活動報告

活動報告
共産党「旧優生保護法問題の全面解決」推進本部初会合/被害者らの思い・要望聞く/党として謝罪表明

 旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強制したのは憲法違反とし、国に賠償を命じた最高裁判決を受け、日本共産党国会議員団は20日、「旧優生保護法問題の全面解決」推進本部の初会合を国会内で開きました。優生保護法問題の全面解決をめざす全国連絡会(優生連)や、原告・弁護団から意見を聞きました。

 推進本部長の田村智子委員長があいさつ。旧優生保護法の成立と改定に日本共産党も賛成したことは「重大な誤り」だったと述べ、「日本共産党中央委員会を代表して心から深いおわびを表明するとともに、問題の全面解決に向け誠実に全力で取り組む」と決意を述べました。

 会合で原告らは「病院でむりやり不妊手術を受けさせられ、ずっと妻にも言えず苦しんできた」「結婚式の前に夫が強制不妊手術を受け、妻である私も何の説明も受けず50年近く苦しんできた。最高裁判決が示している配偶者の補償額200万円は、本人の7分の1で悔しい」などと訴えました。

 弁護団の松浦恭子氏は、立法の出発点は「全ての被害者の補償」だと強調。中絶手術の問題を先送りにして、被害者に困難な裁判を強いてはならないと主張しました。

 優生連共同代表の山崎恵氏は、中絶手術をした証拠を示すのは非常に困難であり、「医学的所見や書類の証拠がなくても補償してほしい」と強調。同じく共同代表の藤井克徳氏は▽国会として加害者意識を持ち続ける▽判決を凌駕する立法を▽全国の原告39人のうち6人が亡くなり「時間との競争」―と述べ、補償法と共に優生思想根絶のための理念法の立法や、旧優生保護法問題についての国会での集中審議を求めました。

 超党派議連のプロジェクトチームの取り組みについて高橋千鶴子衆院議員が報告。原告・弁護団の主張を土台に補償はできるだけ高く、すべての被害者救済のために党としても取り組んでいくと述べました。結びに穀田恵二国対委員長が今日の原告らの言葉を胸に刻み、集中審議も求めていくと話しました。

 

党「旧優生保護法問題の全面解決」推進本部初会合/田村委員長のあいさつ

 日本共産党の「旧優生保護法問題の全面解決」推進本部が20日に開催した初会合で、田村智子委員長(推進本部長)が行ったあいさつは次の通りです。

 

 原告団、弁護団、優生連(優生保護法問題の全面解決をめざす全国連絡会)のみなさま、ご多忙の中、日本共産党「旧優生保護法問題の全面解決」推進本部のヒアリングにご参加いただき誠にありがとうございます。

 この推進本部は、日本共産党として、最高裁判決をふまえ設置したものです。責任者は私、党委員長の田村智子、構成員は衆議院・参議院の全国会議員です。

 7月3日の最高裁判決では、旧優生保護法について、不妊手術を強制することは個人の尊厳と人格尊重に著しく反する、障害者などを対象者に定めることは差別的取り扱いだとして憲法13条・憲法14条1項に違反と断じ、明白な憲法違反の法律をつくった、国会議員の立法行為が違法だと厳しく指弾されました。

 旧優生保護法の1948年の成立、52年の改定には、日本共産党も賛成をしたという重大な責任があります。非人道的な違憲立法が、被害者のみなさまに与えた苦しみは筆舌に尽くせるものでありません。わが党の責任も厳しく問われるものであり、日本共産党の「100年党史」および今年1月の第29回党大会において重大な誤りであったということを明記いたしました。

 本日、みなさまを前にして、日本共産党中央委員会を代表して、心からの深いおわびを表明するとともに、最高裁判決の指摘を真摯(しんし)に受け止め、旧優生保護法問題の全面解決に向けて、誠実に全力で取り組む決意を表明いたします。

 急がれるのは、被害者ら全員に対して人生被害を償うに足りうる賠償を行う補償法の制定です。何よりも、国会は加害者であり、重大な誤りを認めて謝罪を表明する決議を行い、被害者の意向をしっかり踏まえた補償法を立法することが必要だと考えます。

 配偶者も強制不妊手術被害者と同じように、子どもを産み育てる権利を奪われています。判決の金額にとらわれず、政治の責任で十分な補償を行うことが必要です。また、判決にはありませんが、旧優生保護法のもとでの中絶手術が行われた被害者への十分な補償が必要です。議連のPT(プロジェクトチーム)の中でも引き続き、被害者の意向がしっかり踏まえられ、人生被害を償うに足りうる立法になるよう全力をつくします。

 被害者のみなさんは高齢であり、補償法は一刻も早く実現しなければなりません。いかなる政局のもとでも最優先での立法を求めていきたいと思います。

 旧優生保護法問題の解決のために、最も重要なことは、優生思想と障害者に対する偏見・差別を根絶していくことです。旧優生保護法は、障害者を「劣った人」とみなして、障害者に対する差別・偏見を助長してきました。社会に巣食う優生思想が、津久井やまゆり園事件のような大量殺りく事件まで引き起こしています。障害者への差別と偏見が横行する風潮を改め、優生思想を根絶することに、国会は重大な責任を負っています。

 憲法13条「すべて国民は、個人として尊重される」という原則を日本社会の血肉としていかなければなりません。政府に対して、優生思想にもとづく偏見差別の根絶のための施策についても、被害当事者団体や弁護団との継続的な協議の場を設置するよう求めていく所存です。

 また、過ちを絶対に繰り返さないためには、戦後最悪の人権侵害がなぜ、起きたのか、徹底した検証も必要です。昨年、国会の調査報告書がまとめられましたが、被害当事者団体なども入った検証を求めていきたいと思います。

 本日は、旧優生保護法問題の全面解決に向けて、被害者、弁護団、優生連のみなさまに、率直な意見をお聞かせいただきたいと思います。


2024年8月21日(水) しんぶん赤旗

 

 


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