではないというのは全くの詭弁だ」と批判しました。
石破首相は、これまで非公認候補者ではなく支部に対する交付だと説明してきましたが、「赤旗」日曜版の調査で小選挙区に自民党が立候補していない支部には2000万円が交付されていないことが明らかになっています(表)。田村氏はこの事実について、石破首相が3日の衆院本会議で「支部が存在しない場合には政党交付金は支給していない」などと答弁したのは「ごまかしだ」と批判し、「公明党が立候補して自民党が候補を立てていない支部はいくつも存在している。これらの支部に選挙に際して2000万円を交付したのか」とただしました。
石破首相は、「そういうところにも支出している」などと答弁。田村氏は、自民党が小選挙区で候補者を立てていない選挙区支部への「赤旗」日曜版の取材結果を紹介。昨年自民党本部から年4回の交付金を受けている北海道10区の支部会計責任者が今回の選挙で「2000万円はきていない。自民党の候補者がいないので対象から外れたのだと思う」と回答し、福岡、大阪、兵庫などでも同じ回答をしていると指摘しました。
田村 これをどう説明するのか。
首相 広報や政策の周知などに使うお金は拠出している。
候補者のいない支部に選挙のための特別の資金を出していないことを暗に認めた石破首相。田村氏は、自民党の文書には、総選挙が終わるまでは、公認候補も非公認候補も「当該選挙区の自民党支部長」だと明記しているとして、「2000万円支給の基準は、支部長が候補者かどうかだ」と指摘。「非公認というのは本来自民党の候補ではないが、自民党の支部長だからと選挙の際に2000万円を支給した。これは事実上の裏公認だ」と強調しました。
多額の裏金をつくった人物らに国民の税金を元手に2000万円を支給したことに、「国民が怒るのはあたり前だ。それに何の反省もない。政治的モラルが崩壊していると言わざるをえない」と断じました。
カネの力で政治ゆがめる/田村氏「国民多数反対の政策も押し切る推進力」
「政治改革の核心は、企業・団体献金をきっぱり禁止するかどうかだ」―。田村氏は、ロッキード事件をはじめ数々の汚職事件も裏金事件も「企業からの金の流れで起きた自民党の事件だ」と指摘。多くの党が企業・団体献金禁止を訴える中、石破首相が企業献金を「国民の浄財」などと述べたことを批判しました。
個人献金が憲法15条の参政権に基づく権利である一方、企業は参政権を持たず、目的は利益を上げることです。田村氏は、「企業献金と個人献金ではまったく違う」と指摘。経済同友会の元代表幹事の「企業が政治に金を出せば必ず見返りを期待する」との言葉を示しました。
田村 企業は、巨額のカネを出して政治を動かし、自分たちの利益につながる政策を誘導する。だから禁止しなければならない。それでも、裏金事件を起こした自民党が企業・団体献金にしがみつくのか。
首相 企業は投票という意味では参政権を持っているわけではない。禁止よりも公開性の担保ということが重要だ。
田村 企業は投票権を持っていないという点が重要だ。しかし、カネの力で政治をゆがめていくことが問題にされてきた。
田村氏は、日本経団連が毎年、自民党の政策について、実績や課題を一覧にし、会員企業に寄付を呼びかけていると告発。第2次安倍政権下で2度の消費税率引き上げや大企業向けの減税など、「経団連の求めた通りの政治を国民の反対を押し切って進めた。この背景に企業献金がある」と指摘しました。
田村 財界・大企業が要求する政策が、国民多数が反対しても進んでいく。その大きな推進力が自民党に対する企業・団体献金ではないのか。
首相 企業によって政治が常に左右されているとは認識していない。
田村 経済政策の行き詰まりが明らかでも大企業優遇をただす政治は一向に進まない。変わることを阻害しているのが企業・団体献金だ。
田村氏は、「国民のための新しい政治へと進むためには、企業・団体献金の全面的な禁止が必要だ」と重ねて強調しました。
2024年12月6日(金) しんぶん赤旗