早期の解散・総選挙が迫るなかジェンダー平等を争点に押し上げ、国連女性差別撤廃委員会の日本報告審議(10月)に向かう市民運動に連帯しようと、日本共産党は21日、有楽町マリオン前(東京都千代田区)で各分野5人の女性と街頭宣伝を行いました。田村智子委員長(衆院東京比例候補)が演説し、来たるべき総選挙でジェンダー不平等の原因の自民党政治を打ちやぶり、「『私』が『私』を大切にできる社会をつくろう」と訴え。労働時間の短縮で自由な時間を広げる党の新政策(20日発表)をジェンダー平等の推進として紹介しました。
第1部の田村氏とライター・小川たまか氏の対談では、在沖縄米兵の性暴力が焦点に。小川氏は個人の問題でなく、基地あるがゆえに強者が弱者に振るう暴力だと指摘。田村氏は日米軍事同盟絶対で米国に従属している自民党政治が「女性と子どもを何重にも苦しめている」と応じました。ほかに▽女性を使い捨てる非正規雇用▽声を上げる女性への攻撃―など多様な問題で語り合いました。
第2部は、「平和を求め軍拡を許さない女たちの会」メンバーで日本女医会の前田佳子会長、都内のフルタイム・パート労働者、選択的夫婦別姓を求める根井ちあき氏、農民連女性部の満川暁代事務局長の4氏がスピーチ。前田氏は「軍事費に巨額の税金を投じれば社会的弱者にしわ寄せがいく。参政権を得た女性が声をあげ、『新しい戦前』にさせない」と語りました。
田村氏は、戦前の「家制度」と性別役割にしがみつく自民党政治が日本社会の成長・発展を妨げていると指摘。働く現場の女性差別に「多くの涙が流されてきた」と述べ、「自民党政治を皆さんと打ちやぶる。来たるべき総選挙で日本共産党を躍進させてください」と訴えると、聴衆は大きな拍手で応えました。
総選挙でジェンダー平等推進を/共産党が宣伝
21日、東京・有楽町で行われた日本共産党のジェンダー街宣ではライターの小川たまかさんと田村智子委員長が来たる総選挙で実現したい願いを話し合いました。世界から立ち遅れた日本の現状を4人の女性がスピーチ。10月の国連女性差別撤廃委員会での日本報告審議と総選挙でジェンダー平等を推進させようとアピールしました。
有楽町マリオン前で21日に開かれた「ジェンダー街頭宣伝」では、ライターの小川たまかさんと日本共産党の田村智子委員長がジェンダーをめぐるさまざまな問題でトークセッションしました。司会者は米倉春奈都議会議員。
「ジェンダーをめぐり一番実現させたいことは?」との司会者の質問に、小川さんは、「決定権を持つ場で女性の数が増えることです。議員の数が増えてほしい。パリテ、クオータ制度を何とか進めてほしい」「『女性にゲタをはかすのか』という意見がありますがそれは違う。決定権をもつ組織のなかで男性の数は圧倒的。自然に女性が増えることはない」と述べました。田村さんも、「衆院議員に女性がわずか10%は異常。すぐに変えなければいけない」とうなずきました。
田村さんは「選択的夫婦別姓制度。自民党総裁選で候補の公約になるのは私たちが変えてきたから」と語ると、「なぜ進まないのか説明責任が求められる」と小川さん。田村さんは「戦前からの家制度を押し付けてきた反省が必要」と述べ、さらに「実現したら景色が変わる」と展望も語りました。
沖縄県で続く米兵による女性への性犯罪。沖縄で裁判の傍聴を続けている小川さんは「米軍基地があるから弱い立場の人が暴力の被害にあっている。この構造を伝えていきたい」と語りました。田村さんは「政府が米兵犯罪を沖縄県に通報しなかったのは、米軍基地への県民の怒りを抑えようとしたから。米軍基地のために女性や子どもの人権を踏みにじった」と自民党政治の劣化を厳しく批判しました。
男女の賃金格差について田村さんは、女性が担ってきたケア労働や人と接する仕事が低賃金、非正規化など「あまりにも軽んじられてきた」と問題点を指摘。小川さんも「女性はどうやって生きていけというのか」と怒りをにじませました。田村さんは、女性への間接差別をなくし、低賃金の解消とともに、労働時間を短縮することの必要性を強調しました。
古い価値観、政治変えよう/田村委員長、宣伝での訴え
10月に国連女性差別撤廃委員会で日本のジェンダー平等がどこまで進んでいるのか審査が行われます。日本は女性差別撤廃条約を批准しています。しかし、その取り組みがいかに遅れているか。日本共産党は、その根っこにあるものをみなさんに問題提起してきました。
一つは古い「家制度」の価値観にしがみついている政治勢力が、いまだにこの国の政治を牛耳っていることです。戦前、女性は無能力者で「家長が庇護する」との家制度がありました。この古い価値観を自民党政治は振りまいてきました。ここに根差した性別役割分担という考え方がいまだに根付いています。
大手ガラスメーカーAGC(元旭硝子)の子会社で働いていた女性が起こした裁判がありました。女性の多い一般職は男性の多い総合職と賃金も家賃補助の制度も大きな格差がある。裁判では家賃補助について「間接差別」を認める素晴らしい結果が出ました。彼女は通勤途上で涙を流しながら「この時代になぜこうした女性差別が許されるのか」との思いで裁判をたたかったといいます。その涙は、歴史的に多くの女性たちが流した涙であり、今も多くの人たちが流している涙でもあります。
いいかげん、この古い価値観に縛られた自民党政治を一緒に打ち破ろうではないかと心から呼びかけます。
そして財界・大企業です。男性は長時間労働、女性は安い労働力でいつでも首が切れる。財界・大企業が目先の利益のために人間らしい働き方を妨げている。企業献金を受けて応援してきたのが自民党です。目先の利益ではなく、人を大切にする政治に変えましょう。一人ひとりが安心して自分の力を伸ばしながら働くためには、十分な給料とともに、自分のための自由な時間を保障されることが大切です。このことが日本を希望ある国へと進めていく確かな道です。
戦争や戦争の準備を進める政治は、人権と相いれません。ジェンダー平等は戦争反対とつながってます。
一緒に私が私を大切にできる社会をつくっていきましょう。来たるべき総選挙で日本共産党を伸ばしていただくことを心からお願いします。
4人の女性のスピーチ
「新しい戦前」を変えたい/医師前田佳子さん
私が共同副代表の「平和を求め軍拡を許さない女たちの会」は、岸田政権の軍拡に危機感を覚えた女たちが立ち上げました。巨額の税金を軍拡でなく少子化や教育、弱者支援、子どもの未来に使うことを求め7万5000人分の署名を集めました。
女たちだけだとの異議もありますが、「古い戦前」と違い女性に参政権がある「新しい戦前」の今、「戦前」の状態を変えたいと活動しているのです。
軍拡路線は急に始まったわけでなく、2015年の安保法制成立から続いています。昨年は神奈川の民間病院で、戦争の負傷者をヘリコプターで病院に搬送する自衛隊の訓練が行われました。日常に戦争がひたひたと入り込んできています。みなさんの力で異を唱えてください。
強制的夫婦同姓、日本だけ/選択的夫婦別姓の実現めざし活動する根井ちあきさん
日本では、夫婦のどちらかが姓を変えないと結婚制度を使えません。95%が夫の姓に変えています。義務教育で誰も教えてくれず、男性側に変えるのが普通だと。まるで洗脳です。私は自分の名前が好きで事実婚で生活し、28年たちました。
結婚は、同意する2人が話し合い、2人で決めて進めていく問題です。強制的夫婦同姓は世界で日本だけです。法改正は自民党が幅を利かせている限り、実現しなさそうです。
自民党の後ろには、選択的夫婦別姓に反対する統一協会や日本会議など宗教を背景に持つ集団があるといわれます。
選択的夫婦別姓の実現のために、自民党の議席を減らしましょう。白票や棄権をせず、選挙に行きましょう。
農村女性の苦しみ打開へ/農民連女性部事務局長満川暁代さん
農民連女性部では女性差別撤廃委員会の日本審査に向けて、農村女性の社会的地位に関する実態アンケートに取り組みました。「農業で生活していけない」「農業収入が減った」という農業危機や家父長制が残っている状況、農村女性が忙しすぎる実態が浮き彫りになっています。
農家の女性の家族労働を経費として認めない、所得税法56条の差別条項も問題です。政府は前回の勧告を確実に実行し、選択議定書を批准すべきです。
いま、起きている米不足問題の原因は政府の農政の失敗です。家族農業を切り捨てる政策では農村女性の苦しみも日本の食料と農業の危機も打開できません。軍事予算は膨らませる一方で、国民の食料・農業を守る予算は切り捨てる自公政治を転換しましょう。
「男性トイレ掃除」に憤り/東京都内で働くパート労働者
正社員として働いていましたが、結婚の際に、女性が会社に残ることは期待していないといわれて退職。夫の転勤で地方に行き、出産・子育てをしました。子どもが小学生になり、就職活動をしましたが、会社の面接で「女性社員に男性トイレの掃除をお願いしている」といわれ、女性は仕事と家庭の両立や男性のケアを求められることに憤りあきれ、がっかりしました。
週5日フルタイムで働いても賃金は20万円に届かず、私の賃金だけでは生活できません。女性でも普通に働いたら生活でき、将来に備えて貯金もできる社会にしたい。最低賃金を1500円に、非正規の人の待遇を正社員並みに引き上げてほしい。そういう政策を持っている日本共産党を応援していきたいと思います。
2024年9月22日(日) しんぶん赤旗